小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

5月3日






江戸城






粋「で、またこの流れかよ」襖へばりつきっ

テオドール「で、御座いますねえ」襖の隙間から覗きっ




武家「いやー あほ乱世が嘘の様な江戸の賑わい。
天海殿の御働きには まこと目を見張りますなあ」あっはっは

魄哉「いえいえ これも皆、民の力あってこそ
こちらは上からあれやこれや指示するしか出来ませんので」営業スマイルっ





家康「ここで あなた方のおかげとか言わないのが天海だよねえ」隣の部屋でこそこそっ

彬羽「あいつはその辺清々しい程おべっか使わねえな
で 何故にお前は変装してるんだ?」


家康「いや、万が一見付かって万が一私ってバレたら色々ヤバイかなって」つけ髭っ

テオドール「本来の御城主なのに 万が一なので御座いますね」

家康「影薄いから見付かっても大丈夫だとは思うけどね 念の為だよ」うーん。

粋「皆軍師が派手過ぎて記憶かすんでんだろなあ

で、なんで兄貴はあっちの部屋に居んの?」

テオドール「しかも本日髪の毛黒いので御座いますが」ちらっ

彬羽「色々あってな。気にするな」きっぱり



家康「ちょっとね ゴタゴタ揉み消すのに一役買って貰いたくって
お手伝いお願いしただけだから そんな心配しなくて良いよ?」

粋「それはさっきも聞いたっての
具体的に何なんだよ?」

テオドール「私達に言えない様な事を 我が主にさせる気に御座いますか?」怪訝っ

家康「うわあの子の事になると2人共怖っ
ほら、そこは ちゃんと彬羽の許可取ってるし」ほらほらっ


彬羽「そう言う事だ
あいつも馬鹿じゃな・・ 馬鹿だがここで何ぞやらかす程じゃないだろしな」

粋「んー。 まあカラスがそう言うならよ」むう

テオドール「危ない事で無いなら良う御座いますが」しぶしぶっ



家康「ねえ 何なのその信頼の差。」





テオドール「真面目度の差で御座いましょうか?」うーん。

家康「Σひゃっほう そりゃ勝てない!」がーん。

粋「自覚してんのかよ」



彬羽「ん?始まったか」

テオドール「? 何がで御座いますか?」再び覗きっ








武家「えー と言う事でござってな

良き料理人を見つけましてな。地元の名産品をふんだんに使った料理を用意しましてな

天海殿には 是非ともこちらで鋭気を養って頂きたく」はっはっは

魄哉「これはこれは御丁寧に
御気遣いいたみいります」深々っ


武家「僧籍の方とは存じておりますが あくまで身分を隠される為の肩書きと聞いておりますゆえ
本日は生臭物も遠慮無く堪能くだされ」手ばんぱんっ



魄哉「あっ その前にひとつ」

武家「Σはいっ!?」ぎくううっ




一同(あー 一服盛られてんなこりゃ) 察し。




魄哉「申し訳ありませんが その、徳川の軍師になって数年。いい加減いいトシなんで最近体が弱くなって来ておりまして」ため息っ

武家(Σいや見た目全く変わってませんけど!?)



魄哉「剛健なお武家様には笑われてしまうかもしれませんが
恥ずかしながらいわゆるアレルギー体質になってしまいまして」



家康(さすがと言うか
よくぬけぬけと言えるなあ。)わお

粋(ぎっくり腰と肩こり老眼以外は俺等の比じゃねえ元気さなのにな)うっわー

テオドール(そもそもトシ取るとアレルギーになる物なので御座いましょうか?)はて。



武家「えっと。それはつまり体質的に無理な食物が有ると言う事で?

それでしたら駄目な物は無理はなさらず 避けて頂いて問題ありませんわ。
お気にめさるな」冷や汗ふきふきっ

魄哉「あー いえそうではなく





粋「・・まさか兄貴 この為?」ええー。

家康「さすが無理があるんじゃと言ったんだけどねえ」

テオドール「無理と言うか 見た目の国籍が」苦笑。






武家「え、えっと
意外と大きな息子さんがおられるのですな」ひきつりっ

魄哉「ええまあ。 趣味の最新のアンチエイジング頑張ってるだけでクソジジイなもので
そらこれくらいの息子の1人2人」にーっこり。

武家「Σ最近の技術凄い!」えええっ




一同(Σ相手が馬鹿で良かった!!)おおっ


彬羽(歴戦の軍師の割に毎度毎度力押しだな。)うーん。






武家のお供( 殿!お気にめされるな
今回盛ったは遅効性の毒。 そもそも我等の仕業と解らぬ様細工をしてござる
ゆえに毒味を立てたとて すぐには効きませぬ!)ひそひそっ

