小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

8月12日

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江戸城 宝物庫】



ミーンミンミンミン

ジーワジワジジワジー




衛兵A「あの、天海様 呆けてね?」ひそひそ

衛兵B「だよな。賊とか入った形跡無いんだけどな

なんか劣化とかしてたとかそんなん?」ひそひそ



魄哉「あの。すみません」

衛兵A、B「Σはいいっ」びくっ



魄哉「ちょっと本丸の方に避難しててください
色々やっばいです」冷や汗ダラダラ

衛兵A「Σえ。ちょっとそれなら人集めた方が「どっちかと言えば坊主の仕事です逃げて下さい」

衛兵B「Σいや天海様 この暑さで顔真っ青てか真っ白「生白いのは元からです」きっぱり







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白「で、人ばらいして何をやればいいんだ ?」

粋「あああもう!兄貴午後から芝居小屋出なのにっ」頭かかえっ


魄哉「すみませんねえ ちょっと会話の通じる方では無かったもので

百聞より一見です ちょっと見てみて下さい」

宝物庫空けっ

白「入っていいのか?」




魄哉「こちら徳川の忠臣 本多忠勝殿の祖父『本多忠豊』殿の絵だった物です。」

白「白紙だな?」はて。


魄哉「中身はほら あそこに。」指差しっ

もぞもぞっ


粋「Σなんか居るううっ!!」ひいいっ


魄哉「ほら江戸城って元々怪奇現象多いじゃないですか?
それで最近計ってみたら恐山ですかってレベルの霊場にランクアップしてましてねえ。」

粋「いや計るって何そのアイテム」

魄哉「昔 海外を放浪してた時に買ったお土産がこんな所で役に立つとは。」うーん。


白「そんなんばっかり集めてるから 霊場レベル上がるんじゃないのか?」

魄哉「・・Σはっ!」



粋「つまりこれもヤバイもんかよ」引。

白(見えないって楽だな)うん。



魄哉「という事で 元は普通の肖像画ですがこんなんなったらお宅の案件かなー?と思いまして

あ、近寄ると噛みつこうとしますよ。」


白「妖怪だしこっちだろうけどな

話出来ないならどっちにしても殴って大人しくするって約束させて無理やり紙に捩じ込む事になるぞ?

俺がやらなくてもいいと思うけどな」

粋「そうそう!兄貴が遅刻すると俺が怒られるし」そわそわっ

魄哉「マネージャーも大変ですね

いやそのそれが、先程も言ったように 本多忠勝さんのお祖父さんの絵なんですよね」


白「誰だそれ。」

魄哉「Σう やっぱ説明要ります?」


粋「Σじかーん!!」ひいいっ





魄哉「粋君が泣きそうなので手短にっ

本多家の人はめちゃ徳川に尽くしてくれてるので なんか変なのになったとは言え そのお祖父さんを模した物をぶん殴るのは気が引けるんです 説明以上!」


白「ん?じゃあ 俺も殴っちゃダメなのか?」

魄哉「可能な限りそっちでお願いしたいんですが」





白「仕方無い バイト中だろけどバカラスに相談し
粋「Σ大概距離あるから時間無理いい!!」ひいいっ



白「殴っちゃダメなら炙るか?紙だし」

魄哉「Σ火炙りもちょっと!」ひいいっ





白「よし。お手上げだ。」どやっ

魄哉「Σ諦めはやっ!!」

白「無理なものは無理だ。俺の脳みそでいいの出てくるわけない」きっぱり

粋(こっちは助かるけど 身内として物悲しい。)




白「よし帰るぞ
俺も遅刻してつつじに怒られたくないし」

粋「え。あ、うん

ごめんな 急ぎだったんだろ
またカラス辺りと一緒に出直すわ」

魄哉「あーいえいえ。大丈夫です
むしろ無理言ってすみませんでした

まあ 他の食われない用に移動させとけば数日なら問題無いでしょう」苦笑。



白「食われるって何だ?」

魄哉「あ。説明忘れてました?

