小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

4月10日

 

 

婆さんの幽霊「約束したんです
次に桜が咲いたら駆け落ちしようって」しくしくしくしく


千様「ねー。可哀想だと思わない?」

粋「Σ思うけど 幽霊拾って来ねえで!頼むから!!」ひいっ

 

 

 

テオドール「と言う事は
お相手は来られなかったので御座いますか?」

 

婆さんの幽霊「その年は 桜が枯れそうになってて咲かなかったの」しくしくっ


家康「あー。桜って病気に弱いんだっけ
気の毒にねえ」うーん。

 


白「で、それからずーっと待ってるのか?」

婆さんの幽霊「はい。
毎年毎年 綺麗に咲き誇った桜の前で待っておりましたが」


粋「え。毎年?
それで、そのまんま」ええっ

 

婆さんの幽霊「今年の桜ももうすぐ満開だろうに。
今年こそあの人は来るかもしれないのに」ううっ

白「来るかもしれないなら 今から行けば良いだろ?」

 

粋「Σこら兄貴!」

テオドール「もし万が一いらっしゃったとしても!
お相手にはこの方が見えないのではっ!?」ひそひそっ

 

白「どうだろう
このトシだと相手も生きてるか微妙だと思うぞ。」チラッ

粋・テオドール「Σあっ」

 

 

家康「お姉さん、失礼ですけど 御歳は?」

婆さんの幽霊「・・100は越えてると思うんだけどねえ」うーん。

 

粋「すっげえな」わお。

テオドール「その様な御老体が
毎年桜の前で うわ。切ない話に御座います」

 


白「よし。メソメソしてる間に相手来てたら悪いし
その桜のところ行くぞ」

 

一同(Σデリケートな話吹っ飛ばす行動力よ!)

 

婆さんの幽霊「それが ねえ。」

白「ん?」

 


婆さんの幽霊「どこだっけ?」真顔っ

白「おい。」

 


千様「どうも 亡くなって漂ってる間に迷子になって
桜の場所とか今どこに居るとか解んなくなっちゃったぽいのよねー。」

家康「つまりは迷子だね
こりゃ困った」うーん。

 


婆さんの幽霊「うう、桜が散ってしまう」しくしくっ

 


白「仕方ないな。
どんな桜だ?特徴とかないのか?」

粋「Σえ。兄貴まさか この国中の桜探す木じゃ!」


婆さんの幽霊「えっと。
大きな枝下桜で。
幹が斜めになってて こっち側に枝の折れた跡が」えーと。

 

白「石燕、絵にしてくれ
簡単で良いから」

石燕「了解っす
こんなん覚えられんねえっすわ。」書き書きさらさらっ

 


婆さんの幽霊「ーーでねえ。
根っこの辺りに大きい石が有るの
いつからか忘れたけど。」

石燕「ふむふむ、こんな感じっすかね?」

婆さんの幽霊「そう!そんなの!!」おおっ

テオドール「近所の方が置いた飾り石に御座いますかねえ?」ほうほう

 


白「よし。じゃあそれ何枚か同じの書いてくれ

後は 暇な奴等、頼んだぞ。」

百鬼夜行「うーす。」ぞろりっ

 


粋「Σぎゃああいつの間に!!」ひいっ

 

ろくろ首「お任せください
アタシの首なら 高ーい所から見渡せますんで」ほほほっ

キジムナー「木の事は木にお任せを」ちょろろっ

人面犬「犬の嗅覚なめんなよ!」わんっ


テオドール「またバリエーションの豊富な」わお。

 


白「よし。頼んだ
早くしないと 桜散っちゃうしな」

百鬼夜行「あいよ!」ぞーろぞろっ

 


彬羽「Σうお!明るい内から何の騒ぎだ!!」びくっ


千様「あら お帰んなさい」

家康「皆、迷子のお婆さんの桜を探しに行ってくれたんだよ」

彬羽「Σは!?」


蒼月「そりゃ 『は?』てなるよね」うん

 


白「見つかるのかな」ボソッ


石燕「ん?絵のクオリティ低かったすか?」

白「そうじゃなくてな」えーと。

 

テオドール「大丈夫で御座いますよ
人海戦術に御座います
吉報を待つと致しましょう」にこにこっ

白「そうだな。」うん

 


婆さんの幽霊「見つかるかしら 見つかるかしら」そわそわっ

 

 

 

ーーーーーーー

 

 


粋「見つかったのは良いけど」うわ。

 

 

桜だった枯れ木 ぽそっ。

 

婆さんの幽霊「Σあああ!そんな!!」

 

 

テオドール「これでは二度と咲けないのでは」

白「だな。
婆さんが若い頃にそんな元気だった桜なら 今結構な年寄りだとは思ったけど。」

 

彬羽「そう言う事か
これでは 待ち人ってのも」

 

