小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

8月21日

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粋「あー。参った参った」ぐたっ

千様「あらお帰りなさい
今日もお稽古きつかったのー?」

粋「あーいや そうじゃなくてさ

そのほら うちの芝居小屋幕府の御用達っつかそういうの表に出して営業してんだろ?」頭かきかき



白「俺疲れたし寝る」すたすた

千様「え?え?ちょっと何?

何かあったの?」




粋「幕府にしょっぴかれた泥棒のガキってのが乱入してきてさー
ちびっこいのにいっちょ前に刃物持って突入だから結構な騒ぎになっちまって」

千様「Σうっわ 色々きっついわね」


粋「父ちゃんを出せーって言われても 芝居小屋に牢屋あるワケじゃねえし
けど表にゃ幕府のなんちゃらって書いてるしてガキにはその辺理解出来なかったんだろなあ」ため息。


千様「そりゃ困ったでしょうねえ
その子には罪無いし どう対処していいか解んないわ」うーん。



粋「いんや。兄貴が普通に ゲンコツ一発。容赦ねえわ」

千様「Σ脳ミソでちゃうううう!!」ひいいっ


つつじ「お客はんらも軽う悲鳴あげとりゃしたわ

けんど、そこから 一言『お前がこんなしたら父ちゃんますます出られなくなるだろ 馬鹿たれ。』て渇入れよったからなあ

ちびっ子わんわん泣き出して それで仕舞いや」苦笑。

皐月「なんかなー。ギャン泣きしとんの話聞いたら 貧乏極まってやってもたらしくてな その父ちゃんも盗み見つかって人に大怪我させたみたいやし

アカンもんはアカンよなあ。むずいわ」うーん。



粋「Σあ。やべ色々忘れ物してた!」


つつじ「ホンマにな 手ぶらで帰ってどないすんの。
あんさん今見習い兼マネージャーやねんからな?
しっかりせえや」台本その他ごっそり。

皐月「舞台袖におっただけやのに一番ダメージ受けとんちゃうかー?」


粋「Σお、俺は人情家なんだよ!!」




千様「で、2人揃って その子のお父さんの減刑でも頼みに来たの?

いくら幕府のてっぺんでも 私情は入れられないと思うわよ?」


つつじ「ちゃうちゃう
そげな事したら 魄哉はんの胃袋に穴空くわ」

皐月「はっちゃん子供絡むとあかんのよなー

てか、そんな特例作らせたらあかんの私らも解っとるわ」



千様「?

じゃわざわざ忘れ物届けに?」



つつじ「ちゃうちゃう
ちょっとな」きょろっ

皐月「留守かな」うん。

千様「あのー 誰探してるの?」





挿音「おう。どしたよお揃いで

あーそうそう。昼間のチビなら明日から稽古つけるからよ。
ちゃんと責任持ってやっから心配すんな」



千様「Σちょっと待って!!責任持つって何!?
まさか徳川忍軍の見習い!?」ひいいっ

挿音「しゃーねえだろ。身寄りもねえわ唯一の肉親が前科持ちの檻の中だぞ?

ガキ1人生きてかせるにゃ本人鍛えるしかね「Σアンタが鍛えるのが不安すぎるのよおおおっ!!」



蒼月「ま、元から徳川の忍の人達 前科持ちで形成されてるからねー

アリっちゃアリ?」

粋「アリかもしんねーけど。他にどうにかなんねえのか気の毒でさあ」どんより




シロ「そういう事か。」ふむ。

白「ちなみにあのチビ 俺がげんこつしなかったら
知らせで来てたこいつに蹴り飛ばされてたぞ」ため息。


一同(Σまさかの精一杯の御気遣い!!)



