小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

2月11日

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江戸城




魄哉「アンタ等 暇なら他所でたむろってくれませんかね」怪訝っ


晴明「若い者とは話が合わんでな」その辺の引き出しあさりっ

家康「いやー 朝御飯食べた後放ったらかしてたら茶碗割っちゃって 彬羽に怒られるから帰りづらくて」あははー。

魄哉「そもそもカッピカピになるから水に浸けろと言われてるでしょうが」

晴明「躾のなっとらん将軍じゃのー 」がさごそっ

魄哉「そう言う御自分はさっきから何をしてるんですか?」
晴明「来客だと言うのに茶菓子も出んのでの
何か無いかとあさっておった。」真顔

魄哉「職場の箪笥の中に茶菓子隠してると思われてんですか僕は」


晴明「お前の所の白いのは 箪笥の中に常に菓子隠しとるぞ」しれっ

魄哉「Σ白君何やってんですか!」

家康「ご飯前にお菓子食べると怒られるからだろうねー」ああうん

魄哉「Σ冬場はまだ良いですけど 春になったら箪笥に虫とかっ!」ひいいっ

晴明「いやそれまでに見付かって カラスに没収食らうじゃろ」

家康「ここだけ聞くと 何歳児の話?だねえ」うーん。



魄哉「・・ まあ あの子基本動物ですし
冬場は餌溜め込むんですよきっと

なんかテンション下がりましたし ちょっと休憩しますか」ため息

晴明「なんじゃお前 仕事中であったのか?」

魄哉「此処『職場』ですから」イラッ




家康「え、えーと私お茶でも淹れて来ようかなー」たじっ


魄哉「だいたいこの狭い部屋に何でおっさん2人乱入して来て寛いでんですか! むさ苦しいっ加齢臭しそうなんでやめてくれません!?」

晴明「何を言う 年齢的にはお前が1番上で有ろ?
だいたい私はちゃんと香を炊いておるのでそげな臭いするわけが
魄哉「アンタ香炊きすぎなんですよ
狐臭さ隠すの必死ですね」けっ



晴明「ほう、鳥のが臭うと思うがのう?」ムカッ

魄哉「生物的に考えて狐の方が絶対キツいんですよね。
そんな事も解らないとは ひょっとして耄碌しました?」ふふんっ



蒼月「仕事手伝えって言われてたんだけど 何これ。」うわ

家康「あ。今日忙しかったんだやっぱ
それでピリピリしてんだね」納得。

蒼月「なんか知らないけど あの人のおかげで俺が怒られるの少なくなって助かるよ」うん。



魄哉「あっちもこっちも相手するの大変ですからね」けっ。

蒼月「Σぎゃ 聞こえてた!!」ひいっ

魄哉「君に関しては石燕さんに監視頼んだら 結構色々事前に防げるの解ったんで任せてます」

蒼月「Σ最近のあれやこれやそう言う事かよ!!」

魄哉「石燕さんは怖いですよー?
隠そうとしてる物程よく見える目を御持ちですからねー?」ぷーくすくすっ

蒼月「Σやめてよあいつマジで洒落になんないんだから!」ひいいっ



晴明「相手構わず八つ当たりすな 性悪ジジイめが」きっぱり

魄哉「喧しい 性悪狐。」



蒼月(Σこの古狐 暇潰しにわざとジジイ怒らせてる
うっわ 俺よりタチ悪っ!)



魄哉「何なんですか?そんなに遊んで欲しいんですか?
そこまで言うなら御希望に答えて差し上げましょうか!」数珠じゃらららっ

晴明「わはははそう来んとなっ!」御札ばらららっ

家康「Σ天海落ち着いて殿中!殿中だからっ「喧しい!僕が法です!!」

がいんっ!



