小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

3月30日

 

 


【某屋敷】

 

晴明「と言うことでだ

先日、この家の当主がポクッと逝きおった
そこまでは良いのじゃが

粋「良かねえし、遺族の住んでる家で言い方言い方」おい。

 


晴明「左様。
問題はそこだ 

この屋敷には その遺族が住んでおるのじゃが」

粋「何? お前が呼ばれてるって事は
やっぱ幽霊でも出るのかよ」冷や汗っ


晴明「安心せい 足は有る
有ると言うか


どだだだだだっ!!

粋「ん?」

 



テオドール「Σぎゃああああ お助けをっ!!天井に御老体がっ!
天井に貼り付いてカサカサしておられますううっ!!」ひえええっ


爺さん「キヒヒヒヒッ!!!」ざかざかざかっ!

粋「Σっぎゃあああー!!!」ひええっ

 


彬羽「確かに足は有るな」ふむ。

晴明「しかも健脚の様じゃ
あれ、足の指と握力で天井に貼り付いとるぞ」


白「めちゃ元気だけど 死んでるのか?」

晴明「うむ。なんぞ悪いのが死骸に入り込んだらしくての

肉体は徐々に朽ちて行くので このまんまだと偉い事になるわ 春であるしな。」

彬羽「そう言う問題か?」

 


晴明「この手のには慣れておるでの 一般的な感覚は解らん。

しかし、その前に この家の奴等の精神がヤバイと言う話での
ほれ、見るからに金持ちじゃし コネで幕府に相談が行ったと言うか

 

粋「この状況でよく長々説明出来るな!!」ひええっ

爺さん「ケケケケケケっ!!」ざかざかざかっ!

晴明「だから 慣れとると言うとろうが」しれっ

 

白「テオ、 それもう人間じゃ無いからやって良いぞ」

テオドール「かしこまりました!!」番傘どすっ!


爺さん「ケケケっ!」すすっ


彬羽「Σ素早いな!」

 


晴明「そうなのじゃ
問題はそこよ。


本来なら何がとり憑いておろうと 結界内に閉じ込めて 封をしてしまえば終わるのだ。

が、しかし」印びびっ

 


爺さん「クケケケケケケケケッ!!」しゅぱっ!ささささっ

晴明「この様に 閉じ込めようとすると 
結界発動前に 逃走しおるのじゃ」うーん。


白「お前のって術発動までめちゃ早いんじゃなかったっけ?」
晴明「この世に私の術式より 速くて頑丈な物はないぞ」真顔っ

 

 

テオドール(と言うか あの動き
取り憑いてるのってゴキ・・  いえさすがに黙っておくべきに御座いましょうね) うん。

彬羽(家庭内害虫も悪霊化するのか。)

粋(爺さん とっととどうにかしてやんねえと可哀想すぎる)ひええっ

 

 

晴明「と言う事で お前等を呼んだのだ。
化物はお主の管轄で有ろう 魔王。

責任持って取っ捕まえろ」

白「いやあれ 妖怪じゃないよな?
お前 絶対解ってるよな?」

 

彬羽「言ってやるな。
かと言って アレを放置して帰るのも気が引ける」

粋「俺、自分が死後なあんなんなったら それこそ化けて出ると思うし」うん。

 


テオドール「御安心下さい。
その前に ちゃあんと我が主が火葬して下さいます」にこっ

白「俺のが長生き確定なのか」


粋「Σそれはそれで何か嫌だ!!」

 

 

晴明「と言う事で頼んだぞ。
捕まえたら起こしてくれ」ごろーん。

彬羽「余所の家でよくそこまで寛げるな」

晴明「慣れておる」

 


白「実は妖怪ぬらりひょ
晴明「狐じゃ。」

 

 

 

間。

 

 

粋「つか 捕まえるって何処行ったんだよ
この屋敷大概広いんだけど」きょろっ

テオドール「と言うか
取り憑いて居るのが アレだとすれば
天井だけでなく 何処かの隙間、普通に屋根裏とかを這ってる可能性も御座いますしねえ」うーん

 

粋「・・捕まえようとしたら 飛びかかって来んじゃねえの? それ」青ざめっ

テオドール「それなら私、何度か傘で叩き落とした事が御座いますよ?」

粋「Σお前 ここぞと言う時強えよな!」ひえっ


テオドール「いえ、奴等は 逃げ場が無いと判断すると
1番守りの弱そうな所を見つけ フライングアタックかますと 彬羽さんに聞いておりましたので

ムカつきまして御座います」真顔。

粋「やっぱ充分逞しいし 
毎度何教えてんだよカラス」

 

