小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

6月7日





【台所】



彬羽「となると しらすか。」うーん。

テオドール「生の物は傷みが早いので釜揚げの方がよろしいかと「採用。」



千様「真面目に何やってるのー?」ひょこっ

テオドール「頼まれ物のメニュー開発に御座います」

千様「頼まれ物?割烹の新メニューじゃなく?」


彬羽「出来によっては割烹の新メニュー案として出すか」メモメモっ

テオドール「頼まれ物を実験台にする辺り プロに御座いますねえ」わお。


彬羽「と、言う事で試作品だ
食ってみろ」丼どんっ


白「うまい。」即答っ

テオドール「Σああしまった!この方大概の物は美味しいので御座いましたっ!!」



千様「人選大失敗してない?
ほらほらアタシも味見役やるわよー?」口開けあーん

彬羽「そうか。率直な感想を頼む」丼どんっ


白「あんなのバカラスが乗ってくるワケないだろ」

千様「そうね。ワンチャン有るかと思ったけど 安定の糞真面目だわ」けっ

テオドール「で、お味はどうで御座いましょうか?」

千様「へ?あ そうね

やだ見るからに美味しそう
いただきまーす!」ぱくっ

彬羽「どんな感じだ?」



千様「美味しいわー」もぐもぐがつがつっ

テオドール「それは大変良う御座いましたが」えーと。

彬羽「コイツと言ってる事同じか」うーん。

白「おかわり。」どんぶりっ

彬羽「味見で本気食いするな」


白「? なんだ細かく感想言えば良いのか?
食レポって奴か?」

テオドール「いえそこまでは ただ率直な感想を頂ければ更に美味しく出来るのではと言う」

白「成る程。じゃあ

しらすの塩味が米と馴染んで食べやすい これだけで量が行ける
でもって乗っかってる半熟卵を箸で割るとトロッと出てくる黄身にテンション上がる。
しらすでそこそこ米をかっこんだ後に 半熟卵で味変できて これが塩味のしらすとうまく絡んでほんのり甘味持たせて双方の旨味が引き立ってかなり良い

