小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

7月16日

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【幕府公営診療所】



石燕「小太郎さん 大丈夫っすよ!ちゃんと治して貰えるっすからね!」


小太郎「ぎゃいいいんっ!わおっ わおおおんっ」ぎゃんぎゃんっ

千様「Σえ。ちょっと待って!!
ここ人間の診療所でしょ 妖怪診れるの?せめて獣医

粋「大丈夫大丈夫!

先生 きゅうかーん!!」








飛天「あのー。診療所なんでもうちょい静かに。」うどんずずー

石燕「あ。お昼ごはんっすか
こりゃすんません。」


千様「Σなんで飛天君が先生!?」



白「色々あって えーっと?」

飛天「なんか非常勤てのに落ち着いたと言うか ごり押されたと言うか
暇だし良いけどさ。」ずずー

千様「どんだけ人手足りないのよ 徳川。」うわあ


飛天「んで、一体どうしたよ?」



千様「Σあ、そうそう
小太郎君が ちょっと事故って落下して 足の爪がビローンて!あー見てて痛いっ」

小太郎「わおっ ぎゃあおおおおっ!」きゃいいんっ

飛天「Σうわ ひっど!!」ずるるっ



粋「よくんなグロいの見ながら飯食えるよな」うわあ。

飛天「慣れだ慣れ。

うっわー酷いなこりゃ
何処からどんな風に落ちりゃこんななるんだよ」




小太郎「うさぎ追っ掛けてて足元見てなくて 岩の間に足挟まってつんのめって 勢い余って沢に落下して
んで、着地しようと頑張ったけどコケでずるん!ていってこんなに 」きゅーん。

飛天「うん。爪だけで済んで良かったな。」




白「落っこちながらどうにかしようと岩に爪立ててガガガてなってたの抜けてるぞ」

飛天「ん?お前も一緒にウサギ追っ掛けてたのか?」

白「いや。普通に迷子なってたら 突進してきた小太郎が悲鳴あげて落っこちていった」

石燕「あ。それで2人揃って帰って来たんすね」納得。

粋「兄貴 そろそろ地元で迷うのどうにかしような?」




千様「で、どう?」おそるおそる

飛天「うーん。犬の爪って骨とがっつり繋がってるからなあ

ちょっと色々診たいんだけど」


小太郎「がるるるるるるっ!!」毛逆立てっ

飛天「動物なら彬羽の助けいるかも? 俺が寄ったら噛まれるわコレ」


一同(そりゃアンタが荒いからだ。)




飛天「バイ菌入っても何だし 鎮静剤打つかなあ。」うーん

粋「おい。それ麻酔って書いてんぞ」


飛天「あ。バレた?」



石燕「鎮静剤も麻酔も似たようなもんっすけどね」

粋「落ち着かせるんじゃなくて 動けなくする方だよな絶対」



小太郎「だああ!やっぱ嫌だ!恐いいい!」ぎゃいいんっ

千様「Σあ!こらっ」



粋「おいこら!その足で動いちゃ危な




白「全員伏せ。」

粋「へ?Σうっぎゃあああ!!!」


ズドドドドドドッ!!

千様「Σいっやああ!矢ーーッ!!」ひいいっ





石燕(与一)「よし。一本当たった

安心致せ 矢じりは針程度の物にしておいた。」

粋「Σ安心できるか!!」



飛天「Σあ。こっちの麻酔薬パクられてる!!」

石燕(与一)「適量が解らんので適当に塗っておいた

まあ多少多くてもこいつなら死なん」きっぱり

飛天「Σいやいやいや薬は適量!!」



白「言ってる間に診とかないと またすぐ復活して暴れるぞ?」

飛天「だああもう! 薬は備品だからもう触るなよ!
んで白!それ俺の昼飯だっての食うな!!」

白「うどん伸び「食うな!!」




粋「何だかんだ板についてんなあ」

千様「ねー。
一族のお頭してなかったら正式に徳川にスカウトされてるパターンよね」








間。






飛天「よっし。処置終わりっ」ふう。

白「骨大丈夫だったのか?」


飛天「んーまあギリギリでな
こいつの生命力なら すぐにくっつくだろ」手ふきふき


千様「小太郎君良かったわねー」なでなで。

粋「なあ?まだ起きないのは大丈夫なのかよ」


飛天「あー。それな
若干覚醒の兆し的なのがあるから大丈夫っちゃ大丈夫だとは思うんだけどな」ちら

石燕(与一)「ん?
あの場合仕方なかろう

ケガのまま逃げまわられて悪化するよりはマシと踏んだのだ」むっ


飛天「あーうん。
そこはもう結果オーライでいいけどさ


お前、二重人格?」


千様「そういや飛天君 与一さんの事詳しく知らなかったわね」

飛天「与一? こいつの名前石燕じゃ?」はて


粋「あ、これ説明いるやつ?」

白「俺もいまいちよく解ってないけどな」






間。







飛天「よし解った。
つまりは良くある呪われた装備だな。」うんうん

石燕(与一)「人を迷惑アイテムみたいに言うな」むかっ



一同(いや。まんまそれだろ)



