小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

7月11日






【夜道】



粋「あー ようやく終わった」げんなりっ

テオドール「今年も夜は墓場で運動会の季節に御座いますねえ」てくてくっ

彬羽「化物達にとっちゃ大事な情報交換の場所だからな
まあ、皆が皆夜行性じゃないんで程程にして欲しいが」あくびっ


白「眠いのと暑いのでバカラスのキゲン悪すぎて サックリ終われて良かった良かった」すたすたっ

彬羽「お前がしっかりしてりゃ 俺が出張る事無いんだがな」むかっ

粋「補佐も大変だよな」苦笑。

テオドール「お化けの皆さんが近くに来る度絶叫しておられた粋さんも大概大変「Σしゃーないだろダメな物はダメなんだよ!」

テオドール「大丈夫で御座います
私もほぼほぼ灰と化しておりました」



白「そんな怖いなら留守番してれば良いのに

あれ?」


粋「ん、何なに?」

白「此処の道な 昼間通った時にな

最近オバケが出るから日が暮れてから近寄るんじゃ無いぞって そこの駄菓子屋のおばちゃんが言ってたなって」ふむ

粋「Σげ。」びくっ



彬羽「で、どんな化物が出るんだ?」

白「えっと。確か 半透明の骸骨の行列?」えーと

粋「Σマジモンじゃねーか!!」ひいいっ

テオドール「あの、特に悪さをしないので有れば 別段ちょっかいかけずとも良いかと 」




白「だな。」すたすたっ

テオドール「Σ何をどう同意されたので御座いますか!?」えええっ

粋「Σだああやっぱ行くんすね兄上!!」ひいっ




彬羽「・・俺は 帰って良いか?」眠っ




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半透明の骸骨わらわら 提灯手に手に練り歩きっ




白「本格的だな」へー。

粋「Σ何が!? つか何ここ 角を曲がったら骸骨の国!?」ひいいっ

テオドール「ととと特に攻撃してくる素振りも御座いませんしっ
静かにしていれば安全かと

肩に手かしゃんっ

テオドール「Σひぎゃああああ!!!」びっくううっ



灰ざらっ!

骸骨「Σ!?」びくっ




白「多分、お前が前に出過ぎてたから 通れないし
もうちょい後ろ下がれって言いたかっただけだと思うぞ?」

粋「Σ通れないって何が!?