強いて言うなら 半熟卵のしらすに合うダシ、でもって夏になるし爽やかなシソの葉を刻んだのをかけてると更に良いかもしれない」きりっ。

テオドール「大変参考になりましたがプロの方に御座いますか」わお。

白「プロの役者だから旨いの食べなれてるんだぞ」どやっ

彬羽「顔に米粒着けてドヤるな」


千様「あーでも確かにそれ良さそう 卵の優しさ潰さないお出汁と、シソの色で食欲増しそうねー」おおっ

白「て事で ほら食レポ頑張ったぞ
おかわりおかわりっ」どんぶりっ

彬羽「手前 餌の為だとちょいちょい凄いな」引。

テオドール「ちょっとお待ち下さいませ! シソ刻みますっ」包丁すとととんっ

彬羽「じゃあ試しにダシを作ってみるか
試食組 ちょっと待ってろ」鍋がちゃがちゃっ


白「いや別にさっきのまんまでも「お座り。」



千様(餌入れ前で 必死に我慢してるワンコの様だわ) あらまあ。






間。






テオドール「と言う事で新メニュー完成にございます!」わーい

彬羽「事前に用意しておけば盛るだけ。
これは行けそうだな」満足っ



魄哉「おやおや 美味しそうなのが出来ましたねえ
すみません 丸投げしてしまいまして」苦笑。

千様「へ?
このメニューの開発頼んでたの アンタ?」


魄哉「はい。一応妖怪温泉のオーナーでも有りますので
せっかくなんで温泉卵使ったメニューをお客様にお出ししたいなと思いまして」

千様「何?経営厳しいの?」



魄哉「あーいえ、妖怪の方々のストレス発散の為ですね」

千様「へ?」



彬羽「妖怪ってのは 何がしたいのか解らん連中が多いだろ?
人を驚かすのが目的みたいな奴も多いが それも今は人間に危害加えるなってコイツが言ってる以上出来ん。

ので、ガスぬきをせんと妖怪側としても不満が溜まるし そうなるとまた変な事をする奴も出かねんだろ」

白「だから 他の娯楽に気を向けさせたらイタズラしなくても満足するだろって話なんだ」もぐもぐっ

千様「白君それ何杯目?」

白「これハマるぞ」もぐもぐっ


千様「えー それでうまく回るなら良いけどー
妖怪温泉ってVIPのみ入れるんじゃ無かったの?
トラブル回避の為とかって」




魄哉「今は有能な警備がおりますし」

粋「じゃ 温泉見回り行ってくるなー
変なの居たらまた事務室放り込んどくわ」わははっ


魄哉「でもって いつまでも高級思考もどうかとリーズナブルなプランも用意しました。
原価安めで美味しいメニューも確保出来ましたしね」にっこり。

千様「アンタほんとこういうの好きよねー」

魄哉「経営は楽しいですよ」にこにこっ


彬羽「天海の方も有るんだ 過労死せんようにな」

テオドール「さて、では 実際にお客様に食べて頂きますか?」

魄哉「ですねえ 反応が楽しみです」わくわくっ




ーーーーーーーーーーーー





【妖怪温泉】




白「相変わらず目がチカチカするな」むう。

千様「アタシは昨日も来たけど

やっぱ凄いわよねー」壁見上げっ


彬羽「ちなみに装飾は家主の手製だそうだ」すたすたっ

テオドール「Σえええ!この仏壇みたいな装飾Σあっ 魄哉さんて天海坊様っ
そう言う事で御座いますか!」おおっ

魄哉「普段から仏具見てると 美的センスがそっち寄りになるんですよねえ」苦笑。


白「あれ?この辺変わったか?

室内なのに温泉の湯で川?」あれっ

魄哉「ちょっとした遊び心です
温泉アピールしまくってみました」どやっ



テオドール(日本のあの世ってこんな感じに御座いますかねえ) しみじみっ

仏具的装飾キラキラ
温泉の川と山積みの酒樽っ



粋「つーか装飾もだけど
温泉と坊さんってすっげえ組み合わせだよな」暇潰しの床磨きっ

魄哉「はい?
元々温泉ビジネスは寺院が始めた物ですよ?」

粋「Σそうなの!?」えええっ


彬羽「確か 寺院がいろんな資金を集める為に
自然からの恵みである霊験あらたかな湯に浸かると奇跡が起きる、病気が治る なんぞとアピールしまくって広まったのが湯治らしいな」ふむ。

粋「Σえ んじゃ温泉って効果ねえの!?」




魄哉「少なくとも僕の腰痛肩凝り 疲労回復には効果が有りますが?」真顔

千様「それ温泉じゃなくても暖めたら治ると思うわ」ああうん。


粋「えーマジかよ
温泉って思ったよりショボくねえ?」なんとなくショック

テオドール「日本の事はよく解りませんが
此処を見る限り 皆さん湯の効能よりどんちゃん騒ぎや宿泊する事に意味を見出だしておられる様に御座いますが?」

魄哉「それで良いんですよ
お客さんが楽しければ 実際に効く効かないはどうでも良いんです

さて、厨房行きましょう」すたすたっ




白「今更だけど
坊主って 凄く現実的だな」

彬羽「まあな。温泉ビジネス思い付く時点でな」うむ。

千様「ホント生臭いわー」やーね。






間。






魄哉「さて、 先着何名様で試験的にお配りした新メニューは大盛況でした

しかし!新たな問題がっ」くわっ


粋「問題? 」


魄哉「ぶっちゃけこの旅館の周り 遊べる所がありません!」くわっ

彬羽「そりゃ鬼門内だしな」

白「下手に外出たら 狂暴なのに客食われるぞ」



千様「宿内で寛いで貰えば良いじゃない?広いんだしー」

魄哉「甘いです。リーズナブルコースの導入によって いわゆるやんごとなき方々以外の方も気軽に泊まって頂ける様になりますが
いわば庶民が 室内でのんびり優雅にとか無理が無いですか?」

