小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

1月21日

 

 

 


【町中】

 


版元「石燕先生 これはちっと個性がキツ過ぎるんじゃ」うーん。

石燕「そっすか。じゃあ他所に持ち込みやすんで」すたすたっ

版元「Σうおおすんません!
先生の作品ってだけで今もう激レアなんで! うちで扱わせて下さいっ」ひいいっ

 


白「何してんだ石燕」あれっ

 

粋「なんだ?まーた いちゃもんつけて買い叩きかよ
オッサン 良い度胸だなあ?」ああんっ?

版元「Σいやそんな ちょっとだけお安くなればいや違っ!
ちょ すんません!許してえええ!!!」ひいいっ

 

 


間。

 

 

 

テオドール「当初の値段よりお高く買い取って頂けてよう御座いましたね」にっこにこ。

石燕「・・そっすね。」


白「トドメ刺したの テオの顔面に五寸釘カンカンしてやろうかだったな」うん。

粋「脅しの才能有るわあいつ」引。

石燕(こう言うの カツアゲとかそう言うジャンルの様な気がしないでも。)うーん。


白「気にするな
先にセコい真似したのあっちだろ
天罰だ天罰。」すったすた。

石燕「白さんが言うと さすがの説得力っすねえ」

粋「ガチ破壊神だしな」うん。


テオドール「しかし、毎度見かける度に値切られたりなめた真似をされておられますねえ

ですのであれ程 用心棒に彬羽さん辺りをと言われておられますのに」

 

石燕「今回のは納期ギリギリになったあっしも悪いんすよ
彬羽さんにバイト休んで来て貰うわけにゃ行かないっしょ?

だからって 値切りは反則っすけどねえ」やれやれっ

粋「じゃあ交渉すりゃ良いのに「人間相手だとなーんか上手く話せないんすよねえ」


粋(俺等相手なら 食いぎみで話せるのになあ。)うーん。

テオドール(出来るのですから 何ぞ具現化して脅せば早いのでは、とも思わなくもございませんがね。)ふむ

 


白「交渉もだけど、毎度誰かが通りがかるわけでもないし

お前ちょっと体鍛えといた方が良いぞ」

石燕「ん? 作品の納品になんで体鍛えるんすか?」


白「さっき あの店主ムカついて奥の飾り刀に手を掛けようとしてたし」真顔っ

テオドール「やっぱ 眉間に1本打ち込んで参りましょうか?」五寸釘。

粋「しょっぴかれるからやめろ」どうどうっ

 


石燕「Σマジっすか!?」うえええっ

白「人間ってワガママだからな
自分が悪くても 相手が思いどおりにならなきゃ勝手に被害者ぶるし。

気を付けた方が良いぞ」

石燕「はあ、まあ その辺はよく知ってるんすけどね」うへえ。


粋「んじゃ俺等芝居小屋戻るから
くれぐれも気を付けろよ」

石燕「あ、お昼帰りっすか

お仕事お疲れさんっす」

 


テオドール「念の為 少しお分けしておきましょうか?」にっこり

五寸釘と木槌セット。

石燕「結構っす。」即答っ

 

 

 


ーーーーーーーーー

 

 

石燕(しっかし 人間の嫌な部分はよくよく知ってるつもりだったんすけど
まだまだ甘いみたいっすねえ
いや別に 人間なんて信用してたわけじゃないっすけど。) ため息っ

 


「お? あれ豊房じゃねえ?」


石燕「ん?」ぴくっ

 

 

ごろつきA「お。ホントだ
うわ。お前 長屋追い出されたって話だったけど 生きてたのかよ」へー。

ごろつきB「相も変わらず 貧相なナリしてんなあ」ぷははっ

 

石燕「あの どちらさんっしょ?」えーと。


ちんぴらA「Σ寺子屋の時から同じだった基平太だ!!」むかっ

ちんぴらB「Σ同級生で地元の奴忘れるとか有り得ねえだろ! 甚八甚八!!」えええっ

 

 


石燕(言われても アンタ等みたいなに興味ねえっすもん。)えー。

 


ちんぴらA「ったく 本気で変わってねえな
人の話なんざ聞いてねえ」ちっ

ちんぴらB「だな
昔あんだけ泣かしてやったってのによー」にやにやっ


石燕(マジでどうでも良すぎて覚えてねえっす) ため息っ


ごろつきA「Σだから そう言う所がムカつくんだよお前!!」うがあっ

石燕「いやあの 同級生ならアンタ等もうすぐ三十路「Σ言うな!親みたいな事言うなああっ!!」

 