ちょ早く帰ろう!怖えよおおおっ」テオ灰ざかざか集めっ

白「お前等 骨は怖いのに灰になるのは怖くないのか

ほれほれっ」髑髏の口がっしゃがしゃっ


粋「Σぎゃああ頭蓋骨っ!!」ひいいっ





彬羽「すまん。」頭蓋骨返しっ

骸骨がっしゃがしゃこくこくっ。



白「結構本気で殴ったな」たんこぶっ
彬羽「当たり前だ 人の頭で遊ぶな。」




テオドール「おお!盾 じゃない彬羽さんっ!」ざらざら蘇生っ

粋「こら!本音が漏れてる」しーっ

彬羽「やっぱ帰って寝る」すたすたっ

テオドール・粋「Σわー!!」うわあああっ



白「別に良いぞ?俺が野次馬したいだけだし」しれっ

粋「Σさすがにこんな所に放置出来ねーって!!」

テオドール「下僕として御1人お残しするわけにはっ
彬羽「Σだったら勝手に行け!コラ手前等 袖離せまとわりつくな!!」くわっ


白「さて、行列何処に向かうのかな」すたすたっ

粋「Σ自由すぎる!!」ひいっ




テオドール「てか そもそもこの辺りおかしく御座いませんか?」きょろっ

彬羽「だな。これだけの大行列だってのに誰1人出て来やしねえ
鬼門に片足突っ込んでる様な物か」ふむ。






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男「おや。人だ」ふふふふふっ

白「ごめん 化物だ」さらりっ

男「あーはい。そうですよねやっぱそうだよね」あーはいはいっ

テオドール「壊れかけの人間が1人?」おや。


粋「建物は普通ぽいんだけどなあ?」屋根見上げっ

彬羽「おそらくだが 普通の町が此処だけ微妙に切り取られた感じだろう
向こう、 本来の人間の町にも同じ物は存在して居るだろうがな」ふむ。

テオドール「複製品に御座いますか?」ふむ

彬羽「と言うか 建物含め霊的な物のみ引っこ抜かれた感じだろ
あの男も霊体みたいだしな」


男「めちゃめちゃ理解早いですね」よーろよろっ

白「此処ひんやりしてるから頭の回転良くなってるんだと思う」うん。


粋「Σ言われてみれば
さむっ!」ぶるっ

テオドール「あの世に限りなく近い所の様に御座いますしね」ひええっ



白「で、お前何したんだ?
生きてる人間が来る所じゃ無いぞ」

男「実はその
私 そのー。実はめっさ遊び人してまして」しどろもどろっ

粋「うん、だいたい読めた」うわあ。


男「酔ってベロンベロンになってナンパしてお持ち帰りしたのが モノノケだったんです!!
しかも 記憶無い間に婚姻届に判押しちゃってるし!」どちくしょおおおっ

粋「Σ思ってたのと微妙に違う!!」

男「でもって 初めは甲斐甲斐しかった妻も 最近やたらヒステリックて言うか、可愛げ無くなってきて」

テオドール「普通に夫婦はなされていたので御座いますか」ええー。


男「で、仕舞いには こんな所に居るからいけない!
自分と同じあの世に行こうと言い出しまして 私をこんな所にっ」くううっ


彬羽「成る程。
若干王道からズレてるが 冥府の者と婚姻した為 嫁に命を奪われそうになってるってパターン か?」ふむ




白「で?」

男「はい?」




白「現世に居るからいけないって事は お前人の世で何かしたんだろ?」

男「Σうお 鋭い!」ぎくうっ


テオドール「Σ成る程 女幽霊は男を冥府に引きずり込む物と言う先入観に囚われておりました!
さすが我が主様っ」おおっ

白「今あんまりそう言うの言ってると怒られるらしいぞ」

テオドール「Σえ」

白「男女サベツとか。
人間の世界はデリケートだからな」うんうん

粋「なんでんな事は知ってんだよ兄貴。」



彬羽「で、お前は何して嫁を怒らせた?」



男「やっぱ生身の方がいいなーって 家に女連れ込みました。」いやーあっはっは。

一同「大人しく呪われとけ。」ドン引きっ



男「いやだって!いくら甲斐甲斐しくても化物女とか嫌でしょ!?」


テオドール「あの、今物凄いダンサブルに地雷の上でタップダンス踊ってらっしゃいますよ?」

男「へ?」



彬羽「キレるなよ?」


粋「そこまでなんねーよ。気分悪いけど」けっ

白「そう言うの人それぞれだと思うけどな」ほー。

※兄弟は化物と人間のハーフです。




彬羽「と言う事は
あの行列は 此処に向かう花嫁行列か
コイツの命を取って改めて夫婦にと言う所か」ふむ。

男「Σえ」

粋「Σえ。あれ花嫁行列だったの!?」えええっ

白「俺が頭蓋骨カパカパしてたの アレ白無垢着てたろ?」うん。

粋「Σいや花嫁に何してんだよ!!」ひいっ

白「なんか肩こってそうだなと思って 軽いお茶目だ。」どやっ

テオドール「筋肉無いのに肩凝れるので御座いますか?」




ぎい。

がしゃんっ!


