小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

1月15日

 

 

 

【割烹春一】

 


飛天「あのさあ。ちょっと真面目に相談が有るんだけど」蕎麦ずずーっ

白「え。珍しい」きょとんっ


粋「お。あの表情筋のサボりがちな兄貴が 一目で解るくらいびっくりしてら」

テオドール「さすがは飛天さん あなどれないっ!」ひええっ


飛天「俺何だと思われてんの?」


ひな「えーと、聞きたいですか?」にこっ

飛天「・・やっぱ良いや」うん

 

 


白「うん、どうでも良いから相談って?」うどんずそぞっ

飛天「あーうん。気にしないでおこう

それがさ この前ちょっと変わった患者が紹介されて来てさ」

粋「患者に普通も変わったも何もあんの?」

飛天「俗に言う 記憶喪失。」

テオドール「成る程 レアに御座いますね」わお

 

 

白「ん?なんでそれで俺等に相談だ?
普通に医者の仕事だろ?」はて。

 

飛天「それがさ
思い出せない昔の記憶っての甦らせるのに ちょっとした催眠使ったんだよ」

粋「Σお前そんなん出来んの!?」えええっ

飛天「まあ、いわゆるお薬でトリップ的な?」

テオドール「Σ人体大丈夫なので御座いますかそれ!?」ひええっ

 

飛天「あんまり良くないから少しずつって事にしてるんだけど

それがさ。
その少し思い出した辺りで変な気配って言うか」うーん。

 

粋「何か寄ってきたとか?」ええっ

飛天「いや 人間のはずのその患者自身から
妖気って言うか何て言うか
だから途中でやめたのも有るんだけど」困惑っ

 

白「ん?

記憶が戻ると妖怪ぽくなるって事か?
記憶に住んでる妖怪なんて居るのか?」

彬羽「把握してるの分では居ないがな。
妖怪なんてのは次々生まれやがるからな 最近生まれた奴なら有り得ると言えば有り得るが」鍋ぐっつぐつ。

 

粋「えー。人の記憶に住んでる妖怪?
どんなだよ」

テオドール「で、その患者さんの記憶はどうするので?」

飛天「そこなんだよなあ
紹介してきたおばちゃんが 思い出せないとか可哀想ってごり押して来るんだけど
そもそも記憶飛ぶ様な事が有ったんなら 戻んない方が良い気もするし」うーん。


彬羽「ひょっとしたら その記憶を失うきっかけになった何かが 化け物絡みって事かもな」ぐつぐつっ

粋「そんなんで妖気まで出んの?」

彬羽「あり得ないとは言いきれんだろ」

テオドール「化け物の世界は何でも有りで御座いますからねえ」うんうんっ

 

飛天「て、事で
診療所で隠れて 何か有った時の為に待機してくれないかなー?って」

白「いいけど 俺この後仕事だぞ」海老天ぼーりぼりっ

飛天「そこは大掛かりだから準備に手間かかりまーすって こっちから時間指定するしさ
終わってからで良いから 夕方よろしくっ」拝みっ

 


朱禅「てか 今から仕事で 毎度よくあんだけ食えるよな」うわー。

ひな「普通 お役者様ってお昼ドカ食いしなさそうなのにねえ。」あらあらっ

彬羽「あいつの胃袋をなめんなよ」鍋ぐつぐつっ

ひな「ひょっとして いつものアレで軽いんですか?」

 

 

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【夕方 診療所】

 

 


テオドール(粋さん!ちょっと狭う御座います!)ひそっ

粋(Σあだだっ!お前こそ ちみっと踏んでるちみっとっ!!)ひそひそっ


白(狭いなら こんな所までついて来なくて良いのに。) 

 


患者「あのー。何か聞こえるような」

粋・テオドール(Σ!!)ぎくっ


飛天「あー。治療前で神経が過敏になってるのかなー。
はい 茶でも飲んで落ち着いて」にこにこっ


粋(Σさすがプロ!)おおっ

 

患者「あのー。

このお茶には何も入ってません?」怪訝っ

飛天「Σえ」

 


テオドール(あ。信用はされてない様に御座いますっ)

白(色々怖いの滲み出てるんだろうな)うん。

 


