小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

1月21日

f:id:t00c:20220119100749j:plain






【町外れ 川】




シロ「何故に俺まで連れ出されたのだ」むすーっ


粋「うおすっげ!あの渡し守のおっさん この寒いのに水の中入ってる
ああやって船引っ張って客渡すのか 凄えっ」ほらほらっ

テオドール「Σうっわ クールジャパンに御座いますねっ」おおおおっ


白「子供はこういうの好きだろ?」真顔。

シロ「Σ誰が子供かあああ!!」むかああっ



粋「しっかし 凄えよなー
ここの川めちゃ深くて漕ぐの大変だろうにさ」見ててぶるっ

テオドール「普通に漕ぐのではダメなんで御座いましょうか?」うーん。

白「ああいう普通やらない事やって客集めてるのもあるんだと思う」

粋「Σさすがの芸人目線!!」

テオドール「成る程に御座います!」おおおっ


シロ(俺でも解ったのだが言わないでおくか。)



粋「ん? 何 お前ひょっとして船怖えの?」

シロ「お前の兄と一緒にするでな

いやお前何故来とるのだ」はっ

白「何の事だ」しれっ




テオドール「家康さんにプライド突っつかれて来るしかなくなった次第に御座います」ひそっ

シロ「たかが届け物でまた面倒な真似を」うわ。

粋「つーか カナヅチなの皆知ってんのに
ある意味メンタル強えな兄貴。」うーん。



テオドール「という事で 届け物は絶対に濡らさない様にとの事に御座います
えーーと。 シロさん持ってて下さいませ」


粋「なんで俺等濡れる前提?」

テオドール「嫌な予感が致しますので」

シロ「おい。やめてやれ フラグ立てるでないわ」チラッ

白「こっち見るな」





シロ「ふむ。深く考えてんでおこう
で、何処から乗るのだ?」きょろっ

粋「えーと。 あ、アレじゃね?
あそこで番号札配ってるの」

テオドール「Σあの人達全員順番待ちで御座いますか!?」えええっ


白「船何個か有るし そんな時間かからないと思う」ふむ。

シロ「うむ。そもそもこういう物はのんびりと乗る物であるしな 急いても仕方がない」

テオドール「Σう。さすがは風流に煩い日本人に御座いますっ」

粋「ごめん。俺も早くしろよ面倒臭いとか思ったわ」



シロ「では番号札を受け取って其処らで適当に待つか

寒いが甘酒でも啜りながら雪景色を眺めるも悪くはないぞ」すたすたっ



粋・テオドール(この余裕有る立ち振舞い 腐っても武家育ちか。)感心っ


白「あれ?未成年て甘酒良いのか?」はて

シロ「Σ問題無いしそもそも元服しとるわ!!」うがあっ


粋「兄上 逐一ぶっ壊してやんなよ」

テオドール「名前のせいもあって 仲良い兄弟に見えてしゃーないです」うん。






間。





ちゃぷんっ



粋「うお 思ってたより速っ」おおおっ

渡し守「だろー?速さも売りなんだよ」すいすい船引っ張りっ

テオドール「泳ぎながら喋れるので御座いますねえ」へー。

渡し守「あー外人さんは知らねえか 日本には立ち泳ぎってのがあんのよ」


シロ「しかし寒そうだな
うむ。かなり冷えておる」水に手ちゃぷんっ

渡し守「そりゃ鍛練の賜物よ
もちろんめちゃめちゃ寒いけどなー」わははっ



粋「向こう岸にも甘酒屋あったら差し入れすっか?」

テオドール「Σあ、それはきっと喜ばれますね!」おおっ


シロ「・・・」
粋「・・・」
テオドール「・・・


Σあれっ?」はっ



粋「うおはしゃいでて気づかなかった!!兄貴何処!?」きょろっ

シロ「は?運悪く他の船に割り振られたとかではなかったのかっ!?」

テオドール「Σそんなの聞いておりませんが!?」えええっ





【その頃 最初の岸】



白「なんで俺だけ番号札貰えなかったんだろ?

ま、いっか。甘酒と団子追加な」


茶店の娘「まいどー
言えば次ので行けますよー」苦笑。







【再び船の上】




渡し守「あれ?お連れさん居ないのかい!?