武家(Σおお そうじゃった!
よし!ならば親子共々あの世に送ってやるわ

国の為に尽力したワシ等より平民優遇しおってこんの若作りクソボウズが!!)くわっ





魄哉「どうしました?」冷ややかな目っ

武家・お供「Σいえ何も!?」ぎくっ



女中「前失礼致しま あれ? Σん!?」

白「へ?」





彬羽「Σまずい!あの女中はあいつと面識有ったはず!」はっ

粋「Σいや何でわざわざ黒髪で座らせたんだよ!
女中の姉ちゃん混乱してんだろ!」ひいっ


家康「いやその 白髪だと変に目立って親子ですアピ難しいかなって。」

テオドール「そもそも魄哉さんが金髪なので御座いますが」

家康「黒髪なら ハーフですお母さん似ですでゴリ押せるでしょ」

粋「Σなんで終始ゴリ押し前提なんだよ!!」





白「あ、双子だ。
いつも弟が世話になってるな」しれっ

女中「Σあ!成る程」はっ



彬羽「まさかの納得させたぞ。」うわ

一同(Σその家族個性キツすぎだろ!!)ひいっ


女中(天海様ってお子さんホントに沢山居るなあ) すたすた退場っ




武家「え、えっと
何か解りませんが まあその御子息。安心して特とご賞味有れ」冷や汗っ






テオドール「Σえ。大丈夫なので御座いますか!?」

家康「まあ天海のストップかかってないし」うん。

粋「Σあ。パクッと行っちゃった!」ひいっ






武家(よし! そこで何事も無しと言え!)ぐぐっ




魄哉「Σあっ」

武家「Σうおお!?」びくっ


魄哉「申し訳ありません! 先程機密文書を出しっぱにしてしまったかも
いや トシは取りたく無いですねえ
無粋で申し訳ありません すぐ戻りますので!」すすっ

武家の家臣「Σえ、ちょっ!!」えええっ




白「・・・。」もぐもぐっ



武家武家の家臣(Σ早く戻って来てええええ!)冷や汗どばあっ






【数分経過。】





白「・・何か芸するべきかな?」もぐもぐ。

武家の家臣「Σいいいえ 御気遣い無く!!」

白「いやでも。客の前で無言で食べるの何か悪いし」

武家「ききき気になさらずお役目を全うして下されっ

いやー父君はまっとこ多忙にござるなあっ! 」






【更に数分経過。】








白「足痺れた」ふう。

武家「・・足だけ?」じっ

白「ん?」

武家の家臣「Σななな何でもござらん!!」


一同(なんか 可哀想になってきた) うわあ。





粋「Σあ。そっか
兄貴って毒効かねえんだっけ!」はっ

彬羽「今か。」

テオドール「Σえ。めちゃめちゃお腹が頑丈とは聞いておりましたが」えええっ

家康「そうそう。悪さしそうな物は体内に入った時点で本人の自覚も無しで焼き尽くされちゃうんだよね
だからあの子には毒も効かないし 使い方によっては毒になる薬も効かない。

頑丈てか特異体質なんだよねえ」


粋「いやでも。 それと解ってても毒って解ってて食えるか?」ええー

テオドール「私なら無理に御座います」うーん。

彬羽「あの馬鹿 食い意地がはってるからな」

家康「見た目美味しそうではあったよね」うん。

粋・テオドール(いくら美味しそうでも絶対真似出来ないっ!) ひいいっ







家康「で、天海帰って来ないけど この後どうすんの?」

彬羽「ん?手前聞いてないのか?」

家康「話の途中で腹痛起こして厠入ってたから知らないね」うん。

粋「お前は何に当たってんだよ」

家康「寝相の悪さ?」

テオドール「腹巻きして下さいませ」




彬羽「ま、知らんなら見てりゃ解る」

家康「えー。なんでもったいつけるの?」


粋「見てればねえ。」再び覗きっ

テオドール「? どう収拾をつけるので御座いましょう」はて。





粋・テオドール(あ、すっごい辛そう)



