小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

6月18日

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【某宿場 宿屋】



伝書鳩ばささっ



挿音「さーて。 後は連絡待


ちりーん。

襖すぱんっ
白「呼んだか?」

挿音「早い早い早い早いっ」



白「ん?

伝書鳩飛ばしたろ?
で、俺の猫がその鳩襲っちゃってな。手紙破れたし困ったなーって事で来たんだけど 何もおかしくないだろ?
ほらマヨイガ場所繋げるし」


挿音「いや鳩の移動時間よ
マヨイガってのは時間まで捻れ あーもう良いわ」



焔「おーい。爺ちゃんこの後用事有るから帰るぞ
自力でちゃんと家帰れよ」

マヨイガぱたん。

白「Σえ」

挿音「Σおいこら 孫持って帰れ!要らねえ!こいつはマジで要らねえええ!!」

ちりーん。



白「行っちゃったな」あーあ。

挿音「あー こんなの連れて仕事出来るかよ
忍だぞ?派手の権化連れてどうしろってんだ」ずーん。

白「困ったな 午後から出なのにな」むう。

挿音「着てるもんまで派手だと思ったら お前もまさかの仕事中かよ」

白「出番までダラダラしてたんだけどな。
猫がお前の鳩捕まえて来たから「楽屋に飼い猫連れ込むなや」


白「人気が出れば結構何やってもいい業界だぞ」どやっ。

挿音「あーはいはいお役者凄い凄い
そんな凄い御人なら1人で帰れるな
ほれ、急げや出番に遅れるぞ」しっしっ

白「見捨てるな。町内でも未だに迷うんだぞ」





間。





挿音「いや 確かに目立ってしゃーねえっつったけど」うーん。



白「ちゃんと地味な格好にしたし髪の毛も黒くしたぞ?何が不満なんだ」むう。

挿音「いやその着物何処から持ってきたよ」

白「因縁つけられたから追い剥いだ。」きっぱり。

挿音(いや俺も忍だから 一番手っ取り早えのは知ってるよ?たまにはやるよ?
けど、論理的にどうよコレ)うーん。

白「よし。じゃちゃっちゃと任務片付けよう

なんだ密書か? それとも悪代官しびれ薬盛るのか?」わくわくっ

挿音「ノリッノリじゃかよ
お前な。自分の仕事は放置なんだぞ 解ってんのか?プロだろがよ」ちっ

白「そこは大丈夫だ。
今回の演目長いから俺の出番前半で終わってるし
後半暇だからその辺で座ってる役適当にやってるだけだし 誰でも代役出来る」

挿音「マジかよ
んじゃ粋でも代役出来んじゃねーの。
道理で落ち着いてるわけだな」キセルすぱーっ


白「出来るかな?」一抹の不安っ

挿音「ちょい待て座ってるだけだろ
何? お前が動揺するくらいマジでダメなのあいつ」


白「基本人前ガチガチだからな」うーん。

挿音「それで役者目指すとか ある意味メンタル鋼じゃね。」うわあ。


白「考えたら不安になる

よし任務だ任務だ
煙玉って普通に床に投げれば良いのか?」いそいそっ

挿音「こら勝手に持ち出すな

忍の仕事は密書やしびれ薬や煙玉だけじゃねーんだよ!」

白「?」


挿音「ま、戦力にはなるか。
向かいながら教えてやる 良いか頼むから目立つなよ?」すたすた。

白「難しいな。俺は目立つのが仕事だし「肥溜めに捨ててくぞテメエ。」

白(帰ったら草履に生ゆば仕込んでやる)むう。




挿音「なんかしょうもねえ事考えてねえ?

あー。ある意味手紙破れたのは好都合か
今回マジで洒落になんねーから 一般人に知られるわけにゃ行かねーんだよなあ」すたすた。



白「ん?ひょっとして物凄く真剣な話か?」

挿音「遊びで出来る仕事だと思ってんのか?

