小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

7月24日

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【妖怪横丁】




雨しとしと。



粋「Σうお!兄貴 歩きながら寝るなって!こら濡れる濡れるっ」ひいいっ

白「眠い」うとうと傘ぱさっ

粋「Σこらー!濡れる濡れるっ!!」


蒼月「大変だねー 昼間お役者業で夜は大将としてお呼ばれ
おかげで俺らもオマケお呼ばれしちゃったけどさ」ほくほくっ


粋「お前は夜遊び慣れてるもんなそりゃ」

蒼月「元ヤンの癖に慣れてないのが解んないねー」ぷーくすくす

粋「Σそりゃ確かに!確かに荒れてたけど!!
別に夜中に暴れるような近所迷惑な事してたわけじゃねえし!」

蒼月(ガラ悪いけど規則正しい生活してた系元ヤンか。)うわあ



「ねむ」うとうと。

粋「Σぎゃー目を離すと寝ちまう!」


蒼月「うわ! 目的地確かこっちだよね!!
ほら起きて起きて せめて道端で寝るのやめよ!

あ。あれじゃな Σ!!」




どーんと豪邸っ



蒼月「ねえ。お呼ばれでいいんだよね?
後で払えとか言われないよね?」一抹の不安。

粋「いや無いだろ ・・多分」気圧されっ





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蒼月「お。中結構人居る」ほっ

粋「人じゃねえんだろけどなあ

ほれ 兄貴起きて起きて
誰にどう話しすりゃいいんだよ」

白「んー えっと
なんかその辺の好きな座敷座ればいいらしいぞ」うとうと。

蒼月「ん?どこでもいいの?」

白「みたいだな。 ぐう」

粋「Σあ。力尽きた」




蒼月「へー。さすがVIP
そういう物なのか」うきうきっ

粋「招待されて爆睡するVIPとか聞いた事ねえっての」ずーるずる

蒼月「ぼったくりじゃないなら何でもいいや
その人売れっ子なんだし 万一の場合でもちゃんと持ってんでしょ?
それなら安心安心っ」

粋「いやお前普段どんだけボラれてんだよ。」



蒼月「つーかさ。奢りなんだからジジイ達も来りゃ良かったのに
皆変な所遠慮するよね」


粋「そりゃ 仕事で徹夜とか鳥目でこの暗い横丁無理とか座敷に犬お断りとか 皆それぞれ理由あるもんよ」

蒼月「千ちゃんみたいに雨で外出ダルいパターンもあるけどね」ふっ

粋「・・俺ら 大概フットワーク軽いよな」


蒼月「遊ぶ時は全力。至って当たり前じゃん

お。ここに名前と人数書くみたいだね
んじゃ4人と。」書き書き


粋「ちょっと待て。お前何が見えてんの?」




蒼月「ん?鏡子ちゃんも居るよ?
野郎ばっかじゃむさいし」

外出用手鏡っ


鏡子「わああ、凄い装飾ですねっ」おおおっ



粋(Σこいつら仲悪いのか良いのかどっち!?)


鏡子「あら?白さんおやすみですか?」

粋「あ、ああうん。
ちょっと疲れたみたいで

まあ一眠りすりゃ起きるんじゃねえかな?」


鏡子「あらまあ。
あ。お店って事はお料理が出ますよね
ならすぐに起きますか」ふむ。

粋「Σあ。鏡子料理食えねえんじゃ!」


鏡子「そもそもお腹空きませんので 食べたいと思いせん
日本料理は見て楽しめるので充分です」にこにこ。


蒼月(Σあれ?3人? 人数どっちで書けばいいんだよ!)斜線書き書き




むく。


粋「Σうお 兄貴おはようっ」びくっ

ごそごそ。

手鏡かたん。



鏡子「?」



蒼月「あ。うん。
4人席なら鏡子ちゃんそこだね」

鏡子「あの。私一席分頂いて良いんですか?
小さい手鏡なんですが」



白「いいぞ。
おやすみ」ぽてっ

粋「Σまた寝んの!?」


蒼月「たまーにお兄ちゃん特有の変な気遣い出るよね この人。」

粋「あの 俺には全く気遣いないんだけど」

蒼月「あーうん。アンタはなんか気を遣いたく無いって言うか」うんうん。

粋「Σどういう意味だよ!!」



鏡子「まあまあまあ。

あら?何かこちらに書いてますね」

粋「へ?」

蒼月「何々?