石燕(うわ面倒いっす。妖怪まみれのあの家に早く帰りたい) げんなりっ

 

 

ごろつきB「ま、まあ今回は多目に見てやろう
俺等ももう大人なんだしよ」こほんっ

石燕(いや 何処が)


ごろつきA「あーまあ。そのだ
今ちっと 人を集めててよ
お前 長屋を追い出されたんなら生活に困ってんだろ?
そのガリガリ具合 飯もろくに食ってな「ただ貧弱なだけっす。」

 

ごろつきA「・・あっ そう。」えーと。

ごろつきB「え、貧弱って
え。あーでも見張りくらいにゃなるんじゃね?」

ごろつきA「だな。とにかく人手は欲しいしよ」うんうんっ

 


石燕「見張り?
アンタ等 何やらかす気っすか?」

 

ちんぴらA「相変わらず勘が良いなあ
あーあ。ほらもう後戻り出来ねえぞ。 」

石燕「Σは!?ちょ何 Σええ!?」

 

ちんぴらB「万一捕まったらお前も同罪な
ほれ ちゃっちゃと行くぞ」

 

石燕(いやいやいやコレ 背中にゴリってしてんの!コレ完全に短筒っしょ!? 
うわコイツ等 ダチがヘラヘラしてるみたいに上手く周りから見えない様にして

めちゃ手慣れてる!? )冷や汗だらりっ

 


ごろつきA「いやー。この歳になると 親も小遣いくれなくてよ
もういっそ何処ぞの倉でも襲うかってよー」わははっ


石燕(金に困ってるなら さっきの絵の代金渡す いやそんなんじゃ足りないとか下手すりゃキゲンそこねてズドン!?

うわ。マジで人間ガラ悪っ!
絵の具現化 は腕捕まれてたら使えないっすし
だああ周りあんだけ達人居んだから護身術くらい習っときゃ良かった!!)頭ぐるぐるっ

 

 


家康「あっれー。石燕ちゃんのお友達?」ひょこっ

ごろつきAB「Σうおお!?」びくっ

 


石燕「Σいえや Σうお!?」脇腹ごりりっ


ごろつきA「えーと。 人違いじゃ? コイツは佐野屋の3男坊の豊房って言って   なあ?」

家康「ん?
ああ 石燕ちゃんはペンネームか
本名そんなだったんだねー」あははっ


ごろつきB「ペンネーム?」

家康「あれ お友達なのに知らないの?
その人 知る人ぞ知る浮世絵師だよ?」

ごろつきA「Σえええ!?」

ごろつきB「Σえ。ちょ
うわー久しぶりだから知らなかったなー
それならそうと言ってくれれば良かったのにー。」ぎくしゃくっ


家康「あ?お久し振りな感じ?」


ごろつきA「そうそう!
そこで偶然会って これから再会を祝して一杯って感じでさ」あっはっは。

家康「へー。

そっかあ 楽しんどいでねー」へらっ

 

 

ごろつきA(よっしゃああ!!!)

ごろつきB(アホっぽいけど どう見ても侍だし!
なんでか刀下げてねえけど 絶対関わっちゃヤバい気がしたし!
セーフだセーフっ!!)


石燕(Σえ。家康さん マジで気がつかなかったんすか!
行っちゃうんすか!?)あたふたっ

 


ごろつきA「しっかし お前が絵師様とはなー
あ、今金持ってたりする?」

石燕「Σえ」ぎくっ

ごろつきB「お? ちょっとそこで跳び跳ねてみろや」おおっ


石燕(Σコレ絶対出しても出さなくても殴られる奴!!) ひいいっ!

 


がたん!

 

ごろつきA「Σ誰か居る!?」びくっ

 

路地裏しーん。

 

ごろつきB「?
猫でも居たんじゃねえ?」きょろっ

ごろつきA「猫 も居た感じはねえけどな
大事前だから気でも高ぶって  ん?」

 

ごろつきB「どしたよ   Σえ。」びくっ

 


ボロ屋カタカタカタカタっ


ごろつきA「Σえ?え?」たじっ

 


壁から手ズボォッ!!

 

与一「うーらーめーしーやああーーー」 ずるううっ

 


ごろつきAB「Σっぎゃああああ!!!」ひいいっ

石燕「Σ与一さん!」おおっ

 


ごろつきB「Σお化けの知り合い!?」えええっ!?

