小咄

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くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

4月29日

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【割烹春一】


ひな「今日も雨。 お客さん少なそうですねえ」あーあ。

朱禅「だな。んじゃ今の内に店内会議しとくか」

シロ「会議?」

庵「そっか、シロは初だっけ」

彬羽「季節の変わり目には毎回やってんだ
難しい事はねえから とにかくガンガン発言しろ」

シロ「Σう。うむ」ちょっと緊張っ




ひな「ではこれより 梅雨夏新メューについて会議を行います。」きりっ

朱禅「まずは手元の案一覧に目を通してくれなー」



飛天「あのー。一応客要るんだけど」挙手っ

彬羽「人の奢りで贅沢抜かすな。黙って食ってろ」きっぱり。


飛天「・・・。」静かにうどんずるるー。

シロ・庵(また食費ヤバイのか)察し。




ひな「梅雨は客足遠退くのは仕方無いとして、夏場もイマイチ売上戻らないのは大問題だと思うんです」むう。

庵「あー ちっさい店はしばらく行かないと忘れられがちだもんね
何かこう。此処でしかやってないインパクトの有るメニュー欲しいね」うんうん。

シロ「手っ取り早く効果が見込めそうなのは この大盛り系だろうが。
表に大容量が売りのでかい店が有るしな」ふむ。

彬羽「やっぱり新メニュー開発か?
これも 余程奇抜じゃねえと毎度不発に終わるんだが」悩。




粋「はいはーい! インパクト重視で梅雨にちなんでアジサイの天ぷらとかは?
フキノトウの天ぷらとかも有るし どうだろっ」挙手っ


飛天「死人が出るぞ」ずずー。

白「なんだ毒なのか」ふむ。


朱禅「あの 表に休業中のフダ出してんだけど」

白「漢字読めない」どやあ。

シロ「心底自由だな 馬鹿者。」


庵「いんじゃない? 飛天も隅っこで食べてるし
お昼でしょ? 」

彬羽「今日は簡単な物しか出さねえぞ」ちっ




ひな「危ない アジサイ良いかもとか思ってしまいました」ほっ

朱禅「うわ、医者が居て良かった」


飛天「全部が全部なのかは解ってないんだけどな

品種や個体によって毒の有無や成分、含有量が違うのではないかという説が濃厚で
これまで見つかったと報告されている毒成分は、植物由来の有毒成分青酸配糖体
マラリア成分、嘔吐性アルカロイド等が発見されてて
マラリア成分や嘔吐性アルカロイド一部のアジサイから検出されてる事から 人だけでなく犬や猫にも家畜にもけして与えてはいけな

粋「Σぎゃ!兄貴が固まった!!」

シロ「Σ脳の処理が追い付いとらん!!」ひいいっ

彬羽「さほど難しい事言ってねえだろ! シロ氷だ氷!!」





間。





白「さむ。」ぶるるっ

シロ「そりゃ冷やしたからな」氷ぱきぱきーん。

庵「はいよ お茶熱めねー」お茶こぽぽっ




粋「で、毎度お馴染み新メニュー開発みたいだけど
なんか決まった?」わくわくっ

朱禅「お前らが乱入してしたせいでなーんも話せてねえわ。」きっぱり。


白「じゃ御客としての要望。大盛りが欲しい」

シロ「その話は既に終わったわ」イラッ



彬羽「しかし梅雨か
アジサイはアレだが、梅雨をテーマにってのは良いかもな」ふむ。

朱禅「あー 梅雨から連想するメニューか
つか 梅雨ってなんで梅の雨?」



彬羽「諸説有るが 梅雨ってのは本来大陸の言葉でな
所謂揚子江周辺で梅の実が熟す頃が雨期にあたり、そのことから「梅」の字を使うようになったとされている。ただしこの国に伝わった当時はこの字で『ばいう』と呼ばれており
元々今の梅雨に当たる季節を物が腐り無駄になる『費ゆ』つまり『つゆ』と呼んでいた辺りから今の梅の雨でつゆと読むようになっ

庵「長い長い長い長い。」

粋「シロもいっちょ頼む」

シロ「煙上がっとるが お前の兄貴大丈夫かそれ。」引。






間。






飛天「脳の疲れに効く特性漢方。今ならお買い得」きらーん。

白「誰のせいだと思ってるんだ」むう。


ひな「店内で怪しいお薬売らないで下さいねー」

飛天「Σ怪しく無いって!!」

朱禅「いや どう見ても怪しいわ」うん。




庵「何?カラス天狗って話長いの好きなの?」

シロ「こやつらはイトコだしな
多少脳が似かよってても不思議ではない。か?」うーん。



飛天「いんや。うちの里結構皆こんなの」

彬羽「年寄りはこんなもんじゃねえぞ。」きっぱり

一同(Σめんどくさい一族!!)ひいいっ




粋「こいつらが絶滅危惧種なのなーんか納得行ったような」うーん。

庵「体強いのに 考えすぎてストレスで倒れてそうだよね。」うん。




白「それより何でもいいからお任せでくれ
昼休み終わりそうだし」ぐーきゅるるる

朱禅「脳みそヤバかった割に元気だなお前

えー。何でも良いってのが一番困るんだよな」どっこらせ。


ひな「何か適当に手のかからないの言って貰えませんか?」

白「ん? 手間?俺料理しないからな」はて。



粋「あー 忙しそうだし厨房借りるわ
使った分払うから この辺漁っていい?」がさごそっ

朱禅「もうやってるよな? 良いけどよ」


シロ「客が作るか普通?」

粋「兄貴腹ペコにしてると怖えーもんよ

お。鰹節見っけ
まずは あつあつご飯に醤油とまぜこんでー」ざくざくっ

庵「あ。お腹減るにおい」くんっ

ひな「猫まんまですか?」

粋「そのままじゃ芸がねーだろ?

で、さっき梅がどうとか言ってたしこっちの練り梅もちょっと多目に混ぜこんで

はいよ!梅鰹握り飯出来上がりっ」じゃんっ



一同「・・・・。」

粋「ん?」



ひな「こういうので良いのでは?」ふむ。

朱禅「だな。ジメジメジトジト 日により暑さの中、梅が食欲そそる。」うんうんっ

彬羽「梅雨とかけて 他に梅メニュー作っても良いしな」ほう

庵「これなら軽く包んでおみやにどうぞ。も、出来るね」うん。


粋「へ?え?」

朱禅「採用。」びしっ

粋「Σえええ!?これ客に出すの!?」

ひな「よく考えたら これからの時期ゴテゴテしたの欲しく無いですし
これくらいが調度良いんですよねー 助かります」にこにこ。




飛天「へー。 無駄に所帯染みてるのが役にたったなー 」感心っ



庵「ん?あれ
お宅のお兄ちゃん 静かになってない?」

粋「Σやべ忘れてた!! エネルギー切れ起こしてる!!」ひいいっ





シロ「そやつは西洋のからくりか何かか。」

彬羽「燃費の悪いからくりだな。」うん。



飛天「今回珍しくフルボッコだな」もぐもぐ。

朱禅「おい。人の握り飯食うなよ」





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