小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

2月10日

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【遊廓】




白「・・・。」むっすーっ


テオドール(見るからに不機嫌で御座いますねえ)ひそひそっ

粋(しゃーねえって。凄く来たくねえのに前に俺らに使い押し付けたってカラスにめちゃ怒られて渋々来てんだもんよ。)ひそっ


テオドール「まあ 来たくないお気持ちも解らなくは無いですが

あの何故に彬羽さんまで?」えーーと。

彬羽「地獄太夫のやり方が色々恐ろしいんで警護を頼まれた」複雑っ

粋「嫌どころか軽く怯えてね?兄貴」わお。




襖すすっ。

地獄太夫「おんや 御待たせして申し訳ござんせんなあ
主さんが来られると言う事でついいつもより身支度に時間が
白「言っとくけどお前とケッコンしに来たわけじゃないからな」きっっぱり。

地獄太夫「さいざんすな。まずは見受け金がど偉い事にござんす。しかし主さんなら不可能では御座いますまい」にこにこっ

粋「うっわ。メンタル強えええ」



彬羽「見受けも何も お前年期のは入った幽霊だろうが
どうやって此処で一大勢力築いてんだ」

地獄太夫「此処は治外法権にござんすからなあ。
あれやこれやの腕が有れば 裏側からのしあがるって手がありんす」くすくすっ

テオドール(Σこの人やっぱ怖いです!)ひいいっ




白「で、なんで俺ら呼びつけたんだ?」

地獄太夫「何故にさっきより距離取って「気のせいだ」


地獄太夫「さすがに傷付きんすよ?

ま、ようござんす。本題に参りますやんしょ
今回ご相談したき事は ちっとばかし変な話に御座んす」

粋「俺らが関わる事なんて常に変じゃね?」

地獄太夫「それはそうなんで御座んすが
何処から話せば

えーと。一言で言うなら 『此処』から喧嘩が無くなったんでござんす。」

彬羽「ふむ?」ぴく。




テオドール「??
良い事なのでは御座いませんか?」はて。

粋「だよな?」えー。



彬羽「理解できるか?」

白「うん。駄目だろそれ」うんうん。

粋「Σえ。なんで!?」



地獄太夫「正確にはここの女達から喧嘩が消えたんでござんす。
日常的に掴み合い 蹴落とし合いのこの遊廓から
不自然にござんしょ?」

テオドール「Σそこまであるので御座いますか!?」えええっ

地獄太夫「女3人寄ればそんなもんで御座んす」きっぱり。


粋「あの、そいつ此処が何かイマイチ理解してないんで あんまそのー」おずおずっ

地獄太夫「Σえ。あ こりゃ失礼をっ

えーと。吸血鬼はんはどういう娘が好みにありんすか?あ、吸血は別料金かかりんすのでお気をつけて」

テオドール「はい?」

彬羽「Σいらん気を回すな!!」





白「向こうの部屋に避難。」指差しっ

粋「へいへーい
ほれテオ行くぞ 茶菓子食って待ってような」ずーるずるっ

テオドール「Σえ?え? 申し訳御座いません!?日本の文化が解りませんっ」混乱っ

粋「うん。今から更に難しい話すっから向こうで待ってろってよ 邪魔しちゃ駄目な」適当っ




白「で?」

地獄太夫「主さん怖う御座んすよ?
ちょっとした遊廓ジョークにありんしたのにっ」きゃー。

彬羽「良いから続けろ」げんなりっ


地獄太夫「ええと。まあお察しのとおりに御座んす
此処は女の戦場。 いざこざは上に登ろうとする向上心の成せる物。
上を目指す事が この世界に生きる女の言わば『支え』になってありんす