テオドール「故に アレだとしたら生理的にキッツう御座いますが
なんぼでも対処出来まして御座いますよ」番傘ぶんぶんっ

粋(ん? この場合
1番護りが薄そうな所 俺じゃね?) はっ

 

 


テオドール「しかし どこで御座いましょうねえ
あ、そこの水瓶 ちょっと退けて見て下さいませんか?」

粋「Σえ。やだ」びくっ


テオドール「・・・私じゃ持ち上がらないので御座いますけど
え? どんだけビビりなので御座います?」ジト目っ

 

 


ーーーーーーーー

 


彬羽「これで良しと」

白「なんだそれ」

 

彬羽「業務用のハエ取り紙だ

夏に向けての飛天の新作 言わば試作品だな」

白「春一で使う前に ここで効果見るつもりか お前。」


彬羽「飲食店は虫が天敵だからな

まして今回のは中身が虫っぽい。
なら情けは要らんだろ」

白「見た目爺さんだけどな。
かかったら絵面凄い事になるけどな」うん。

 

彬羽「と言う事で間違ってもかかるなよ
絶対踏むなよ フリじゃねえからな」

白「俺 どんだけ鈍くさいと思われてるんだ?」なあ。

 

 

彬羽「いやお前 
実際 前に天井裏のネズミ取りのトリモチにかかって

 

娘「Σぎゃああ!おじいちゃん出たあああーーっ!!」ひいいっ

 


白「あ、あっちだったぽい」

彬羽「また嫌な悲鳴だな

あっち側には確か
だああ!どうなってんだこの屋敷は!」イラッ!

 

使用人「あのー、そちら風呂場です。

屋敷内広いんで 角ごとに 印書いておりますが」えーと。

彬羽「Σ書いてたかそんなの!?」

白「お前 また近眼進行したのか?」うわ。

 

 

 

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粋「あああ居たけどやっぱ嫌だあああ!!!」どたたたっ

テオドール「Σビビんじゃ御座いません!
アレ確実に脅して喜んでるで御座いましょうが!!」どたたたた!

粋「Σいやお前も逃げてんだろ!「キモいんで御座います!しゃーないで御座いましょう!!」


娘「いやああ!おじーちゃん来ないでええええ!!」どたばたっ

 

粋(Σ確かにキモいけど 孫娘からの来ないでは おじいちゃん可哀想!!)

テオドール「ほだされはもう良う御座います!
やらないなら 私がやらせて頂きますよ!!」ずざざっ


粋「Σちょっ!孫の前で」えええっ

 

テオドール「我が主の『やって良し』の命は 取り消されておられません!

虫は基本前にしか進めな 

Σえ゛」

 

めしゃっ。

 


爺さん「けけけっ!」ぴょーい

 

粋「Σそりゃ 飛んでくる虫は叩き落とせても 爺さんは体重的に無理だろ!!」


テオドール「」きゅうっ

 


娘「Σ何がしたかったのその人!!」

テオドール「と、飛んでくる虫としか 認識していなかったので」かはっ

 

娘「Σ虫!?」

粋「Σやめろ!身内にこれ以上言ってやんな!!」

 


テオドール「と、とにかく後は任せまして御座います

ちょっとサラサラしたら戻ります故」

粋「あ、人遠ざけた方が良いか!

了解!はい。爺さん来るから逃げて逃げて!!」ほれほれっ


娘「Σその人大丈夫 いえサラサラって何なんですか!?」えええっ

 

 


間。

 

 


白「うわ。ごっちゃごちゃだな。」目見開きっ

 

テオドール「申し訳御座いません
うろちょろイラつきまして御座います」コウモリ羽ばさあっ

白「キレて暴れて切り刻んだな
余所の家だぞ 程ほどにな」うわー。


粋「怖かった怖かった怖かった怖かった」がくぶるっ

娘「うちのおじいちゃんがすみませんすみませんすみません!」ぺこぺこっ

 

白「?」

テオドール「案の定 護りの薄い所に フライングお爺さんだったので御座いますよ。」

 


