小咄

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くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

8月13日

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【割烹 春一】




庵「らっしゃーい。

あれ?」



魄哉「すみません。お冷や下さい」ぜーぜー


ひな「あらー 早めの檀家廻りですか?」

魄哉「いえ。肩書きだけの生臭なので檀家とか無いです」

庵「あったらあったで問題しか無いねー
はいよ。お冷や」




朱禅「今年暑いからなー

その格好でウロウロすんのも考えもんじゃね?」

魄哉「袈裟フルセットはきついですねー
檀家廻りしてる坊様方 ホント凄いですよ」ふう。




がららっ


皐月「お!ちょうどいい所におった!

はっちゃんちょっとちょっと!!」


魄哉「おやお久し振りです
どうしました?」


皐月「こいつ何食べるん?」

物体「ギイイイイイ」ぷるぷるっ


魄哉「まず 何ですかこれ。」





皐月「ゴミ捨て場で拾うてん。
捨てられたんかなー?と思ってな

んで、拾ったはいいけど 何食うか解らんでなあ」



庵(どうみても化物モノノケの類じゃないのこれ)うーん。

ひな(捨てる以前に誰も飼って無かったと思うんですが)

朱禅(Σあれこれ確か 結構凶暴な奴!!)ひいいっ





魄哉「あのー。これが何か把握してます?
いえ僕も大体しか解らないんですけどね」


皐月「なんと無く?
ええやん バケモンでもカワエエやん

粋も蚕の妖怪飼ってるやろ?」

魄哉「粋君の場合は カイコちゃんが生きる為に粋君の生体エネルギーを食べないので まず害は与えないんですよ
故に安心なんですが これはちょっと」

朱禅「そうそうそう!!俺昔これにそっくりなのに齧られたし!!」こそっ


ひな「なぜに物陰?」

朱禅「団体で齧りついて来てマジで怖かったんだよ!!」ひいいっ



シロ「休憩終わり 戻ったぞ。

ん? なんだそれは」


粋「ん?何々? こらシロ 入り口で立ち止まんなよ」


ひな「あら。ご一緒ですか?」

シロ「うむ。そこで合ってな

今日は芝居小屋午前上がりだそうだ」



庵「て、事は。」






白「店員 ちょっとハエタタキくれ。」

ひな「Σ即座に害虫扱いですか!?」

白「ある意味害虫よりタチ悪いぞこれ」むう

朱禅「だよな!やっぱりそうだよな!!」こそこそっ

粋「お宅の店長何があったんだよ。」

庵「これの集団に齧られた事があるらしいよ」





魄哉「おや。見るからに亜種の多そうなモノなのに把握してるんですか?」びっくり。

白「バカラスに覚えろって言われてるし


それと

俺も昔齧られた。」


一同(Σある意味凄っ!!)ひいっ



皐月「えー!何でハエ暑いなん!!
アンタら齧ったの 他の奴やろこの子悪ない!」

粋「あーダメだこりゃ

こうなると止まんねえんだよな」うーん。


庵「(じゃ違う方向から。)

