小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

6月10日





【台所】




白「なあなあなあなあ。」うろちょろっ

彬羽「つまめる物は無い
もう少し待ってろ」本日の台所当番っ

白「そうじゃなくってな ちょっとこっち見ろってば」ちょろちょろ


彬羽「Σだああ鬱陶しい!この蒸し暑いのに何人分作ると思ってんだ だいたい手前がアホ程食うから

白「赤ん坊拾った。」赤ちゃんほれっ

彬羽「Σどういう事だあああ!!!」





間。






石燕「えっと。
つまり 此処の山の麓の鳥居の所に
置き手紙と一緒に置いてあったと」うええっ

赤ん坊「ほぎゃっ」

千様「あら。おとなしい子ねえ」あらあらっ


白「全然泣かないから 俺でも連れて来れたしな。」うん

テオドール「あー 子供の泣き声といきなりの奇声とかダメで御座いましたね」苦笑っ

白「子供でも一二三くらい聞き分け良いなら嫌じゃないんだけどな」うん。

石燕「何処の野良猫っすか」

一二三「おら良い子だ」わーい。




白「ちなみに世話は慣れてる奴が居るから問題無しだ」

粋「あっれおむつ濡れてんじゃね?
あーやっぱし 泣いて教えろよ 赤ん坊は泣くもんだぞー」おむつ替えてきぱきっ

与一「何故に手慣れとんのだお前」

粋「昔子守りのバイトしてたんだよ」てきぱきっ



彬羽「しかし、捨て子か
あの鳥居は一般的が紛れ込まない様 簡易結界張ってるだけなんだが

神頼み的なノリでやられたか。困った物だな」置き手紙がさっ


千様「なんて書いてるのー?」

彬羽「『可愛がって下さい 名前は竹千代です。』だそうだ」困惑っ


一二三「あれ?竹千代って?」ん?

彬羽「家康の幼名だな」

石燕「名前はめちゃ気合い入ってんのに 気軽に捨てるんすねえ」ふーん。


家康「あー 石燕ちゃんがまた人間嫌い発動してる」苦笑。

千様「あ、殿 どうだった?」

家康「任せろってさ。
診療所の方で赤ちゃん診て貰ってるお母さんがお乳くれるってー 」のほほーん。

千様「あー良かったわ
こればっかはアタシ達じゃどうにもね」ほっ



一同「・・・。」

千様「うん。デカイだけで出ないのよごめんね」きっぱり。


石燕「誰も何も言ってないっすよ」気まずっ


家康「コホンッ
えーとね ただね問題があって

世話自体はやっぱ赤ん坊2人はキッツイって事でねー
他に何処か世話してくれる所捜さないとだねえ」むう。

白「ん? 他所で育てるのか?」

家康「へ?」




彬羽「言っとくが
情が移った所で この家で普通の赤ん坊なんざ生きられないぞ」

白「Σう」

粋「あーうん。 拾っちゃった身だしなあ 解る解る」うんうんっ




白「お前だって一二三拾ってきた癖に」ふんっ

彬羽「この赤ん坊と一二三が同じだと思うか?」


一二三「おらは此処に住みたいなら これ持ち上げてみろって言われて テスト合格しただよ。」よいせっ

石灯籠軽々持ち上げっ


千様「あー 一二三ちゃんも力持ちだったわね、そういや」あらあらっ



白「お前も出来るよな?」真顔っ

赤ん坊「ほぎゃ?」

粋「兄上 首も座ってない様なガキに無茶ぶりしない。」



テオドール「もはや情がうつってるどころでは無くなってる様に御座いますねえ」ほのぼのっ

彬羽「いや無理だからな
ガキの為にならねえからな」

テオドール「そうで御座いましょうか?
ひ弱でぼっちだった私でさえ馴染めておりますし 当社比ですが逞しくなっておりますが?」

与一「そもそもお前は人外であろうが」

テオドール「え?でも家康さんも


・・あー。」はいはいっ

家康「なんで納得するの?ねえ」




白「じゃ鍛えれば良いんだな
よし。行くぞ竹千代」だっ

彬羽「Σ待てコラ鍛えるってなんだ 赤ん坊に何を Σ待てこらあああ!!」

粋「Σあああ首座ってないんだからもっと丁寧に!」ひいいっ





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【割烹 春一】



庵「Σうっわ! かわいっ」おおおっ

ひな「きゃー!こっち見て笑いましたよ
お利口さんですねえっ」

白「そうだろ。」どやっ



彬羽・粋(普通に見せびらかしてるだけかいっ!!)ぜーぜー!