挿音「俺があれぐれえの時は蹴り飛ばされるのは日常だったんだけどな」キセルふー。

千様「アンタは魄哉に拾われるまで戦場跡で孤児してたからよ」

挿音「甘えわ。戦場跡で追い剥ぎだ。」

蒼月「尚更どうなのそれ」




つつじ「魄哉はんが太平の世に拘る理由 偉い納得やわ。」ああうん。

皐月「『長男』がんな修羅な子供しとったらそらーなあ」うんうん




挿音「ま、衣食住保証されるだけでもマシなんじゃねえか?

うちはノルマさえこなせばホワイトだしよ」

シロ「そのノルマが人間超えねば不可能だがな」




粋「つーか兄貴 寝るんじゃなかったっけ?」

白「・・あ、うん。」


皐月(めちゃ気になっとるやん)うわあ。





つつじ「あの、 外野のわてが言うのも何やねんけど

もし、もし色々大丈夫ならやで?
いきなり忍っちゅーんも中々に過酷やし 一二三はんみたいにここで育てるとか 無理なんやろか?」



家康「残念ながら人間の子が生き残れる家じゃないんだよね。」ふっ

つつじ「Σなんで生活してるだけでんな過酷なん!?」



家康「考えてもみよう!
日常生活で伝説級のモノノケやら絵巻に出てくるような妖怪やらが火やらなんやら撒き散らしながらケンカして 建物吹っ飛ぶのは当たり前。
日常的に人間サイドの訓練を積んだ奴等の襲撃も受けて 弓矢銃弾雨あられ
更にパカパカ鬼門も開いて気を抜けば餌としてアッチの世界に引きずり込まれるようなそんな家だよ!?

忍になりでもしないと人間の子供は三日と生きれませんっ!!」




つつじ「・・そこまでなん?」おそるおそる


粋「うん。」きっぱり


皐月「つまり一二三ちゃんて あんなポケッとした子供やのにめちゃ凄いんか」わお。

千様「そりゃあの彬羽君が保護者してるもの
普通なワケ無いわよ」



挿音「更に言えば 孤児院的なもんでも前科もんのガキは虐められんだよ

今後の事考えたら 心身共に手前が強くなるのが早いんだよなあ」


粋(合理的ではあんだけど、コイツ怖えからなあ。)うーん。



白「まあ生きてるだけマシか

相手ちっさいから潰すなよ」むう。

挿音「お前 自分が子供の扱い解らないからってなあ

お前に睨まれてドス引かなかっただけでも 充分見所あんだぞ あのガキ」


千様「あら?そうなの?」


挿音「おうよ
いやー シゴキ甲斐がありそうで楽しみだな
どう育つやら」にやり。

白「程ほどにな。」




つつじ「お宅のお兄はん 子供好きやったっけ?」

粋「いんや。むしろ苦手
人間のガキの扱い本気で解んねーんだよ。

げんこつ食らわせた後も 小声で頭の骨とか大丈夫かなとか聞かれたしよ」


シロ「破壊神の思わぬ弱点だな」うむ。





千様「で、 殿は何してるの?」

家康「忍軍団に子供用の備品いるよっての 天海に知らせとかないとね 今日からでしょ?

えーと。 服は必須だよねー
忍装束はまだ先だろけどさ

あ、やっぱ布団って子供向きのが良いの

蒼月「めちゃ猫っ可愛がりされそうな予感しかしないね」ああうん。

皐月「つか 何ではしゃいどんねん殿様」



シロ「育児系幕府?なのか?」うーん。

つつじ「まあ 実質トップがオカンやしなあ」



粋「あ。ドス突き付けられたのも何かの縁って事で たまに菓子とか差し入れいい?」

挿音「お前は舞台袖に居たんじゃねえの?
あー。 他の奴等のもあるなら構わねえよ」


蒼月「Σ構わないのかよ!」

白「よし。小太郎 メモと財布渡すからちょっとお使いに
シロ「Σ待てい!お前もか!お前も過保護か!!」




皐月「集団生活する動物って 大概子供可愛がるもんな」

つつじ「あー。そういう事どすか」納得。




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