小咄

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くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

10月2日

 

 

 

 

【山奥 某村】

 

村長「立ち退かねえぞ。」きっぱり

家康「いやー。だから地上げじゃなくて」苦笑

 


白「地上げじゃないのか?」

魄哉「君、変な言葉は知ってますねえ

ぶっちゃけ此処危ないんですよ
ほら、あちらをご覧下さい」見上げっ

粋「Σげ! 何あの今にも転がり落ちて来そうな岩っ!」ひいっ

魄哉「この村は山と山の合間に位置するんですがね

あの出っ張った絶壁から 落ちそうで落ちない岩、 まあ雨風が長い時間をかけて削り出した物なんですが
アレが不思議と落ちてこないので 守り神だと信仰してまして」うーん。

 

彬羽「見てきたが やはり限界だな
今年の異常気象で劣化が酷い
数日中には村が潰れるだろ」

粋「Σえええ!」

家康「だから避難してって 新しい村も用意してんだけどねえ
代々住んだ村を捨てられるか。毎年供物供えてるのに御岩様が自分達に危害を加えるものかって聞いてくれやしない」とほほっ


白「お前が 自分は将軍だぞ。さあ引っ越せって言えば良いんじゃないのか?」

家康「・・偽物呼ばわりされて石投げられそう」ふっ

彬羽「こんな田舎で印籠出しても なんだそりゃで終わる可能性も有るな」成る程。

 


魄哉「正攻法じゃ退いてくれそうにも無いですし、無理矢理退去させようとすれば何するか解らない人達ですし
君達 何か良い案有りませんかね?」困惑っ


粋「幕府困らせるってどんだけだよ。
つか何で今まであの岩落ちて来なかったんだよ」見上げっ

彬羽「岩に見える部分が固い土、もしくは石の塊だったんだな
で、周りは普通の土 それで雨が流れる事で長い時間をかけて削り出されたって奴だ」

粋「Σ自然って凄え!」おおっ

白「だから岩の下の土が削られたら落ちるのか」へー。

 

家康「そうなんだよねえ
その辺説明しようとしてるのに ほらタンコブ」オデコ出しっ

魄哉「やっぱ僕がお話しましょうか」うわ。

家康「お前結構沸点低いから 村の人達可哀想でしょ

昔からの神様信じてるだけなのにさ」

 

テオドール「信仰が絡むとそうもなってしまうので御座いましょうねえ」うんうんっ


粋「何か言われてんぞ 兄貴」

テオドール「一生お仕え致します」真顔っ

白(なんでこんな懐かれてるんだろう) うーん。

 


テオドール「という事で 信仰心を傷つけない方向で

彬羽さん
落ちる前に岩もぎ取って持ち上げられませんか?」

彬羽「言ってて無理が有ると思わねえのか」

テオドール「彬羽さんの筋肉なら行けるかと!」拳ぐぐっ

彬羽「Σアホか! 足場も無いのにもいで持ち上げるとかどうやれってんだ!!」

 


白「足場が有れば出来るのか?」

彬羽「・・気張れば行けるかもしれん?」うーん。

粋「充分怖えよ」ドン引きっ

 

魄哉「場所が場所ですしねえ」岩見上げ

家康「縛りまくって馬や牛に引かせながら繋ぎ目爆破とかってのも考えたけど
1歩間違うと 村にドーンだし」

魄哉「そもそも黙ってやらせてくれそうに無いんで やっぱ一時的にでもお引っ越し願いたいんですよね」ため息

 

白「ちょこっと百鬼夜行するか?
呼び出しかけたら暇な奴等わんさか来ると思うけどな」

彬羽「それはそれで問題起きねえか?」

粋「また人間相手にギスんじゃね?」えー。


白「よし。俺に頭使うの無理だ
お前等後頼んだ」すたこらっ

粋「Σあ。ちょっと兄貴っ」

テオドール「逃げられましたねえ」おやまあ。

彬羽「変な事されて岩落下するより良いだろ
あいつは何やらかすか解らん」ため息っ

 

