小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

6月26日







江戸城



魄哉「不健康な話ですねえ」冊子ぱたんっ

挿音「何がよ?」天井からぶらんっ

魄哉「巷で流行りらしいですよ。読みます?」

挿音「いや俺は絵草紙系はあんま
って何だこりゃ 心中モノ?」うええっ

魄哉「今めちゃめちゃ流行ってるみたいです 悲恋エンド。」ため息っ

挿音「そりゃため息も出るわ
何が良いんだこんなもん」引っ

魄哉「まあ趣味嗜好は人それぞれですから あんま言いたくありませんけど
色恋沙汰で生死が絡むと本気で悲惨なんですよ。
野生動物でもまれに残された方精神やられて悲惨な最期遂げますからね

んな物でキャッキャッ抜かして流行りとか理解出来ませんね」はんっ


家康(先立たれバツイチが言うと説得力有るなあ) うわあ。



魄哉「ま、当事者じゃないから見てられるんでしょうが
あんまりブームになるのも怖いですね」冊子チラ見っ

挿音「ん?怖いっつーと?」

魄哉「ひっそり趣味な分には良いんですがね
物事ってのは大掛かりかつ 皆やってるってなるとエスカレートする物です。

物事の本質も解らないまま 変に影響受ける人が現れないと良いんですが」うーん。





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【芝居小屋 楽屋】




テオドール「ーーと言う事で 今流行りだけど此処ではやらないのか?と いつものお饅頭屋の奥様が申されておりました」例の絵草紙っ

つつじ「あー この手のホンマ流行っとるなあ
お客はんの要望聞きありがとさんどす。

けんど、残念ながらうちの芸風には合わんのどすわ」苦笑

テオドール「?
と、申されますと?」



皐月「この芝居小屋のモットーはド派手や。 もちろんメリハリ大事やからな 真面目な所はキッチリやって それからドカーンと行く

やから うちでコレやったらクライマックス血飛沫噴水になるな」真顔。

テオドール「何処のサーカス団に御座いますか」うわあ。


粋「けどよ。なんでまた寄りによって此処でやんねーの?って聞かれたんだろうな
いつも御使い頼まれる菓子屋だろ?
あそこのおばちゃんならうちの常連だし芸風解ってそうな」はて。

皐月「そこは コイツの傘やろ?」

粋「へ? あー!成る程っ」手ぽんっ



白「傘だと何で演目アレコレ言われるんだ?」扇子ぱたぱたっ

粋「お。兄貴 出番お疲れ
ほれ 1杯目はぬるい茶な」茶こぽぽっ

白「冷たい井戸水のが良「暑い時にいきなり冷えてんのは胃袋ケイレンすんだよ」

つつじ「何処の石田三成や」苦笑。


白「で、なんでだ?」茶ぐびーっ

つつじ「あんさん プロやねんから知っときや
こん人のトレードマークは番傘やろ?

