小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

4月28日

f:id:t00c:20210427105446j:plain



【大通り 版元】



石燕「うわっ 急に空が暗くなったっすねー」

版元の親父「あーこの時期は天気が不安定だからねえ
先生も帰り気を付けなよ?こりゃ雨来るねえ」

石燕「難儀な天気っすねえ Σうわっ」風びゅうっ


版元の親父「あ、こりゃいけねえ
ちょい皆 戸を閉めるの手伝っとくれー」店入りっ




与一『雨くらいで戸締まりか?』

石燕「あの、外じゃ頭の中で話しかけんのやめて欲しいんすけど
あっしは普通に声に出さなきゃ会話できないんすからね?」

与一『お前が変なのは今更であろう
あ、成る程 紙を扱う商いで有るから湿気に敏感なのか』ふむふむ

石燕「Σ解ってんなら聞くんじゃないっすよ!!てか変人扱いの8割はアンタのせいなんすからねっ!!」うがあっ

版元の親父「あの先生?
具合悪いなら気を付けて帰んなよ?」ちょっと引っ

石燕「Σしまった悪化した!!」

与一『そうやって 一人で会話しとるから不審がられるのだろうが
いやそれ無くても大概ヤバイわ ヘラヘラしとる癖に腹の中ドロッドロでこっちの頭がおかしくなる』ぶつくさっ

石燕「幽霊におかしくなる脳ミソ有るんすか?」

与一『ん? え。いやこうして会話できとるしな』うーん。


石燕(偉そうな割に 頭スカスカなんすよね。この人)

与一『おい。お前の考える事筒抜けだからな?「百も承知っす」きっぱり。



風びゅううっ


石燕「うっわホント天気ヤバくなって来たっすね
Σうおっあの辺雷光った!」ひいっ

与一『早く戻った方が良さそうだな
あの家帰りつく前にずぶ濡れになりそうな予感が ん?』


石燕「この不穏さ良いっすねえ
さっきまでの晴天から打って代わり ごっつい雷雨がそこまで来てる威圧感と得体の知れない不安と怖さ
めっさ創作意欲刺激されるっす。」うずうずっ

与一『風邪ひいたら描くもの描けんぞ
天気に悦るなド変態が』引。


石燕「えー。あっしの作風知ってるっしょ?
本能的な怖さを描くのが売りっすよ?

普通の感覚じゃそうそう出来な


がらぴしゃどどーーーん!!


与一『Σうお落ちた 近いぞ!』びくうっ



石燕「そ、そっすね。 」うずくまりびくびくっ

与一『Σこら待て創作意欲沸くんじゃ無かったのか!!』

石燕「それはそれ!怖いもんは怖いんす!!」


与一『全く口ばかりで情けない。
ん?』ぴく

石燕「半鐘の音?」ん?

与一『成る程、今の雷か
落ちた民家が燃えて Σうおっ ちょっ何だ何だ!?』

石燕「あの辺に昔お世話になったちっさい瓦版屋があるんす!」だだっ

与一『Σは!?待て待て待て待て!お前みたいな貧弱が行った所で何になると 「他の人等呼びに行く程スタミナ無いんす!!」くわっ






ーーーーーーーーーーー



石燕「Σおお!おやっさん無事っすか!? 」おおおっ

役人「こらそこ!あまり近寄るな!」


瓦版屋の親父「店が燃えるうう」うわああ


与一『ふむ。恩人は無事だったか
店の方はどうしようも無いな 哀れだが』

石燕「あー。まあ命有っての物種っすしねえ
Σうお 火の粉あつっ」



下働き「大変ですー!おかみさんが見当たりません!!」おたおたっ

一同「Σ!!!」

瓦版屋の親父「Σおさとー!!」ひいいっ




石燕「・・あの、与一さん?
生前戦場めためた駆け抜けてたんすよね?
体貸したら火の中くらい行けるっすか?」冷や汗ダラダラっ

与一『無茶言うな。私は後方支援方だ
つか お前のその鈍い運動神経でどないせえと言うのだ
おい待て頼むから覚悟固めるな 筒抜けとる筒抜けとる。』

石燕「そっすよね。
しかし、このまんまだと おかみさん丸焼けになっちゃうんすよね」

与一『Σ頼むから変な事考えるな!
お前じゃ無理だと言うに 他に何か お!あの毛有毛現の筆で何かこう水系の妖怪を描いて具現化させれば!』

石燕「基本紙なんで秒で燃えるっ
す。」きっぱり

与一『Σそれもそうだ!!』




瓦版屋の親父「おさとー!おさとおお」おろおろっ

役人「これ!お前さんまで焼けてしまうぞっ」押さえつけっ



石燕「あのね。あっし人間すんげー嫌いなんすよ」

与一『知っとる。このタイミングでいきなり何だ。』

石燕「いやーほら

人間ってくっそ弱くて無能な癖に 数だけ多いからって勘違いしていい気になって生物の頂点とか驕り高ぶってて
その癖、自分達が思ってる程賢く無く、同じ過ちばっか繰り返して 弱い者は意味なく虐めるしちょっと違うと迫害するし マジで最悪の生き物だと思うんすよね。
いやホント反吐が出る 何で生まれたの?とっとと滅びろよとか昔っから思ってたんすよね」くわっ