千様「そうね。言われてみれば 元々は弓に憑いてたのがいつの間にか石燕さんに移動しただけで
確かに呪われた武器ではあったわ」ふむ

石燕(与一)「む、そう言われれば
そうなのか?」うーん。



粋「そっかこいつ 馬鹿って言うか物事深く考えらんないタイプか」

飛天(それを馬鹿って言うんじゃないかなあ)うーん。



白「なあ。呪われたって言うと 嫌な感じだけど
お前に憑かれてて 石燕には何か嫌な事あるのか?」

石燕(与一)「本人に聞くか普通。

そうだな 健康面では問題は無いし むしろ意識が私の時に動かしづらいから鍛えろと言っておる
体には問題は無いとは思うが」

飛天「思うが?」



石燕(与一)「体の主導権持っておるのがどちらの時も双方意識はあるからな
もちろん記憶も共有となるし

取り憑く以前のあれやこれや、普段のしょうもない思考までモロバレ


飛天「言っとくけど俺はメンタルは診れないからな?」



千様「普通なら恥ずかしさとかでどうにかなりそうよねー」

粋「俺なら耐えらんねえわ」うん。



石燕(与一)「まあお互い様だしな。

慣れたらどうって事はない。常にこの状態だからストレスは溜まると言えば溜まるが 同性だった分マシくらいに思っておる」


粋「つまり、深く考えらんねえのが役に立ったと。」真顔

石燕(与一)「忘れた頃に何か刺さっても知らんぞ」イラッ


白「なあ。それって

一度取り憑いたら 別々になるのは無理なのか?」

石燕(与一)「ん?」


白「ストレス溜まるなら 実体欲しい時だけ石燕の体使って後別々ならいいんじゃないのか?」



石燕(与一)「考えてもみなかった。」はっ


粋「やべえ。兄貴が賢く見えてきた」ドン引き。

白「燃やすぞ」




千様「え?離れて大丈夫なの?」

石燕(与一)「解らん。消滅しそうなら急いで戻れば行けるような気もしないでもない」

飛天「診療所で事故はやめてくれよー

うお。うどんデッロデロ!!」ひいいっ



石燕(与一)「良し!では物は試しだ!参る!!」くわっ




千様「慎重にねー!」

粋「おー 頑張れよー」


白「・・・・あれ?」





石燕(与一) 「どうしたらこの体から出られる?」困惑


粋「解んねえのにやろうとしたのかよ。」


飛天「一度装備したら外せない
やっぱ 呪いの装備か」伸びたうどんずそぞー



石燕(与一)「だああまさか!まさか一生このままかっ!?」ひいいっ

粋「一生も何もお前とっくに死んでんだろ!
つか何がどうなると思ってたんだよ!」

石燕(与一)「死人が先の事など具体的に考えると思ったか!!」

飛天「こら、診療所でそのワードやめろ」ずぞぞっ




白「ん?それなら」


千様「Σえ。今度は何?!」






白「ひ弱な石燕が何かの拍子でポックリいったら 与一ってどうなるんだ?」

石燕(与一)「Σ!!?」



飛天「おい。診療所でポックリ言うな」





がららっ




彬羽「普通に考えりゃ その体に定着してる時点で与一ももっぺんくたばるだろうな」


千様「あれ?彬羽君
今日バイトじゃ?」




彬羽「こら飛天!こっちで勤務の時は弁当持ってけて言われてるだろが!!
出前ついでに届けろとかこっちは仕事中だぞ!!」くわっ

飛天「あー。悪い悪い
もうそこのうどん屋の出前頼んで食ったわ」

彬羽「Σんなっ!?」



千様「何?わざわざお弁当届けに来たの?」

彬羽「『天海』として頼まれたんなら仕方ねえだろ
」ふんっ

飛天「こっちも子供じゃ無いんだけどなー」ずぞぞっ



粋「お前ら何だかんだで従兄弟仲良いよな」引。









白「お前ら こっち忘れてないか?」


石燕(与一)「寄りによって 生死を共にする宿主が貧弱+不摂生
終わった。」がっくし


一同「Σあ。」



粋「えーと。あんま気にするなよ

ほら。二度目の人生なんだし その、贅沢言わなきゃそれなりに なあ?」冷や汗っ

石燕(与一)「フォローが思い付かんなら無理に慰めようとするな 腹立つっ」


白「石燕を健康にすれば良いんじゃないのか?」

石燕(与一)「あんな精神面から不健康の塊どうにかなるか!!」


千様「Σえ、精神不健康なの!?」

石燕(与一)「お前らは解らんだろうがな!
こいつの根っこはこうドッロドロで陰湿で キノコ生えとるわこんなもん!!」

飛天「そのセリフ 今も本人に聞こえてるなら
更にキノコ生えねえ?」


石燕(与一)「Σはっ!!」


粋「うっわー すんげえ負の連鎖。」

千様「与一さんの為にも 引きずり出してでもご飯は三食食べさせましょ」ため息。




小太郎「うー。煩いなあ」もぞっ

飛天「おっ 起きた起きた
しばらくは歩くのも控えろよー」

小太郎「へ? Σあだあ!」ぎゃいんっ


粋「あー こりゃ帰りもおぶってかなきゃダメかな」





白「あれ?
お化けって 死んだらまたお化けにはならないのか?」ふと。

彬羽「ん?そりゃ今が石燕の体を動かせる 言わば生物モドキだからな
肉体の死後は2人まとめて幽霊になる可能性もゼロじゃないが」


白「なんだ。じゃ何も問題無いんだな。」ふむ

彬羽「いや。問題無くは無いだろ」




千様「なんか。幽霊身近だと死生観おかしくなるわねえ」うーん。






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