小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

4月7日

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【芝居小屋 楽屋】






粋「あのー 何これ?」

地獄太夫「いやなあ。遊廓の飾りというか話題作りに 彫り師系の職人さんに派手なの作って貰ったんでござんすが
そこは専門外と言う事で実用製が皆無でござんして」



見習い(Σまた楽屋に女が居る! 売れっ子凄えっ) 通りすがりそそくさっ






皐月「要するに下駄か?」うーん。

地獄太夫「花魁道中の時のあのめちゃ高い下駄にありんす。」


粋「えーと。飾りなら飾っとけば?」

地獄太夫「置いてた店がその そこの遊女が駆け落ちしようとして火つけててんやわんやで
これだけ無傷で残ったんで皆怖がって置くに置けないんでありんす。」ため息っ

皐月「んな呪いのアイテムうちに持ってこんといてや」うわ。

地獄太夫「此方さんなら呪いくらい吹っ飛ばすかと」真顔。

粋「いや んなもん吹っ飛ばせるの兄貴くらいだから」



地獄太夫「というのは口実で その主さんは?」にーっこり。

テオドール「白さんは只今出番中に御座います」

地獄太夫「おんや残念。背丈を気にしてると聞いてござんしたので調度良いかと思ったのでありんすが」あらまあ

粋「Σさらっと言うのやめたげて!!」ひいっ



地獄太夫「主さんはあれくらいが調度良うござんすのになあ?」

皐月「男のプライドちゃう? 知らんけど」なげやりっ




粋「あ、そう言えば 前に一時期高下駄履いてたような」はっ

テオドール(言うなと言いながら 御自分が一番暴露しておられますねえ)



地獄太夫「おんや。そうなのでござんすか?」

粋「うんうん。 1本歯の奴
どうやって立ってんのかすっげえ不思議だったんだよなー」

皐月「バランス感覚と足の筋肉やな。」

テオドール「どんなのか解りませんが 苦労されておられたので御座いますね」苦笑。



粋「うん。マジでどんなか気になって こっそり履いたら足捻りながら派手に転んで足の骨逝って 飛天に説教食らったなあ」 遠い目。

テオドール「Σどんだけ危険物なので御座いますか!!」ひいっ



粋「兄貴もはじめ凄い歩きにくそうだったけどさ
すぐに全力疾走出来る様になってたし 案外簡単なのかなー?って思ったんだけどな」うーん。

皐月「めっさ頑張ったんやなあいつ。」うわ。

地獄太夫「主さんは変な所で負けず嫌いにござんすからなあ」あらまあ。



粋「あ。でも その後くらいから兄貴も全く履かなくなったな」あれ?

一同(Σお兄ちゃん!!)




テオドール「危険物を手の届く範囲に置いてはいけないと思われたのでしょうね」しみじみ。

粋「Σ俺は三歳児かよ!」

皐月「いやでも 多分それや
あいつはそう言う奴や」うん。

粋「Σマジで!?」えええっ

地獄太夫「ほんに主さん いらん所で気遣いしなさりんすなあ

ま、そう言う事なら これはやはり主さんにお渡ししなんしょう」



粋「いや さすがに花魁用のはよ」えー

地獄太夫「ぶっちゃけあの御人は そこらの花魁よりド派手にござんす」きっぱり

粋「うんごめん。 スタイリスト俺です
え?そこまで? そんな派手派手っ?」えええっ




皐月「慣れて感覚マヒっとったんか」わお。

テオドール「御本人が色々と派手な御方なので こういうのも有りと言えば有りなのでは?」



地獄太夫「というか主さんくらいしか履けないとも言いなんすな。
吸血鬼さん。ちょいそれ持ってみなんし」

テオドール「はい?

Σうわ重おおおっ!!」

ずっしり。


地獄太夫「ほら履き物屋じゃなく彫り師さんに頼んだんで 良い木材使われたみたいで
皐月「よう此処まで運んできたな」うわあ。






間。







白「くれるなら貰うけど」怪訝っ



皐月(身長云々の所は言ったらアカンで) ひそっ

粋(おう。拗ねんの解りきってるからな。)ひそひそっ


地獄太夫「まあ ちくと実用的じゃござんせんので
ちょっとした小道具にでもして貰いんしたら と。」ほほほっ



白「俺こういうの解らないけど
衣装的にこう言うの有りなのか?」はて。

粋「Σへ。 あ うん有り有り!」こくこくっ



皐月「鼻緒ちぎれんのやろか?
ちと履いてみ?」

白「ん? 何か問題有るのか?」がらんっ


粋「Σえ。なんも思わねえの!?」

白「何がだ?」きょとん。


テオドール(Σあれを難なく!? 高下駄で鍛えた筋力に御座いますか!?)えええっ


白「結構歩きにくいなコレ」むう。

皐月「オモロイっちゃオモロイけどな
ちと敷地内散歩してきてみー」


がらんごろんがらんっ



粋「兄貴すっげー」うわあ。

テオドール「普通の人なら指もげそうにございますがね
さすがと申しますか」うーん。



地獄太夫「お気に召したみたいでようござんした
あれは なんか御利益有りそうと 遊廓の女達があれやこれやの願い込めてたぽっくりにござんすからなあ

捨てるの忍びなかったんでござんす」ほのぼのっ

粋「あの 願いってまさか」

地獄太夫「遊廓は基本昼ドラ地獄にありんす」きっぱり


皐月「あーそら 火事くらいじゃ燃えんわな」納得。


テオドール「Σあのそれ 本気で呪いのアイテムなのでは!?
白さん大丈夫に御座いましょうか?」えええっ


地獄太夫「万一弱ったらわちきが介抱して差し上げるんで問題ござんせんよ」ほほほっ

粋「Σ怖え!女怖えええっ」ひいいっ


皐月「あんたの好きな年上の派手な女やで。
振り回されるの好きやろ 羨ましがる所ちゃうん?」

粋「Σさらっと人の趣味バラすな!つかなんで知ってんだよ!!」


地獄太夫「おんや。そうでござんしたか
え? 美人秘書とかお好きで?」くすくすっ

粋「Σ嫌いじゃないけどやめてくれる!?」ひいっ


テオドール「良いですか?
香水キツそうなイメージで御座いますがねえ」えー。

粋「お前も後数年したら解るから」真顔。


地獄太夫「男さんはホント解りやすうござんすな」ほほほっ



見習い(Σこの人等 何の話してんの!?) またまた通りすがりっ





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つつじ「あれ? あんさん何やそれ
鉄下駄的なんかいな?」

白「ん?地獄太夫に貰った」がらんごろんっ

つつじ「鉄下駄を?」へ?





地獄太夫「何故に何の問題も生じないのでござんしょう?」えー。


粋「あの、ひょっとして兄貴弱らせようとして持ってきた?」

地獄太夫「あれやこれや小細工ばかりしてたら主さんに警戒される様になりんしたんで
弱った所を一気にモノにしようかと」ちぇー

テオドール(Σ女郎蜘蛛!?)ひいっ




皐月「そう言う事するから怖がられるんやで。」







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