婆さんの幽霊「あああ これじゃ二度とあの人と会えない」しくしくっ

 

粋「えっと、
どうしたら良いのこれ」困惑っ

テオドール「と言うか
桜さえ無事なら 必ずまた会えると信じておられたので御座いますねえ。不憫な」

 


白「ん? あれっ」

粋「Σえ?何!
まさか相手来た!?」きょろっ

 

白「違う

バカラス。ちょっとこの石どけてみろ」

彬羽「ん?
この桜の根を踏んでるやつか?」
ひょいっ。


粋「Σ相変わらず 小石でも持つかの様に!」ひいっ

 


テオドール「・・これは、
潰れた 黄金虫の殻?」おや。

 

 

 

爺さんの幽霊「はー どっこらせ。」どろんっ


粋・テオドール「Σぎゃーっ!!!」びくううっ

 

 

爺さんの幽霊「あーもう 誰じゃ
人の上にあんなもん置きよって
雅だか何だかしらんが 昆虫霊じゃ石の霊力に勝てんわ」肩とんとんっ

 

粋「Σえ。まさか この爺さん
この黄金虫!?」ぎょっ

 

爺さんの幽霊「お。ワシの羽の殻
まーだしつこく この世に残っとったか」わははっ

テオドール「御自分の体の1部相手に どんな反応に御座いますか。」えー。

 


爺さんの幽霊「冗談はさておき」くるり

彬羽「おい。まさか」

 


爺さんの幽霊「いやー。 遅くなりまして
相変わらず お綺麗ですな」にこっ。

婆さんの幽霊「ああああ何十年ぶりでしょう!!」感涙っ

 


テオドール「Σはいい!?」

粋「え?え?
この 婆さんが駆け落ちする約束してたのって 黄金虫!?」

 

白「そもそも婆さんも人じゃないしな」

粋「Σえ!?」

 

 

茨木童子「はいはい。お待たせー。」朧車からひょいっ


テオドール「Σ茨木童子さん!?」

 

茨木童子「本来なら 枯れちまった木は 俺にもどうにもならないんだけどなあ。

魂がここに有るから行けるか。

はい!枯れ木に花を咲かせましょうっ」

ぽぽんっ!!

 


白「お。咲いた。」

 


粋「え?え?何がどうなって」

テオドール「Σあ!お婆さんがっ」はっ

 

 

婆さんの幽霊「あらあら 手のシワが」つやつやっ


粋・テオドール「Σ若がえったー!!!」えええっ

 


爺さんの幽霊「おお。
やはり何と綺麗な桜

長くかかりましたが やっとですのう」

 

粋「あ、あの どういう?」混乱っ


彬羽「あの婆さんは この枯れた桜だったらしいな」

テオドール「Σ桜と黄金虫の恋物語に御座いますか!?」


彬羽「世の中には そう言う事もあるんだな。」しみじみっ

粋「Σ受け入れ早え!」

 

 

爺さんの幽霊「いやしかし

やっと あの世に新婚旅行と言うのに ワシだけこんなシワシワで申し訳な  ん?」

 

つやっ。

 

 

蒼月「ツケにしといたげるよ。」けっ。

茨木童子「こんな事も有ろうかと 朧車に引きずり込んどいた」どやっ

 

 

テオドール「意外と こういうのお好きなので御座いますね。」ほー。

蒼月「Σうっさい!金とるよ!」うがあっ

 

粋「そっか。今アレ有る意味どっちも幻なのか

幽霊の時点で 幻みたいなもんだけど。」ほー。

 

 


黄金虫の幽霊「では、参りましょうか」

桜の幽霊「皆様 お手数をおかけしました」深々っ

 

白「お代は花見で良いぞ
今日一晩は持つらしいし」

桜の幽霊「それは良かった。
私の最後の花 とくとお楽しみ下さいね。 では」

 

 

 


粋「やべえ。泣けてくる」ずびっ

テオドール「ホントに感受性の豊かな方に御座いますねえ」苦笑。

彬羽「かなり時間はかかったが 良かったんじゃないか?」


茨木童子「だなあ。
じゃ 俺等も夜桜見物と洒落混みますか」

 

白「ん?俺等だけじゃないぞ?」

茨木童子「へ?」

 

 

白「この桜、捜し当てたの誰だと思ってるんだ。」


百鬼夜行「主様ー! 用事終わりましたかー!!」どどどどどどっ

 


粋「Σぎゃああ また出た!!」ひいっ

テオドール「Σうおお!既に酒やら何やら持参に御座います!!」

 

ろくろ首「よっしゃあ! 今日はここでどんちゃん騒ぎよー!!」ほほほほっ

 

蒼月「Σアンタ等!
少しは綺麗にまとめろよ!!」ああもうっ

彬羽「このメンツじゃ そりゃ無理だろ」はーやれやれっ

 

 

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