小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

12月4日

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飛天「なあなあ ちょっと気になる事が有るんだけど」

白「俺に相談か?」はて。


飛天「今日な 往診頼まれたんだよ
診療所あんま留守に出来ないし そっちから来いって言ったんどけどさ
どうしても来て欲しいって頼み込まれて渋々とさー」

白「ん?愚痴か?」

飛天「いやいや本題は此処からな。

で、どんな重症だよと診に行ってみたら ただの体の凝りとかって 按摩呼べよってちょっとカチンと来た
までは、ただの調子こいた大店有る有るだとしよう」

白「有る有るなのか。」ふむ。

飛天「そんだけワガママな店主のはずなのにさ。
めちゃめちゃいい奴なんだよ」真顔。


白「?」

飛天「何だろ? 違和感が凄いっての?
確かに俺を呼びつけたのは本人だって話だ

けど、実際会うと めちゃめちゃ人のいいオッサンで。んー何て言うのかな」うーん。


蒼月「単にマジモンの商人って事じゃないの?
顔に営業スマイル張りついてるから 目の前に居るといい奴に見えるとかさ」コタツからもそっ

飛天「俺もそう思ったんだよ。始めはな」

白「ん?」

飛天「なーんか妙な感覚っての? 診療所に戻っても消えねえから
さっき出勤前の魄哉にちょろっと話聞いて貰ったんだよ。

で、渡されたのがコレだ。」ぴらっ

蒼月「Σげ!何これ 御札焦げてんじゃんっ」

飛天「残りカスみたいな物で普通ここまで焦げるか?」

白「ん?その店主って人間じゃないのか?」

飛天「妖怪ならどれだけ上手く化けてても解るって。
人間のはずだからワケ解らないんだよなあ」焦げ札ぴらぴらっ




彬羽「ほう。確かに真っ黒だな。
ただの妖怪なら ここまでならねえだろ」

飛天「あれ?お前居たの?」

彬羽「大事になりかねねえって 何処ぞの坊主にバイトは早退させられた。

こりゃ呪いの類いか?」ふむ。

蒼月「あー ジジイも一目でヤバイと思ったんだ」




彬羽「帰りにフラフラしてた地獄太夫に軽く聞き込み頼んだが
さて、どうするよ大将?」

白「どうするの何も 何も起きてないし
お前の行動早すぎて俺やる事ないぞ」困惑っ


粋「あれ?飛天 お前診療所開けてていいの?」

飛天「Σうお!しまった!!」


彬羽「とりあえず手前は帰れ。
後はこっちでどうにかなるだろ」

白「多分だけどな」うん。

飛天「ごめん!んじゃ後よろしくっ」だだっ


蒼月「脳ミソと勘は良いのにね あの人」

白「性格とうっかりに問題有り有りだよな。」うん

彬羽「手前が言うのか それ。」

白「気にしない。
とりあえず その胡散臭い店の主の調べ待つか」ふむ。


蒼月「だね。
あ、 アンタの大好きな地獄太夫ちゃん来るよ」

粋「Σえ。マジ!?何で!?」おおっ


彬羽「呑気でいいな手前ら。」







間。




地獄太夫「えー。生きてるお人のフリをして 色々お話お聞きやんしたところーー」メモぴらっ

一同(Σ仕事が早い!!)

地獄太夫「お座敷は昔から情報の宝箱でありんす。
目当てを聞き出す術なら 幾らでも心得てござんすよ」ほほほっ

蒼月「へー ちなみにどんな?」

地獄太夫「そこを聞くのは野暮ってもんでござんしょ?」くすくす。


粋「・・・」※聞くに聞けない

白「女って怖いな」

彬羽「頼んだ側としてコメントしづれえな。」



地獄太夫「おや。つれない事を
主さんに誉めて貰おうと頑張ったんでありんすよ?

ほら。この通り 調べはびっしりと。」よよよっ

蒼月「バカラス女の子泣かすなよ」

彬羽「Σ俺のせいなのか!?」


粋「Σうわっ!メモびっしり すげっ」おおっ

白「読めない。」むう

地獄太夫「Σあ。
コホン。 では手短に

彼処の店には娘がありんす
しかし、その娘 長く神かくしに逢っておりんした」

彬羽「過去形か?」

地獄太夫「さいざんす。

して、この度数年ぶりに 遠くの地で見付かり
家に無事帰れた まではようござんしたが」

粋「したが?」


地獄太夫「おかしな事に 戻ってすぐに嫁入りが決まったそうでありんす

この辺りがあちきには解りんせん。
人情とは そんなもんでござんしょうか?」怪訝っ

蒼月「ん?ずっと行方不明だった娘ちゃんを見付けて連れ戻したと思ったら即嫁入り?