こっちの絵とかこっちの巻物とか 中身食われちゃって白紙になってんですよねえ」


粋「あのひょっとしてコレ「いわゆる重要文化財です。」






白「入れ替わりに専門家呼んどく。」

魄哉「Σ居るんですか!?お願いします!」おおっ



粋(兄貴でも解るくらいのヤバさすっげえ。)うわあ







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石燕「江戸城って 階段多いっすね 」ぜーぜー。

魄哉「Σ専門家の意味が違う!!」ひいいっ


石燕「んで、あっし向きの仕事ってなんすか?
絵の修繕とかっすかね?」※妖怪絵師

魄哉「Σだああ説明してないしっ!!」





間。







石燕「へー。なるほど
年代物の絵が勝手に動き出しちゃったと」ふむ。

魄哉「そうなんですよ
その上他の書物や絵がバクバク食べられてただの古ぼけた紙になるし 叩きづらい容姿だしで困ったもんです。

やっぱ僕が心を鬼にしてシバきあげるしかありませんかねえ」ため息。

石燕「ちなみにその絵のモデルの人とは?」

魄哉「生前 お茶友達でもありました。」ふっ

石燕「あーそりゃどつけないっすね


よっしゃ! んではこれはあっしが引き受けやしょ」

魄哉「Σえ」



石燕「なんか当時の資料無いっすかね
そうっすねー 出来たらその人とか子孫の愛着あったもんとかの資料欲しいっす」

魄哉「へ?へ!? ちょっと 何する気ですか!?
祓い師の真似事は危険ですよ」

石燕「真似なんてしないっすよー
本業さん前にして」

魄哉「すみません 状況が解らな



蒼月「はいよ。資料あったよー

あ、ジジイ 勝手に資料室漁ったからね」

魄哉「Σ蒼月君も来てたんですか!?」

石燕「階段途中で体力限界来たんで担いで貰って来たっす」

蒼月「この炎天下野郎担ぐとか拷問だからさー

着くなり女中部屋に直行しちゃった。」つやつやっ

魄哉「Σ何をして来たんですか!何を!!」ひいいっ



石燕「さてと。
成る程成る程 さすがっすねー めっさ詳しいの持ってきて貰えて有り難いっすよ。」ほうほう


蒼月「いや無視してないで助け Σ ぎゃ!その御札嫌だああ!!」ひいいっ

魄哉「お黙んなさい助平小僧!!何処で何してるか解ってんですか!!うちの風紀を乱すんじゃありませんっ」ぶちーん!






石燕「すんません。ちょい五月蝿いっす。」


魄哉・蒼月「Σあ。はい」びくっ




石燕「ほうほう やっぱこっちっすかね 」ぶつぶつ




魄哉「え。あの 石燕さん何する気なんです?なんか怖いんですけど」ひそひそ

蒼月「知らないよ。 本多家の資料出来たら挿し絵付きで漁って来いって頼まれただけだし

つーか あのモヤシが糸目かっ開くのなんて仕事関係くらいしか見な



魄哉・蒼月「Σあ!」







石燕「ではお久し振りの 毛有毛現の筆っ

ちょっとでかいの描くんで危ないっすよ!」ノリノリっ


魄哉「Σやっぱり!」

蒼月「あ、ヤバイ 筆ノリまくってる」




がたがたっ




本多忠家の絵だったもの「?」





石燕「本多さん家の家宝であり名馬 三河黒! ゴーッす!! 」びしっ

三河黒(絵)「ブルルルッ!」

本多忠家の絵だったもの「Σ!!?」




石燕「はい!ファイトっ!!」


がっし!!






蒼月「ファイトじゃないよ。何で組み合ってるの。」

魄哉「というか。三河黒 思いっきり存命の馬なんですけど」


石燕「だって お孫さんが主君から賜った馬っしょ?
絵とは言え お祖父さんがそんな名誉を傷つける事は出来ないっす

けど蹴られたくは無いっしょ? そんなら突進して来たら力比べにもなるっすよね?」

魄哉「何ですそのトンデモ理論。」

蒼月「コアな絵描きの世界解んないね」引。




石燕「ちなみに三河黒の方は 毛有毛現の筆使った時のあっしのテンションが性格決めるんで めちゃノリがいいっす

このまま持久戦になりゃオッサンより馬のがそりゃ強いっすからねー
疲労した所を一発蹴り上げて 大人しくして貰いやしょ」


魄哉・蒼月(Σ色々酷すぎる!!)















パッカーン




衛兵A「Σ今度は何!?」ひいいっ








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挿音「あのな親父。
もう飼えねえって言ってんだろ?」キセルすっぱー

魄哉「Σだから僕じゃありませんってば!!」



三河黒(絵)「ぶるるるっ」満足気


蒼月「コレ いつ消えるの?」

石燕「さあ? かなりノリノリだったんで数日その辺駆け回るかもしんないっすねー

てか こっちのお祖父ちゃん 暇でしゃーないから読書してただけらしいっすよ?
誰も相手してくれないから拗ねてたとか。いやー噛み付かなきゃ蹴られなくて済んだのに

魄哉「Σ会話できたんですか!?」

石燕(与一)「中身が私なら 似たような物だからな。」どろんっ

蒼月「あー。お化けにはお化けだね」




挿音「?

なんか 化け物退治でもしてたのかよ?」

魄哉「えーと、何処から説明すればいいのか

しっかし石燕さん 人よりモノノケ相手に商売した方が上手く行くかもしれませんねえ
ぶっちゃけ僕もついてけません」



石燕「あ。それ自分でも思うっすよ」へらっ

魄哉「Σまさかの自覚有り!!」




蒼月「つーかジジイも化け物なんだけどね。」

挿音「バケモンよりバケモンぽい人間も居るからにゃ その反対も有るだろ」


蒼月「あ。すっごい納得した」



魄哉「で、忠康さんの方は絵に戻れるんですか?」


石燕「・・・Σえ?」




挿音「ま、素人だしな」うん。

蒼月「素人だしねー。

江戸城の怪談がまーた増えたね」ため息。





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