おーい伍作どーん。 そっちにこちらのお連れさん乗っとるかー!」

隣の船の渡し守「えーー?お連れてどんな?」ばちゃばちゃ



粋「こいつ!こいつをでかくして髪長くして気合い抜かした様なの!!」あたふたっ

シロ「Σ人を指差すな 似とらんわ!!」

テオドール「普通に白髪と言えばよろしいのでは」どうどうっ



隣の伍作どん「んー?居ねえな
いや待てよ 番号札配ってる時そんな兄ちゃん居たような

Σあ、アレ乗客!? やっべ派手な格好してるから てっきり見物の方だと思って札渡してねえわっ」

渡し守「Σそれで置いて来ちまったのか!」あちゃー



一同(Σもうちょい地味な格好させときゃ良かったーっ!!)


シロ「まあな。普通の感覚では あんな派手な格好で汚れるであろう船等に乗らんわな」あーあ。

粋「衣装買い取りして普通に着るからなあ兄貴。あーやべ こっちまで感覚麻痺ってた」頭かかえっ

テオドール「しかし 札が貰えておられなかった時点で何故言われなかったので・・」


一同(なんやかんやで乗りたく無かったんだろうな。)ああうん。





渡し守「うわ。こっちの手違いだ 兄ちゃん等ごめんよ
次の時にちゃんと連れてくからよ」あちゃー

粋「いやその もう俺らだけでお使いするから帰ってて良いって伝言頼めるかな?」

渡し守「ん? それで良いのかい?」おや

テオドール「むしろそちらの方があの方の為なので御座います」

渡し守「?
そんじゃそう伝えるけどよ」


シロ「何とも毎度毎度何か起こる物だ
ん?」ぴくっ

粋「ん?魚でも居た?」水覗きこみっ

シロ「いや 魚ではないな」


渡し守「Σえ。ちょ坊っちゃん 何か居た!?」ぎくっ

テオドール「? この川何か出るので御座いますか?」



渡し守「Σ伍作どーん!気をつけろ!河童出たかもしれねえっ尻子玉抜かれるぞ!!」

伍作どん「Σ何いいいいいー!」ひいいっ



シロ「Σなんて物が出る所でこげな商売しとるのだ!!」

渡し守「しゃーねえだろ! 俺らも生活かかってんだ!」必死っ



テオドール「この寒い中 水中で御座いますか。
河童は更にお元気に御座いますねえ」うわ

粋「言ってる場合じゃねえ! オッサン俺も漕ぐの手伝うから早く岸にっ」木の枝でばしゃばしっ

渡し守「Σあんま意味無いし波寒いからやめて!!」ひいっ

粋「Σあ、ごめん!」


シロ「落ち着け馬鹿者が。
こういう時はパニックになれば終わりぞ
河童か 水の中から襲って来るので有れば」ひゅおおっ

テオドール「氷はダメに御座いますよ。渡し守さんを巻き込ますし、さすがに人の目が多う御座います」

シロ「Σぐ!」

粋「お前もちょい落ち着け」



テオドール「魚影が見え次第刀で突き刺すとか そんな感じでやり過ごすしかないのでは御座いませんか?」うーん。

シロ「Σ俺の鬼切を銛代わりにせいと!?」

粋「この際仕方なくね?
俺も水の中じゃ燃やせもしねえしよ
せめて船の上にあがって来てくれりゃなあ」うーん。

テオドール「それはそれで大事では御座いませんか?」ええー。


シロ「ん? 上
そうか」はっ





伍作どん「Σぎゃー!こっち来たああ!!」

波ばちゃちゃちゃ

渡し守「Σ伍作どーん!!」ひいいっ




シロ「火を着けて真上に投げろ!」信号玉ぽいっ

粋「Σお前何持ち歩いてんの!?」ええっ

シロ「武士は常に臨戦態勢だ!!やれいっ!」くわっ

粋「Σはいい!!」びくっ



テオドール「信号玉って何を知らせ「水がダメなら陸を作れば良い

ああーっと!川が急にカッチカチ河童の仕業かー!!」棒読みっ

テオドール「Σどんな河童に御座いますか!?」えええっ


川の表面氷パキパキパキーン!!!

渡し守「Σうおさむっ!!」ひいっ


信号玉どーん!!



