小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

7月29日

 

 


【長屋】

 


粋「そっかあ。町内会長のおっちゃん亡くなったのかあ」

 

テオドール「私会った事が御座いません」へー。

白「俺も知らないけどな
なんかしょっちゅう爆発するし強盗入るし何なと騒ぎの起きてる芝居小屋が営業出来てたの その会長が色々やってくれてたらしいし

で、おしょうこう?てどうやるんだ?」


粋「Σえ えーと確か
あれっまず誰に1礼?」

テオドール「先生 お焼香って何で御座いますか?」挙手っ

粋「Σあやふやだから誰かに聞こうと思ってたけど 左右が外国産と兄貴とか うおおしまったあ!!」頭かかえっ

 


白「ん?礼するのか?
じゃ前の奴の見れば解るんじゃないか?」

テオドール「あー。あれがお焼香で。

成る程 まずはお坊さんに礼するので・・・」

 

魄哉「あのくたーらー さんみゃくさーんぼーだーいー」

ぽくぽくぽくっ

 

 

粋「Σめちゃめちゃ見慣れた坊主が経読んでる!!」

白「あいつ芝居小屋のオーナーだし」うん。

テオドール「ああ。お世話になった御礼にと 自ら申し出ましたねあの方」成る程っ

 

白「あんなんでも最高僧だし
町内会長のおっちゃん良かったな。

会った事ないけど」うん。

粋「いや 坊さん金髪碧眼って 葬式感ゼロなんだけど」ええー。

 

テオドール「とにかくお焼香はなんとなく解りました

と言いますか 皆さんも大概フワッとしてるみたいに御座いますね。
前の人のをガン見しておられま 

 

どうされました?」

 


白「あの梁の凹み 何処かで見たような」

入り口の梁べっこり凹みっ


粋「Σあ。まさか」はっ

 

 

 

町内会長の奥さん「いきなりガンっ!て言ってびっくりしたよー大丈夫かい?」あらあらっ


ひな「すみません。うちの板さん背が高い物で」苦笑。

奥さん「あー良いって良いって。
家も頭も壊れなかったんだから」


彬羽「すまん。」ずーん。

 

 

白「絶対暑くてボーッとしててぶつかったな」ああうん。

テオドール「この暑い中 この様な空気のこもった所にとは
彬羽さんにはキッツう御座いますよね」ああうん。

粋「そっか。 職場同じ町内だもんな」

 

 

彬羽「ん?何だ手前等も来てたのか

焼香は済んだのか?」

テオドール「あ、いえ 順序がイマイチ解らない物で 前の方のやり方を見ておりました」

彬羽「成る程そのメンツじゃな。

よし、やってくるんで見てろ」すたすたっ


粋「Σさすが頼りになる!」おおっ

 


テオドール「確か まずはお坊さんに1礼で御座いますね」

 


彬羽「・・・。」

魄哉「・・・・・ぎゃーてーぎゃーてーはらぎゃーてええー」チーン。

 

 


白「あ。目があったな」

テオドール「外で知り合いに会った犬猫ってあんな感じに御座いますよね」ああうん。

 


粋「Σあ。やべ

パニクってどこまでやったっけみたいになってる!」

白「こっち見られてもな」むう。

テオドール「あの方 精神的揺さぶり苦手に御座いますよね」あちゃー。

 

 

 

魄哉「ぼーじーそわかー はんにゃーしんぎょー」焼香台ちょいちょいっ

彬羽「Σ!」はっ!

 


テオドール「Σおお!さすがで御座いますっ
読経しながらさりげに次の指示をっ」


白「あれ?魄哉なんか声震えてないか?」ん?

粋「Σあ。ツボった?
このタイミングで変なツボに入っちゃった!?」ええっ


ひな「お葬式って 笑っちゃいけない空気だからつらいですよねー
では私はお先にお店戻ってますんで

あ。お焼香の順番カンペです」はいっ

テオドール「Σおお!ありがとう御座いますっ」

 

粋(Σごめんカラス! このタイミングで行く必要無かったかも!!)

 

 


間。

 

 

 

彬羽「と、だいたいこんな感じなんだが

なんで向こう向いてんだ手前」


白「なんでだろうな」ぷるぷるっ

 

テオドール・粋(こっちもツボった。)あーあ。

 

 


テオドール「彬羽さん 解りやす過ぎるので御座いますよ」

彬羽「Σいやお前等が解らんって言うから解る様に先に行ったんだろが!」

粋「そっちじゃなくて テンパりぶりだがよ
少しくらい間違えても素知らぬフリでスルーすりゃ良いのに 真面目なんだよ」苦笑。


白「ドヤって行って耳まで真っ赤で 焼香倒すしこっちまで笑える」ぷぷっ

テオドール「お葬式の席なので 此処で怒声は無しで御座いますよ」しーっ

彬羽「Σぐっ!」イッラアアアッ!

