小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

4月22日

 

 

 

【芝居小屋】

 

白「何だ この箱」見上げっ

皐月「でかくて邪魔やろ?
けどな、これ うちの新しい目玉になるかもしれへんねん」ふふふっ

 

粋「目玉?これが?」

テオドール「Σあ!私 これ見た事が御座います」


つつじ「お。さすがやな
元々西洋のモンやからなあ」

 

テオドール「えーと これは確か

はい。粋さんちょい中に」ぐいぐいっ

粋「へ?入んの?」


テオドール「で、御座います。

そして扉を閉めて」

ぎいい ばたんっ


皐月「うんうん。」頷きっ

 

 

テオドール「箱ごと中身をブッ刺すと。」大道具の槍ちゃきっ。

つつじ「うん。ちょいちゃうかな?」


皐月「買うたばっかやのに 穴空けんのやめてやー。」ほんまにもー

 

粋「Σなんで俺で試そうとしたよ!」扉蹴りっ!

テオドール「うっかりミスっても 根性で避けてそうだなーと。思いまして」


白「手品って タネってのが有るんじゃ無いのか?」なあ。

テオドール「Σはっ」

粋「お前 この手のマジで根性で避けてると思ってたの?」えええ

 

 

皐月「せやな。手品はタネが必要や
でな この後ろに仕掛けがあってな」どっこらせっ

 


彬羽「此処は 芝居小屋じゃなかったのか?」出前っ

つつじ「話題作りに幕間にやってもエエかなー?と」

 

彬羽(元から有る意味 見世物小屋だし 今更か) 

 

 

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【その頃 芝居小屋 裏】

 

ちんぴらA「あの。待ち合わせ場所は此処で合ってるんで?」きょろっ

親分「おうよ。例のブツは表じゃ目立ってしゃーねえだろ?
だから こう言う無駄にデケエ建物の裏でだな
ほれ、目立つ建物だ。目印にも良いだろ」わははっ


ちんぴらB「そりゃ名案と言いたいんですけど
その、 ここの奴等に見付かりでもしたらやべえんじゃ」びくびくっ

親分「はあ? 良く瓦版に載ってる奴の事か?
あんなの話盛ってるに決まってんだろ

お前らも んなもん返り討ちにしたらあ。ぐらいの心意気を持たねえか
だらしねえなあ」ちっ

 

ちんぴらAB(いえ。過去にぶっ飛ばされたから マジで怖いんですけど。)冷や汗っ

 


ちんぴらA「・・2度と変な事しません で見逃して貰ったのになあ」遠い目。

ちんぴらB「俺もだよ

何だろう。約束破った時点で 腕掴まれて暗闇に引きずり込まれるような そんな予感しかしねえよ」


ちんぴらA「・・何なんだろうな アレ」背筋ぞわわ

ちんぴらB「解んねえけど
見付からねえの願おうぜ。」ぶるるっ


親分(化け物にでも会ったんか コイツ等) 怪訝っ

 

 

 

ガタンっ ごとんっ

 

親分「お。荷物来よったわ」

 


商人「お待たせ致しまして。

この様に  傷が着かぬ様、丁寧に運んで参りました物で」


親分「構わん構わん。

おー。またでかい箱だの」ほほうっ

商人「はい。気合いをいれまして 質の良い桐で作りまし

 

粋「あれ? 箱ってまだ追加で来るんだったの?
どんだけ気合い入れてんだよ
皐月の奴。」うわー。

商人・親分・ちんぴら一同「Σ!?」ぎくうっ!

 


商人「え、ええっと。」チラッ

ちんぴらA「おおおおおお頭っ!!」あわわっ

親分「しっ! 此処は騒ぐんじゃねえ
誤魔化すんだ!」

ちんぴらB「どどどどうやって!?」ひええっ

 

粋「あのさ そこゴミ置き場だから ちょい退いて貰えないかな。

んで、荷物運び込むんなら 向こうのでかい開き戸の方行っててくんね?
中から開ける様に言っとくから」ゴミよいせっ


親分「あっ はい!