あーまあ人命に関わるだろなあ」キセルすぱーっ

白(国の外とか あ、中もか戦になりかけとかそんなかな?)ふむ。




挿音「ぶっちゃけ 地方のバ金持ちがこっそりペットにって密輸した動物が逃げた。」 はーやれやれ。

白「うん。人間思ったよりバカで良かった」うんうん。



挿音「そのバカの後始末させられんのが俺等だぞ?やってらんねーっての」けっ

白「地方のバカがやり取り出来るくらいなら外国と仲良いんだな」ふーん。

挿音「そりゃ外交してんのうちの親父だぞ?
相手の弱みを握りつつ 腹の中真っ黒の癖に微笑みながら会談をだな「うん。怖いからもういい」



挿音「ま、そういうワケでよ

相手が動物だしよ。下手に騒ぎになっちまったら刺激して民衆が被害受けかねねえ
って事で足跡やら、落ちてる毛やら手がかりに徳川忍総出で足取り追ってんだよ」

白「ふーん。 大変だな」


挿音「おう。
でもってこの辺でそれらしい足跡見つけたんで報告しつつ 可能な様なら捕獲なんだけどよ

簡易な檻なら用意出来てるが ワナとか仕掛けるにも地元の人間ウロついてるしよ
どうにかして捕まえて放りこまねーとなあ」

白「ん? それで何で人の命に関わるんだ?」



挿音「お前は逃げたの何だと思うよ?」

白「え。猫とか?珍しい奴」

挿音「んなもん命に関わるか?」ははんっ

白「俺の猫は関わるぞ」

挿音「お前が飼ってるからだろそれ

猫とはサイズからして違うんだよなー」茂みガサガサっ



白「?

えっと。 よく取引してる隣の國だろ?
で、猫とは大きさの違う危ないの

それでこの林か。

あ、ひょっとして」




挿音「当たり。パンダだ」がさっ


パンダ「Σグルルアアアッ!?」がるるっ

白「パンダってこんなだっけ?」あれ?



挿音「そりゃ白黒なだけで 基本は熊
Σうお危ねっ!!」ひょいっ

白「あ。ホントだ
ベアクローだ」ふむ。

挿音「さーてと どうやって大人しくさせるか
やっぱ軽く2、3発どついて


白「パンダをか。」

挿音「おいやめろ。イメージで物言うな
俺だってやりずれえんだよ
熊だ 熊だからなこれ!!」



パンダ「グルアアア!!」威嚇っ

挿音「よし1発で、 1発で失神させりゃ良し。
それでちゃんと国に返してやっから恨むなよ」

白「熊類は頭狙っちゃ駄目だぞ
何度かケンカしたけど 頭蓋骨厚いから脳ミソどん!てなる感じじゃないとほとんど効かな「Σ仕留める気はねーんだよ!」



白「あ。子パンダ。」笹の茂みめくりっ

子パンダ「ぴー。」ころころっ

挿音「Σマジでやり辛えええ!!」





白「子パンダは預かった。
大人しくお縄につけ。」びしっ

パンダ「Σ!!」

挿音「Σうお 大人しくなった!」





間。






簡易檻 鍵がちゃん。



白「パンダ捕獲成功。」よし。

挿音「お前は鬼か」げんなり。


白「だって 怪我させないにはアレしか無かったろ?」

挿音「いや何で言葉通じんだよ あーもういいもういい。」けっ


白「?
とにかく任務完了だな。 やっと帰れる」

挿音「あ?言ってなかったっけ?」

白「ん?」





挿音「逃げたの1種類じゃねーんだわ」

虎「ガルルルルアアッ!!」しゅたっ


白「その金持ち相当バカだろ」



挿音「チビパンダの匂いにつられて出てきたかよ
空腹の獣はやべえぞ」短刀ちゃきっ


子パンダ「Σぴー!」ぶるぶるっ

パンダ「Σグルルっ!」威嚇っ




白「でもでかくても猫なんだよな。」

マタタビの粉末ばふっ!

挿音「Σ何でんな物持ってんだ!」

白「楽屋で猫と遊ぼうと思って。」マタタビの枝ぽいっ

挿音「Σ効果てきめんなのが腹立つな畜生!!」



虎「ゴロゴロゴロゴロッ」ぐにゃぐにゃっ






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【芝居小屋】


皐月「Σええええ!忍の仕事の手伝いしとったん!?」おおっ

白「活躍して来たぞ」ふふんっ


つつじ「あー。まあ帰れんようなったんならしゃーないか

代役ボロボロやったけどどうにかなったしな。」

皐月「ボロボロなんメンタルやけどな。」


粋「」ぐっっったり。

白「座ってるだけで何でそんなになるんだお前」

猫「にあー?」






【その頃 江戸城



挿音「なあ親父
ちょっと武者修行の旅に出てえから休みくれ。」

魄哉「Σはいい!?」

挿音「なんかこう未熟つか
まだまだ平常心とかその辺修行たんねーなあと思ってよ」遠い目。

家康「なんでそんな自信無くしてるの?」



挿音「忍たる者パンダ1匹殴れねえのはダメだろ」ふかーいため息。

魄哉「それは僕も殴れません」子パンダもふもふ。

子パンダ「ぴー。」きゃっきゃっ

家康「あの天海 その子等国に返さないとダメだからね?飼っちゃダメだよ?」

魄哉「だから別れを惜しんでるんです」母パンダなでなで。

パンダ「がうっ」すりすりっ



挿音(やっぱ俺修行足んねえな。)ふっ

家康「いや 真似しなくて良いってば。」





彬羽(食費はどれくらいだろうか)うーん。

檻の中の虎「がう?」


家康「だから 国に返さなきゃダメなんだってば。」ほんとにもー






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