ぼぉおおおぉおーー
蒼月「下手。」ずばっ
粋「Σやっぱり!?」がーん。
家康「何なに?今の間抜けな音」ひょこっ
蒼月「ね?間抜けに間抜け言われてんじゃん?」
粋「・・だな。ホント才能ねえわ」どよーん
家康「才能って あ、尺八?
成る程ね 役者として一人前目指すにも芸のひとつふたつ身に付けとかなきゃ難しいもんねー」ほうほう
粋「Σ無駄に理解が早え!」
蒼月「今さらだろ。常識でしょそんなの」
粋「Σえええ!?」
襖すぱーん!!
家康「お。挿音おかえり 夜勤おつかれー」へらっ
粋「Σぎゃっ!ごめん煩かった!?」ひいいっ
挿音「・・親父は?」
家康「へ?同じくさっき江戸城から帰って仮眠とるって」
挿音「あー 悪いけど起こして来てくんね?」
魄哉「起きてますよー どうしたんですか」寝癖っ
挿音「件が出た。」冷や汗だらだらっ
一同「Σげ」
粋「え? 件って何?」えっえっ?
挿音「事が事だし化け物側にゃ知らせ済みだ
まだ何も起きちゃ居ねえ様だがよ」
魄哉「うわ。この忙しい時期に」数珠じゃらじゃら
粋「あの、いつもなら誰か解説くれるんだけど」困惑っ
シロ「彬羽によると災害の予言をする妖怪だそうな
国家存亡レベルのな。」
粋「Σえ!?」
九尾「何が起きるか解らんが人手は多い方が良かろうな
しゃーない特例で運んでやるわ そら乗れ」
粋「Σいや乗れって 俺等役にたつのそれ!?」えええっ
九尾「じゃかあしわ 行って役に立つなら動きゃ良かろう! だあ面倒いっ」きいいっ
かぷっ
粋「Σぎゃー!捕まった!!」じたばっ
テオドール「こういう時はごちゃごちゃ言うより行動!臨機応変に御座います!!」ちゃっかり九尾の背中っ
シロ(こやつはどの状況でどう動く気なのだろう)うーん。
間。
【山の中】
家康「Σだっ!枝当たった!!」あだだだっ
テオドール「他の皆さんも連れて来た方が良かったのでは?」
九尾「んな一気に運べるか! 必要ならだーりんがマヨイガ使って回収しに行くわ だあ重いっ」どどどどどどっ
魄哉「マヨイガは場所特定出来ないと上手く繋がりませんしね
場合によっては僕を江戸城に放り込んで貰って」えーと
粋「つーか 合流したばっかなのに兄貴もカラスも見えねえし 足速っ!」
魄哉「あの2人は山育ちですからねえ」
家康「あー 彬羽も京とは言え鞍馬山かあ
挿音も案内なのに先行っちゃったし 皆パニックだねえ」あちゃー。
魄哉「すみません。気が急いてるので僕も先に行きます 」
一同「Σえ」
ひょいっ
たたたたたっ!
九尾「Σ狐より速い坊主てなんじゃい!!」
家康「Σ天海 んな無茶したら3日後に足腰がっ」ひいいっ
魄哉「予言の内容によっては明日もあるか解りませんよ ではお先に」たたっ
粋「んなヤバいのか」背筋ぞわっ
テオドール「Σあ!森抜けますよ!!」
九尾「生まれたての牛の匂い そこじゃな」くんっ
粋「Σへ?牛!?」
間。
件「えー という事で
予言しますのでしっかり聞いて下さい
1度しか言いません 私死ぬんで」淡々っ
粋「いや マジで何これ」
魄哉「なんか 思ってたのと違いますね」うーん。
件「件は生まれたら予言して命を終える生き物です
よって 生まれる前から色々覚悟してないとやってられません」遠い目。
家康「どういうシステムでそうなってるのコレ?」えーと。
彬羽「ワラジに手足生えて走り回るのが化け物の普通だ
その辺は考えても無駄だな」
ワラジの付喪神「・・」ぺこり。
挿音「なんでこいつ連れて来てんだよ」
件「んじゃそろそろ行きます
よし この世を謳歌した。大丈夫 もう充分」ふっ
一同(Σ凄い聞き辛い!!)