いやー その裏口からじゃ入らないですもんねっ」にこっ

ちんぴらAB「Σ!?」ぎょっ


粋「だなあ。
良いの使ってるみたいだし 傷いったら勿体な

あ。ちょい待ってて

手きったねえから洗いがてら すぐ開ける様言ってくるから

お疲れさんでーす」すたたっ

 

 

ちんぴらA「Σ結局親分も此処の奴等怖いんじゃないですかい!!」

親分「Σこっ 怖かねえよ!?
俺ぁ単に 騒ぎになんねえようにだな!!」


商人「あのー。 今の内にとっとと取引済ませて解散した方が良いんでは」

ちんぴらB「だなだな! さっきのが戻ってくる前にっ

こんなデケぇ開き戸 そんな即開けられねえだろしっ」うんうんっ

 


彬羽「此処で良いのか?」ひょい

全開ぎゃんっ!

 

皐月「せやせや。 
ありがとなー。あっきー馬鹿力で助かるわー」あははっ

 

一同「Σいや早えな!!」えええっ

 

 


皐月「で、お届け物ってホンマにうち?

数足りとんやけどなあ
発注ミスったやろか?」はて?

 

商人「Σえ。あ、それはそのー

今御注文頂くと
更に1個 オマケで着いてくるサービス期間中でして。」

親分(Σやるな!)おおっ

 

皐月「Σそうなん!?お得やん!」おおっ

商人「ええ。しかし
物が物ですし 場所を取るでしょう?

ですので、下手に送り付けられても迷惑かと
こうして御迷惑でないか お訪ねしつつお届けしようと。」にこにこっ

 

ちんぴらA(つーか。 この荷物 何と間違われてんの?)ひそっ

ちんぴらB(さあ? とにかく似たような大きさの似たような箱なんだろ?

箱にデケぇ布かけてるから 運び込みでもしねえ限りバレねえとは思うが) ひそひそっ

 

親分(オマケと言われても こんなかさばるモン まず要らねえよな。

やりやがるな)ふむ。

 


皐月「へー! ホンマ律儀やなあ
サービス品までお客さんの都合考えて 商売人の鑑やわあ」 ほーっ


一同(Σあれっ!?)

 


皐月「ド偉い運んで重かったやろ?
ありがたーく 頂くわ」にこっ。

商人「Σえ」


皐月「予備ならナンボあってもええもん

あ!テオ この人等にお茶淹れたってやー!」

 

親分「Σえ それはちょっと!」えええっ


皐月「ん? 遠慮せんでええよ
今日は動いとったら暑いもんな」

商人「Σあ。その そうでなくっ」そのっ

 


彬羽「ん? ひょっとして遠路運んで来ていて 腰でもいわしたか?
なら 代わりに持つが
ちんぴらB「Σあああダメええええ!!」

彬羽「Σ?」手引っ込めっ

 


ちんぴらA「え、えっとその

実は 納品前にと 今そこで検品してましたら
運んでる最中に着いたのか
商品に傷を発見しましてっ

こんなんお客さんにお渡し出来んと話してたところなんですっ!」


皐月「え?そうなん?」ありゃ

 

一同(Σおおお! ファインプレー!!)

 

 

皐月「けど、傷くらいエエよー

既にあんのも 練習してたら そこらに有った槍刺さったしなあ 」あははっ

ちんぴらA「Σどんな練習!?」


彬羽「脱出系は 確かに派手でナンボだが
刃物を刺していくタイプのは 見た目が悪くならん様に 元から切れ込みが入ってる物だぞ」

皐月「らしいなあ。
やらかしたわ」うん。

 

親分(Σ脱出系手品の大道具と間違えられてるのか!)はっ

 

ちんぴらA(つか、 刺したの!?
思い付きで箱刺したの!?) えええっ

ちんぴらB( やべえ!バレたら箱に詰められて 串刺しコースっ!!) 背筋ぞわあっ

 

皐月「ちゅー事で

傷くらいかまへんし。1個きちゃななってもたから ホンマ助かるねん

有り難く貰っとくわ」にこっ

ちんぴらA「Σあ、あのっ」あわあわっ


皐月「ん?」

 


商人「実は その傷と言うのが
脱出に関わる部位で 上手く起動せんのです
申し訳ありません」ふかぶかっ

一同(商人んんんっー!!!)おおおおっ

 

 

皐月「Σげ マジか
そらアカンわなあ」うわ。


商人「そうなんです
いや申し訳御座いません 
お渡し直前に気がついたのが せめてもの救い

また後日 新しい物をお届け致します 」ぺこりっ

 

親分(よし!このまま逃げきれそうだ!!)よしゃあっ

ちんぴらA(この場さえ離れてしまえば こっちの物

Σん!?)