 

 


白「まあだいたい解った

よし。次俺行くか」よっこらしょっ

 

粋「Σえ。兄貴大丈夫!?」

白「お前が横でブツブツ順番暗記しようと煩かったし
仕事考えたら そんな緊張する物じゃないだろ」すたすたっ

テオドール「まあ。お役者業に比べたらに御座いますよね」ふむ。

 


彬羽(恥知らず共 精神強すぎるだろがっ!) くうっ

テオドール「あの、さほど気にしておりませんので
恥を反芻するのはお止めになった方がよろしゅうございますよ?」

 

 

 

白(えーと。まずは遺族と僧侶に1礼。)  ぺこりっ ぺこりっ

 


粋「なんかレアだよな。兄貴の会釈」

テオドール「頭下げ慣れてない感じが さすがに御座いますね」うん。

 

白(で、えーと
焼香台の前で1礼?) ぺこりっ

 

粋・彬羽(Σいや座ってから!!)

 

 


白(? 他の奴のは何か違ったような
あれ? 
棺桶が本人だろ 無視して良いのか?) 棺桶ぺこりっ


粋(Σ気持ちは解るけど そっちやんなくて良いから!!)

 

 


白(えっと。
あれ?数珠どっち持つんだっけ

あ。しまった 数珠座布団の所に置いてきた) はっ

 

 

遺族A(あー。解る解る
あそこ行くの地味に緊張するからなあ) 苦笑

遺族B(数珠忘れかあ。アレは辛い
無いなら無いで 無視して進めて良いと思うけど) あちゃー。

遺族C(さっきから何だ。
最近の若い者は焼香すら出来んのか) イライラっ

 

 


粋「あれ?こっち見てる
やっぱ手順解らなくなった!?」

彬羽「いや魄哉もチラチラこっち見てるしな
何かちょこちょこ指示出してるが 気付いてないなあの野郎」

 

テオドール「Σあ!御数珠お忘れに御座います これはピンチっ!


お受け取りくださいませっ!!」せいやあっ!

 

 

数珠がいんっ!!


魄哉「Σぶっ!?」後頭部直撃っ

遺族一同「Σ!!」どよっ

 


白「Σあ」


ひゅるるるるっ

 

 

焼香台にずむっ!

 


遺族一同「Σぶはあっ!!」吹き出し

 


抹香もうもうっ。

 

 

 

 

 

白「なんか   ごめん。」あーあ。


奥さん「い、良いんだよっ」ぷるぷるっ

粋「Σおかみさんもツボった!!」

彬羽「Σいや葬式であんな真似してケロッとって メンタル強すぎだろ!!」えええっ

 


参加者一同「だっはっはっ!!」

魄哉「お葬式って笑ってはいけない感有るから
余計にしょーもない事で笑っちゃうんですよねえ」あーあ。

 

テオドール「皆で笑って送る
これがジャパニーズお葬式。」おおっ

粋「Σいやお前のせいで笑っちゃってるだけだから!!」

 


白「よし。俺は焼香終わったぞ
次お前だ」キリッ

粋「Σ何任務完了みたいな顔してんの!?
つかこの後とかハードル高いわ!!」うがあっ


彬羽「いや ボケんでいいからな?」

 

 

奥さん「まあ うちの人は賑やかが好きだったから
こう言うののが良いのかも知れないねえ
ありがとねえ。お兄さん達」ぺこりっ

彬羽「いやすまん。正直土下座して詫びたい」

奥さん「そんな気にしないで。
あの人の為に 最後にこんなに沢山の人に集まってくれた。てのが嬉しいんだから」にこにこっ


テオドール「奥様 人間が出来ていらっしゃる」じーん。

 


粋「最後かあ。

よし、 俺はキッチリ焼香して 最後まで兄貴達が御迷惑おかけしましたって


・・どしたの?」あれっ

 

 

 


テオドール「あれ。噂の町内会長さんでは御座いませんか?」あのー

白「だな。俺等普通に見えるから
目合っちゃったな」うん。

 


粋「Σえ。俺 例によって見えねえんだけど!」ええっ

彬羽「そりゃな。
普段見える奴でも 生前縁が有れば死後は見えない物だが
そうか、俺達は結果世話になってただけで面識は無いからか」困惑っ

 

 


テオドール「めちゃ会釈しておられますねえ」えーと。

白「俺が棺桶に会釈したからかな?」

彬羽「腰が低いな町内会長
さては 注目されるのは苦手か。」

粋「お前のお仲間「黙れ」

 

 

おかみさん「皆ありがとねえ。

あの人も 今頃空の上で喜んでるだろうよ」目尻に涙きらーん。

 


白・テオドール・彬羽(うっわ 本人気まずそう)

 

 

 

白「帰るか?
なんかいたたまれないし」

彬羽「・・だな 焼香終わったしな」うむ。


粋(ある意味 笑える葬式で良かったんじゃね?)あれっ

 

 

テオドール「あー めちゃ申し訳無さそうに頭下げておられますねえ

お見送りされております」おやまあ

 

 

白「気まずいな。」

彬羽「気まずいな。」うむ

 

 

 

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