小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

12月27日

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石燕「うーん。暇っすねえ」縁側正座っ


挿音「お前何してんだ?
障子開けっぱで寒いだろ」


石燕「Σストーップ!! そこソバ殻っ!
ソバ殻干してんすよ!!」

挿音「遅いっての やべ踏んだ。」じょりっ




石燕「枕のソバ殻はマメに干さないと虫沸くんすよ

んで、中身潰れるんで枕がへたるしで たまーにこうやって中身出して干して、へたった分を補充と」

挿音「マジか。まったく知らねえわ」キセルすぱー

石燕「・・親御さんが敏腕主夫で良かったっすね」

挿音「だな。

下手すりゃ中身虫の枕で爆睡こいてるところ

石燕「嫌な夢見そうなんでこのくらいにしときやしょ」



挿音「なんだお前虫苦手かよ?」

石燕「Σ苦手じゃなくてもキモいっすて!!」

挿音「そうか? 野宿した事ねえだろさては」

石燕「普通の町民はあんま無いんすよ それ」

挿音「お前のどこが普通


あ。」


びゅおおおっ


石燕「あ。」











間。









【割烹 春一】





朱禅「あのな。うちもソバの実から粉にする所からやってる訳じゃ無いんだよ」

ひな「中身だけ変えるよりいっそ新調したらどうですか?
いい初夢見れるかもしれませんよ?」


庵「んで、枕無くしてその後何があったの?」

挿音「いんや。単に石段でへばって転がり落ちてな
おーい。生きてっか?」

石燕「す、すんませ 」ぜーぜー



ひな「意外と面倒見良いんですね」

挿音「ソバ殻吹っ飛んだの半分俺のせいだかんなあ
今年最後の休みだってのに。」ため息

庵「そもそも今日風強いから干しちゃ駄目だって。」





挿音「だとよ。来年から気を付けろ

ほれ とっとと替えの買いに行くぞ」ずーるずる

石燕「ちょ ちょっと待っ 少し休ませ げほっ」ぜーぜー。

挿音「お前ちったあ体鍛えろよ」




一同(一般人と現役忍じゃ体力の差がなあ。)













【よろづ屋】

『本日は25日までの営業とさせて頂きました。
新年も変わらぬ御愛顧を(以下略)』



挿音「・・まあ。年末の田舎なんざこうなるわな 」

石燕「今頃店員さん達大掃除っすかねえ」ふっ




挿音「もう良くねえ?