えーっと 『当店は一風変わった料理店です。
従来の店とは違う おもてなしをお楽しみください』

だって」


鏡子「へー。そんなのあるんですね

・・・あら?」

蒼月「なんか
そんな童話無かったっけ?」あれ?





雨しとしと。


粋「・・・・」
蒼月「・・・・」
鏡子「・・・・」






粋「なあ。

そう言えば普通 店員が注文とりに来んじゃねえの?」嫌な予感っ

鏡子「えっと。お客さんが多いので手が回ってないのでは?」

蒼月「それにしても遅すぎない?


なんかさ。同じ事思ってるだろし
万一の事があってもこのメンツだし大丈夫だと思うから言うけどさ。

ちょっと嫌な予感して来たんだけど
何? 俺食われる側は嫌だよ?」

粋「いやー無いだろいくらなんでも。

確かにさ。妖怪の世界って弱肉強食だし
兄貴の場合爺のせいってのもあるけど実質てっぺんだし
そりゃとって変わりたい奴も居るだろけど・・」



蒼月「・・居るだろけど?」

粋「まあ。妖怪ならこれくらい化かすとか出来るよな?」冷や汗だらだら

蒼月「待てこら自信無くすな 俺に聞くなよ」



鏡子「そう言えば
『あの童話』の冒頭も確か雨

蒼月「お兄ちゃん叩き起こして!!早くっ!!」ひいいっ

粋「Σ兄貴いいい起きて起きて起きて!!誰かの胃袋で溶かされるのは嫌だああ!!」がっくんがっくん!!





間。





白「招待状。」むすっ

招待状ぴらっ



蒼月「あの。これに書いてある通り
人相手に色々やらかしちゃった奴の店には間違い無いの?」

白「この前きっちりシメた所だから大丈夫だ。
今回こそ ちゃんとした普通の店始めるからって挨拶らしい」むすーっ



鏡子「あのー。生きてますかー?」

粋「」ぐったり。



蒼月「起き抜けのブチ切れローリングソバットまともに食らったからねー
しばらく起きないと思うよ」

鏡子「あーあ。おやすみが交代ですねえ」

蒼月「その辺はどうでもいいや

えー。て事はマジで大丈夫なの?」

白「一体何が大丈夫じゃないと思ったんだ?」はて。

蒼月「え?そりゃ童話 いやなんでもないようん。
そっかー 気のせいか。あははー」


白「童話?」

鏡子「その 『注文の多い料理店』てご存知ですか?

ほら お腹がすいて料理店に入ったものの、実は化物の店でお客を料理して食べちゃうぞってお話です」




白「いや、だからそいつらの店だ
ここ。」

蒼月「Σちょっと待て!!日本の話かよあれ!」

白「なんかブームがあったらしくて チェーン店とか何とか言ってたような」

鏡子「Σチェーンって あんなのがそんなあちこちあるんですか!?」ひいいっ


白「だから騙し討ちダメだろって。ちゃんとシメて やめさせて
それで 普通の店するようにしましたって言われて来たって事だ」

蒼月「あーうん そういう事か

何だろ なんか嫌だなあ」うーん。



鏡子「えーと。
それじゃオーダーとりに来ないのは?」

白「こだわりの店だから メニューはおまかせらしい」

蒼月「Σ料理に人間出て来ないよね!?」ひいいっ






店員「大変お待たせ致しましたー」




蒼月・鏡子「Σ!!」びくっ


白「繊細だな お前ら。」




ーーーーーーーーーーーーーー







粋「あだだ。
あれ? なんだ 俺何で寝て Σあいてっ」ずきーん。

蒼月「おはよう。

料理来てるよ さっさと食べなよ」

粋「へ? あー そっか。

て事は何の心配もいらなかったんだなー

ん?なんかお前 虚無って顔してない?」


蒼月「いや。味はいいよ。うん
だけどさ」もくもく




白「今日のこだわりメニュー
人面魚の丸ごと天ぷらだ。」

人面天ぷらぶらんっ

粋「Σ視覚的にきっつうううう!!」ひいいっ


蒼月「セーフだけど。セーフなんだろうけどっ
あーもうっ旨いのがムカつくな!!」






白「鏡子 お供えされてるみたいだな。」もぐもぐ

鏡子「食べられないのに鏡周りにご丁寧に並べて頂いてしまって
何か悪いですねえ」苦笑。

人面魚御膳っ



粋「Σ何の儀式!?」ひいいっ







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