小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

3月23日

 

 

 

【某山奥】


大嶽丸「その条件だとおそらくこの辺だと思うが

その、大丈夫か?」


粋「大丈夫だけど ちょっとだけ人の通れる道通って欲しかったかも?」葉っぱクモの巣まみれぜーぜー。

大嶽丸「すまん、帰りは気をつける」 ※山猫妖怪。

 


テオドール「ホントに道けわし Σああ!案の定我が主がおられません!!」ひいっ

彬羽「また迷子か。
途中の枝にでも引っ掛かってりゃ良いが」ちっ

石燕「すんません。
彬羽さん ここからは歩けると思えるんで下ろして貰っても」ぜひゅー。

彬羽「階段登るだけで息切れ動悸のヤバい奴が何抜かしてやがる」軽々肩に担ぎっ

 

大嶽丸(その体力で 山登りは無理が有るだろ )引。

 

 

粋「やっべ俺捜して来るわ」繁みがささっ

大嶽丸「1人で下手に動かん方がいいぞ。
この辺は足場も悪いし 下手に踏みはずすと絶壁滑り落ちて一貫の終わりだぞ」

テオドール「Σえ」


彬羽「心配いらねえだろ
あいつは山育ちだ。仮に何処ぞ転がり落ちても多少の事じゃケガ1つしねえだろ

お前等まではぐれたり落ちたりしたらそれこそ大事だ。
あのアホは帰りに回収すりゃ良いだろ」すたすたっ

 

粋「そう言われりゃそうなんだけど」えー。

テオドール「だだだ大丈夫なので御座いましょうか!?」おろおろっ


石燕「すんません。あっしから長く離れると与一さんが消滅しちゃうもんで」あちゃー

与一「制約の多い霊ですまん」どろんっ

 

大嶽丸「じゃあ早く用を済ませて戻るか。
ほれあの辺が

Σん!?」びくっ

 

彬羽「ん?どうし

Σげ。」

 

 

小川さらさらっ。

 

粋「Σぎゃああ兄貴いいいい!!」うわああっ

テオドール「Σまさかのおカナヅチ!
川に落っこちて流されておられたので御座いますかああ!!!」ひいいっ

 

 

 

間。

 

 

白「桃太郎の気持ちが少し解った気がする」水ぶるるっ


テオドール「桃太郎は完全体ではどんぶらこしないので御座いますよ」髪の毛ふきふきっ

粋「うん。その名前 酒呑童子等の前で出すなよ」


テオドール「んなお気にならさなくても。
あの方達、茨木さんの腕を切断した鬼切を前にしても結構ドライに御座いますよ?
距離は取られますが」

粋「いや鬼切は刀だろ。
道具単品と 鬼ヶ島襲撃した怨敵の名前じゃよ」


白「ん?鬼切は結構 話出来る刀だよな?」

彬羽「だな。
アホだが意外と情に厚いと言うか」うむ。


粋「え? 兄貴はともかく
カラス  疲れてる?」はい?

彬羽「手前の兄貴のせいで常に疲労困憊だが 頭は至って正常だ」真顔っ


白「人を電波扱いして失礼だな。」むっ

大嶽丸「違うのか」ぼそっ

 


与一「それはさておき
そうか 此処等が」ふむ。

 


白「あれ?なんで此処来たんだっけ?」はて。

大嶽丸「お前が案内せいと言ってきたんだろが

ほらアレだ。人間の 平氏?だったか?
そやつ等が一時期隠れて居た所だ」


粋「Σえ!此処そうなの!?」えええっ

テオドール「何かも聞かないで着いて来られたので御座いますか?」

 

粋「Σお前 平氏とか源氏とか解んの!?」

テオドール「さあ?
私は 主の居られる所 常にお供するだけに御座います」きっぱり。

 

石燕「忠誠心だけで番傘引っ掛け倒しながら山歩きごっついっすね」うわ。

テオドール「途中引っ掛かって傘ぐいっで 日光浴びては何回灰になった事やら」遠い目っ

大嶽丸「だから傘と簑を貸してやると「獣臭そうなので結構に御座います」つーん。

 


白「ごめん大嶽丸。
あの小川 魚めちゃ居るから」猫じゃしぱたたた ぽーい

大嶽丸「Σにゃーっ!!」ばしゃーん!