枕なんざ座布団で良いだろが」

石燕「Σよか無いっすよ!
あっし肩凝り半端ないんすから ちゃんとしたの使わないと仕事に差し支えんっすよ!!」

挿音「猫背で運動不足だからじゃね?」

石燕「Σう。」



挿音「つーか。さっさと帰らねえとそもそも石段上れんのかお前
途中へばったら置いてくぞ」

石燕「いえ、とっくの昔に戻る体力使い果たしてんすけどね。」



挿音「そこらの道場破りでもしてちっと体力つけて来いや。」イラッ

石燕「Σだっから一般人にゃ無理っすて!!
普段何してんすか!!」





粋「いや。お前らが何してんの?」




挿音「お?
お前こそ何してんだ? パシリか?」


粋「兄貴、いや先輩方に休憩中につまめるもん調達してかねえと。
この時期昼休みまともに取れねえし 」

石燕「全力で見習いやってんすね」

挿音「役者も大っ概体育会系だな。」



粋「で、石燕はなんで道端座り込んでんだよ」

石燕「先程石段で強打したんで痛いんす。」

挿音「歩けるなら膝の皿割れてねえだろ?」


粋「いや、医者行けよ。
つか連れてってやれ」





挿音「転んだくらいでか?」

粋「人間は石段で転んだらケガすんだよ!」

石燕「おお! 感覚がまともだ!」感動っ



挿音「おい、俺も人間な?」

粋「つつじに一度本気でやり合ってみたいって言わせる時点でバケモンだっての。

あ、やんなよ?万一怪我したら舞台に穴空くかんな」

石燕「案外好戦的っすね。あの人。」

挿音「言われなくてもやんねえけどな。
俺らみたいなのがやり合うとなりゃ お互い急所狙い1発勝負だしよ
本気でってんならどっちか死

粋「具体的で洒落になんねーての。」






石燕「んで、あっしは何処に持ってかれてんです?」

粋「いや。ソバ殻いんだろ?」

挿音「あ?医者じゃねえのかよ?」


粋「いやもうさっさと終わらせて帰らせた方がいい気がしてきた。
何よりお前が怖えし


よっしゃ 着いた!」

ぽいっ


石燕「Σあだっ」べしゃ





つつじ「お?何やの。」きょとん。

白「石燕。風呂敷包みみたいに持ってこられたな」

粋「せめて三食食えよ。 がリッガリだから軽い軽い」




挿音「ん?なんで芝居小屋だよ
パシリ優先か?」


粋「違う違う


おーい。小道具のおっちゃーん ソバ殻少し分けてくんね?」すたすた。


石燕「へ?芝居小屋に売ってんすか?」


つつじ「んなわけないやろ。
小豆と同んなじでな 音の効果に使えるんどす」

白「ソバ殻探して来たのか?

このコンビでか?」はて。

挿音「色々あったんだよ」





粋「はいよ。こんなもんでいいだろ」ソバ殻ざら
らっ

石燕「Σおおっ!さすがっ」


挿音「おー。良かったな」キセルすぱー

つつじ「すんません。うち禁煙どす。」




石燕「・・あの。

お世話になってなんなんすが」


粋「ん?」





石燕「ふと我に帰ってみると
こんな大冒険しなきゃいけないような事なんすかね コレ。」 真顔っ

挿音「お前にとっちゃこんなんが大冒険なのかよ」



白「そんなに探し回ったのか?」

挿音「いんや。 春一からよろづ屋
んで、ここだ」

つつじ「わての出勤コースより短いかもしれんわ それ」




一同(普段家から出ないからなあ。)うーん。



石燕「だ、だってほら!!
階段の上り降りとかもあるんすよ!」

挿音「確かに石段急だがよ
家康なんかもひょいひょい駆け上がってるかんな?」




つつじ「ん?石燕はん
なんか足おかしないか?」


石燕「なんか皆に説明してる気がするんすけど
石段で疲れて足もつれて転げたんすよ」

つつじ「あんなあ。

それ多分ヒビいっとるわ
折れとらんから動くけど下手したら激痛来てボキイッや。」

石燕「え。」





挿音「・・マジ?」

つつじ「仕事柄ケガは大敵やからな
このびっこの感じヤバイと思うわ」

白「自分で気がつかなかったのか?」つんつん。

石燕「Σぎゃー折れる折れる! つつくのストーップ!!」びくううっ





粋「だってよ?」

挿音「・・・。」






間。






家康「おや、おかえりー

Σって、 石燕ちゃんどしたの!!
負傷兵みたいになってるけど!」


挿音「ケガ人はこうやって運ぶもんだろ?」

石燕「ほぼ引き摺られて来たっす。」ぐったり




家康「・・ 怪我したんならおんぶで良くない?」

挿音「あ、その手があったか」




千様「あいつ、昔っから戦闘関連しか覚えてないのよねえ」

シロ「忍なら応急処置とか要るのではないのか?」


千様「性格的にトドメになるからって教えられてないのよ」






挿音「骨はタンパク質取ればくっつくよな?」

家康「うん。まず休ませようね 頼むから」




千様「本人が骨二、三本折れてても動き回るバケモンだものね」

石燕「あの、それはもはやバケモンでも無理なんでは」



挿音「折れたのが綺麗にまっぷたつになってんなら もう片方にぶっ刺さりさえすりゃ結構普通に動くんだぞ?」

石燕「Σ聞くだけで痛いんすけど!!」ひいいっ





家康「まあ、戦国生き抜いたらああなっちゃうよねえ
当時うちの軍最年少だったし」

シロ「Σお前 そんな子供を徴兵したのか!?」

家康「いや。勝手に参加されちゃったの
言うこと聞かないわ 最前線でジェノサイドするわで
本気で困った困った」





石燕「あの人とは解り合える気がしないっす」

千様「気が合うのが居たとしたら阿修羅とかそこらへんよ」



家康「で。骨折するような何しに行ってたの?」

挿音「ん?ソバ殻枕買いに」

家康「はい?」


シロ「よし。何か知らんがお前は買い出し行くな。」




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