家康「あ、この先の川が決壊したとデマ情報流すとか?」

魄哉「避難してくれってこれだけ言った直後にそれは 疑われて今後実際に川が氾濫した時信じて貰えなくなるリスクが。」

家康「Σうう!難しいっ」

 

 


テオドール「で、我が主は何処に遊びに行かれたので御座いましょう?
また迷子になられるのでは」きょろっ

彬羽「いや今回は大丈夫だろ
そこで謎菓子振る舞われてるしな。」ほれ

 

 


村のおばちゃん「お兄さんこの辺人じゃないねえ
都会から来なさったんかい?」

村の奥様「あらー。良い食べっぷり
どんどんお食べ」にこにこっ

白「貰ってばっかじゃ悪いし」扇子から水芸ちょろろろっ

おばちゃん・奥様「Σおおおおお!!」拍手ぱちぱちぱちっ!

 

 

家康「あ、凄い
さすがのタラシっぷり」わお。

魄哉「こういう所の人は娯楽に飢えてますからねえ」おやまあ。


彬羽「・・お前等 普段芝居小屋勤務だよな?」ちらっ

粋「Σえ。 ま、万年見習いだけどっ」ぎくっ

テオドール「私は雑用に御座いますよ?」


魄哉「お。何か思いつきました?」おおっ

彬羽「かなりアホな手だが
押して駄目なら引いてみろだ

物は試し やってみろ」

粋「Σやっぱ俺等が何かやんの!?」ひいっ

 

 

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テオドール「おおおお!出ました大当たり
おめでとう御座いまーす!!」 銅鑼じゃーんっ!

粋「うわー! 参った
宣伝のつもりが大赤字だーっ」棒読みっ


白「一等。温泉旅行 村ごとご招待なのか」へー。

 

村の奥様「Σえええええ!!」大当たりのクジッ

おばちゃん「Σちょ アンタ凄っ!!」


粋「あー参った参った
薬の行商に来ただけなのになーー!」棒読みっ

テオドール「ですのでセコく 1等は抜いておくべきだとっ」チラ見っ


村の奥様「え?え?でも
皆でって みんなの都合も有るし
時期が時期だし  ねえ?」おろおろっ

村長「温泉は 腰に効くと言うな」きらーん。


おばちゃん「せっかくだし皆で行こうよー
こんな機会めったに無いよー」にこにこっ

 

 

 

 

テオドール(で、どんなからくりに御座いますか?
まさか全部当たりクジで?)ひそっ

白(全部細工してて 適当な所で炙り出しだ。) 炎ぼっ

粋(確かに俺等にしか出来ねーわ) うん。

 


村人「よーし。じゃあ皆で羽伸ばしに行こうー!!」ひゃほーっ

 

 


家康「人数の少ない村で良かったね
事故らないの願って留守中に工事しちゃお」物陰でホッ

魄哉「・・ですねえ」

家康「ん?上手く行ったのにどしたの」

魄哉「いえその

咄嗟に手配出来る温泉宿が僕の持ってるアレしかなく」冷や汗っ

 

家康「Σ妖怪温泉に人間の団体客!?」ひええっ

魄哉「どうやったらお客さん方分けられるか思案中です。」うーん。

 


彬羽「その辺は幕府の権力でどうにかなるかと思ったんだが」誤算っ

魄哉「行楽のシーズンですからねえ
あ、言い出しっぺですし 警備お願いします」にこっ

彬羽「Σえ」

 

 

白「なんか 赤字にさせてごめんねとかって柿めちゃめちゃ貰ったぞ」山盛りっ

テオドール「大成功に御座いました!」わーい。


彬羽「手前等も手伝えよ」ちっ

粋「Σえ。何を!?」

 

 

 

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