テオドール「意外と親バカなタイプと思われます」おやおや。



ひな「にしても 赤ちゃん抱えて入って来た時は何事かと思いましたよ」あははっ

庵「あーまあ 魔王だしね
どこでこさえてても不思議じゃ無いしねって うんうん。」

朱禅(瞬時にそこまで辿り着ついて割りきれる辺り成長してんな。

可哀想に)しみじみっ



がららっ

シロ「出前帰ったぞ Σうおお前いつの間に!!」ひいっ

粋「なんで皆問答無用で兄貴の子だと受け入れんの?」ええー

ひな「髪の毛しっかり掴んで離さないからですかねー。
ほら。今もちっさいお手々でぎゅーっと」



シロ「ん?違うのか? あり得ん事でもないかと思ったのだが」

彬羽「確かにワケ解らん動物では有るが
他所に女やガキ作ってるほど暇でも無いだろ」きっぱり。



朱禅「しっかし 偉くしっかり握ってんなあ
おーい。手切れちゃうぞー」

テオドール「離したらまた捨てられると思ってるのでは御座いませんか?」

一同「Σう」




ひな「なんか
そう考えると 無責任に可愛い可愛い言うのもちょっとですね」うーん。

庵「んー 可愛いで良いんじゃない?
寂しかったんならその分 楽しいで上書きしたげないとさ 」苦笑



シロ「ふむ。捨て子だと言うのは把握した
して この子供、どうするのだ?」

粋「それが なんか兄貴が育てたいぽくてさ」困惑っ

シロ「Σはああ!?」

彬羽「そうなるだろ。だから困ってんだ」






白「ん? あれ?」

テオドール「またオムツに御座いますか?」

白「なんか コイツ元気無くないか?」

粋「いや腹へってんだろ 兄貴が見つけてからどんだけ時間たってると思ってんだよ
ほら診療所連れてかねーと」

白「Σ忘れてた」はっ






ひな「あの、物凄く不安なんですけど」

彬羽「だな。」頭痛っ





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【幕府公営診療所】






飛天「悪いこと言わないから 里子に出しなさい」

白「嫌だ。」きっぱり。





粋「頑張れ飛天先生っ」物陰っ


テオドール「専門家の意見に真っ向反抗に御座いますね」うーん。

彬羽「犬や猫の子じゃねえんだぞ」憮然っ



飛天「お前ねえ
何の能力もない人間 しかも赤ん坊があの家で無事育つと思ってんのか? あの家って命狙われてる奴の方が多いだろ?」

白「そこは俺が常におんぶしてれば問題ないだろ」

飛天「うん。そっちのが万倍怖いわ

えーとだ。仮にそこそこ育ったとしてだ
お前責任持って子供とか育てられんの? 人間は人間の社会ってのが有るんだぞ?」

白「そこは本人がやりたいなら家康のコネ使って士官でも何でもさせるし その分くらいは幕府に貸し作ってる
町民として生きたいなら独立資金くらいは出せる。 そこまで含めて子供1人育てられるくらいは俺が役者業で稼いでる
教育関係は 下手な寺子屋より勉強教えるの得意な奴が沢山居るし 生きるのに何も問題無いと思う」

飛天「うん。思ってた数倍キッチリ考えてて言い返せないや」うっわー。


白「人間云々って言うけど 石燕みたいに人間に馴染めない人間も居るしな
その場合はその場合で考える」どやっ

飛天「うわ、追撃やめてー
彬羽 パス」お手上げっ

彬羽「駄々捏ねる時だけは頭冴えやがるからな この阿保魔王」げんなりっ



白「お前らこそ 何でそんな反対するんだ
ちゃんと世話するって言ってるだろ」ぷんすかっ

彬羽「あのな。
手前が知らない色んな方向で問題しかねえんだ
んな犬猫拾ってきたガキみたいな言い方してる様じゃ それこそ赤ん坊なんて育てられるか」

白「じゃあどう言えば良

焔「孫よ聞いたぞ! ついに曾孫が出来たって!?
でかしたっ どれ爺ちゃんに見せてみ

白「マヨイガ。」

ちりーん。


戸ばたんっ!!