んでな、演目で心中もんやる時には 演者がボロい傘持つ事でこれ心中もんどすえって暗喩する。そう言うものなんや」


テオドール「ボロく御座いませんが」むっ

つつじ「例えどす。
あんさんのはほら 巷で流行っとる所に傘持った芝居小屋のパシり来たから深く考えんと聞いてもたんやろ」


粋「まあ心中モノの宣伝絵とかなら 人物2人が基本だけどな

やぶれた相合傘ってのが元になったとか何とか。
最近は双方くたばるってライバル物でも使ったりするよな」

白「お前 めちゃ詳しいな」へー。

粋「そりゃ 見習い長いですから」遠い目。

皐月「アンタそろそろちょい役でも名有り出来る様になりや
後輩にどんどん抜かれて「それが今だに舞台立つと膝がガクガクで」

つつじ「致命的やな。」うーん。




皐月「ま、深く考えんとき
アンタは 此処等のおばちゃん等に番傘君て呼ばれとるからってだけや」

テオドール「Σそんなアダ名ついてたので御座いますか!?」ええっ

皐月「カイジンさんもアレやし
顔見知りでも名前呼びはどうやと思われとんのちゃう?」

粋「ん? パシってるとアダ名つけられんの?」

つつじ「そらな。奥様方はそう言うの好きどすえ?」

粋「へー。じゃ俺にもアダ名ついてんの?」



皐月・つつじ「『見習い君』やで。」

粋「Σぐはっ!」

白「見習い長すぎて定着しちゃったんだな」ああうん。

つつじ「頭に万年つけへん辺り優しさどすな」うん。

粋「Σ絶対超一流になってやる!!」どちくしょおおおっ

皐月「よっしゃ 火ついたな」うん。



テオドール「えっと。頑張って下さいませ」困惑っ

粋「Σお前はなんかこう
いっつも労られる立場で良いよな!!」うがあっ

皐月「あーもう八つ当たりすんな うっとい!」おらっ

粋「Σおぐっ!?」かはっ



つつじ「皐月はん 楽屋で腹パンはやめたり」うわー。




間。





【割烹春一(お昼休憩)】



テオドール「という事で 粋さんが荒ぶっておられます」ため息っ

ひな「それは 仕方ないですねえ」苦笑。

庵「普段兄弟揃ってアレだけ目立つ事やってんのに、なんで緊張するかな」うーん。



テオドール「おそらく 舞台の上ではお兄さんのサポートが一切ないからだと?」

ひな・庵「あー。」凄い納得っ


朱禅「普段からサポートしてやってるイメージ無いけどな この兄貴?」

白「くかー」すやあっ


テオドール「食休み中ですので起こさないであげて下さいませ。」

ひな「まあ確かに 戦力的な意味では頼りまくってるの見ますしねえ」ふむ。

庵「魔王が兄だと弟は一人立ちしにくいのかもね」うーん。


朱禅「で、その繊細な弟はよ?」

テオドール「自信が有れば緊張しなくね?とか申されて
現在白さんがやられてる役の真似事しようとして 難しさに頭抱えて凹んで大道具置場で拗ねておられます。」

ひな「上がったり下がったり忙しい人ですねえ」うわあ



朱禅「まあ何だ
巷じゃ辛気臭いのが流行ってるけど お前等の所は通常運転みたいでホッとしたよ」苦笑。

テオドール「あー 駄目そうに御座いますね」

朱禅「うん。無理
ひながハマってるからあんま大声で言うなよ?」しーっ


ひな「という事で庵さんもいかがです?」絵草紙がさごそ布教っ

庵「流行り過ぎて変なハマり方してる人も居るからなあ
私はあんま好きじゃないかな」ひええっ


テオドール「おや?何か外が」


『おいいい!網持ってこい網!!川に若えのが2人飛び込んだぞー!』
『Σ何いい!またかああ!!』ちくしょおおおっ



朱禅「流行り過ぎて影響受けちゃって
最近さほど障壁ねえバカップルが ああやってノリで飛び込むんだよなあ」あちゃー。

庵「店の前が川だしね
んな所でノリで土左衛門とかならないで欲しいよね」うん。

ひな「こういうのは読み物だから良いのに」あーあ。



白「流行りって怖いな」

テオドール「で御座いますね。おはよう御座います」ひええっ

白「うん。さすがに寝てられない」寝覚め最悪すたすたっ



ひな「あら?何処へ」

白「嫌な起こされ方したし」扇子ちゃきっ

庵「Σえ。ちょ
いや水嫌いなんじゃ Σぎゃあああ皆戸閉めてええええ!!」ひいっ






どっぱあああんっ!!!


どすっ! びたんっ!!

男女「Σ あだっ!」げほおっ


爺さん「おおお!2人共生きとるぞー!」

町民「兄ちゃんすっげ!今のどうやったよ!?」おおおおっ
白「気合い」適当っ


テオドール「今の 人前で火使われたので御座いますか?」え?え?

庵「いや単に 普通に物理でぶちかましたんだと思う」心臓ばくばくっ

朱禅「魔王こっえええええええっ」ひいいっ






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【再び芝居小屋 (本日の興行は終了しました。)】





白「けど、困ったもんだな」

テオドール「で、御座いますね
気にしておりませんでしたが、流行っているからと あちこちの芝居小屋、その他で心中物ガンガンやっていて
更にそれがブームに拍車をかけている様に御座います。」パンフの山っ


白「徳川頭抱えてるだろうな」

テオドール「で、御座いますねえ

かと言って規制するのも文化の妨げとか 頭抱えてる姿が目に浮かぶように御座います」うーん。


つつじ「あれ、あの2人急にどしたん?」

皐月「目と鼻の先で心中騒ぎあったんやて」

つつじ「Σうわ。そらキッツイ!」ひいっ

皐月「どっちも助かったらしいけどな つかめちゃ荒っぽく引きずり出されたっちゅーか。

ともかく生きとった上 なんや同心がボヤいとったらしいけど、単にあの世って平和みたいだから2人でこの絵草紙みたいに綺麗に行こうぜ!とかなったらしわ」あほくさっ


つつじ「助けんで良かったんちゃう?それ」うわ

白「だな」うん。

テオドール「綺麗も何も 水死は体が変色してデロデロのぐちゃぐちゃに「知っとるから言わんでええ。なんでそう言う事には詳しいんやアンタ」


白「ま、いいや。

で あの拗ねこきは治ったのか?」

つつじ「粋はんなら 腹の虫に耐えかねて出てきて 今遅い昼食べに行ったわ
裏方としちゃ有能やし 腹へりで仕事出来へん言われたら困るしな」

皐月「まあアイツは心中物とは縁遠いな。
世間そればっかやからなんか安心するわー」わははっ


白「あいつ役に立ってるんだか立ってないんだかだな。」ふーん。




テオドール「そもそも粋さん 清々しい程モテそうでモテないタイプなので その点はお相手居ないので大丈夫に御座いますよ」 悪気無しっ

つつじ「うん。間違っても本人の前で言わんようにな」うわあ。


皐月「つかアンタ 人の事言えるん?」あれっ?