挿音「おー 悪い。
俺も休憩しようとしたんだけどよ。 湯呑みと茶瓶うっかり落としちまったわ。いやうっかりうっかり」天井からぶらんっ


家康「あ、うん。
忍のお勤めご苦労様」

蒼月「忍びって 天井裏でんな寛いでんのかよ」



晴明「ゆ、湯呑みでかくないか。」頭ずきずきっ

魄哉「茶瓶食らうよりマシですよ」頭かかえっ






女中「あのー 何か凄い音がしましたが

あれ? 天海さんの親戚の方々いらっしゃってたんですか」

家康「あ、どもー 天海様のいとこの兄の息子のはとこの叔父でーす。」へらっ

晴明「では私は 曾祖父の兄弟の息子の養子の実の親の腹違いの八番目の弟で」

女中「Σへ? えーっと」指折り数え混乱っ



魄哉「そこ、遊ぶな。」

晴明「冗談じゃ冗談 おいやめろ。首に何か冷たい物が当たっておるぞ」



女中(Σ天海様が怖い)ひいっ

家康(Σ私は前から言ってるからセーフだよね!?) びくびくっ




蒼月「何でも良いけどさ
人呼びつけたんなら早く手伝うの出してくれる? 早く片づけて帰りたいんだよねー

てか此処住み込みだよね? お仕事終わってから遊びに行っちゃおうかなー?部屋は何処?」

女中「Σえ」



魄哉「終われるもんなら終わらせてみて下さい」書類どすんっ

蒼月「Σぎゃっ何この量!なんでこんな溜め込んでるの!?」ひいいっ

魄哉「そこの狐に聞いて下さい」けっ。



女中(助かった。)ほっ




家康「Σ何あれ! 1日分の量じゃないでしょ」うっわ

晴明「いや咄嗟にな 真っ昼間から婦女子に無体な真似するのは好かんのでな。
いわゆる葉っぱをドロンっと「Σ気が合うのか合わないのかどっちなの!?」



蒼月「あああ絶対終わらないっ!
何見てんだよ ジジイもやれよアンタの仕事だろ!」きいいっ

魄哉「はいはい。休憩してから頑張りますよー
ぶっ続けでやると効率落ちますし」



家康「さて、んじゃ今度こそお茶淹れて来るかね」よいせっと

晴明「ん? 御主がいれるのか?」

家康「そそ。御茶酌みと肩揉みだけは褒められるからねー」あははっ



晴明(こやつ。将軍を何だと思っとるのだ)うっわ。

魄哉「何ですか?」しれっ



家康「はい。んじゃ皆御番茶で良いのー?」

蒼月「玉露っ!」書類書き書きっ
魄哉「梅昆布茶で。」
晴明「粉末茶で頼む」ちゃっかり。



女中「私もいつものほうじ茶お願いして良いですかー?」はいはいっ

一同(Σいつもの!?)


家康「良いよー。 喜んで飲んでくれるの嬉しいねえ」あははっ

女中「わーい。天海様のえーと親戚さんの淹れてくれる御茶ホント美味しいんですー」にこにこっ



晴明「随分腰の低い殿じゃの」ひそっ

魄哉「今のは僕もビビりました」うわあ。


蒼月「つーか 思うんだけど
親戚じゃなくて遠縁だし アンタに至っては他人だよね?さっきの」

晴明「バレたか」ちっ





家康「はいはーい。んじゃ皆ちょっとお待ちを
Σあ。」ぴたっ



晴明「上の奴は勝手にやっとる様だし後で良いと思うぞ」

家康「あーそれもそうだね。
では ちょこっと待っててね」すたたたっ

女中「上?」天井じーっ

魄哉「気にしちゃ駄目です」





間。





蒼月(女中ちゃん居るからジジイ共が喧嘩しないのは良いけど)ちらつ


女中「えー 職場の元同僚なんですかー!」えええっ

晴明「うむ。私が先輩でな こやつが後から入ったのじゃ」

魄哉「入ったと言うか引きずり込まれたと言うかですがね」ため息。


蒼月(幕府の実質最高権力者相手に よくこれだけ距離無しで話せるな)うっわー。


魄哉「まあ徳川はこれが特徴みたいな所有りますからね」

蒼月「Σえ。口に出してた!?」びくっ


女中「朝礼で天海様に『天は人の上に人を作らず しかし誰かがまとめないと集団は立ち行かないんで まとめさせて貰いますが過剰な遠慮は無しで』と言われたんで 言い付け守ってまーす。」はいはーい!

晴明「普通の武家ならまず言わんであろうな」うむ。


魄哉「まあ、うちは殿からしてアレですからね」

蒼月「あーうん。凄い納得した」

女中「Σえ!家康様にも会った事有るんですか!
いつも奥に居て偉い方々でも滅多に会えないんですよ
さっすが天海様の御親戚っ」おおっ

晴明(まさかあれが殿とは思わんだろなあ)うむ



女中「あ、そう言えば」ふと。

晴明「ん?」


女中「その職場ってひょっとしてお寺ですか?
ほら天海様袈裟姿でしょ? 軍師でお坊さんって珍しいなーって前から思っててー」

晴明「私が坊主に見えるのか?」

女中「え?無理」あははっ


蒼月「この子マジで凄いな」わお。

晴明「そう言えば昔はそげな物着とらんかったのう
ん? なんじゃいわゆるコスプレか?」

魄哉「んなワケ無いでしょうが」

女中「ですよね。よくお経読まれてますもん
本物のちゃんとしたお坊さんですよー。」


魄哉(Σすみません!経は読めますが生臭ですっ)良心ちくっ

蒼月(ジジイにダメージ与えるとかマジで凄っ)おおっ




晴明「ふむ。では仮に本物の坊主として
いつからその様になったのだ?
昔は神も仏も知るかと言う 大概天上天下唯我独尊な「結構今もそんなです。」きっばり。

女中「天上天下唯我独尊も仏教ですよね」うんうんっ


晴明「ふむ。そこら聞きたいのー?」にやにやっ

魄哉「いえあの 今ですか?」えええ


女中「大丈夫です!誰にも喋りませんから」しーっ

晴明・蒼月(Σ強い!)