 

 

彬羽「Σこら!人の荷物の上で何してんだ手前は
本番中じゃ無かったのか!!」

ちんぴらB「Σ出あああっーーっ!!」ひいいっ


白「幕間だ。
出たって 失礼だな」むう。

 

 

皐月「こら!降りいや
壊れとるとは言え そちらさんの商品やで
失礼やろ!」

白「うん、壊れてても壊れて無くても良いんだけど」

商人「な、何で御座いましょう」冷や汗っ

 


白「中から 生き物の匂いがする。」

一同「Σ!」ぎくうっ

 

皐月「生き物?」へ?

彬羽「Σまさか」はっ

 


べりんっ!!

 

ちんぴらA「Σ問答無用で 壁板剥がされた!! 」ひいいっ

 


娘「むっ!むーっ!!」猿ぐつわでじたばたっ


白「大した手品だな。」へー

 


親御「よし。逃げ

がしっ。


ちんぴらA「Σあだだだ無理です!」ひいいっ

 

彬羽「動けば頭が爆ぜると思え」ぎりぎりぎりっ

親分「Σあだだ何コイツゴリラか何か!?
大人しくする!するからっ
命ばかりはお助けををを!!!」ひいいっ

 

 

ーーーーーーーー

 


【舞台裏】

 

粋「つか普通
導入したその日に マジで使うかよ?」えー。

テオドール「江戸の方々は新しい物好きに御座いますからねえ
てか、遅う御座いますね?

中に皐月さんの司会でコマさんが中に入り
はい消えました! マジックの予定に御座いますのに」

 

 

コマ『始まりましたよ』てくてくカタタッ

 

 

皐月「えー では
朝の部と昼の部の間、
お客様には休憩頂きますが

お弁当持参やし 暇や。と言う声にお答えして
軽い演し物をさせて貰おかと思います」ぺこりっ

 

お客一同「おおー!」ぱちぱちぱちっ

 


粋「よし コマ行けっ」ほれほれっ

コマ『いえ。私 今日は違う助手です』筆談っ

粋「へ?」

 

 

皐月「では皆様。

この空の箱 いっぺん全部閉めまして」

手品箱ぱたんっぱたんっぱたんっ

 


皐月「では、 ごゆっくりご覧くださーい」


扉ぱかっ!

 


親分「Σむーっ!!」スマキに猿ぐつわでごろんっ


お客「Σ!?」どよっ

 

コマ『こっちも』ぱかっ


商人「Σぐっ!」どしゃっ

 

皐月「最後は はーいまとめてっ」ぱかっ


ちんぴらAB「ぐはあ!」どたーん!!

 


粋「Σえ?え?何これっ」ひええっ

 

テオドール「おや? 今度は表の方から」

 

 


役人「御用だ御用だ御用だ御用だ」わらわらわらわらわらっ

ちんぴらAB「ぎゃあああ!!」ひいいっ

 

 

皐月「はーい。悪漢達は取っ捕まり
囚われのべっぴんさんは自由の身になりましたとさっ」

 

 

最後の箱ぱかっ!

娘「Σえ、えっと」たじっ

 


お客一同「おおおおおー!!」

拍手ぱちぱちぱちぱちぱちぱちっ!

 

 


白「こんなのまで宣伝に使うって さすが商人だな。」

彬羽「だな。
明日辺り また瓦版コースだな」ふむ。

 

ちんぴらA「あああ!やっぱ此処に関わるんじゃなかった!」ちくしょおおっ

役人「喧しい きりきり歩けっ」

 


皐月「新しいもん導入する時はインパクトが大事やからなあ
ええ買い物したわホント」ふふふっ

つつじ「エエけど
役人さん等まで利用すんのは どうかと思いますえ?」ほんまにもー。



 

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