小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

6月10日

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挿音「脳筋ブラザーズ 今日夜暇かよ?」

白「?」

粋「俺は脳筋じゃねえわ」むっ


挿音「わりい。筋肉になる程脳ミソ無かったわ

よし、暇そうだし 1丁脱獄手伝えや」

粋「Σ一杯付き合えのノリで何言ってんのお前!!」ひいいっ

白「せめて説明入れろ公務員。」むう。


粋「Σあ。 そいやこいつ公務員か!
絶体牢破りとかしちゃダメだろお前!!」びしっ

挿音「アホか。公務員じゃなくてもやっちゃダメだっての」キセルすぱー

白「解ってるなら何でやるんだ?
昔のダチでも捕まってるのか?」

挿音「なめんな そんなへマするダチ居ねーわ」しれっ


粋(Σ元ヤンどころの騒ぎじゃねええっ!!)ひいいっ



挿音「あー。やっぱ説明要るか?
ほらお前 この世の生き物全ての有罪無罪判断して何なら殲滅して良しってアレだろ なんかそんなノリのお役目なんだろ?
牢破りの一件くらいセーフになんねえ?」

白「ワケも聞かずにポンポン脱獄させてたら それこそこの世殲滅して良しの奴等で溢れるぞ」

粋「お前 兄貴に正論吐かれるって相当だぞ」真顔。



挿音「ちっ 化物の癖に融通効かねえな」舌打ちっ

白「化物もドン引きのモンスターに言われたくない。」きっぱり。



粋「で、ワケってのは?
さすがに相当の理由有んだろ?」

挿音「あー どっから話すかなあ

まずよ。隣町に牢屋あんの知ってるか?」

白「有ったっけ?」はて。

粋「あー。なんかこじんまりしたアレか?」

挿音「おう。本来牢ってのは囚人の他に看守や何やで大人数になるんだけどよ
あそこは特例の奴しか入れられねえから マジで最小限になってんだよ」

粋「特例?」

挿音「なんつーか。そこそこやらかした奴は基本島流しか首スパッだろ?
けどよ、そこまでやるのはさすがにどうよって理由があって、そんでも罪状的には自由にゃ出来ねえって いわゆるワケ有りの牢よ

だから牢ってヤバいもんなのに町中に有るんだよな」

白「で、何やった奴を脱獄させたいんだ?」ふむ。

挿音「めちゃ有能かつ温和な奴なんだけどよ
パワハラ上司に歯向かったら 反撃来ると思わなかった相手がビビってスッ転んで頭ぶつけてな。」

粋「あー。それは」うーん。



白「あれ? でも人間社会だと それでも上にそんなのしたら普通に島流しじゃやいのか?」

挿音「おう。勘が良いな
もちろん親父が1枚噛んでるわ」キセルすぱーっ

白「そういうのにまで関わってるからあいつの仕事終わらないのか」ふむふむ。

粋「論点ズレてるズレてる

えーと、つまり 言わば事故でぶちこまれた奴を出してやりたいとかそういう話かよ?

その、冷たいかもしれないけど それやらない方が良くねえ?」


挿音「お前なあ
俺が何も考えてねーと思ってんだろ?
そんじゃ脱獄させても その後ずっと追われる人生だろ。んなもん模範囚のがまだ扱いマシだっての」

粋「Σまさかの考えてた!!」おおっ

挿音「シバくぞクソガキ。」




白「あれ?脱獄させる奴の話じゃなかったのか?」

挿音「いや その話で有ってんな
自由にする為の脱獄じゃねーんだわ」

粋「へ?」




挿音「大黒柱が牢の中だろ。
世間の目と生活苦で嫁さんが実家に帰るらしくてな。
ちっこい1人娘も一緒だとよ
出て来ても二度と会えねえかもな。」キセルぷっはー

粋「Σう。それはっ」


挿音「つー事でよ
今生の別れくらいさせてやっても良くねえ?

