小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

3月2日

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【芝居小屋】




皐月「お客さんやでー」

粋「へ?俺に?」衣装繕いせっせせっせ

皐月「なんや知らんけど急ぎらし
父母「貴方が噂の妖怪バスター様で!!」おおおっ

粋「Σいやあの人違いじゃないっすかね!?」ひいっ




テオドール「あー。なんやかんやの目眩ましに 裏の世界では粋さんがこの辺の怪異片付けてる事になってるとか何とかって話で御座いましたね」ふむ。

皐月「マジか。あいつ霊感ゼロやん」うえー

粋「あー そういやそう言うの前に兄貴が言ってたような
つか裏の世界って何だよ 何処でそんな事になってんだよ」ずーん。



つつじ「あのー すんまへんがそう言うのなら本業はんに頼んだ方がエエんでは?」

父親「頼んだんです!全て匙を投げられたんですっ」

母親「可哀想に もう寝たまま3月。このままではあの子の体が持ちませんわっ」おーいおいおいっ



つつじ「あんさん話だけでも聞いて来たりや」

粋「Σ情に流されんのはっえええ!!」


皐月「エエやん 出番終わったら兄ちゃん向かわせたるし
さすがに舞台に穴は開けられへんけど 雑用見習いなら他におるしな」

粋「Σお前の代わりはなんぼでも居るってか!」

皐月「嫌ならはよ1人前にならんかい」ずばっ

粋「Σド正論っ」ぐはっ



テオドール「と言う事で とりあえず外でお話を。
そこで啜り泣かれると お掃除出来ないので御座います」ホウキとちりとりっ

父母「Σあ すみませんっ」

粋「お前ホント身内以外にキッツイな

あーもう 解ったよ。話だけな はいはい外で聞きましょー!」はいはいはいはいっ




皐月「焚き付けてもたけど 大丈夫やろか?」

テオドール「お話聞いて怪異ぽかったら白さんに、病気ぽいなら飛天さんに相談すれば良いだけに御座いますし」掃き掃除っ

皐月「それもそっか。

ん?どした?」


つつじ「んー。

何も 」






ーーーーーーーーー





父親「これが娘に御座います」

母親「もう三月 眠ったまんま何をしても起きませんで」しくしくっ

粋(Σ問答無用で家まで連れて来られたーーっ!!)



母親「この枯れ木の用な腕。栄養が摂れないので痩せていく一方で。
若い娘だと言うのに 可哀想に」しくしくっ

粋「え。あー こりゃ確かに気の毒な」恐る恐るっ


父親「どうにかなりますでしょうか?」

粋「Σあ そのっ
他にも色々調べてみないと
寝てる他に気になる事とか無いでしょかねっ」

母親「気になる事 ですか」うーん。


粋(俺じゃ何とも言えねーもんよ
出来るもんなら助けてやりてえし この両親もすっげえやつれて気の毒だしなあ) ちらっ

父親「どうされました?」

粋「へ?いや俺もこの辺住んでるけど こんな所に家あったとか知らなかったなーとか」

父親「ああそれですか

この子が小さい頃に家が火事になりましてね
色々と世間様からあれやこれや言われるので 人目につきにくい所に引っ越したのです 」

粋「うっわ。そりゃ大変だ」うええっ

母親「ええ、この子もお前が要ると皆燃えちゃうとか虐められて可哀想に。
そして今度はこんな」さめざめっ


粋「えー。親御さん無事だし家しか燃えてねえじゃんかよ
ひっどい事言うなあ」ええー

父母「Σそ、そうですよねっ」ぎくううっ!


粋「? 顔色悪いんすけど?」

母親「いえそのっ ひょっとして火事の記憶がこの子の中に残っててそれでこんなって事も有るのではと」あたふたっ

粋「Σあ!それ有るかも トラウマって奴!
それならそっちで腕の良い医者知ってるんで相談出来るしっ よっしゃなんかそれっぽいのガンガン出してこう!!」おおっ

父親「そ、そうですねっ」ほっ




粋「じゃ今の所解ってるのは 3ヶ月寝っぱなしと、小さい頃火事に遇ってるのとー」ふむふむっ


父親(おい。どうする?)ひそひそっ
母親(鈍くて助かったけど そろそろやっちゃう?
勘付かれたら面倒だし)ひそひそっ

父親(だな。やるか) ふむ。




粋「えーと。寝っぱなしって事は飯も食ってないんだよな
あれ?人間ってそんなで3ヶ月生きれんのか?」ぶつぶつっ


父親(よし。せえのっ!!) 斧振り上げっ


粋「すんません紙と筆有る?」くるっ


父親「Σおおっとお!危ない大きなムカデがっ!!」
斧どかっ!!