患者「いえその、
前の 何か思い出しかけた時の変な感覚が

お薬聞きすぎも恐いなーって」

飛天「ああ そういう。
あー 前の時、思い出しかけた時そんなに恐かった?」ふむ。

患者「かなり。ですね

死ぬかと思いました」ため息っ

 

 

粋(え。コレ やっぱ思い出さない方が良いパターンじゃ)


飛天「ふむふむ。
あの 患者本人が嫌なら無理に思い出す事は無いと思うし やめとくけど?」

患者「いえそれは

思い出さない事には 隣のおタケさんがずーーっと 説得しに来るでしょうし」ため息っ

 

テオドール(日本あるある 親切通り越してお節介おばさん 
なかなかに厄介に御座います) うわー。

 

飛天「ん?
じゃあおタケさん抜きなら 別に特別思い出したくも無い と?」

患者「何が有ったのか全く思い出せないんで 興味が無いと言うか
それも良いかと思うんです」けろっ

飛天「そう言うもんか」うーん。

 

 

粋「なんつーか。
偉い天然な姉ちゃんだな」ひそっ

テオドール「普通 記憶の空白とか自覚してたら気になると思うので御座いますが」うーん。

白「だな。変だな」うん。

粋「あ。やっぱそう言う事?」うわ

 


飛天「じゃ キツかったら無理はやめよう

これから前回と同じ様に この香を焚いて潜在意識から記憶を呼び起こすって治療に入りまーす」チラ見っ

 

粋(医者から見てもやっぱ変なのか)緊張っ

 

 

 

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【割烹春一】

 


酒呑童子「ほー。記憶に住む鬼 ねえ」ふーん

ひな「鬼じゃなくて妖気らしいですよ?」

茨木童子「少し前は 悪げな物は全部鬼って言われてたんだよ

まあ、俺等生物としての鬼とはまた別物だけど」

人魚「どう違うんですかー?」はて。


茨木童子「俺等は 言わば動物と同じ しかしちょっと人とは違う物。

西洋で言うなら山の精霊みたいなもん?」えーと。

ダミアン「成る程 エルフみたいなもので有るか。」ほうほうっ


茨木童子「そうそう
耳尖ってるし

まあ俺は見た目ダークエルフだけどな」わははっ

 

庵「じゃ こっちはオークとか?」指差しっ

酒呑童子「出勤してくるなりそれかよ 店員」イラッ

 

 

ダミアン「シフト交代の時間か
お疲れ様だな」

酒呑童子「こら背中向けんな
待てこら 何プルプルしてやがる」

 

シロ「めちゃめちゃウケておるな」入り口ガラッ

ひな「あ、シロさん
未成年なんでこの時間には帰って下さいね」シフト表ぺらっ

シロ「今入った所なのに!?」えええっ


彬羽「すまん。洗い物だけ片付けてくれりゃ問題無いからな
じゃ。俺は上がる」すたすたっ

シロ「ん?やけに急ぎだな」

 

茨木童子「何か 怖ーーい鬼が出るかも?って話だからなあ」

シロ「は?」

 

 


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粋「Σえ!え 何これ!?」えええっ


巨体の鬼ずずーん。

 


白「人間って いきなり鬼になる物なのか?」見上げっ

テオドール「Σ鬼って 酒呑童子さんや茨木さんとはサイズから違うので御座いますけど!?」えええっ

 

 

飛天「えっと

今 催眠香消しても意味ない かな?」困惑っ

 

白「それで巨大鬼化してるんじゃないなら 意味ないと思う」うん。

飛天「ですよねー」あちゃー。


粋「言ってる場合かよ!
この姉ちゃん元に戻れ Σぎゃーっ!!」

がしゃーん!

 

飛天「Σあああ診察室がっ!!」

白「鬼かお前。」

 


テオドール「ギリセーフに御座います!」コウモリ羽ばさあっ!

粋「つ、潰れたかと思ったっ!」心臓ばくばくっ

 

白「よしテオ
そのまんまそいつ持って逃げてろ
日向には出るな」

テオドール「かしこまりまして御座いま Σえ。 ちょ

Σだあああー!!!」びゅおっ!