 

粋「Σおお凄い!ストレス発散と言わんばかりにヤマメがばんばか打ち上げられて来る!!」おおおっ

 

 

与一「あの、私が此処に来たのは 墓参り的なアレなんだけど。」あの

粋「Σストーップ!大嶽丸待て待て 踊り食いダメだああ!!

今世こそのんびり里で暮らしてる平家の人等かもそれっ!」ひいいっ

 

テオドール「あ、野生に戻ってて聞こえておりませんね」おや

彬羽「言って 元から野生動物だしな」

 


白「なんかごめん。」

石燕「まあ。大自然の掟っすねえ」ありゃまあ

 

 

 


更に間。

 

 

 

白「ん?じゃあ平家ってのは 此処で滅んだわけじゃないのか?」おにぎりもぐもぐっ


大嶽丸「かつぶし握り。うまい」じーん。

粋「うん。調理された物のが好みな動物で良かった」ほっ

彬羽「これを料理と呼んで良い物か。」うーん。

 


石燕「平家がトドメ刺されたのは壇之浦っすね。

ほら 遠くの船の上の平家が『この扇を射ってみよ』て煽って
それを与一さんが見事射ったての 有名っしょ?」

粋「あ、それが壇之浦か」ふむ。


与一「うむ。
私はやれと言われて射たまで。 なんだが

それを見て 大した物だとはしゃいどる平家の奴等に、勢い付いた味方の奴らが容赦なく矢の雨を浴びせてな。
そこからは ほとんど一方的な虐殺よ」

粋「あー・・ そう言う」


与一「私自身 既に死んどるがな。
あそこで私が外せば 味方も変に調子付かず
女子供だけでも助かったのではと思わなくも無くてな。

まあ だからと言って此処に来ても何もする事は無いのだろがな」ふよふよっ

 

テオドール「与一さん。意外と気に病んでおられたのですね」

大嶽丸「?

人の戦だろ? 相手を滅ぼすのが目的じゃないのか?」指舐めっ

 

彬羽「確かに 与一の属していた源氏は平家を滅ぼさねえと 自分達が危ない。

故に その血筋全てを根絶やしにと 女子供含めそこまで追い詰めた物の
虐殺の引き金を直接引いたとなれば、そりゃ気に病んでも仕方ないのかもしれんな。」ふむ。

 


石燕「そっすねー

それまでは何やなんやでパワハラ受けながらでも 義経さんを慕ってたみたいっすけど
ノリノリで女官ぶった斬る義経さんを見て その後マジで部隊から離れたみたいっすし」ふむ。


大嶽丸「ん? やたらと詳しいな
相棒ってのはそんな事まで話すのか?」ほう。

石燕「あーいえ。

与一さんは 元々残留思念の欠片が あっしに取り憑いてて、
そこからあっしの霊力取り込んで 自力で動ける様になるまでは体共有してたんで そん時勝手に記憶見ただけっす。」しれっ

大嶽丸「Σいやそれプライバシーの侵害!!」えええっ


石燕「いいんじゃ無いっすか?
見ようとしなくても勝手に流れ込んで来たんすし
あっしも 昔のドロドロしたの勝手に見せんなって苦情言われたくらいっすし」えー。

大嶽丸「Σお前等メンタル強いな!!」ひええっ

 

彬羽「人にベラベラ喋るのが問題なんじゃねえのか?」

石燕「成る程」手ぽんっ。

 

 

粋「しかしそんなだったのか

そりゃ俺でもトラウマなりそう」うーん。

 

テオドール「そこでその壇之浦ではなく その人達が住んでいた所に御詫びに来られるとは

そもそも与一さん 生前の記憶はあまり無いはずに御座いますのに。」

彬羽「それだけ強いトラウマだって事だろ

魄哉の奴に経でも習っておくべきだったか。」

 

テオドール「笑えるくらい似合わないのでやめられた方がよろしいかと。」真顔っ

彬羽「Σそこまでか」うっ

 


石燕「つかあの人 何処ふらふらしてんすか。
こら与一さん そろそろ帰るっすよ

線香くらい持ってきてやすから 一緒に


ん?何してんすか?」

 

 

与一「コレ 妖怪か?」おそるおそるっ

彬羽「サンショウウオだな。
何処から持って来た。」

与一「Σこれが噂のサンショウウオ!!
向こうにわらわら居たぞ!」あっちあっち!