粋「Σぎゃっ!ちょ 斧はやりすぎやりすぎ!!」ひいいっ

母親「すみません 娘が齧られるといけませんのでっ!」 ぺこぺこっ



粋「あ、そゆ事?
つか 斧は娘さんもヤバいんじゃ?」心臓ばくばくっ

父親「そうですね。次からはハエ叩きにします」ぜーぜー

粋「うん。有るならそっちにしよ」



母親「で、紙と筆 でしたっけ?少々お待ち下さい」そそくさっ

粋「あ、そうそう 要点書いときゃ忘れないかなーって
よろしくお願いしまーす」へらっ


父親(おのれ 運の良いっ)くううっ


粋「あ、そうだそうだお父さん」くるっ

父親「Σはい!?」びくっ

粋「ムカデは匂いキツ目の植物が有ると嫌がって入って来ないみたいなんで 縁側とか窓とかに置いとくと良いんじゃないですかね」家庭の知恵っ

父親「Σえ。そうなんですかっ
あー有るかな?ちょっと見てきます」そそくさっ




襖ぱたんっ




母親「何アレ。」

父親「知らん。気付いてて解らんふりをしてるのか 全く気付いてないただのお人好しなのか区別がつかんっ 」冷や汗っ


母親「え?でもかなり強力な妖怪なんだろ?
気付かない方が難しくない?」ええー

父親「妖怪関係なく家の中で斧振り回しとったらその時点で不審がると思うんだがなあ」うーん。

母親「まさか人違いとかじゃないかね?」

父親「どうなんだろうな? 一緒にいた外国産の奴のがまだ強力そうな気も。
いや普通の人間ならそれはそれで良いんじゃ無いのか?」

母親「あーまあね。
今更1匹2匹ね たまには違うの食べたかったけど」あーあ。







粋「(しっかし 霊媒師と思ってるとは言え
若い娘と男2人きりにして置いてくかー
さっきの斧と言い ぶっ飛んだ父ちゃん母ちゃんだな)

ん? あれ うなされてる?」覗きこみっ





ぎしっ。


粋「あ!ちょ親御さんちょっとちょっと
娘さんなんかうなされてる コレひょっとして目覚めんじゃねえ?」ほらほらっ

父親「あー それはないと思います」

粋「へ?」

母親「それに 別にもう起きなくて良いんですよ」

粋「・・Σへ!?」


母親「上を見てご覧なさいな?」指差しっ

粋「え?上って Σひいっ!?」


ミイラ数体ぶらーん。

父親「生かしたまま少しずつ吸うのも良い物ですが
たまには ガッツリ食らいたくなるのですよ!」くわっ


粋「Σえ!?アンタ等何!?何がどうしてっ」えええっ




ごすっ。

白「これくらいでパニックするな。」

粋「Σ登場からの脳天膝蹴りっ!!」ぐはっ


ミイラぼととっ!

粋「Σぎゃー!ぎゃー!!」ひいいっ

白「吊られたまんまじゃ可哀想だろ」

粋「Σだからってぎゃあああっ!!」肩にミイラ乗っかり腰抜けっ



母親「Σなんだお前はっ!」ナタ構えっ

白「保護者だ。」

父親「Σおい 不味いぞこいつはっ!」



粋「Σあ!兄貴 その2人は違うこの子の父ちゃんと母ちゃん
彬羽「まだそんな事言ってるのかお前は。」ため息。

粋「Σへ?」






母親の首どんっ!

ごろごろごろっ


粋「Σぎゃ!
あ、兄貴 なんて事を」あわわわっ



白「テオ 一発シバいとけ。」

テオドール「かしこまりました。
目をお覚まし下さいませっ!」平手打ちぱーん!