それが一気に無くなる等不自然極まり無い上。 支えが無くなった女達は 生きて行けるかも怪しゅうござんす。」

彬羽「つまり 女共の『いざこざ』を奪った何かが有るって事か?」ふむ。

地獄太夫「そう思うのが妥当にありんしょ?」

白「確かに変な話だな」うん。




彬羽「お前 なんで今回は着いて来れてるんだ
説明大概長文だったぞ

いや助かるが」

白「要するに 平和主義過ぎて縄張り争いしなくなった熊が今度は餌不足で困るようなもんだろ?」

地獄太夫「野生の王国に例えてありんしたか。」納得。


彬羽「成る程な。

確認するが それは女のみなのか?」

地獄太夫「さいざんす。お客の男はんは変わらず其処らで刃状沙汰してござんすな」うんうん。

白「それ普通なのか此処。」むう

地獄太夫「男と女を煮しめた所に御座んすから
行き着く先は血みどろで当たり前にありんす

あの主さん さっきより更に離れてる気がするのは「気のせいだ。」



地獄太夫「ともあれ 早くどうにか元に戻さないと
一見和やかでは御座んすが 異様で気色悪うござんす。」ため息

彬羽「論点そこなのか

まあどちらにしても生物の仕組み考えると放置は出来んな。 人の仕業とも思えんし」ふむ。

地獄太夫「なんぞ心当たりござんすか?」


彬羽「そうだな 異常が出ているのが 女のみと言う事を考えると だ。」うーん。

白「?」

彬羽「言いにくいが 客から変な病気でも貰ったとかじゃないのか?」真顔。

地獄太夫「どんな病気ならそんなんなるんでござんすか」引。


白「お前」うわ。

彬羽「Σ例えだ例え!!

状況から推測すると 客の男から何かされたと考えるのが自然だろ!
店によっちゃ客の身元まで記録取ってるはずだ まずは不審な奴を炙り出す所からだなっ



地獄太夫「そう言えば 口癖が『ラブアンドピース』のやたら羽振りの良い御大尽が長期滞在されてありんすな」ふむ。

白「怪しい所じゃ無いな」うん。

彬羽「Σなんでこの状況で怪しまねえんだ!!」





地獄太夫「所詮酔っぱらいにござんすし
状況証拠としても弱すぎやしんせんか?
普通に上客なら わざわざ失礼な真似して追っ払うのもどうかと。」

彬羽「Σそ そりゃそうだが」うっ



白「じゃカマかけてみるか」すたすたっ

地獄太夫「え?どうやってでありんすか?」おおっ




粋「あれ?兄貴」暇潰し坊主めくり中っ

テオドール「あれっお話終わったので御座いますか?」




襖すぱーん!

白「たのもー! 不審者はお前か」びしっ


彬羽「Σどの辺がカマかけだ直球だ馬鹿野郎!!」



客「・・・はい?」べろんべろんっ

白「お前 ここで変な真似したか?」真顔。

客「ええまあ。 見てのとおりベロンベロンですし」えーと。



粋「うちの兄貴空気読めなくてホントすんませんしたっ!」土下座っ

地獄太夫「いえ あれはあれで主さんの才能に御座んすから」さらり。

彬羽「問答無用で全肯定か」うわ

テオドール「あの方のされる事に間違いは御座いませんし」うんうん

地獄太夫「おんや。吸血鬼さんもそう思いなんす?」おやおやっ

テオドール「Σおおっ 言われてみれば信者仲間に御座いますね!」


粋「なんで熱い握手交わしてんの。」ええー。




白「今回も間違ってないからだ」どやっ

粋「へ?」

彬羽「という事は」はっ



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白「酒の匂いで誤魔化してるけど お前人間じゃ無いな?」

一同「Σ!」


客「ち!バレたかっ」

どろんっ


文車妖鬼「我は文車妖鬼 怨念より生まれし鬼である!

