小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

5月11日






【町 大通り】




粋「あー終わった終わった」のたのたっ

白「帰って寝るか」あくびっ


テオドール「Σうわ 何で御座いますか あの人だかりっ」たたっ

白「あいつ元気だな」ねむっ

粋「元気だよなー」うんうん




テオドール「ちょちょちょお二方っ」わたわたっ

白「あれ 戻ってきた」

粋「血相変えてどしたよ?」




テオドール「道端でハラキリショーが行われておりますっ!」顔面蒼白っ

粋・白「は?」

テオドール「やる事が斬新に御座いますっ
さすがはクールジャパン!!」くわっ

粋「Σいやんな事やんねえよ!!
微塵もクールじゃねえだろ!」えええっ


白「ハラキリ?」はて

粋「え?え?何してんのマジで
あーもう人多いなっ見えねえし」背伸びっ





彬羽「成る程 ガマの油売りか」ひょいっ


白「膝の辺りからスパッと切れて背縮めば良いのに」

彬羽「この流れでさらっと怖い事言うんじゃねえ チビ。」

白「煩い木偶の坊」けっ




粋「Σガマの油か!成る程っ」おおっ


テオドール「彬羽さんもお仕事帰りに御座いますか。お疲れ様です
して、ガマの油とは?」

彬羽「酒呑童子等来てる時は用心棒は必要ないからな。さっさと帰れてありがたい

ガマの油ってのは そのまんまカエルから取った油の事だ
傷薬になるんで 常備薬として置いとく家が多いそうだ」

テオドール「Σカエルがで御座いますか!?」えええっ

彬羽「いや 飛天の軟膏なんかもありゃ油やら何やを混ぜた物だからな?」

テオドール「Σ確かにヌルッと致しますが!」えええっ


粋「薬って 原料知りたくねえの多いよな」

白「俺薬効かないから関係ないけどな」しれっ

粋「Σそいや毒も薬も効かない特異体質だった!」



彬羽「まあ見てろ
ああやって刀で切って傷をつけてな 油を塗って治癒力を見せる出し物なんだがな」

テオドール「Σえ!やっぱ自分を斬るので御座いますか!?
紙とかスッパスパされてますよ! 刀本物に御座いますよ!?」ひええっ

粋「切れ味すげー」うわ



白「人間にも回復力凄い奴が居るのか」へー。

彬羽「・・思いっきり力技だと思ってるだろ手前」

白「ん? 他に仕掛けが有るのか?」はて。




粋「えーと。 あの刀に仕掛けが有るとか?」背伸びっ



テオドール「あの 腕めっさ斬りつけておられますが
血ボッタボタに御座いますが」ひええっ

白「ひょっとしてお前 吸血鬼なのに血ダメなのか?」

テオドール「Σだ、ダメまでは行きません!
切り傷ってそのっ 見たらこう下腹部気持ち悪くなりませんか!?」

粋「Σあ!それ凄え解る!!」うんうんっ



彬羽・白(妖怪の反応じゃないだろ) 困惑っ



テオドール「で御座いますよね!!」おおっ

粋「擦り傷とか裂傷とかはそんななんねえんだよ!
けど切り傷はなんか無理! 見てて『あああ!!!』てなるもんよ!」うんうんっ





白「その『ああああ!!』に思いっきりなってるぞ」指差しっ


粋・テオドール「Σああああああ!!」ぎゃああっ


彬羽「Σ手前人を踏み台にすんな!!」

白「踏んでない 登ってるだけだ」ひょいっ

彬羽「Σ少し隙を見せたら毎度毎度毎度毎度「でかいんだから役に立て「Σせめて草履脱げ!!」



野次馬(Σ猿!?)びくっ





テオドール「あのっ あれ本当に刀に仕掛けが有るので御座いますかっ?」ひええっ

粋「血凄えな」青ざめっ



彬羽「ん?
それはだ ネタバラシになるんでちょっとこっち来いお前等」

粋「お前何でも知ってんな」わお。


テオドール「あ。捕まったので御座いますか」

白「ひっぺがされた。」首根っこ掴まれぶらんっ


彬羽「実はな あの刀は1部だけ刃を潰してんだ。
だいたい刀身は刃付きのまま。
先の部分は潰してあり そこに赤い染料を乾かして粉にしてる物が塗り込まれてるって奴だ」

粋「Σあ!それで最初 紙切りまくってハイテンションで水かぶったのか」はっ

彬羽「だな。
テンション上がってたのは芝居だ
この芸はいかに自然に水をかぶるかの勝負だ」




白「でもあれ。本物の血ぽかったよな?
傷口もあったし」あれっ

テオドール「匂いからして間違いなく本物の血に御座いましたよ
私吸血鬼に御座いますし これは間違えたり致しません」

彬羽「Σえ」嫌な予感っ


粋「Σあ なんか凄えざわざわして撤収してる!」


白「よし。見に行こう」たたっ

テオドール「Σそこは見世物で無いのでは御座いませんか!?」えええっ







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宿の片隅で枕返しがたぶるっ

一同(Σこいつの仕業かああーーっ!!!)