武家(おおおおい!あれってどれくらいで効くんだっけ?)冷や汗だばだばっ

武家の家臣(そそそそろそろのはずっ 個人差はあれど結構ポクッと行くはずに御座います

まずい!天海が戻ってくる前にこやつに倒れられてはっ)冷や汗どばあっ


白「汗凄いな
暑いのか?」

武家「Σいいいいえ!その様な事はっ」

白「風通しよくして貰おうか?
えっと誰か居「Σ拙者冷えのぼせ体質で足は冷たいのであまり冷えると余計に
御気遣い要りませぬーー!!」ひいいっ

白「そうなのか?」

武家の家臣「そうですそうです!
いやもう めちゃ快適なんで人とか呼ばないで大丈夫にござる!」



白「ふーん。そうか

Σん」ぴくっ

武家・家臣(Σヤバいか!?)ぎくうっ






白「まだ5月なのにアゲハ蝶だ。」指差しっ

武家「Σ今年は異常気象にござるからなあっ!!
」心臓ばくばくっ

白「そうか。蝶も季節間違えたんだな

あれ?」

武家「Σはい!?」びくっ

白「2人共畳べちゃべちゃだな?
あ、厠の場所解らなかっ「Σ漏らしとらんわあああ!!!」






武家(いかん! こっちの体がもたんわ
なぜにコイツ平気なんじゃい!)ひそひそっ

武家の家臣(まさか何かの手違いで 普通に毒抜き飯食わせただけだったりとか?)ひそひそっ

武家(Σなんで毒抜き用意しとんじゃ!)えええっ

武家の家臣(Σ私は用意しておりません!
しかしこの感じは マジで効いて無いぽいですし
ひょっとしたら何か別の料理と取り違えて持ってきたとか?
だあもうっ確認して参りますっ)くわっ


武家(Σうお!行った!!) ひいっ





武家の家臣「あの、顔色があまり良くない様にございますが

その、何処か具合等悪い所は?」おそるおそるっ


白「無い。」 きっっぱり。

武家「Σほら見ろ! お前なんかミスったろ!!」

武家の家臣「Σ嘘おおお!!」うわああっ



一同(可哀想に) あーあ。




白「ミスって 何がだ?」


武家「Σへ、いやそのっ」はっ

武家の家臣「あ!ほら もっと他にも地元の名産有ったのにあっちのが良かったかなー?とか
今更にござる」わはははっ


白「ん?いや充分旨いけどな

ほら、自分で確かめてみればいい
やっぱ1人じゃ気まずいし。」にっこり。

一同「Σえ」



武家「左様にござるな。
堅苦しい真似をしてしまい 御子息にはかえって無礼であったやもしれませぬな。では失礼して
(どうせ毒入ってないし良いか)」精神的疲労ずしっ




白「飲み込んだな?」

武家「Σへ?」




襖すぱーん!


魄哉「おやおやお待たせして申し訳ありません

さて、では何を飲ませるつもりだったのか 早めに白状した方が身のためですよー?」

武家「Σへ?な、何を「あ、ちなみにその子は毒効かない特異体質です
で、今そちらが食したのは間違いなく貴方達が御用意された物ですよ

2つの意味で吐かないと命が無い。と言うかもう吐いても無駄ですかねえ?」


武家の家臣「Σ計られたああー!!!」ひいいっ




魄哉「で、どうします?
何しようとしてたか解れば お抱えの医者が解毒薬くらい即作れるのですがね?」ぶーくすくすっ

武家「Σこんの卑怯ものめがああっ!!」どちくしょおおおっ








彬羽「と、言う事で
絶対仕掛けてくるだろうと予測出来る程にはムカついてる奴なんで 確実にお縄にしたかったんだそうだ」

粋「何が怖えって
普段は表情筋死んでる癖に 笑顔で毒食わせる兄貴が怖えええっ」

テオドール「お役者ってここまでなので御座いますねえ」冷や汗っ

家康「いや あの子が特殊なだけでしょ。
普通のお役者に怒られるよ?」





白「さて、食べたし帰るか」満足っ

彬羽「お前 ほんっと何とも無いんだな」引。

白「毒にやられた方が良かったのか?」むう



家康「念の為の待機要らなかったねえ」苦笑。



テオドール「Σあ!万一毒の被害に遭われた場合の為に隣室に!? さすがで御座いますっ

ん?でも 彬羽さん医療の知識はお有りで?」おや

彬羽「ん? 食った物が悪いなら腹殴れば吐くだろ」真顔。

粋「Σお前なんでそういう所だけ無茶苦茶なの!?」ひいっ


白「うん。毒よりお前が怖い。」






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