件「では参ります
明日の朝
白「あ、ちょっとたんま」
件「Σ覚悟決めてんのに たんま!?」えええっ
家康「Σごめんね こういう子で!」
白「そもそも件って何だ?」
件「Σ今更そこ!?」
彬羽「だから予言してくたばる前提で生まれて来る妖怪だ さっき説明したろが」ため息
白「なんで牛の体に人の顔なんだ?」
彬羽「牛の舌だと上手く発音出来ないからじゃねえのか?」
白「じゃなんでわざわざ牛から生まれるんだ?」
彬羽「知らん 普通に人から生まれたらただの預言者だからじゃないのか?」
件「あの こっちも命かかってるんでタイミングというか
結構精神的に来る物があるんで 真面目に聞いて欲しいんですけど」
魄哉「すみません あの子あれで大真面目なんです。」
件「・・はあ。そりゃ大変ですね」あちゃー
家康「生後数時間に同情されちゃったね」わお。
件「あの、さほど説明する事も無い生物ですし
ホント予言するだけなんで 悩む事無いです
むしろさっさと楽にして下さい」
粋「あの こういうのも何だけど命大事にしろよ?」
件「私みたいな生き物にその手の言葉は残酷ですよ?」全てを諦めた目っ
テオドール「解りました。
後の処理はお任せ下さい 骨についた肉の一片まで無駄なく美味しく調理させて頂きますっ!」腕まくりっ
魄哉「すみませんすみません!この子日本の文化よく解ってなくて!!」
家康「Σこの子連れて来たの誰!?」ひいいっ
挿音「件ドン引きしてんじゃねーか」うわ。
テオドール「あ、解体は出来ませんのでそちらよろしくお願い致します」
彬羽「九尾 すまんがこいつ持って帰ってくれ」
テオドール「Σえええ!?」がーん。
九尾「しつこく恨まれそうで嫌じゃのー」えー
件「あの んじゃそろそろ予言を」
挿音「おう。色々すまねえな」
件「いやもうキッツいんでサクッと楽になりたい
では 参りま
白「尺八。」びしっ
粋「Σはいっ!」
脊髄反射ぶおおおおぉおおおぉおおおっ
挿音「Σさっきから何やってんだこんガキゃああ!!」イラッ
件「ちっ力抜けるっ」へたっ
魄哉「それは生まれたての子牛だからじゃ無いですかね?」
九尾「なんで尺八なんぞ持っとるんじゃ?」あれ?
粋「Σ強制連行されたから 置いてくる暇無かったんだけど!?」
家康「あの 白?」
白「予言要らないから良い」きっぱり。
件「Σいやあの 私の生まれて来た意味!!」
白「生まれたてで意味とか解るのか凄いな
人間なんて自分探しの意味とかって無駄に旅に出たりするのに。」へー
粋「いや居るけどさ そういう奴等」
魄哉「つまりは 予言したら死んじゃうので予言の邪魔してます? 」
白「そもそも要らないし
多分 あそこの山の噴火だろ?」しれっ
件「Σちょっと人の命懸けの仕事取らないで!!」ひいいっ
テオドール「噴火って あの山に御座いますか?」ええー。
家康「あー噴火は思ってる数倍ヤバいんだよねえ
噴火その物はもちろん 灰で日差し遮られたら作物終わるし。そりゃ大災害だあ 」うわ
魄哉「ちなみに過去にそれによって皆飢えて戦に発展した例もありますよ」
粋「Σええええええ!」ひいいっ
件「あのあのっ!今からでも遅くないんで詳細を マジでヤバいんですってば!!」おろおろっ
白「要らないって しつこいな」むう
件「Σ何意地はってんの!? 国滅ぶよ!! 」きいいっ
シロ「図面どおり地下の溶岩帯を凍結させたが 以上で良いのか?」すたっ
彬羽「だな。とりあえずは噴火の心配無しだな」うむ
件「Σ仕事はやっ!!」
テオドール「そう言えば いつの間にかおられませんでしたね」わお。
シロ「身支度途中で彬羽から伝書カラスが来てな」ふふんっ
挿音「凍らせるってそりゃ春になったらヤベえんじゃねえの?」
彬羽「言い出しっぺが炎の専門家だが?」
白「任せろ」えへん。
挿音「あーこりゃ噴火のエネルギーくらい吸い尽くすわ」ああうん。
件「Σえ!ちょっと なんで件より先に把握してるんですか!?」えええっ
彬羽「いや正確にはお前が生まれたんで何ぞ起こるだろうなと
其処らの暇してる妖怪達から情報集めて辿り着いたって話だ」
件「Σ行動速あっ!」
テオドール「日本の皆さんは噴火の前兆とか解るので御座いますか」へー。
白「ん?いや 納豆小僧が最近この辺の納豆の腐り方がなんか変とか言い出して」えーと。
件「・・納豆て。」どよーん。
家康「成る程 小さい妖怪がちょろちょろしてるのはそう言う事かあ」わお。
草履の付喪神こくこく頷きっ
白「じゃ仕上げ行って来る」すたすた。
テオドール「お気をつけてー」ハンカチふりふりっ
粋「えーと。要するに兄貴なんかムカついたって事?」
彬羽「だな。
使命やら宿命やら流されて悲観してる奴はどうも最大級の地雷らしい」うむ
シロ「確かに 俺もそれでボコられて今ここにおるしな」うむ。
件「あの つまりはあの人のワガママでこの国未曾有の災害に遭っちゃう危機だったんでは?」
彬羽「残念ながらいつもの事だ」きっぱり。
テオドール「元から破壊神に御座いますしね あの方」
件「Σこの国大丈夫!?」ひいいっ
どむっ!!