ごろつきA「Σだあくそ! 化け物ぐらい何ぼのもんじゃあっ!」短筒構えっ

 

家康「そのモデルは撃つまで時間がかかるよ?」

ごろつきB「Σえ」


ごろつきA「Σちょ あだだだだだっ!!」

家康「そして銃ってのは しっかり握らないと撃てないからねー
指1本捕まれたら終わりだよ」銃じゃこっ

ごろつきB「Σひいっ!」両手上げっ


ごろつきA「何なんだお前 Σたいっだあああ!!!」ひいいっ

家康「アンタ等より 銃の扱いに慣れてる者でーす

せっかくもう戦は無いんだからさあ
こんなん使っちゃダメでしょ」ほんとにもー。

 

与一「私の矢は魑魅魍魎にしか効かんのでな
その辺フラフラしておった家康に助けを求めたら 一瞬で良いから気を反らせとなっ」どやっ

石燕「あー。さっきのは解ってて銃の位置とか確認しに来てたんすか
焦ったっす」へたっ。

与一「何だかんだで頼りになる奴よ
さすがは将軍」うんうんっ

石燕「そっすねえ
あの人だけは マジで人間でも嫌悪感が沸かないから不思議っすよ」苦笑っ

 

 

 

ごろつきA「こんのクソ侍離さねえか!とっとと離さねえと痛い目に

 

指パキャッ。

家康「ん? どうやって?」

 


与一・石燕(Σ掴んでた指反対に曲げたーー!!)ひいいいっ!

 

 

家康「さーて。じゃ 私の友達に2度とちょっかい出さないでね?
次は指じゃ済まないよ?」

頭に銃ごりっ。

ごろつきB「」こくこく頷きっ


石燕(Σ泣いてるし!)

 


家康「なら。よし

後はよろしく」

徳川忍軍「うっす!」しゅたたっ

ごろつきAB「Σ何か来たああっ!」ひいっ

 

与一「Σん? 約束させて許してやるのでは!?」え?

家康「いやー。あの銃御禁制の品だからね

牢から出てきた後に逆らわない様にしただけ」へらっ

 

与一「そ、そうか」冷や汗っ


石燕(助けて貰ってて何っすが

戦国猛将 こっわ!!) ドン引きっ

 


家康「あ、石燕ちゃん腰抜けちゃった?

あー 町人生まれだもんね
恥じる事無いよ 大丈夫かな?」

石燕「腰抜かしてんのは銃にじゃないっすけどね」

家康「へ?」

 

 


ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー

 

 

粋「Σげ!俺等と別れた後そんなんなってたの!?」ひええっ

与一「だな。いや焦ったぞ」

 

白「家康お手柄だな」へー。

家康「あははー。頑張っちゃったよ」へらっ


千様「ごろつきさん達 相当ビビったでしょうねー」あらあらっ

蒼月「つか馬鹿殿、俺が頼んだのは?」

家康「あーはいはい。
新発売の御饅頭ね」えーと


テオドール「ひょっとして 蒼月さんのパシリ中に出くわしたので御座いますか?」ええー。

 

石燕「饅頭でも何でも助かったんで感謝っすよ

いやホント あそこで与一さんが家康さんに教えてくれなきゃと思うと」ううっ


与一「ん?

あ、いや。実は最初に気付いたのは私では無くな」

石燕「へ?」

 

与一「実はその。私はお前に憑いてしか町とか出掛けれんのでその

飴細工屋しか見とらんかった。」

 

石燕「このガキゃ人のピンチに」イラッ

与一「Σしゃーないだろ!
砂糖の塊が金魚や猫になるんだぞ!?」

 

粋「アレは確かに面白い」うん。

テオドール「延々見てられまして御座います」うんうんっ


蒼月「アンタ等 何歳児?」

 

 

与一「そんな感じで 私が家康に状況聞かされ
どうしようとアワアワしておったら ごろつき共を脅かせと指示されたのだ。」

 

 

千様「え?じゃあ 殿、全く知らないごろつきの人達を その場で悪者って見抜いたの?」

粋「Σマジか!
お前凄いな」えええっ

 

家康「そうかな 簡単だよ?

だって 石燕ちゃんに人間の友達が居るわけないし」真顔っ


一同「Σ確かに!!」おおっ

 

 


蒼月「あんなん言われてるけど良いの?」饅頭もぐもぐっ

石燕「良いんじゃないっすか?」

蒼月「は?何笑ってんの 気持ち悪っ」

 


与一(あの殿 自分が人間なの忘れとらんか。)うーん。

 

 

 

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