小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

9月29日

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江戸城




魄哉「あー スルメと熱燗が欲しいですねえ」ふう。


挿音「仕事から目を背けんな
つか、アンタ天海『大僧正』だからな?

袈裟着て堂々と言うなっての。」


魄哉「坊主とて人間ですし
知ってますか?寺で飲まれてる般若湯。あれ中身普通にお酒なんで
挿音「あー解った解った
スルメな 買っとくから嫌な駄々こねんな。」


魄哉「ありがとうございます。あー早いですが火鉢で炙りたいですねえ」のほほんっ

挿音「そもそも人じゃねえだろっつか 忍をパシりに使うなっての」ぶつくさ




魄哉「さて、おふざけはこの辺にしまして
ちょっと真面目なお話があります。」

挿音「ん?何だよ 鮭トバもつけろってか?」けっ

魄哉「いやあれ地味に高いんで結構です。

実はお宅のご兄弟なんですがね」真顔。

挿音「ん?」


魄哉「その 君は相続やら何やら放棄してますし、ご兄弟以外には基本存在も知らされてませんよね?

ですんで知らせも何も来てないと思いますが」

挿音「何かあったのかよ?」


魄哉「ぶっちゃけ杜和ちゃんが お隣の藩の藩主殴り倒してド偉い事になっております。」

挿音「Σげ。」

魄哉「普通大名家の姫がそんなんするかって話ですよ。
あ、ちなみにグーで殴ってます。相手顔面軽く骨折れてます。」


挿音「・・あー。護身術少し教えたの不味かったか」あちゃー

魄哉「どう教えたら女の子が成人男性の顔面叩き割るんですか。
幕府としては現実逃避もしたくなるって話ですよ」ため息。

挿音「あーそりゃ悪かった

んで?原因はよ。
確かに無茶な奴だがよ、何もしねえ相手にそこまでやる奴じゃねーぞ。」




魄哉「それが、原因聞いたらさほど怒れなくなると言いますか」うーん。

挿音「?」


魄哉「ほら 杜和ちゃん達の可愛がってる名馬 赤兎ですよ」

挿音「あー。 大陸の名馬から名前とったアレな。」

魄哉「それを今回どつかれた隣の藩主が偉く欲しがったそうで
ほら今の藩主の日之丸君が幼い事もあり、宝の持ち腐れだとしつこく譲ってくれと言って来たそうで。」

挿音「名馬譲れって 戦国時代なら戦になんぞそれ」

魄哉「ええ。何平和ボケしてんだアホンダラって話です
仕舞いにゃたかが馬だろ貧乏藩に金くれてやるって言ってんだ有り難く思えとか抜かして 杜和ちゃんがブチギレました。」

挿音「むしろよく耐えた。」 きっぱり。



魄哉「女子供しか居ないと思って調子こいたんでしょうねー

で、顔大怪我させられて武士のメンツが!とか幕府に言ってきたんですよ」ため息。

挿音「うっわ そいつ関ヶ原にぶち込みてえ」

魄哉「同感ですし、恥の上塗り恥ずかし過ぎて切腹して下さいって気分なんですが
さすがに立場上ハッキリ言えないんで さて、どうしますかですよ。

杜和ちゃんが人に大怪我負わせたのは 紛れもない事実ですし。」うーん。

挿音「あー。加減教えてねえからなあ」



魄哉「という事で、
暴力沙汰なら いっそ武でカタをつけようって話になってます。」

挿音「Σは? 杜和とそのオッサンが果たし合いすんのかよ!?」


魄哉「いえ、嫁入り前の娘さんを返り血で染めさせるつもりはありません。」真顔。

挿音「そこまで言ってねえよ。」



魄哉「本人同士は色々不味いんで
お互いの藩から一人ずつ代表を出して 御前試合で決着を。という話になってるんです

僕らの目の前で決着ついたら はい!この件それで終わり!ですよ」

挿音「はー。なる程な
後からぐちゃぐちゃ言ったら 幕府を敵に回すからな?って話かよ

で、それに杜和の側で出ろってか?」



魄哉「いえ。そんなむざむざ死人を出させるような真似お願い出来ません。」きっぱり

挿音「俺ら兄妹は何だと思われてんだ?」



魄哉「ルールとして幼な過ぎる者、これは日之丸君が無茶しないようになんですが まあ元服してるのが基準です
後は知人、ツテ等何を使っても良し
藩の外から連れてきても良しって事になっております」

挿音「へー。んで、俺は何すりゃいいんだよ」



魄哉「僕が話つけるとさすがに公平性がアレなんで、代わりに選手にこの件伝えて欲しいんですよ」

挿音「江戸城でこの話してる時点で公平性もクソもなくねえ?」







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杜和「兄様 お手数おかけして申し訳ありませんっ」半泣きっ

挿音「いや良いけどよ。話聞いたら俺なら三秒で蹴り入れてるわって話だしよ」

日之丸「あの 兄上も姉上も もう少し沸点を低く」





千様「6歳児に言われちゃうのね。」

粋「日之丸しっかりしてんなあ。」

日之丸「お宅の兄上に鍛えて頂きましたから!」ぐっ

蒼月「鍛えるって何したの?」

白「なんだっけ?」はて。




シロ「それより 出るのが俺で本当に良いのか?」一抹の不安。

日之丸「勿論です! 作法その他心得ておられますし 腕も確かとお見受けしておりますっ」

シロ「いやしかし 腕っ節なら他にもだな」うーん。




家康「成る程 的確な人選だねえ」

挿音「他の奴等じゃ相手の命ねえからな。」キセルふー。

蒼月「けど、大丈夫なの?
相手はどんな猛者連れてくるか解らないんでしょ?」

白「蒼月 シロをなめすぎだぞ」

蒼月「へ?」


家康「毎日自主トレ、長距離ランナーの狼である小太郎の散歩、体力が売りのカラス天狗についての割烹の修行、
更に道場剣法でありながら このメンツの中で生き残れるって 色んな意味で猛者だよこの子。」

蒼月「Σ言われてみれば」



千様「ちなみに この国全体で見たらどのくらいのランクなのかしら?」

挿音「刀使った『武芸者』の括りならトップクラスじゃね?

バケモン共は強さのジャンルが違うしよ」

蒼月「Σうっそ。マジで!?」






シロ「そのような大役 俺に勤まるのだろうか」うーん。


小太郎「問題は 自己評価がめちゃ低いんだよなあ」わおんっ

家康「この集団の中に居たらそうもなるって。」苦笑


白「今回勝てば自信つくし一石二鳥だ。」うん。






千様「負けるって事は万に1つも無いの?」

挿音「ねえな。人間じゃ勝てねえわ」キセルぷこー。




蒼月「あ、念の為に診療所のカラスからドーピング剤貰ってくる?」

挿音「どんだけ疑ってんだよお前。」





シロ「Σう。急に腹がっ」ゴロゴロっ

白「違う薬は要りそうだな。」



挿音「Σメンタル弱えな道場剣法っ!!」





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