えーとさ。皐月動物とか育てられるの?
仮にちゃんと世話してても風邪とかひいて世話辛いなーとかって日も 一日もかかさず世話しないとダメって解ってる?」


皐月「世話はハナから何処ぞのおかっぱに丸投げした
後はエサが解らんだけやねん」どやっ


粋「うっわー。兄貴以上の暴君始めて見た。」引。

白「俺はちゃんと猫の世話してるぞ」むっ



魄哉「あのですね。皐月ちゃん

この世には どうしても人とは解り合えないタイプの物が居るんです

魑魅魍魎を人が飼い慣らすのは 不可能に近いんですよ」


皐月「色々飼い慣らし倒しとるアンタが言うか。」

魄哉「Σくっ!」


粋「Σちょい待て! その色々って俺らか!!」

白「まあ妖怪だし」うん。

シロ「確かに モノノケ人外全員見事に飼い慣らされとるな。」うーん。


魄哉「反論が出来ないっ!」くうっ


庵「頑張れ坊さん! 禅問答は得意でしょが!!」

魄哉「とは言えここからどう覆せばっ!」


ひな「既に説得力皆無なので無理ですね」きっぱり




皐月「ちゅー事で よく見てや
ほらほら近くで見たらつぶらな目がかわええやろ?
害あると思うか?」

粋「へ?つぶらって目どこ Σぎゃああ!!よく見たらちっさい目玉だらけええええ!!」ひいいっ



白「魄哉が負けたんなら 説得無理だな」うーん。

ひな「白さんが嫌がるって事は 多分良くない物ですよねえ。」うーん。



魄哉(うーん。
出だしから説得失敗しましたが
これは確か 本気でヤバイ系だったような)ふむ








彬羽「そりゃ飼えるもんじゃねえ 野に放せ。」

皐月「Σえええー!!」ガーン。


シロ「一番説得力のあるのを連れてきた

この方が早かろう」

白「バカラス今日バイト出てたのか」

シロ「うむ。猛暑に負けて奥で頭冷やしておったわ」



彬羽「こいつの主食はズバリ屍肉。
しかも普通の肉じゃ無理だ この時点でアウトだな。」

ひな「普通じゃないのと言いますと?」




彬羽「弱ってる妖怪を集団で襲ってトドメ刺して食らう 言わばハイエナみたいなもんだ。」


庵「弱ってたの?」

朱禅「あー。そういやあの時は確かに毒キノコ食って・・ うんうん!」頷きっ

白「麻に呼ばわりされて めちゃめちゃ弓矢ぶちこまれてた時だったな。」うん

シロ「どちらも危機なのに なんだこの差は。」



彬羽「という事でだ
お前がもし体調崩したら こいつはその場で仲間を呼んでお前にトドメを刺しに来るだろう

更に言えば今お前に懐いて見えるのは 未来の『食料』だからだ。

基本的にそういう生き物だ 飼うのは諦めろ」

粋「あ、となると生ゴミのところに居たのも」

彬羽「エサに近い何かを感じたんだろうな
空気的には似たようなもんだ。」



白・朱禅(俺ら生ゴミなのか。)





皐月「えー。 なんや信じたくないなあ

なんかもう情がうつっても Σげ」



がじがじがじがじ


魄哉「確かに 暑さで疲れてますが まだくたばる予定は無いんですがねえ?」


シロ「Σ落ち着けまだ味見の段階だきっと!!」ひいいっ



魄哉「おんきりきりおんきりきりおんきゃく
彬羽「落ち着け。」


物体「Σ!!?」しびしびっ


皐月「Σぎゃー!ストップストップ」



魄哉「皐月ちゃん はい!正座っ!」びしっ

皐月「Σはいっ!?」びしっと正座っ


魄哉「いいですか!
世の中は人の思う通りに行く事ばかりではありません!
この子の生体もそうです。この習性で人と共に生きられると思いますか
また生まれ持った習性を無理にねじ曲げ飼う事がどれだけ苦痛かお分かりですか
無理な物は無理!ダメな物はダメです!!」

皐月「Σう!

はーい」しぶしぶ




白「簡単に言うと?」

彬羽「相当痛かったらしい。」きっぱり

粋「うん。歯型ついてるもんな」納得。



皐月「うう。しゃーないなあ

呼んだら来るなら仲間もその辺おるんやろ。元気でなチャッピー」


物体改めチャッピー「ぴいいっ」フラフラ逃走っ


ひな(清々しい程チャッピー感ゼロですねえ)




皐月「あー行ってもた
寂しなるなあ」くすん。



魄哉「ぼ、僕間違ってませんからっ」

シロ「誰も責めとらんだろ」

庵「年寄りって結構デリケートだよね」うん。


朱禅「つか その歯型まみれで江戸城帰んの?」

魄哉「Σはっ!」


ひな「おしろいで塗りつぶします?」うきうきっ

魄哉「Σ結構です!!」










ーーーーーーーーーー



【芝居小屋】





皐月「チャッピー飼われへんタイプの子やねんて
しゃーないわ

んでな。そこの川原でこの子拾ったんやけどな」


熊(成体)「ぐるるっ」



つつじ「Σすんません!見るからに殺る気満々なんはちょっと!!」ひいいっ

皐月「えー これもあかんの?
粋も白もカワエエの飼ってんねんで。」むっ


つつじ「ペット欲しいんやったら今度金魚買うたります!!

やから何でもかんでも拾って来んのやめ Σあー!!!」





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