粋「Σぶっ!?」


彬羽「よく見ろ 大して動じてねえだろ」ほれ

母親「やだもー。取れちゃった」首よっこらしょ

粋「Σええええええ!?」頬っぺたじんじんっ



テオドール「あ、やはりそうですね。
この方達 とっくに屍に御座います」くんくんっ

白「つつじが屍の臭いがした気がしたって言ってたのホントだったんだな」

彬羽「さすがは元アサシンか。」ふむ。



父親「Σゾロゾロとお前等どうやって
此処には外から入れないはずだ!」斧ぶんぶんっ

テオドール「前に晴明さんが 空間に綻びさえ生じれば手突っ込んでこじ開けるとか申されておりましたので真似致しました」

父親「Σどういう事!?」



白「まさかホントに出来ると思わなかったんだけどな」うーん。

彬羽「手前がやれば出来るとか言えば 結構何でもやってのけるからなコイツ」困惑っ

粋「Σえ。テオが結界破りしたの!?」えええっ

テオドール「いえ。手突っ込んだら抜けなくなりましたので 彬羽さんにこじ開けて頂きました」ふっ



父親「Σ無茶にもほどがある!!」

母親「Σてかこの娘の精神と直結してんのに 鬼かアンタ等!!」きいっ


粋「Σあ。それでうなされてた?ひょっとして」はっ






彬羽「さて、どうする?」

白「このまんまコイツ等火葬にしても良いけど そしたら娘も死んじゃうんだよな?」

粋「Σえ」

テオドール「ゾンビと夢魔とグールの中間の様な妖怪に御座いますね
単に肉を喰らうだけでなく 相手の見たい姿となり夢を見させ続ける事で魂を少しずつ食らうと言う」


粋「え?ちょっと待って
んじゃこの子の両親ってとっくに死んでんの?」

彬羽「そうなるな。
啜ってる内今の餌が弱ったんで 次の餌を漁ってる途中お前に目をつけたんだろ
もっとも 手前は一気に食らうつもりだったみたいだがな
何とも悪趣味な話だ。」ふんっ





粋「ごめん。兄貴 今回俺がやっていい?」髪の毛ざわわっ

白「ん? 」ちょっとびっくり。



テオドール「あれ? 自分の意思で勾陣化しておられませんか?」おや。

彬羽「最近暴走しまくるから お前が代わりに制御してんじゃ無かったのか?」

白「んー。自分で戻るの命危ない時か相当キレてる時だけだからな


そっか あいつは2歳か3歳の時だったっけ」


彬羽「そう言う事か」成る程。





白「じゃ 後はほっといてで大丈夫だな」ふむ。

テオドール「Σえ。娘さんよろしいのですか!?」

彬羽「勾陣の炎はこいつの破壊の炎とは違うからな

全ての呪いを無に還す浄めの炎 だから一部の人間に崇められてんだ。」



白「使い慣れて無いから あんま使うと記憶すっ飛ぶぽいけどな」あーあ。

彬羽・テオドール(Σ結局記憶無くすのか)



白「よし。撤収
巻き込まれたら俺等も危ないぞ」すたたっ

テオドール「彬羽さん 娘さんお願いします!」だっ

彬羽「こら待て手前等 Σ逃げ足速いな!!」わたわたっ






テオドール「おや。偽物達の断末魔が」うっわー

白「じじいの話だと 浄化の分、普通に焼かれるのの万倍熱いらしいぞ」

彬羽「えげつねえな。」引。





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家康「たっだいまー 例のお嬢さん目が覚めたよ。
診療所でしばらく面倒みるってさー」

千様「あらあ。良かったわねー」ほっ





シロ「しかし 爪を隠すと言うか。爪の出し方がド下手と言うか。

相手が化け物かどうかも解らんくらいなら
いっそ人間として暮らさせてやれば良かったのかもしれんな」

白「あいつが自分で選んだんだぞ」しれっ

シロ「へ?」

白「俺が選ばせないとでも思ったのか。」むう

彬羽「まあ魄哉なら古代の禁呪とかで 初期の勾陣くらい封印出来ただろうしな
後は俺等に関わらなきゃ普通に人間として生きれたろ
この場合 化け物全ての記憶も消す事になってただろがな。」茶ずずーっ

テオドール「へ?え でもそれでは
もし粋さんがそちらを選んでいたら 御兄弟そこで別離では御座いませんかっ!?」ええっ


白「それはそれで良いんじゃないか?
どっかで元気で生きてりゃ それで問題ないだろ」しれっ


テオドール「私、一生下僕として懸命に仕えさせて頂きますっ」土下座っ

白 「なんでそうなった。」引。






粋「あのさ、なんで俺火傷してんの? 兄貴なんかした?」困惑っ

白「俺はやってない」

千様「2人ともいい子ねー。」よしよしよしよしっ

粋「あの、姉ちゃんはなんで泣いてんの?」困惑っ






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