小咄

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くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

1月26日

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【割烹春一】





ひな「はい。というワケで
そろそろお持ち帰り専用のお菓子も置いておこうかなーっと」

シロ「この店割烹では無かったか?」

彬羽「普通じゃやってけねえんだ
飛天の薬コーナー有る時点で諦めろ」

庵「その薬のみ買いに来るお客さんも居るからねー
ホント助かるわ」うんうん。

朱禅(胃薬は撤去してくんないかなあ)複雑な板前心っ



ひな「では、本日これよりテオさんにご協力頂きまして 外国のお菓子研究会おっ始めたいと
彬羽「よし 通常業務は終いだな
今日は早退させて貰う」くるりすたすたっ


テオドール「彬羽さん ホントに甘いものダメなので御座いますね」おやまあ

シロ「匂いで体調崩せるからな。
懸命だな」うむ




間。





シロ「で、何故に甘いものだ?
菓子なら通りに老舗の和菓子屋も有るし あまり良い選択とは思えんのだが」

ひな「そこは私も考えてますよ
和菓子置いても確かに失敗するでしょう
ですから洋菓子で勝負なんです!」どやっ

テオドール「お店で扱うとなると 手軽かつ原価のかからない物。
軽い物から少し派手な物まで数種類 で御座いますね?」うーん。

庵「うわ専門的。
外国でも菓子職人ってやっぱ男なんだねー」へー。


テオドール「いえ 吸血鬼は餌を呼び込む為にも色々作れないと死活問題ですので

その前に どれだけ腕を上げても誰にも振る舞う事は御座いませんでしたが」遠い目。

庵「Σなんかごめん!!」ひいっ

テオドール「いえ、こうしてお役にたてるのでしたら 結果オーライに御座います」どよんっ

ひな「の割には表情死んでますが
進まないんでちゃっちゃと行きましょう

ちょこちょこっとした物で 私でも出来そうな物は有りますか?」ずいっ

テオドール「バウムクーヘン とか?」えーと。

ひな「それ 人の身長くらいの棒切れに生地かけてぐるぐる回しながら焼くアレですよね?」

テオドール「コツさえ掴めば結構出来
シロ「お前は1人で何を作っとったのだ」


テオドール「一気に沢山出来ますが
アレは消費が大変なので御座いますよね」遠い目。

庵「そりゃあね。1人じゃね」ああうん

テオドール「パフォーマンスにもなりますし 費用面考えればかなり良いかと思ったので御座いますが」うーん。

ひな「いえなんで私に出来ると思ったんですそれ。」


朱禅(気持ちは解る。)うんうん

テオドール(で、御座いますよね?)うん


シロ「そこ、無言で会話するな」



テオドール「では派手さ無しの方で。 基本中の基本の焼き菓子 所謂クッキーに致しますか?」

ひな「それです!そう言うのです!」おおっ


テオドール「では基本の焼き菓子 シェネーバルの作り方ですが まず窯を熱しておき「すみません。窯有りません」


テオドール「Σえ」

庵「いや無い無い
日本の飲食店に西洋窯無いから」



シロ「うちに有るのも何やかんやで挿音に制作頼んだで有ろうが
特注せねばまず無いぞ あんな物。」

テオドール「Σえええ!洋菓子はほとんどの物が窯使いますよ!?」

庵「Σそうなの!?」

ひな「Σえ 企画倒れですか!?」がーん。




テオドール「何処かに作るスペース御座いませんか?」

朱禅「いや仮に作っても隣近所から苦情来るわ 主に煙とかよ」

シロ「考えて見れば この辺食い物屋密集しとるしな」うーん。

ひな「こうなったら自作で!」よっこらしょっ

テオドール「落ち着いて下さいませ。漬物石1個じゃ窯作れません」どうどうっ



庵「うわ。コレ無理じゃない?」うわー

ひな「うう 良い機会だと思ったのに」くうっ