白「この辺知り合いの医者居るけど」

油売りの相棒「Σすんません!呼んでくださいっ」ひいいっ

油売り「痛えよおおおおっ!!」うおおおっ




彬羽「いきなり乱入してきて何だが
その、お前等は旅の一座的な物だと思うが 枕を使うか?」

油売りの相棒「いえ、んなもんかさばるんで使いません
自分の腕で代用しとりますが?」へ?



テオドール「枕 ひっくり返せませんね」苦笑。

粋「で、刀を本物とひっくり返しちゃったか」あーあ。


白「なんで本物の刀なんか持ってるんだ」むう。

油売り「Σ本物も使ってスパスパ切りまくった方が売れるんだよ!あああ いでえよおおおっ」のたうちっ



彬羽「さて、どうしたもんか」

白「あいつもこんな大事になるとは思わなかったみたいだけど
原因がこれ俺の責任になるのか?「なるな。監督不行き届きだ総大将。」



テオドール「えっと。あれって基本演技に御座いますよね?
それなら代わりにパフォーマンスをして今回の油を売り切れば

白「水をかぶるのか? 俺がか?」驚愕っ

テオドール「Σよくよく考えたら絶対無理に御座いましたあっ!!」ひいっ


粋「兄貴 風呂とかは平気じゃんかよ」えー。

白「水は無理だ そもそも自分から濡れるとか気持ち悪い
俺は頭洗う時も目開けてられないんだぞ」

彬羽「それは開けてる必要ねえだろ」きっぱり。


テオドール「演技力ならプロで御座いますのに」うーん。


油売りの相棒「あの、プロとは?」

テオドール「そこの芝居小屋のトップの方に御座います」
油売り「Σうおお惜しいっ!宣伝効果ぱないのに!!」


粋「今回兄貴は無理だろ
カナヅチなのに水に好かれ過ぎて マジで水ダメだもんよ」あーあ。



彬羽「じゃ手前やるか?」

粋「Σえ」

彬羽「見習いとは言え役者の端くれだろうが」

粋「え。いや あのっ」



テオドール「粋さんは万年上がり性なので ずっと見習いのまんまなので御座います。
酷い事を申されないでやって下さいませ」真顔。

粋「Σその通りだよありがとよ!」どちくしょおおおっ!!


彬羽「Σ演技力云々以前の問題か!」

白「何がそんな恥ずかしいんだろうな」うーん。




テオドール「私はどう考えても無理に御座いますし 彬羽さん」ちらっ

彬羽「無理だ。」即答っ

油売りの相棒「Σえ。一番迫力ありそうなのに!?」




白「こいつ人に注目されるの苦手だから ガッタガタで酷い事になるぞ。」


粋「Σお前人の事言えねえじゃねえかよ!!」

彬羽「Σ煩え! お前は仮にも役者目指してんだろ少しは気張れ こっちは板前だぞ!!」うがあっ



テオドール「あ、私はようやく出てきた引きこもりに御座いますので 120%無理に御座います」にっこり。

油売りの相棒「あー・・」なんか納得。

油売り「てか 医者まだ?」ぐったり。







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茨木童子「いやー暇持て余してて良かった良かった」わははっ



酒呑童子「おうこら目ん玉かっ開いてよおく見やがれっ

ザックリ行くぞほれほれっ 失神しても知らねえぞー?」仕掛け刀すちゃっ

野次馬「おおおおおっ」ごくりっ




白「デカイし派手だし ちょっとくらい切れても平気そうだし 客も安心だろ?」

粋「あーうん。 すっげえ適任」わお。



彬羽「あいつには恥の概念が無いのか?」

茨木童子「ほっといたら半裸でその辺うろつく馬鹿にんな物有るわけ無いって」ため息っ

彬羽「Σ確かに!!」はっ



テオドール「恥どころか目立って喜んでる様に見えるので御座いますが」

粋「喜んでんだろな。
メンタルつっえええー」ひええっ





シロ「釈然とせん。」むすーっ

ひな「頑張ってたんですけどねえ」あらあらっ


庵「まさかの 路上で子供血まみれとは何事だって怒られたねー」

朱禅「役人にガチ説教されるとは思わなかった」ため息。

シロ「誰がガキか失礼な!」ぷんすかっ







油売り「Σおお!なんじゃこの血止め めちゃ効く!!」

油売りの相棒「Σ先生 ちょこれ売らせてくれねええ?」おおおっ

飛天「え? アンタ等自分の油は?」はい?



油売り・相棒「こんなん全く効かねえから!!」どやっ

一同「おい。」


飛天「あー。そんならしゃーない
じゃ配合方法教えよっか」へらっ

粋「Σ良いの!?」えええっ

飛天「それでケガ人が助かるなら医者として文句無しだろ?」きょとん。


彬羽「間違ってねえんだが その何かな」うーん。

白「極端と極端だな」うん







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