粋「マヨイガ、家主の爺より兄貴の言う事聞くんだ」わお。

テオドール「てか お祖父様普通に帰宅に御座いますね」



彬羽「ああ言うのも面倒だぞ?」

白「それはそれで説明するし
お前説得が雑になってないか?」

彬羽「Σ誰のせいだ!!」


飛天「彬羽の精神的疲労がぱねえなあ」うわ。

粋「兄貴言い出したら聞かねえもん」うん。





他所のお母さん「あのー 赤ちゃん満足したみたいで寝ちゃったんですけど」よしよしっ

飛天「お? いやー無理言ってすんませんね 」

他所のお母さん「いえいえ 先生にはうちの子もお世話になってますし
ただその」

飛天「ん?」


他所のお母さん「この子 多分他の子より小さいんじゃ無いですかね。
赤ん坊とは言え ここまでちっさい子は私も始めてで その、心配だなあって」

一同「Σえ。」



白「こいつ 病気なのか?」ええっ

他所のお母さん「いえ病気とかじゃなく 早く生まれたとかで体小さいんじゃ無いかと。
ほら なんか泣かないですしねえ
泣く元気もあんまりないのかも」うーん。






粋「兄貴。」肩ぽんっ

テオドール「どうお声をかけたらに御座いますねえ」あちゃー





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家康「じゃ。この人に育てて貰うよ?良いね?」

白「俺じゃ生きていさせられないだろうし」うん。




一同(やたらドライなのが泣かせる。)くうっ

テオドール「すみません 手拭い追加でっ」ぐしっ

蒼月「なんでお前が号泣してるの?」引っ

テオドール「我が主が泣けない分代わりに泣いているので御座いますっ」鼻ちーん!





白「こら そろそろ髪の毛離せ
手切れるぞ」

赤ん坊「ほぎゃっ?」ぎゅっ

白「こら切れるってば」指よいしょっ


乳母「あの 手ぷるぷるしてるけど大丈夫ですか?」

家康(指折りそうで 怖くて無茶出来ないんだね)ああうん。



白「仕方ない」ふう。

赤ん坊「?」


ちょきんっ!


乳母「Σあ、髪の毛!」ひいっ

白「離さないから仕方無いし
このまんま連れてってくれ」ほら。


乳母「まあまあ。これはこれは
大切に育てさせて頂きます」ぺこりっ

赤ん坊「ほぎゃっ?」きょろっ

白「うん。早く連れてけ」すたすたっ





千様「あらー あの大人しい子がめちゃめちゃ泣いてるわ」ぐすっ

テオドール「あああああ何とおいたわしっ」だばーっ

蒼月「お前もう怖いよ」ドン引きっ




白「仕方無いしな。
あいつはこんな真似出来ないんだし」切った髪ざわざわ復元っ


魄哉「ですね。 よく我慢しました偉い偉い」苦笑。

粋「うん。お前が見つけてくれた新しい母ちゃんなら安心だしさ
あいつも元気に大きくなるよきっと」鼻ずびっ

魄哉「ですね
何があっても大事に育てられる様に ちょっと身分盛りましたし」しれっ

蒼月「ん?盛ったって何」へ?




家康「あー 私の隠し子って事にしといたよ」へらっ

一同「Σぶっ!!」




魄哉「『家康公』の御落胤とあっちゃあ 誰も粗末に扱えないでしょう?」にっこり。


千様「良いの!?殿的にそれは良いの!?」えええっ

家康「それであの子が健やかに育つなら別に?」あははー

シロ「適当過ぎんか」えええっ


白「お前等怖い」うん。





魄哉「ま、そうでなくても健やかに育つとは思いますがね
何たって 神様に愛された赤ん坊ですから」

家康「だねえ。 魔王の前に破壊神だし お前」あっはっは

シロ「どちらにしても加護が有るのか微妙だな」



魄哉「て事で 跡取り候補に入れときますねー」幕府関係マル秘帳書き書きっ

彬羽「身内びいきにも程がないか?」

魄哉「殿の血縁って事にするならこんなの普通ですよ
なんやかんやで権力者の身内ばっか美味しい思いしてんのがこの国です」きっぱり。

家康「うん。天海 有ってるけど少しはオブラートに包んで」









乳母「では参りましょう 竹千代様。

あ、私お福と申します。よろしくお願いしますねー」よーしよしよしっ







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