粋「Σあ。そういう事か」はっ

シロ「うむ。遅いわ」ふっ




ズシャアアアッ!!
白「人が寛いでるの邪魔するの誰だ?」

河童「Σ!!」びくううっっ!





テオドール「成る程 足場が有れば普通に走ってきて下さるのですね。」ああうん。

シロ「うむ。救難色の信号玉だったのでな」

粋(こいつガキなのに 俺らよりよっぽどしっかりしてるかもしんねえ)うわ。





伍作どん「Σおお!河童がビビってる!何か知らんが派手な兄ちゃん凄いぞっ」おおおっ


粋「そっか ここらの化け物なら兄貴の顔知ってるか」ひそっ

テオドール「で、御座いますね
化け物側から人間にちょっかい出すなって言われてるのも御存じでしょうし」ひそひそっ

シロ「それでやらかす辺り 此処等でシメておかねば隙有らばなんぼでも反抗するであろうな」やれやれ



白「とにかく船の邪魔するな 此処から離れ


みしっ。

シロ「Σあ、おい 言っておくが氷は薄


バキめきゃ ばしゃーん!!

テオドール「Σ案の定落ちられるのですね!!」ひいいっ

粋「Σ毎度毎度兄貴いいいいーーっ!!!」ひいいっ



シロ「あんの馬鹿者 威嚇で火気漏れおったな!そりゃ氷も持たんわ!」

テオドール「Σうわああ 白さんどの辺に御座いますか!? Σん」

がしっ。


粋「Σあ」

ばしゃーーん!!!


粋「Σぎゃーテオが河童に引きずり込まれたああ!!!」ひいいっ

シロ「Σげ!おい水中で灰になられたらっ」

シロ・粋「回収どうしよう」血の気サーッ


渡し守「Σなんか知らんが助けんで良いんかね!?」大混乱っ

粋「いや下手に水に入ったらますます事態が その前に兄貴上がってこねえええーーーっ!!」うわああっ



シロ「1つ聞く
お前ら心臓は強い方か?」真剣っ

渡し守「Σえ?」

粋「Σ川ごとはやめろ! 人間持たねえから!!」ひいっ

シロ「喧しい!ええい ならば俺が行く!上がって来ぬ時は頼んだ「Σ待て待て待て全員居なくなるパターンそれ!」袖引っ張りっ



どっぱあああん!!

一同「Σ!?」びくっ




白「よーし。船の上だな
何だ言う事聞けるんじゃ無いか」河童に絞め技ぎりぎりっ

河童「」じたばたっ


粋・シロ(Σ怖っ!)




白「ほら お前ら仲間の首がボキッと行っちゃうぞ
全員大人しくそこ並べ」河童の首ぎりぎりぎりっ

河童達「Σ!?」ひいいっ




シロ「お前の兄 河童の数倍非道な事しとらんか」引。

粋「水に落とされてキレてっからしゃーないっちゃしゃーない?」

シロ「いや落ちたのはあいつの自業自得だ」



白「よし。じゃそこのお前 さっき引っ張り落とした奴の拾ってこい。
バラけてたら全部拾え」くわっ

河童「Σ!?」きょろっ

白「うん。お前な」


渡し守「あの 人がバラけるって
シロ・粋「気にするな。」






ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー





テオドール「いやー。腹打ちして失神してて良う御座いました
灰になって砂利と混ざってたら偉い事になっておりましたねー」へらっ

粋「いや 腹打ちは良くなくね?」

テオドール「結果オーライに御座います」





シロ「まあ届け物も奇跡的に無事であったしな
少なくとも帰り道は河童は出ん。
それで良いとしようではないか」

粋「ん?兄貴どした」


白「まさか帰りも あの川越えるのか?」

シロ「そりゃ越えんと帰れんだろ」きっぱり

白「Σ!!」がーん。

テオドール「あ。トラウマになってらっしゃいますね」



白「もういい お前らだけで乗れ 俺は朧車かマヨイガ呼ぶし」すたすたっ

粋「Σあ。あれっ 行きもそれなら安全だったんじゃねえの!? 」

テオドール「言われてみれば。
何故にわざわざあんな危険な道を?」おや






白「お前らが船乗りたいって言ったからだろ!」くわっ

粋・テオドール「Σ!?」びくっ


シロ「お前、時折 兄と言うより家族サービスのド下手な父親みたいだな」納得。






>サイトトップに戻る