小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

5月21日

 

 

【某 山村】

 

挿音「いやー悪い悪い
こんな山奥まで呼び出しちまってよ

ん?彬羽はよ?」あれっ

粋「カラスなら 珍しく割烹の方に急遽団体客の予約が入って
板前抜けたら店回らないって後から来るってよ」

 


挿音「なんで普段閑古鳥鳴いてんのにこのタイミングで繁盛すんだよあの店は」ええー。

 

テオドール「あれ?と言う事は」おや。

 


挿音「必要なのは知恵だったんだよなあ。 まあしゃーねえけど」頭ガリガリ

 

白「残念 アホトリオだ」どやっ

挿音「見りゃ解るわ」

 

 

 

テオドール「まあまあ 彬羽さんもその内来られますよ

しかし 何故にまたこんな山奥に? 忍のお仕事で御座いますよね?」ひそっ

 

 


挿音「おう。
親父の予報じゃよ。そこのでかい川が今年の雨にゃたえらんねえ

この村は良くても下流が水没するわって事で 急ぎでアレコレ工事せなやべえって話なんだけどよ

ちいっとややこしくてな」キセルすぱーっ

粋「ややこしいって?」

 


挿音「村の奴等がその川を村の神様扱いしてんだよ。」はーやれやれっ

粋「うっわ 絶対工事させてくれなさそう。」

 


挿音「おう。説得役として幕府から遣わされたお偉いさんと 護衛のうちの若えのが数人。 
鍬や鎌で撃退されて治療中よ」

テオドール「Σ農民こっわ!!」ひいっ

 

 


白「それでそんな格好してるのか」なるほどっ

挿音「おう。その流れて普通に余所者とかフクロにされるオチだからよ。

渡世人のふりして 一宿一飯の恩に預かりたく とかって入り込んでよ。
まあ礼として用心棒します的なで内情探ってたらこりゃ正攻法じゃ無理だわとな」はーやれやれ

 


粋「意外と役者だな」へー。

挿音「いや役者はお前だろ 見習いだけどよ

ん?つか お前等どうやって入って来たんだよ?」あれっ

 


粋「途中山の中で兄貴が迷子になって 川に あ!その神様の川あれ!」手ぽんっ

テオドール「で、雨のせいで即流されてしまいましたので 誰かああ!となっておりましたら 通りがかりの村人さんかタモ網で取ったどー!と」

 


白「で、また天気悪くなってはまったら大変だし のんびりしてけって」

 

挿音「ある意味才能だな」うわ。

白「何の才能だ。」

挿音「各種?」

 

 

粋「そんなこんなで 俺等警戒されて無いし
役に立つと思うけどな」

 

挿音「そんなの警戒しようがねえわな。

ん?そいやよ
お前 爺さんの方は水神の系譜だろ?
此処の川ってマジで神さん居るのかよ?  俺霊感ねえし解らねえんだわ」


白「ん?

んー 主っぽいのは居なかったと思うけど
魚は沢山居たし いい川で山奧だと凄く助かるとは思う

けど、川って人間の為に有るんじゃないから 大事にしても危ないのは危ないと思うな」

 


粋「あー そういう系かあ」ほうほうっ

テオドール「流されながら良くそれだけ見られておられましたね」わお。

 

白「あ。あと河童も居た。」手ぽんっ

挿音「ホント何処の川にでも居んな」うわ。


白「だな。目があったのに一目散に逃げてって 此処のは人情薄いんだなーって」

テオドール「Σんなっ!我が主が沈んでると言うのに 何と薄情な!!」むかっ

 


粋(いや水神の一族沈んで来たら河童でもパニクるだろ。

つか兄貴 常に目座ってるから怖かったんじゃねえの?) 