俺らみてえにオラついてたならともかく 運が悪いだけの真面目に生きてきたオッサンだぞ?」

白「お前 たまに人情派だよな。」

挿音「たまにって何だ」

粋「つかそれ 魄哉が把握してんなら相談して特赦とかそんなの出ねえの?」

挿音「島流しにしねえだけでも特赦なんだよ
親父の立場だと 逆にこれ以上特別扱いは出来ねーんだよ」

白「天海サマが依怙贔屓しまくってたら それもぐちゃぐちゃになりそうだな」うん。

粋「あ。そうか」ふむ




挿音「つー事で 今夜隣町の牢襲撃するんで宜しく。」

粋「Σいきなり今夜!?」

挿音「最初から今夜暇かって聞いてんだろ

調度 この辺で指名手配の賊の目撃情報有ったんだよ
今更1個2個擦り付けても誤差みてえな奴だし そいつの犯行って事で行くぞ」

粋「Σ人助けなのにえげつねえええ!!」ひいいっ




白「なあ。それ大丈夫なのか?
バカラスとかに相談した方が良くないか?」

挿音「あいつはクソ真面目だから親父にチクんだろ

つーか。その娘がよ 一二三くらいのトシなんだよなあ
あいつ板挟みでまた胃袋傷めんじゃね?」


白「そうか。さて行くぞ。」

粋「Σ兄上 まだ夕方!!」


挿音「良し。」ふっ

粋「Σうわ忍えげつなっ! 一二三の名前出したの兄貴焚き付ける為かよ!」

挿音「大義の為にはなんとやらだっつの」キセルぷはー。






小太郎(きききききき聞いてない 俺は何も聞いてないいいっ!!)ぎゃおおんっ

※犬の聴力は人間の6倍。




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挿音「じゃ。とりあえす表で爆発騒ぎ起こすからよ
見張りの注意が反れたら上から回り込み頼むわ」

粋「Σ思ってたのと違う!!」



挿音「ん? 人の注意ひくにゃ爆発が一番だろ?」

粋「Σいやいやいや!それお前が犯罪者!!」

挿音「そこは安心しろや ちゃんと火薬控え目煙多めの閃光玉「Σ町中でぶっ放したら何玉でもアウトだろ!!」



白「後な ちょっと出る前に思ったんだけど。」

挿音「ん?」

白「『模範囚』しか居ないちっさい牢屋を 指名手配の賊が襲う理由有るかな?」はて。


挿音「・・・・。」

粋「その辺適当かよ。」うわあ。



挿音「お前 なんで今日はやたらマトモなんだよ。」

白「沢山昼寝したから?」

挿音「マジか 睡眠ぱねえな。

あー何だ その幕府にケンカ売ってるとかそんなノリで良いんじゃね?
ほれ 社会への反抗的な」

白「目につくの全部噛み付くヤンキーと 金銭目的の賊は違うと思うぞ」あっさり。

挿音「うわー。睡眠の力凄え。」


粋「お前の計画がザル過ぎんだよ。」


白「やる前からグダグダだぞ。
なんかやめといた方が良い気がする」むう。

挿音「そうは行かねえんだよ

もう仕掛けちまったし。」

粋「へ? 仕掛けたって」




挿音「蝋燭下の方に導火線置いとくとな
時間が経って蝋燭ちびたら引火するんで同時に多数仕掛けるのに便利なんだよ」


どむっ!


粋「Σ時限式爆弾!!」ひいいっ


挿音「つー事で 今更やめらんねーわ

後は手動で見張りの気反らせるからよ 上から侵入してオッサン拉致って来い。屋根に穴開けてコケて詰めてるからその真下な
チビと会わせたらすぐ戻すからコッソリな!」


粋「Σえ。ちょ何で俺まで爆弾!?」あたふたっ

挿音「顔は隠せよ 囮。」


粋「Σコイツもう嫌だ!!」ひいいっ



白(後でちゃんとごめんなさいしよう。)屋根の上すたたたっ







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【同時刻】



石燕「魄哉さん居るっすか!?隣町の牢が襲撃受けとるらしいっす!!