テオドール「私はそもそも 国に帰る予定も有りませんし
日本の女性はパワフル過ぎて怖いと申しますかっ」しどろもどろっ

つつじ(こん人の周りヤバ目の女しかおらへんもんなあ) しみじみっ


皐月「情けない男やな
その中でもトップクラスで怖い女にばっかモテとるアンタの主様ちょい見習 ん?どしたん?」

白「客だ」

皐月「えーと。 アンタが真っ先に反応するて事はや」ふむ

つつじ「喧嘩売ってくるタイプの御方やったら いてまうで?
此処はわての城どす。」

白「うん。血飛沫噴水は程ほどにな」



テオドール「Σどういう会話なので御座いますか!」ひいっ

皐月「つつじな アレで元アサシンやから。
なんぞあったら即首の血管狙ってくんで」

テオドール「Σまさかの目の付け所が吸血鬼と同じ!!」





女妖怪「あのー 此処に主様おられますでしょうかー?」ずるりっ

一同「Σ!?」びくっ




白「敵意無さそうだな」うん。

女妖怪「へ?そりゃまあ

あのー 1つ御相談がありまして」

テオドール「えっと。座布団に御座います」ささっ

女妖怪「あ、これはどうも

それがその 何処から話したらなんですが

私ちょっと気になる人が居まして どうやったら落とせるかなって

白「なんでそれ俺に相談しようってなった」

女妖怪「魔王は万能かなって。」



つつじ「害はなさそうやけんど
またけったいな」苦笑。

皐月「てかこれ白には解決出来へんやろ」


女妖怪「で、その人生命力の塊って言うか 簡単に壊れないって言うか
折れてもすぐ立ち直ると言うか
そんな感じでー」



皐月「どっかにも居たな。そんな単純」ほー。

テオドール「・・いえ、そんなまさか」苦笑っ


女妖怪「で!どうやったらそんな陽の人を 私の住んでる冷たい谷底に引きずりこめますかねっ!?」くわっ
白「一応聞くけど お前 今流行ってる「あれめちゃ好きです!! 一緒に飛び込みたいっ!」



皐月「あの 私も1個聞きたいんやけど
その引きずり込みたい人って」

女妖怪「いつもこの先の大通りでメモ見ながら凄い量の買い物してる人でー」きゃっ


つつじ「うん。主に量のある買い出しはあん人の担当やな」あちゃー

女妖怪「あと、何でか片方の耳にのみ沢山穴開けて耳飾りを」

テオドール「あ、この辺で片耳ピアス他におられませんね」確定っ





白「あのな。
言いたい事は色々有るけど 困って相談しに来たわけだし 出来るだけ優しく言うけどな

そもそも人間襲うなって言ってるだろ」

女妖怪「Σあ」やべっ



白「後な お前がオタク拗らせてあの世に道連れにしようとしてるの 俺の身内だからな?」

つつじ(Σあ。さすがに怒っとる!)はっ

女妖怪「Σえええ!何それ運命!?
すみません ちょっと紹介して!!」








粋「はー。食った食った
腹減ってるとメンタル弱くなってしゃーねえや

なんか振り回しちまったし 兄貴やテオにも謝らねえと

おーい。入る
テオドール「Σぎゃああ今は入らないで下さいませ!!」


粋「Σえ!何!? ちょ 開けるぞ!!」

襖おらあっ!




白「あ?」ジロッ。

粋「Σぎゃあああっ ごめんなさいごめんなさいもう致しません!!」ひいいいっ




皐月「いや、アンタやない
足元足元」

粋「へ? え? Σうお誰!?」びくっ

女妖怪「うふふふはじめまして」ボロッ


つつじ「Σはじめましてなん!?」ええっ

女妖怪「はい。言葉を交わすのは」うふふふっ

テオドール「Σストーカーではありませんか!!」ひええっ





白「そうか。こう言う時は確か」えーと

一同「?」心臓ばくばくっ



白「『うちの子は未成年です。お引き取り下さい』。」ギロッ

女妖怪「Σえ。 あ はいっ」びくっ






白「セリフ合ってたよな?」ふんっ

つつじ「合っとるけど微妙にちゃうって言うか まあだいたい合っとるわ」うん。



皐月「あ、ストーカー諦めた」おおっ

女妖怪「・・尻の青いガキ!」だだっ

粋「Σ俺が何したってんだよ! てか逃げ足早えな!!」えええっ





つつじ「ま、目が覚めたらあんなもんやろ
キッツイけんど」苦笑。

皐月「流行りもんにキャーキャー言うんって熱に浮かされてるよなもんやしなあ」うんうん。



テオドール「個性的な方にモテるのは血筋に御座いましょうかね
て、あの 大丈夫で御座いますか? 」もしもし?


白(? 間違った事言ってないし 保護者としてちゃんと丁寧に言ったよな

あれ?何処がおかしかったんだろう) うーん。







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