 


白「よし。ああ言っとけば診療所から出ない」

飛天「あの お宅の弟さんって
やたら化け物惹き付ける体質だったような「囮に丁度良いだろ」

 

飛天(鬼はどっち?)ええー。


白「さて、今の内にどうするか考えるか
中身があの女なら 下手に殴ったり燃やしたり出来ないしなあ」うーん。

飛天「相変わらず考えてんだか考えて無いんだか

さーて。ホントどうするか」

 

 

彬羽「Σうわ 何だこりゃ」びくっ

白「あ、丁度良い所に」おおっ

飛天「見ての通り 診察室大破だよ」とほほっ


彬羽「と言う事は やっぱ化け物絡みだったか」

白「化け物絡みっていうか 患者が化け物になった」

彬羽「Σはああ!?」


飛天「記憶が戻ったぽい? て所までは人間だったんだけどな

なんかこう 凄いショックな物見た様な感じでパニックになってそこから急に」えーと。


彬羽「・・ちょっと待て
その患者の詳しい情報は?」

飛天「あ、カルテ作ってるけど」

彬羽「そこに出身地その他なんかの情報は?」

飛天「へ?
あー 本人は記憶無いけど住んでたらしき場所とかなら ちょい待ち」がさごそっ

 

白「解りそうか?」

彬羽「多分な

しかし 解った所でどうすればって話だが」うーん。


飛天「有った有った 
えーと。出身地か

ここに来る前は  美濃?」ふむ


彬羽「・・お前 それでピンと来ないのか?」

飛天「何か有ったっけ?」はて。

 

白「?」

彬羽「手前はその頃は山でサバイバルしてか
知るはずがねえな。

美濃にはとある化け物の伝説が有ってな」

 

 

飛天「あ。そういや ちょい前に両面宿儺の封印解けてた」手ぽんっ

 

白「誰だ?」

彬羽「かなり昔に大暴れした 二つの顔に4本の手の大妖怪だ。
表向きは討たれた事になってるが」

 

飛天「あの手のは討たれたとか言われても封印止まりなんだよな 人間の手には負えないって。
んで、封印されてた所の近くに住んでた 人里が偉い事になったんだっけ?

近くの妖怪達も身の安全の為に団結してちょっとした戦になったとか何とかで。」えーと


白「ん? 
じゃあ あの女がその時の生き残りだとして
両面宿儺が記憶に入り込んでしつこく生きてたとかって奴か?」


飛天「あ、それはないない

先代様が 八つ裂きって言うか108つに裂いたって言ってたし」

白「やったの うちのじじいか。」うわ。

 

彬羽「あんなんでも先代のこの国の妖怪の大ボスだしな。

どれだけその話を聞かされたか」げんなりっ

飛天「うんうん。酔う度自慢するし、しつこすぎてその辺の記憶封印してたわ」はーやれやれっ

 


彬羽「まあそんなで 生きてる事はまず無いだろ

手前の爺さんはあんなんだが 容赦の無さは手前の比じゃねえって聞いてるしな」

白「じじい ちゃんと仕事してたんだな」へー。


飛天「ひっでえ会話。」わお

 

 

白「じゃ 結局あの鬼は何なんだ?」

彬羽「考えられる事は

そうだな。 記憶が作った本来無いはずの鬼って事か」ふむ。

白「日本語で話せ」頭ぐるぐるっ

 


飛天「つまり、
その時の度を越えた恐怖体験が 鬼を呼んだ?
いや作った?」


彬羽「そんな所だろう
呪いの類も結局は この世の負のエネルギーを使いこなしているだけだしな」

白「ん?ややこしいな

んじゃ結局 あの鬼はあの女本人だから」えーと。


 
飛天「・・あれ? 退治出来なくね?」

彬羽「強行したら患者が死ぬな」真顔。

白「どうするんだ これ。」うわ

 

 

 

 


テオドール「うわああああ!!
デカい割に速 Σどわあああっ!!!」

がしゃーん!

 


彬羽「Σおい。奥の方何がどうなってんだ!?」

飛天「Σあああ あっち入院患者用の部屋!
今居なくて良かった!」ひいっ

 

白「殴ってダメなら俺等向きじゃないな
晴明辺り引っ張ってくるか」ふむ。

飛天「いやー。さすがにムズいんじゃないかな
つかあの陰陽師 用事が有る時は結構留守だし 急がないと診療所が持たな


ドゴシャアアアッ!!