何故に邪魔するか小僧!
女のギスギス等見たくないのが男の本音であろうがっ!!」くわっ

白「なんか苦労したのか?」

文車妖鬼「Σ喧しわ!!」


テオドール「また変な御方が」うわー。



粋「地獄の姉ちゃん! 姉ちゃん等連れて奥に!」

地獄太夫「いんえ。 あちきの縄張りで好き放題したからには 1発殴らんと気がすみませんなあ
ほら皆奥に!」

遊女達「Σきゃーきゃー!」ひいいっ




白「あのな。説明難しいんだけど 女ってギスギスしてないと死んじゃうらしいぞ?
特に此処の女は」

文車妖鬼「Σんなワケあるか! どんな生き物だそりゃ!!」

彬羽「いかん。あいつの説明じゃ火に油だ」

粋「うん。俺も解んねえ どういうシステムだよ」困惑っ




白「えーーーと。 何だっけ?」ちらっ

地獄太夫「主さんらしいと言えばらしいで御座んすなあ」おやおや。

文車妖鬼「Σそこ! こっちを無視していちゃつくな!!」むかっ

白「いちゃついてないない」即答っ



テオドール「どう致します?
魔避けの塩でも投げつけますか?」

彬羽「いや 鬼の類いには聞かんだろ
しかも 文車妖鬼と言ったな?」ふむ

粋「カラス 知ってんの?」


彬羽「俺の記憶が確かなら 文に込められた怨念 主に女の怨念から生まれた鬼のはずだが。」

白「鬼ってホントに何処からでも生まれるんだな」へー。

文車妖鬼「Σ何だその人を馬鹿にした目は!」むかっ

白「生まれつきだ」どやっ



粋「ん?ちょい待てよ
ギスギス女の恨みから生まれた鬼が 女のギスギス取り除こうとしてるっ て事かこれ?」

テオドール「辛い人生だったので御座いますか?」

文車妖鬼「デリケートな問題に土足で入って来るな
Σ待てこら何構えとるか! それ天ぷらに付いてた塩だろ!!「万一に備えてに御座います」





白「何が駄目か解ってないだけで 害無いんじゃないかな?あいつ」

彬羽「その様だな」うむ。

粋「あのー 俺もまだ何が駄目なのか解らないんだけど」恐る恐る挙手っ




地獄太夫「ふむ。土足で踏み込んではいけないと。
では此処は1つ」










文車妖鬼「そうなんだよっ! 女のドロドロから生まれた俺は 生まれた時から重度の女不審だよっ!?

それでこの前やーーっとこの人とならって人と巡り会えたってのに 何処キゲン損ねたのか
ヒスってキレられて一方的にさよならだよ!?
理不尽極まりねえよおおおっ」ちくしょおおお


地獄太夫「おやおやそれは災難にありんしたなあ
まあまあ もっと飲みなんし」お酒とくとくっ


一同(さすがプロ。)おおっ



文車妖鬼「んでよ!!思ったわけよ
女がみーんな イガイガギスギスしねえで常ににこにこしてりゃこんな思いしなくて良いのにってよ!

俺あドロドロから生まれたんだもんよ 特性生かしゃちょっと間ドロドロ吸い取る事も出来るもんよ
それで上手く行くならいいだろおおお!!」うおおおおんっ





粋「いや駄目だろ」

テオドール「確かに荒ぶる女性は怖う御座いますが。
感情抜かれたら それこそ人形に御座いますよね」ふむ。

彬羽「地獄太夫もよく付き合ってられるな。」うーん。


白「解ってないな
こう言う時は 本当の事は言っちゃ駄目なんだぞ」

粋「へ?」

白「俺らの仕事と同じだ。
酔ってる間は他の世界って事だ

上手く騙して そいつの望む言葉をやるのが此処の女の仕事だって前に地獄太夫が言ってたぞ」

テオドール「あ。成る程
それで なんやかんやで白さんと太夫さん波長は合うので御座いますね!」おおっ
白「だからってケッコンしないけどな」

彬羽「地獄太夫の奴 何したら此処までビビられるんだ。」引。





地獄太夫「えー。夫婦には価値観の似通った相手が一番に御座んすよ?」

白「知らない知らない聞こえない」すたすたすたっ


テオドール「おや?あの鬼さんは「愚痴ってスッキリしておやすみに御座んす」

粋「Σあ。寝顔めっさ幸せそう!」





彬羽(ん?俺らが来る意味有ったのか?)ふと。





地獄太夫「さあて。お仕事片付きんしたし
主さんたっぷりおもてなししなんすよ?」にっこり。

白「Σ!?」びくっ



テオドール「ひょっとして 計られたのでは御座いませんか?
この方普通に呼んでも来られませんし」

粋「マジか」うわ。



地獄太夫「ほほほ 甘うござんすよ!
ここの窓には踏み倒し防止の為 鉄格子がはまってありんす!今日こそ逃しま
白「バカラス 曲げろ」


ぐにゃっ。


窓からひょいっすたたたたっ

地獄太夫「Σああ!酷いっ」がーん。

彬羽「Σお前が一番酷いだろがっ!!」



粋「こいつじゃねえけど 女って恐いよな」しみじみ。

文車妖鬼「すやー。」





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