男「Σ!!」びくうっ


骸骨がしゃがしゃっ


粋・テオドール「Σひいっ!」びくっ



白「お。お迎えだ」

男「Σお迎えだじゃないでしょ!
ここまで聞いたからには助けてくれるんですよね!?」

白「ん?俺そんな事言ってないぞ」しれっ

男「Σえええええ!?」がーん。



彬羽「まあ待て

お前等のムカつくと言うか こんなの助けたく無い気は解るが
化物が人間に一方的に危害加えるのはダメなんじゃなかったか?大将。」ちらっ

白「またそれか」むっ

彬羽「お前が決めたんだろが
頭が適当な事してると誰も着いて来ねえぞ」


白「めんどいな」頭かきかきっ



粋「兄貴 本っ当に野次馬したいだけだったんだな」物陰っ

テオドール「この方に御座いますし」同じく物陰っ




白「仕方無いな。
なあ お前等

骸骨「ひ、姫様の」がしゃがしゃっ

白「ん?」





骸骨姫「あなた。 わらわの元から持ち去ったお婆様の形見。返してくださいましっ」がしゃんっ

一同「おい。」


男「Σしょうがなかったんだ!博打でスッテンテンだったし取立て怖いし
もう売り飛ばしてしまって何処に有るのか解らんのだああっ!」ひいいっ



骸骨姫「そうですか。ならばやはり夫婦となって妻の物は夫の物 としませんとお婆様に申し訳がたちません。
その首吹っ飛ばして晴れて夫婦となりましょう」がしゃがしゃっ

男「Σ嫌だあああ!」うぎゃああっ




テオドール「あの、これホントに夫の方の味方するので御座いますか?」冷や汗っ

白「んー。喧嘩ってのは片方の話だけ聞いても良い事無いしな

他に何か無かったか?」ひょこっ

男「Σあ ちょっ!」



骸骨姫「まず新婚3日目で生身の女が良いと 私の前に人の女を連れ込んで来ました
思わず脅かし追っ払った私も大概ですがアレはどうかと思います。
次に普段は生きた女と変わらぬ姿に化けておるのですが ご飯が不味い骨のダシが出ている等罵詈雑言。 騙しやがって骨女めが ゴツゴツして固いんだよ等 体型へのハラスメント
その他殴る蹴るで即骨なんで ほらここヒビとか

あ、なんか話したらスッキリした」ふうっ


テオドール「そんなドクズの何処が良いので御座いますか?」うっわー

骸骨姫「Σえ。

あ、その。 やはり情熱的に口説かれたからと言うかっそれはそのっ」がっしゃがしゃっ



彬羽「骨とは言え箱入り娘 か。」困惑っ

粋「それ言うなら骨壺娘じゃね?
だから変な男に引っ掛かっちまったんだなあ」うわあ



白「・・えーと

帰るか。」うん。

男「Σいや話聞いてました!?
コイツ等私の首跳ねるって言ってんですよ!」

白「これ 生きてる人間相手でも場合によっちゃ死罪じゃ無いのか?」

男「Σう」


テオドール「で、御座いますねえ
良い所のお嬢様の用で御座いますし、それを誑かして形見の品を売り払うとか 完全に犯罪に御座います」

男「あ、いや
私は犯罪とかそんなつもりは
化物に化かされただけでそのっ」あたふたっ





御付きの骸骨「巻き込んじゃって申し訳ない
あ、こっちから帰れますんで」ぺこぺこがしゃがしゃっ

男「Σあああちょっと!
うわ本気で見捨てるで Σぎゃあああ!!」

骸骨姫「さあさ。わらわと共に参りましょう」ほほほほほっ





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粋「Σうお。なんか絶叫聞こえた様なっ!」ひいっ

テオドール「個人的にはザマミロに御座いますが
よろしかったので?」

白「問題。 先に手を出したのはどっちだ?」

テオドール「あー 違う意味でに御座いますがね」成る程。

白「だから俺の責任じゃないし知らない」しれっ

粋「そう言えばそうなんだけどさ。
だからってあの夫婦 アレで上手く行くとも思えねえけどなあ」うーん。

白「そこまで知らない
面倒見切れないし」すたすたっ

彬羽「だな。
本来化物は好き放題生きてるもんだしな」

白「けど小腹空いたな
よし、帰ったら蕎麦だ蕎麦 ザルな」よしゃ

彬羽「丑三つ時にビッタンビッタン蕎麦打てってのか?」怪訝っ

テオドール「あーカツオ出汁 よろしゅう御座いますねえ」わーい。




粋(俺 こっち側に居て良いのかなあ) 何となく不安っ


彬羽「どうした? 鴨出汁のが良いのか?」ん?

粋「Σあ、そっちがの良い!!」おおおっ






テオドール「なんだかんだで作って下さるからさすがに御座います」にこにこっ

白「妖怪ソバ叩き とか怪談生まれそうだよな」うん。






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