粋・テオドール「Σっぎゃーっ!!」


彬羽「Σおい何で追われてんだお前らっ」だだっ

 

 

白「あ、御人良し 割って入っちゃったな」

飛天「簡単には壊れないだろけど

ますます急がないと さすがにヤバいなこりゃ」うわ。

 

白「(催眠で引っ張り出したなら蒼月だろけど寒さに負けてるし、
晴明には負けるけど魄哉 も大概脳ミソ筋肉だしな)


あ。封印しなくても良いのか」はっ

飛天「へ?」

 


白「ちょっと春一行ってくる」くるり

飛天「Σえ。俺1人でこの状況放置!?
てか何で食い物屋!?」えええっ

 

 

 

酒呑童子「おらよ。出前一丁おっ!」

ぽーいっ


シロ「Σどっわああっ!!」ずしゃーっ!

 


白「お。気が利くな」おおっ

シロ「Σ何がだ!!」くわっ


飛天「Σあ!そう言う!?」はっ

シロ「へ?」

 

 

茨木童子「古来の鬼は人の心から生まれたって言うからなあ

仮に起源が同じなら斬れるはず?」

酒呑童子「マジかよ 俺等人間なんぞから生まれたのかよ」うええっ

茨木童子「いや冗談。 俺等は山の精霊つったろ?

ほら あのチビッ子の刀なら どっちにしても魔の物『だけ』を斬れるしな」

人魚「成る程!さすがですー」きゃー。

 


シロ「へ?あの 何の話だ?」きょろっ

 

飛天「えーと。とりあえず

あっちで凄いのと組み合ってるうちのイトコ助けたげてくれる?」ほれっ

シロ「Σうおお彬羽 何やっとんのだ!?

でえい! 何か解らんがとにかく斬る!!」鬼切抜刀っ!

 

 

 

 


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隣のおタケさん「ええー!そんじゃこの子の記憶戻らなかったのかい!?」

飛天「いやー。戻るには戻ったんだけど
もう1回忘れて貰ったと言うか」

おタケ「Σなんで!?」ええっ

 

 

テオドール「まあ。親切なだけのおばさんに御座いますしね」ぜーぜーっ

粋「ありがた迷惑極まりねえっての」へたりっ

 

 

白「えっとな。
なんかこう
人ってのは凄く忘れたい事が有ると 自然に記憶消しちゃうらしくてな

それを無理矢理思い出すと 耐えきれなくて脳ミソぱーんで 色んなの爆ぜて死んじゃうらしい」真顔っ

おタケ「Σそうなの!?」ええっ

 

白「うんうん。ぱーんてなって 診療所壊れたから こりゃ危ないってなって仕方無かったんだ。」ほら

おタケ「ええっ!これあの娘のパーンで壊れたの!?」ひええっ

 

 

 

彬羽「なんで信じるんだ。」困惑っ

酒呑童子「お宅の魔王が真顔で真面目に言うから だろうな」笠かぶりっ

彬羽「ありゃ表情筋が仕事してねえだけだ」

 

 


患者「あの、結局何も覚えて無いんですけど」えーと。

おタケ「あーうん。おばちゃんが悪かったよ ごめんねえ」よしよしっ

患者「?」

 

 

飛天「ま、これで一件落着か。
いやー疲れた疲れた」わははっ

ダミアン「診療所が大破した割に元気であるな」

飛天「よくよく考えたらこれ幕府の持ち物だし
申請すりゃ直してくれるだろしさ」へらっ

人魚「職場兼自宅への愛着とかは一切無いんですねえ」うわー。

 

 

おタケ「先生お疲れ様
いやーそう言う事だったとはねえ

皆さん助手の方? ホントお手数おかけしまして」にこにこっ

 

粋「あーいや 別に」よれっ

おタケ「? 医療って体力勝負なんですねえ

あ、そうそう コレうちの裏で採れたんですがね よかったら皆さんで召し上がって下さい

なんか。人の顔みたいな模様出てますけど」

人面人参「ケケケケケッ!」ケタケタっ

 

 

テオドール「・・あの、これって」

彬羽「民家レベルでも 何かの負のエネルギー的な物で呪いがかかった

って所か?」うわ。


酒呑童子「Σ人間怖っええええっ!!」ひいっ

 

 

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