娘「あの、うちのおじいちゃんもですが

その、
そっちの人の コウモリみたいな羽は

白「式神だ。」しれっ

娘「Σさすがは幕府のご紹介の陰陽師さん!」おおおっ

 

テオドール「よし。これで 血液アンプル使用して暴れても

魔法の言葉『式神です。』で誤魔化せまして御座いますね」よしゃっ

粋「お前 これ以上暴れる気なの?」


テオドール「え?あのお爺さんはお速いので御座いますよ?
速さ対決なら私の領分に御座います」


粋「速さはいいけど
お前 さっき踏まれて負けて無かった?」えー。

テオドール「フライングお爺さん相手に 
野太い『きゃー』を発する方よりマシに御座います」真顔っ

粋「Σくっ」

 

白「うん、俺が頑張った方が良さそうだ」すたすたっ

娘「すみません お願いします! 
あ!おじいちゃんでしたらこっちに良く出ます」すたすたすたすたっ

 


粋「Σあああやっぱ俺等頼りにならないと判断されてる!」

テオドール「Σあ、お待ちくださいませ!
仕留めるのは無理でも 追い込みくらいならっ」

 

 

爺さん「ばあ。」天井からぶらーん。

粋「Σ出たああああ!!!!」うっぎゃあああっ!

 

 

テオドール「Σいつの間に! ホントにすばしっこい!!」ちっ


娘「すみませんお願いしま
白「良し 火葬だな」炎ぼぼぼっ!

娘「Σ室内ーーっ!!

やっぱこの人もダメだあっ!」ひいいっ

 

 

テオドール「Σあ、でも火を見て 逃走しまして御座いますよ!」

爺さん「ひいいっ」カサカサっ


粋「Σえ。火で避けられたのかよ!」


白「避けてどうするんだ。

けど 俺らじゃ爺さん壊さないで捕まえるって難しいぞ

これだけ騒いでるのに 晴明はどうしたんだ?」むう

 

 


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【その頃の晴明】

 


晴明「うおお!なんじゃこのネバネバはあああっ!! 動けば動くほどうおおおお!!」

超強力ハエ取り紙 ねっばああああああっ

 

 


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粋「Σそっち行った行った!」ひいいっ

テオドール「行ったと言われましても

こら!隙間に入らない しっしっ!」番傘ぶんっ

 

白(死体壊すのダメだろうし

追い込んだけど どうしよう。)うーん。

 

 

テオドール「あ、あの 彬羽さんは!
あの方なら私達よりナンボかマシかと思われますがっ!」ぜーぜー

粋「そうだよ カラスは!?
あいつなら普通に立ってて天井届くし!」ぜひゅー

 

白「うん、バカラスでかいからな。

無駄に部屋の仕切りに飾りとか多いこの家な
歩くだけで 色々壊しちゃって申し訳無くなって 外捜しに行ったきりだ 」困った。


粋「Σ確かに真面目なあいつにゃキツイだろけど!!」

テオドール「Σもう瓶底眼鏡でもかけたらどうなんで御座いますか!あの方!!」ああもうっ

 


白「・・もうあいつが色々壊した後だし
爺さんはとっくにあの世行ってるんだし 今更な気がしてきた 」ちらっ


爺さん「Σ!?」びくっ

粋「Σやめたげて!
遺族が可哀想だから粉砕と火葬はやめたげて!!」ひえっ

 

白「でもな
モタモタしてたら また逃げられ

テオドール「Σだああ殺気にビビったのか そっち!

うおお部屋から出てしまいまして御座います!!」

爺さんカサササッ!

 

粋「Σうおホントはっや

兄貴 障子閉め

 

ごんっ。

 

一同「Σあ。」

 


彬羽「Σなんだ今の叫び声は!!」 

 


爺さんぽとりっ

 

彬羽「Σ!?」ぎょっ

 


白「なんだじゃない。

お前 今何に頭突きしたか解って無いのか?」

彬羽「・・・ コレ  か?」えっと。


爺さん「」きゅうっ。

 

 

テオドール「えーと。

捕獲完了に御座いますね。」

粋「うん。カラスの石頭怖え。」ひええっ

 


彬羽「また欄間でも壊したかと思ったが
捕獲対象だったか セーフだな」ふう


ごんメキャッ。

 


白「うん。今度は本当に欄間だぞ」

粋「デケエ近眼って 大変だなあ」ひええっ

 

 

 

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