 

 

挿音「まあ信仰心抜きにしても、この川が豊かってのは確かだな
河童も貧相な川にゃ住まねえだろうし

つまり生活の要って奴か。
親父の事だから 手を加えるにしても変な事にゃなんねえとは思うがよ」

 

テオドール「信仰が絡むと その辺了承させるのは難しゅう御座いましょうねえ」うんうんっ

挿音「・・マジもんの狂信者が言うなら相当だな」ああうん。

 

 

粋「やっぱカラスが来るの待つしか無いか
俺等じゃ精神逆撫でしそうだし」うーん。

テオドール「で、御座いますねえ
引っ掻き回すのは得意に御座いますが」苦笑。

 

白「バカラス そもそも村に入れるのかな?」ぼそっ


一同(Σ毎度見た目ビビられる奴なの忘れてた!!) はっ

 

 

 

テオドール「彬羽さん抜きで 何か考えた方が得策かも御座いませんね」冷や汗っ 

白「このメンツでか」えー。


挿音「・・・危なくて下手に役人や下っ端には任せてらんねえって 俺が来てんだそういや」うわ。

粋「ガラ悪いなりにしっかり擬態してんのさすがだよ忍軍お頭」ああうん。

 


挿音「擬態なあ それやりゃ彬羽も怪しまれず って間違っても渡世人の真似とかやらねえなあいつは」ああうん。

テオドール「恥ずかしさが先に立たれる方に御座います故」うんうんっ

 

粋「んー。擬態 演技かあ
何かのフリするってのなら プロは居るけど
この場合何のフリするかだし」

 

白「水神のふりして説得しろとか言わないよな?」

粋「いや フリっつかある意味本物 まあいいや
兄貴に説得は期待してねえわ」

 

 

挿音「それだ」手ぽんっ

 

テオドール「Σえ。神様のフリに御座いますか!?」ぎょっ


挿音「いや1応ガチもんだろお宅の神様

そうじゃなくて よしゃ任せろ。
人間の事は人間が1番解ってんだよ」にやっ

 

粋「Σえ。なんか怖っ」嫌な予感っ

 

 

 


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粋「控えおろううううっ!!

こちらにおわす御方をどなたと心得る! 公儀特殊部隊 隠密権宮司様にあるぞ 頭がたかあいっ!!」

 


村人A「Σえ? 神職の人!?」えええっ

村人B「聞いた事有るか?」困惑っ

村人C「ねえから隠密なんじゃ?」

村人D「Σ成る程!」おおっ

 


テオドール「そんな役職有るので御座いますか?」

挿音「あるわきゃねえだろ。」しれっ

テオドール「Σえ」


挿音「人間ってのは それっぽい響きの大袈裟な肩書きが有るって言やあ それだけで結構信じちまう物なんだよ。


こんな山奧なら尚更 瓦版もマトモにねえし情報ねえからな。

後は演じきる気合いと バレるとビビらねえ胆力の問題よ」キセルすぱーっ

 

 


白「えっとな。

幕府の方も 何も考えないで手を出そうって言ってるんじゃなくてな。
此処の『神様』にちゃんと断って 川の掃除つまり『住処の整備』をしようって事だ。」


村人「Σそう言う事だったのか!!」おおおっ

 

 

 

挿音「まあ 他人の信じる物を真っ向否定して 安全の為にーとかそら喧嘩にもなるわ

んなら信じる物を護る為って事にしちまや 問題ねえわな」

 

テオドール「さすが忍者。
平然と人を欺かれますね」わおー。

挿音「あいつ等役者のが万倍騙すプロだろ?」ほれ。

 

 

村人C「しかし そんな偉い神職の人が 川をどんぶらこしてたとはねえ」

白「あ、タモ網取ったどの奴か。

お礼にいつもより丁寧に 此処の神様おもてなししとくぞ」しれっ

 


粋(Σいや居ねえんだろ またいけしゃあしゃあと!

つかコレ 恥っずううううっ!!!)うわああっ

 

 

 

 


彬羽「Σは。 片付いたのか!?」ええっ

 

挿音「おう。遠路はるばる悪い

帰りは川にハマんねえ様に引率頼むわ」

彬羽「Σは!?またハマったのか!?」

 


テオドール「なんちゃって式典中にドボーンと行かれたのはビビりまして御座います。」


白「・・・」ずぶ濡れっ

粋「なあ。 気づかなかっただけで 神様居たんじゃね?
バチ当てられてねえ?コレ」

 

 



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