魄哉(Σ引きづらくなった!!)ひいっ



蒼月「まあ ・・適当で良いんじゃない?」

魄哉「君が僕の味方するって 端から見て相当悲惨な感じなんですね

えー まあその。考えたら何も恥ずかしい事も無いのでお話しましょう」

晴明「なんじゃ良いのか つまらん」ふんっ



魄哉「えー性悪狐は置いといて」

女中(あだ名が狐さんなのか。
仲良しなんですねー)ふむ


魄哉「一言で申しますと 徳川幕府の特徴
先程からちょいちょい話題に出てる 異常なまでのアットホーム感のせいでこうなった。と言うことなんですよ」

晴明「ん? どういう事ぞ」はて。


魄哉「先程も言いましたがうちの主君 家康公はびっくりする程殿様らしくありません。
それは幕府が出来る前 いわゆる戦国の時も変わらずそうであったんですよ」

晴明「ああ。家臣を友としてしか見られんと言う奴か」ふむ

蒼月「普通に考えたら なめられそうだけどね」

魄哉「それが意外と逆なんです
ああいう常に己の命がかかってる時代の場合
頑張っても失敗すれば斬り捨てられる それが普通。つまり家臣とは物です

割りきれる人、それで良いと思っている人ならともかく そういう人ばかりでも無いでしょう?」

女中「あ、そっか
友達なら 失敗しても即首スパッとか無いですよね」ふむ。

魄哉「あまりに甘々過ぎるとそれはそれで軍として駄目になるので 全滅する前に僕が渇入れてましたけどね」

晴明(絶対敵より恐れられとったな。)うむ


女中「へー。家康様
優しい殿様なんだ」ふむ

魄哉「今の時代ならそうも言えるんですがね
あの時代だと それだと駄目なんですよ ホントは。」苦笑

蒼月「ん?その分アンタが鬼役やってたんじゃないの?」

魄哉「いえいえ。軍云々ではなく 殿自身にとってです。」

晴明「と、言うと?」



魄哉「女中仲間で仲良い子を数人思い浮かべて下さい
はい。その人達が 自分の判断のせいで亡くなりました
それが日常です。耐えられますか?」

女中「Σへ!? やだっ
それキッツイですっ!!」ひいっ

魄哉「そう言う事です」

晴明「成る程」冷や汗っ


蒼月「マジかよ。そのノリじゃ精神持たないじゃん」うっわ。

魄哉「そうなんです。
普通は人ってのは極限状態だと 慣れたりその辺麻痺して感じなくなったりする物なんですが
殿の場合 精神が強すぎたのかそうもならず」

晴明「そらキツいな」成る程。


魄哉「で、このままでは天下統一するまで殿が持たないと判断しまして
気休めでも せめて供養が出来る様自ら僧侶役もやるかって事にしたわけです」


蒼月「うん。言われたら解るけど 普通そうはなんないよね?」えー。

魄哉「軍に坊さん加えるのって論理的に問題有るでしょう?
なら 軍の誰かが坊さんになれば良いんです」

晴明「合理的だが やっぱりお前も大概頭おかしいな。」うむ。



女中「成る程っ
要するに 殿様も天海様もお優しいって噺ですね」じーん。

魄哉「違うと思いますが」うーん。



晴明「しかし納得したわ。
あの殿でよく天下取りまで漕ぎ着けたと思っておったが
それなら他の奴等に比べ 寝首をかこうとする奴は少なかったであろうな」扇子パタパタっ

蒼月「あ、そう言う事?
世の中解んない物だね」へー。



魄哉「にしても殿遅いですね?何してるんでしょう?」

女中「へ?」



蒼月「Σあーうん! 何でもないっ!
アダ名の方だよ ややこしいなホントっ」わたわたっ

晴明「Σお前 毎日政務ばかりしてボケたのでは無いか!?」

魄哉「否定は出来ませんね」うーん。
晴明「Σ否定するところじゃたわけ!!」






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江戸城 廊下】



家康「Σえええ!箪笥の中カビちゃったの!?」

白「しーっ
お前怒られなれてるだろ? こういう時どうしよ?」繁みにこそっ

家康「ええー カビかあ
ちなみに何入れてたの?」

白「ようかん。」

家康「うん。 なんか色々凄そう」うっわー



白「お前の割った茶碗 灰も残さず証拠隠滅してやるからカビどうかしてくれないかな?見付かったらまた延々正座で説教だし」

家康「うわそれはキツい。
もう箪笥ごと燃やしたら
Σ ひいっ!」


魄哉「大人ならそこは 素直に謝れと言うべき所でしょおがああああ!!!」くわっ




女中B「あら?天海様が荒ぶってらっしゃる」

女中C「親戚の人がまた仕事の邪魔しに来てるんでしょー」

女中B「あーそういや居た居た
あの人達来ると天海様のキャラ変わって面白いよねー」










蒼月「あれ?来てたの?」

白「うん。家康程じゃないけど怒られた」廊下で正座っ

晴明「まあ こういう幕府があっても良かろうて」くっくっく。





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