へ? 何すか この空気。」



蒼月「爆破ねえ。
ジジイも陽動によく使うよね」ふーん。

彬羽「もしや 夕方何か相談されかけたのは。」嫌な予感っ

シロ「このタイミングでアホ兄弟もおらんか。そうか」困惑っ



千様「忍ってー 普段上の手足となり動くから 自分で計画たてるとザルなのよねー」あーあ。





小太郎「察したか?」ぶるぶるぶるぶるっ

石燕「まさか。」冷や汗どぱっ




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白「あれ? ちょっと待て。
何で 怒ってるんだ?」 おろおろっ

元侍のおっちゃん「Σ黙れ賊め! 牢に何の用だ!!」くわっ

白「Σあれ? まさか何も聞いて無いのか?」


元侍のおっちゃん「何をだ!!
牢に繋がれど侍の意地は捨てておらん!
成敗してくれるそこへなおれええ!!」びしっ

白「模範囚って竹刀持ち込めるのか」

元侍のおっちゃん「役人の皆さんの信頼の証だ!」くわっ



白(何か変だと思ったら
本人に全く相談無しなんだな) 物凄く納得。





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挿音「ちい!思ったより役人多いな」

爆弾どむっ!

粋「だあああ!兄貴早くううう!!」爆竹すぱぱぱーーん!




挿音「あの野郎何グズグズしてんだ。まさか直通の穴明けてんのに迷子か?」

粋「Σうお!ちょ
めっさ役人来た!増援来た!! やべえってコレ!」物陰っ


挿音「マジか。役人殴ったらさすがに面倒だしな
退くに退けねえしどうす Σはっ」



魄哉「残念。そちらは陽動です。」

ばきゃあっ!!

挿音「Σぐはあっ!」


粋「Σまさかの右ストレート!!」ひいいっ


魄哉「何晒してくれてんですか馬鹿息子。」ゴゴゴゴゴ

挿音「Σおおおお親父何で解っ「解らいでか!!」





粋「あ。これでようやく俺も捕まれる」ほっ。

魄哉「Σ粋君落ちついて下さい!どんだけ精神追い詰められてたんですか!?」

粋「だって牢破りは犯罪だろ!!」くわっ

挿音「Σしゃーねえだろ! 他にどうやりゃ良かったんだよ!」

魄哉「Σ他にどないでも方法有るでしょう!なんでいきなり牢破りになるんですか!!」


挿音「いや。ねえだろ
牢なんて1度ぶちこまれたら終わりだろがよ。」けっ

粋(あー。自分がヤンチャしてたら驚異では有る のか?)うーん。





白「別に中もそんな悪くないみたいだけどな。」ひょこっ

魄哉「やっぱ君も巻き込まれてましたか。」あーあ。

白「おっさん出ないって。
伝言頼まれた」

挿音「Σは!?」

白「事故とは言え 自分がやっちゃった事に変わりないから償わないと自分が辛い
ので、助けよう等と思わないで欲しいって 話だ」

挿音「Σはああ!?」

魄哉「刑と言うのは本来そう言う物です
解らないで済むのが一番良いですがね

さて、馬鹿息子。

歯ぁ食いしばれ」
挿音「Σえ。いやさっき「いきなり本気で殴るわけ無いでしょうが?軽いジャブですジャブ」指ばきべきぼきっ




粋「躾厳しー」うわあ。

白「今回のは仕方ないな。」うん。






家康「はーい皆さんお騒がせしましたー。

幕府のお使いでーす。ご安心を
抜き打ちの防犯訓練でしたー


ほらほら、葵の御紋だよーっ」印籠かざしっ





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千様「っとに 馬鹿よねー。」

挿音「うっせえよ。」けっ



蒼月「よくあのジジイに殴られて人の形保ってられるよね あの人。」うわあ。

家康「頭まで包帯ぐるぐる巻きの時点で大概だけどね」うん。

シロ「親子揃って無茶苦茶だな」引きっ


小太郎「あれ?白達は?」わおんっ

挿音「おっさんから娘に手紙も預かったそうでよ
ちいっと届けに行ってるわ」

シロ「む?それはお前が行くべきではないのか?「ボコボコでかよ。」



千様「ふーん。
なんか 娘ちゃん待っててくれそうね
殴られた甲斐があったんじゃない?」

挿音「思いっきり馬鹿にした後にフォローのつもりじゃねえだろな。」けっ



彬羽「今回のは 人として解らなくはねえが、手段がな」うーん。

蒼月「まあね。俺ら妖怪だけどね。」






家康「しっかし お前もなんだかんだ甘いよねー
本来手紙1つ届けるのも手続きめちゃ要るよー?」

魄哉「立場が逆なら 僕とて同じ事してた可能性も有りますし」きっぱり。

千様「アンタら 血は繋がって無くてもホント親子だわ」うん。






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