えー 普通少しくらい水入らずで再会喜ぶもんじゃないの?」

地獄太夫「モノノケの蒼月さんでもそう思うでござんしょ?」

粋「他所の家の事だし色々あるのかも知れねーけどさ
やっぱニコニコしてんのは上っ面だけかもなあ。そのオッサン」うーん。


白「?
娘は嫁入りの為に連れ戻されたのか?」はて。

彬羽「人の世有る有るだな。
しかし、それでも戻って即ってのも変な話だ
元から居場所は解っていた可能性も有る」

蒼月「Σげ。何それ」

彬羽「あくまで可能性の話だ」

地獄太夫「カラスさん。眉間の皺が偉い事に「元からだ。」



白「元々は神隠しか

じゃ。そっちから当たるか。」よいしょっと



九尾「そこはわちが調べて来たぞえっ
さあ!誉めるならばわちを!さあさあさあさあっ!」ずいっ

白「Σ!」びくっ

地獄太夫「狐さん。逐一対抗するのはやめてくれなんし」むっ

九尾「ええい喧しわ!変な喋りの女っ」しゃああっ

地獄太夫「変な喋りはお互い様でござんしょ?」

九尾「Σだああ腹立つ! 食うぞ!だーりんこやつ食ってよいかの!?」

白「駄目だ。」きっぱり



彬羽「すまん。喧嘩よりも先に情報をくれ」

蒼月「そうそう。
いい子いい子して貰えるかもよー」

九尾「よっしゃあ!!

では 教えようぞ。
わちの調べでは、 あの店の娘は既に旦那がおるぞ」

一同「Σは!?」


九尾「言わばアレじゃ
だーりん達の親御さんと同じじゃの

神隠しとか言われるが、自ら望んでモノノケの所に嫁入りしたんじゃ」

粋「え?え?ちょい待ち

んじゃ戻って即縁談てのは? 」


九尾「それがの。
カラスの言うとおり あの親父、娘がモノノケと逃げた事はしっておったんじゃ

じゃがの。」ざわわっ

蒼月「あの、九尾ちゃん? 毛が逆立ってるけど」


九尾「店の経営が上手くかんとなった途端じゃ! 金持ちじゃが阿呆のろくでなしの倅を持て余したバ金持ちに、実は娘がおりましてーとか自ら縁談持ちかけよったんじゃああ!!」きしゃああ!