粋「あー うん。
遊びに来たからにはあちこちウロチョロしたいかも」うんうんっ

テオドール「庶民代表の声に御座いますね」おおっ

粋「Σうっせえよ!」



彬羽「いや湯治だろ?羽を伸ばす為のものだろが
そんなあれやこれやしたい物か?」困惑っ

白「お前ボンボン育ちだもんな」うん。




粋「お前なんか嫌いだ」けっ

彬羽「Σ率直な意見を述べたまでだが!?」




テオドール「外は危ないなら 中で何か演し物でもするとかいかがでしょう?」

魄哉「と、言いますと?」ふむ


白「テオ バイトするか?
どつき灰漫才とか」

粋「Σなんで俺の袖ひっぱんの!?
漫才とか出来ねえよ! つか人前でんな出来ねえって!!」ひいいっ
白「お前仮にも役者志望だよな?」


テオドール「どつき灰漫才とは?」

彬羽「名前から察するに 突っ込み入れられる度に灰になって飛び散るリアクション芸 か?」
テオドール「Σさすがに体が持つ気が致しません!!」ひいいっ



魄哉「演し物ですか
白君は普通に舞台有りますし そもそもそう言う層向けでは無いですよね」うーん。

白「何処飛ぶか解らない投扇とかなら出来るぞ」

粋「兄貴のあれ めちゃスパスパ切れんじゃねえかよ
危ないっての」



彬羽「娯楽が足りない か。
人間共の宿なら 近くに寺が有るわけだし そっちに参拝とかそんなで上手く行くんだろうが」うーん。

テオドール「そう考えると ホントにお寺の自作自演なので御座いますねえ」うわー。




白「もういっそ寺みたいなの建てたらどうだ?」

魄哉「Σ鬼門の中にですか!?」えええっ

千様「仮にも坊主で元陰陽師なんだし 頑張ればいけるんじゃない?」

魄哉「えええ 論理的にアウトじゃないですかねえ」苦笑。

白「うん、だから奉るのは仏像とか御神体じゃなくてな」

魄哉「はい?」







ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー





妖怪A「Σおお!此処が玉藻前様の社っ」おおおっ

妖怪B「おらも大妖怪になれますように!」手ぱんぱんっ!




九尾「いきなり奉られわ」困惑っ


テオドール「成る程 一般妖怪からしたら雲の上の方に御座いましたね」わお。

彬羽「だな。 有名過ぎるしな」成る程。




九尾「なあなあだーりん。
わち何で手合わせられとんの?なんか気持ち悪いんじゃけど」

白「お前が今日から観光名所なんだ
別に毎日居なくて良いけど「はあーい。 だーりんの案なら気張ってお仕事頑張りますじゃ」ころっ


粋「納得はっえええ」うわあ。

千様「今日から観光名所って 凄いパワーワードねえ」



白「じゃ温泉の方はこれで大丈夫だな」

魄哉「はあまあ。
たまに君の柔軟性が羨ましくなりますねえ」

白「深く物考えてないだけだけどな」きっぱり。



千様「まあいいわー 片付いたなら帰りましょ
お腹空いちゃったわー」

テオドール「Σえ。来る前試作品がっつり食べられておられたのでは!?」

千様「えー? あれくらいとっくに消化しちゃったわよー?」

粋「姉ちゃん その体のどこにそんな入るんだよ」えええっ




白「だな帰ろ帰ろ。
バカラス帰ったらアレおかわりな」すたすたっ

彬羽「ホントにハマったんだな 構わんが

Σっておい!足元っ」

白「ん?」

出しっぱの桶踏んづけっ


つるっ

ゴスッ!!

テオドール「Σぐはあ!!」


千様「Σテオくーん!!」ひいいっ





灰ざらあっ!


白「痛い。」頭ずきずきっ



魄哉「転倒で回転のかかった頭突きがクリーンヒットですか」うっわ

粋「Σ今のは痛ってえええっ!」ひいっ






客妖怪一同 「おおー!!」ぱちぱちぱちぱちっ!


彬羽「なんかウケてるな。」

魄哉「あのー たまにで良いんで やっぱ演し物やりません?」


白「絶対嫌だ。」たんこぶっ


粋(Σあ、この桶 さっき俺がしまい忘れた奴だっ やべ黙っとこ!!) そそくさっ








>サイトトップに戻る