 


粋「俺等めちゃしんみりしてたのに!
何!?お前遊んでたの!?」えええっ

与一「Σ違っ
いやその 何か生活の跡が有れば手の1つも合わせようとしていたらだなっ
川の中で黒光りするぶりんぶりんの物体の集団がそのっ!」


石燕「めちゃ気になって でかいトカゲだったんでテンション上がって遊んじゃったんすね」ああうん。

与一「Σなぜバレた!」はっ

石燕「そら 一時とは言え脳ミソ共有したっすからね」

 


テオドール「まあ、享年が私とほぼタメぐらいだと言うお話に御座いますし」

大嶽丸「外国産のは歳が解らん」

テオドール「人間年齢だと14、5くらいに御座いますね」

大嶽丸「ほー

Σえ!?」二度見っ


テオドール「外国産は 成長が早いので御座います。」

 

白「だからテオは未成年だって言ってるだろ

なあなあ それより」手招きっ

彬羽「ん?
こら 水に近寄るなって言ったろ
また流されるぞ手前は。」


白「うん。落ちたら即拾え

それより


これ。助けた方が良いよな?」

オオサンショウウオに飲まれてる幼児じたばたっ

 


与一「Σ言っとらんで助けたらんかあああ!!!」ふんぬっ!

ずぼっ!!

 

 

彬羽「Σでかした与一!

オオサンショウウオは目の前に有る物全てを飲み込む性質があって なかなか危険だ!」おおっ

粋「Σ先言えよ怖えよ!」ひいっ

 

与一「お前大丈夫か!
どこの子だ!!」

子供「Σはっ!?
私はいったい!?」きょろっ


石燕(ん?

基本として霊感が人より強い山の動物はともかく あの子供与一さんが見えてる?)おや。

 

 

大嶽丸「ん?

ひょっとしてこの子供も幽霊か?
ほれ」手すり抜けっ

子供「Σえ 私は幽霊!?」がーん!


テオドール「Σこのドラ猫!子供になんて事を!!」くわっ!

大嶽丸「Σうおすまん!」はっ!

 


彬羽(ん? ちょっと待て

こんな所に 子供の霊。
そして あの服装     まさかっ!)はっ

 


与一「連れがすまん。
その お前の様な子供が成仏出来ずこんな所に1人居るとは

何が心残りなのか。これも何かの縁だ
して欲しい事は有るか?」おろおろっ


子供「えっと?

あ!では 遊んでください。
同じ年頃の子が居なくて寂しかったのです」にこっ

与一「Σそんな事で良いのか!?」

 

 

白「ん? ここって
平家の奴らが住んでたんだよな

て、事は あれって」おや?

彬羽「与一の奴は鈍いからな。
後で教えてやれ」


粋「へ? どういう事?」きょろっ

 

 

石燕「あの子 安徳天皇さんすね
壇之浦で海に沈んだ 平家の若様みたいなもんす」ふむ。

粋「Σえ゛」


大嶽丸「成る程 わけも解らず生を終えた場所ではなく、
その前に隠れ住ん山の中の方が あの幼児には楽しく心に残る場所だったのかもな

それで魂は死後此処に と。」


粋「Σ何それ 泣きそう!」うっ


テオドール「良いでは御座いませんか
双方幽霊ですが 今は仲良くされておられるでは御座いませんか
わだかまり、数百年越しに解けまして御座いますねえ」にこにこっ

 

安徳天皇「違います 蹴鞠はこうです。」

与一「Σだああ!昔からこれは苦手なんだ!!」ああもうっ

 

 

粋「うう 良かったなー 2人共。」涙腺決壊っ


大嶽丸「おい。チビの方 不審者見る目で見てるぞ」

 


白「けど、 何だな」

彬羽「だな。」うん。

 

一同(んなトラウマになってたのに
相手の顔忘れてんのか 与一。)うーん。

 

石燕「その辺 与一さんっすからねえ」苦笑

 

 

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