地獄太夫「ほほう。それは同じ女として許せんお話でこざんすなあ」

九尾「じゃろ!? あんのクソヒヒジジイめがああっ!」きいいっ





白「はい。どうどう。
二人共金平糖やるから」


九尾「撫で撫でもっ!!」くわっ

白「解ったからどうどうどうどう」撫でくりっ

地獄太夫「わっちもでありんすか。

あ、毒気が抜ける」ぷしゅー



粋「兄貴凄え。鎮まった。」うわあ




蒼月「しっかし酷い親だなあ。
娘ちゃん気の毒だな」むう

彬羽「お前女が絡むと真面目だな

確かに。何とも胸糞の悪い話だ」ちっ


石燕「あのーそれって 大通りのあのデカイ反物屋っすか?」

地獄太夫「おや。ご存知でありんすか?」

九尾「なんじゃお主 盗み聞きかえ?」

石燕「お二人の怒声で何事かと来たんすけど。
まいっか。

あそこの娘さんは あっしと同じタイプなんすよ」

粋「ん?お前と同じって」ふむ。

蒼月「あ。『視える人?』」

石燕「当たりっす。 だからその妖怪の旦那さんとも御縁があったんしょね。

んで、あっしも同じだから言えるんすが
人と違うものが見えるってのは 見えない人からしたらその人その物が、恐怖でしかないんすよ 」

彬羽「魑魅魍魎が見えない分、それへの恐怖や嫌悪感が 目の前に居る人間へと向かうって事か?」

石燕「さすがっす。

あっしもそれで恐がられたんで 自衛の為に引きこもって絵ばっか描いてて今こんな感じっすよ」はーやれやれ。


蒼月「なる程ね。 女の子だとアンタみたいにポンッと家出ちゃうのもムズいだろうし」ふむ。

石燕「聞いた所だと 他にも上の方にご兄弟いるみたいっす
商家の下の子ってのは それでなくても扱いがなかなかキッツイてのに」

粋「それも体験談かよ。
胸糞悪いな」




彬羽「じゃあ、改めてどうするよ?大将」


白「バカラス 舎弟の伝書カラス一羽用意な。」

蒼月「お。」わくっ


白「で、九尾 そこまで調べてるなら相手のその妖怪
娘の旦那がどの辺に居るか解ってるな?」

九尾「もちろんじゃ
離れておっても怨念が店の周りぐるぐるじゃよ」



粋「Σえ、ちょっと兄貴
気持ちは解るけど、妖怪が人間に危害加えるの認めたら 兄貴の立場無くなんじゃねえの?」

白「お前 何か勘違いしてないか?」

粋「へ?」


彬羽「こいつの『お役目』は人間と化け物が衝突しないよう見張る事、 一線超えてやらかした奴にはそれなりの報いをって奴だぞ?」

白「別に人間の味方じゃないぞ。
今回悪いのは 『人の嫁を勝手に売っぱらう』馬鹿だろ」きっぱり

粋「Σ言われてみればそうでした!!」


白「イメージで物考えるからだ
妖怪のが悪いとか無い無い」

蒼月「しょうもないイタズラなら圧倒的に妖怪だけどねー」

彬羽「言っとくがお前の女癖はグレーゾーンだからな?」

蒼月「Σげ。粛清寸前っ!?」ひいいっ



地獄太夫「あちきは何をしたらよござんすか?」

白「じゃ。打ち合わせした後で日付教えるから
その店の鍵 片っ端から開けといてくれ」

地獄太夫「解りんした 幽霊でようござんしたわ。」くすくす



石燕「成る程。駆け落ちのお手伝いっすね」ふむふむ。

白「人間にケガさせたらややこしくなるからサクッとな。

別に2、30発殴っても良いと思うけど」


九尾「だーりんよ。 それ人間は死ぬからの?」

蒼月「この人も大概聞いてて気分悪かったんだね」うわあ。

白「殴っちゃ駄目ならどうしよう?」うーん。

石燕「娘さん犠牲にしなきゃいけないレベルなら
逃げられた時点で大事な大事なお店が潰れるのほぽ確定っす。
それだけで充分じゃないっすかね?」

蒼月「あ、アンタの実家も商家だっけ?」

石燕「だからどんだけエグイか解ってるんすよ」しれっ

粋「石燕が怖え。」うわあ

九尾「こやつ人間なのに限り無くこちら側じゃからな。」うむ。




白「さて、面倒臭くなる前に魄哉に言っとかないとな。」

彬羽「問題ない 今飛ばした。」伝書カラスばささっ


粋「こっちはこっちで揉み消し慣れてんなあ」うわあ。







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江戸城


家康「うわー。

同じ人間として嫌になるねえ」手紙読みっ


魄哉「飛天君の勘に感謝ですねえ

全く パッと見完璧な良い人ってのはどこかで酷い毒が有る物ですよ」ため息


家康「あー・・」

魄哉「何か?」


家康「いや お前が言うと説得力凄いなって
ほら 人のよさそうな営業スマイルの癖に毒の塊ってそのまんま Σぎゃー!ロープロープ!!」床ばんばん!!




女中「あの 天海様。大丈夫ですか?色々と」おそるおそるっ

魄哉「気にしないでください
ちょっとお客人と戯れてるだけですから」

家康「Σほら!女中ちゃん引いてるでしょ!」

女中「いえ、大概慣れておりますので」

家康「Σ慣れてるの!?」


魄哉「ほらね、
黒い所見て尚 信用して貰えるってのが本当なんです
誰しも完全に真っ白、純粋な善なんて事は無いんですから「ホントに折れるから離してから喋ってええええ!!!」ひいいっ







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彬羽「そういや この札を焦がしたってのは何だ?」焦げ札っ

粋「へ?そりゃ引き離された旦那の念とかじゃ?」


白「あれ?妖怪のなのかこれ」うーん。

粋「Σへ!?」



蒼月「え?親父が妖怪より邪悪って話?」

地獄太夫「おや。 女の恨みは夜叉より恐ろしい。というお話ではありんせんの?」





シロ(バイトから帰ったらとんでもない話になっとる)うわあ。

千様「胸糞悪すぎるって教えてくれないけど、何なのかしらねー?」のほほんっ






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