件「Σ!?」びくっ
ずずーんっ
家康「若干噴煙上がったけど大丈夫?」
魄哉「相変わらず手荒いですねえ。
しばらく観測続けておきます」苦笑
彬羽「ま、そう言う事だ
お前もこれで肩の荷降りたろ 後は好きに生きろ」
件「Σいやいきなり先の事考えろって どうしたら!?」えええっ
家康「あーまあ確かに目立つ容姿では有るし」
魄哉「普通に考えたら 他の件とか居ないでしょうしねえ」ふむ。
粋「ぶおおおおぉおおお」尺八っ
件「ひょっとして元気付けてるつもりで?」複雑っ
挿音(夜勤明けだし 帰って寝るかな)キセルすぱーっ
地蔵(閻魔)「何々?件生まれたって聞いたけど 現世大丈夫?」ひょこっ
家康「Σうおおおびっくりしたああ!」びくっ
地蔵(閻魔)「Σ件よりビビるのワシ!!」えええっ
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【閻魔殿】
こーちゃん(閻魔の孫娘)「ぶっは!何これキモっ!!
何々牛頭馬頭の逆バージョン!?」だはははっ
閻魔「あーやっぱ気に入った?こーちゃんキモカワ系好きだからねえ」うんうん。
こーちゃん「え?じゃコレ飼っていいの爺ちゃん!?」きらきらっ
閻魔「いいよー。早めの誕プレだよ」にこにこ
こーちゃん「わーい!じゃ名前何にしよ」わくわくっ
件「Σまさかの永久就職!!」おおおおっ!
粋「閻魔の孫がキワモノ好みで良かったよなー」しみじみ
魄哉「あれ?始めに特大フラグぶった立てたのは君と聞いてますが?」
粋「なんか勝手に盛り上がって勝手にフラれた形になって ギャップ萌えとかこっちに行ったんだよ」けっ
テオドール「残念ながら 性格合わなそうなのでお断り致しました」きっぱり。
家康(あー こりゃキワモノ趣味だ)うんうん。
魄哉「ん?Σ あれ殿っ!人間ここに入ってきちゃダメでしょうが!!」
家康「Σそういやそうだ!! ぎゃー地獄に落ちちゃう!!」ひいいっ
こーちゃん「てかさ。件って オスメス対で生まれんじゃ無かったっけ?」
粋「Σそうなの!?」
閻魔「あ!そう言えば
確か最初に生まれたのが災い予言して
もう1頭が対策予言して力尽きるとか」
テオドール「あ、それでお二人共おられないのでは?」
魄哉「あーでしょうね。」成る程
ーーーーー
九尾「ここじゃ!生まれたての子牛のにおいがあああ!!」ひゃほおおおっ
彬羽「Σ後でなんぞ餌やるから鎮まれ!!」
白「予言要らないぞ
もう阻止したから。」
件(♀)「Σえ。」
こーちゃん「爺ちゃん 件牧場作ろう!」ぐっ
閻魔「あのそれ 子牛生まれる度ド偉い事になるよね?」ええー。