与一『Σやめろおおお!黒い何かが流れ込んで来るっ!!』ひいいっ





石燕「しかし! 売れないメシもろくに食えない時代におばちゃんのくれたお握り美味しかったんす!!
焼けたら道連れっすが そん時は寿命と思って逝きやしょう!!」

水かぶりっ!


与一『Σちょっ!待て虚弱体質!』



石燕「Σさむううううう!!心臓ドゥンッ!てなったああ!!」ひいいっ

石燕『Σ言わんこっちゃない!!』





役人「Σこらお前! 何をしている 早まるでな「与一さんパスッす!」

石燕(与一)「だああ! あの世で殴り倒してやる!!」

当て身っ!

役人「Σぐほあ!」ばたーん!




瓦版屋の親父「Σうわああ!石燕さんダメじゃーー!」ひいいっ





ーーーーーーーーーーー



石燕(与一)(あ。これ終わったな)

炎ごうごうっ


石燕「ええいダメ元っ おばちゃーん! どこっすか!?」

ごうごうっ


与一『いかん 思ったよりド偉い事になっておる
足元もまともに見え Σあ!体を低くしろ 煙にやられるぞ!』

石燕「低くしたら燃えるっす Σうげほっ」

与一『Σ言わんこっちゃ無い!!』



石燕(この煙の中ならおばちゃんも 呼吸ままならないはず 生きてりゃっすが。
と、なると) きょろっ

与一『成る程地下の作業室か!』おおっ


石燕「確かこの辺に入り口が
お、有った! 」

与一『Σいや待て直に触るな! 手が焼けるぞ!』

石燕「Σあぶなっ
えーと。あ!この材木でいけるっすかね」取っ手に引っかけ

与一『何でも良いわ急げ!屋根が崩れて来ておるぞ!空が見え

Σえ。』

石燕「ヘ?」




ゴロゴロゴロゴロッ



与一『おい、まさかな?』

石燕「え。 えええええ!?」




がらぴしゃーん!!

石燕・与一「Σ2発目ーーーっ!!」ひいいいっ







間。






粋「おー。見事に失神してら」ぺちぺち

白「起きないな。生きてるのか?」むう



石燕「」きゅうっ


挿音「すげえ根性だな。
コイツがぶっ倒れててくれたおかげで おかみさんの場所解ったしよ」煤ぱたぱっ


瓦版屋の親父「あ、あの石燕さんは大丈夫なんで?」おそるおそるっ

飛天「大丈夫大丈夫 失神したお陰で体低くなって煙も吸わなかったみたいだし。
はいよ 応急措置終わり

怪我人は後でじっくり診るからなー」救急箱ぱたんっ




下働き「しかし凄い運ですね
雷2発目ってあれ 絶対助からないと思ったんですが」

飛天「えっとそれはアレかな。

凄く運が良い落雷直撃の場合 雷が体を通り抜けて地面にドーンて行っちゃうとか何とかって」





粋(実際は兄貴が食ったんだけどな。)うん。

白「静電気で髪がふわふわする。」アホ毛ふわー。




挿音「しかし何だなー
体力ねえのにガッツはあんだよなあコイツ。」やれやれ

白「物凄い不器用だな」うん。

粋「兄上は器用すぎるんだと思います」きっぱり。




飛天「ま、何にせよ生きてて良かったじゃねーの。

ほいよ気付けの ヤモリの生き血。」流し込みっ

石燕「Σうぐほおっ!!」げほごほっ


飛天「吐くなよ 疲弊してんだから栄養摂れよもったいねーなあ」あーあ。

粋「Σ良い事したのに拷問かよ!!」ひいっ






飛天「しかしお前らよくあのタイミングですっ飛んで来たよなあ」

粋「そりゃ 1人で大騒ぎの不審者が火の中飛び込んだとか聞いたらよ」

白「そんな無茶する不審者 石燕しか居ないよな」うん。



挿音「ま、不審だわなー」キセルすぱー。

石燕「げほっ うえー あっしそこまでっすか?」

「「「「おうよ。」」」」





>サイトトップに戻る