テオドール「あの先程も仰られておられましたが
機会とは? 何かお祭りでも有るので御座いますか?」



ひな「もうすぐバレンタインじゃないですか!
元は西洋の行事なんですから 西洋のお菓子置いときゃ絶対売れるんです!」くわっ

テオドール「日本人って心底何でも全力で乗っかる気質に御座いますねえ」わお。


ひな「でもって口コミで評判になれば そっちでのアレやコレが期待できるんでうちの家計も少しは楽にいいっ」きいいっ

朱禅「どうどうどうどう。無理ならしゃーねえって
そもそも窯こさえるにしてもそっちで赤字になるからな」よーしよしよし





入り口がららっ


白「バカラスに聞いたけど 会議終わったか?」ひょこっ

シロ「こら 表に本日休業のフダかけておったろが」

白「漢字読めないし」しれっ

粋「兄貴は読む気がねえだろ
んで、どうよ?」


ひな「どうもこうもも うちの設備じゃ作れない事が判明しました。」ずーん。

白「へ。 じゃ無理なのか?」

テオドール「で御座いますねえ コレばかりは」苦笑。



粋「あれ?ヤバくね?
兄貴さっき ちょろっとお得意さんの座敷に呼ばれてて
この店に洋菓子置くらしいなーって さりげなく宣伝しちまったよな?」

白「だな。 はやとちった」ちえ


ひな「Σなんだか物凄くすみません!!」ひいいっ


白「向こうもダメなら企画倒れなったとか解るだろし 無理なら仕方ないと思うぞ

噂話広まってなきゃ良いけどな」

シロ「お前がホラ吹いたと思われんかったら良いがな 人気商売で有るし」うーん。

白「寝ぼけて何かと間違えたと思われるだけだから別に問題ないけどな」

朱禅「お前 役者業でもその辺バレッバレなのかよ」



粋「あのー お互い納得行くならだけど
毎日はキツイだろし曜日決めてちょいちょい置くとかどうよ?」

ひな「お互い とは?」へ?

粋「ほら、窯なら有るっちゃ有るんだし
な?」

シロ「成る程。」おおっ






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テオドール「という事で 隔日で割烹に置く焼き菓子を作る事になりまして」

彬羽「Σ1日置きで甘臭くなるのか!?」えええっ

テオドール「その辺御迷惑をおかけ致しますが御店の存続の為で御座いますし」

彬羽「Σう!」



家康「お?テオちゃんパティシエデビュー?
凄いねえ」へらっ

テオドール「Σ言われてみればっ
そうなるので御座いますか!?」ひいっ

千様「やだ凄い 味見なら任せてね!」きらーん。

挿音「また肉ついて大騒ぎすんじゃねーの?お前」

千様「Σくっ」



テオドール「やはり基本は甘党の白さんに味見して頂くのがよろしいでしょうか?」

粋「だな。兄貴胃袋底無しだし
職業柄物の味も解るしよ。

つーかあの店も色々思い付くよなあ」

テオドール「店と言うかひなさんがに御座いますね
あの方の商魂で持ってる所も有るのでは・・

シロさん?どう致しました?」



シロ「いやな。これはつまり、 所謂女が男に菓子を贈る日をきっかけに売り出そうと言う試みであろう?」

粋「だな」うんうん

シロ「つまり それを買うのは女と言う事になるが

おそらくそれを貢がれ倒すであろう人気芸人が
味見の時点でそれを1度は食っとると言う事になるな とな。」

テオドール・粋「Σあ。」





白「大丈夫だ。
家康のおはぎもいつも食べてるけど飽きないし。」どやっ

家康「お。嬉しいねー
また作らなきゃね」わははっ


千様「Σあれ殿が作ってたの!?」ええっ

家康「そだよー 天海の仕事疲れの脳ミソに効くらしくて」へらっ



粋「あれ? もう試作すんの?」

テオドール「負けてられません」袖まくりっ




一二三「彬羽さん 顔色悪いだよー?」

彬羽「診療所にでも避難するか」ずーん。






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