小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

1月30日

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江戸城




魄哉「邪魔するなら帰れ!!」くわっ

晴明「しょっぱなからですます口調消えておる「誰のせいですか!!」



挿音「仕事の邪魔すっからだろ?
親父がやってるの政務だぞ やんなきゃ国立ち行かねーんだよ アンタと遊んでる暇無いんだよ」キセルすぱーっ

晴明「すまんな。狐ゆえ空気なんぞ読めんのでな」ふふんっ




彬羽「狐は意外と人に懐くぞ
子狐の時から人に飼われてりゃ犬並にお手お座り待てその他覚えるもんだ」すたすたっ

晴明「Σく おったのか雑学カラスっ」

魄哉「お手伝い頼むくらい忙しいんです

という事で
次邪魔したら出禁にします」くわっ
晴明「Σ何い! ボケッと庭見ながら茶飲んどるだけでも別荘感覚で結構楽しめるのだぞ此処!!」

魄哉「ならボケッとしてなさい!!」

襖ぴしゃん!



晴明「くっ 大人気の無いっ」

挿音「いや江戸城だからな? 城だかんな?
暇潰しに来るのがおかしいかんな?

て、事で 次なんぞやらかしたら俺等総出でとっ捕まえろって指示出てるからよ
悪い事言わねえ 大人しく帰れや」

晴明「徳川忍軍総出でか 全く大事にしよって」ちっ


挿音「部外者が無断で城に上がり込んで来るのは大事なんだよ マジで狩るぞ古狐 」




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【中庭】




こそっ

晴明(ふっ。帰れと言われて素直に帰れるか
暇な年寄りなめるでないぞ!)ふふんっ


女中A(あ、天海様の遠縁の人だ。)


晴明(しかし うろちょろしとると忍軍に見付かって即座にポイであろうな
御庭番というくらいぞ 庭にもおるので有ろうな)うーん。

女中A(すっごい真剣な顔して何してるんだろ)じーっ


晴明(ふむ。 私だと解らねば良いのだ
どれ 玉藻はどのようにしておったかの) 茂みにがさがさっ

女中A(Σ何でいきなり植え込みに!?)ええっ




どろんっ!


晴明(チビッ子)「おお!さすがは私っ
ぶっつけ本番でどうにかなる物だなっ」ぴょいっ


女中A「Σえ!?」


晴明(チビッ子)「これなら解るまい
わはは子供の姿を生かして上がり込み倒してくれるわっ」すたたたたっ



女中A「え!ちょ 天海様の遠縁様ーーっ!?」茂みがっさがさっ!






間。






女中B「はいはい駄目ですよー
此処は下じもの者のお部屋だから お付きの方の所に戻って下さいね」つまみ出しっ

晴明(チビッ子)(Σ侵入者の処理に手慣れている!!)


女中C「何処の子だろうねー?
なんかやたら古めかしい格好してるけど」

女中B「何処かのお偉いさんの孫とかじゃない?
下手に関わって絡まれたら嫌だし私知らない」きっぱり。

晴明(チビッ子)(面倒なのがおるのだな)ふむ。


女中C「えー。でもそれで迷子とかなったらー」


晴明(チビッ子)「いやすまん。
1人で戻れるので問題ない
面倒を書けてすまなんだな」

女中C「あ。聞き分け良い
ホント大丈夫?」

晴明(チビッ子)「うむ。散歩のついでにイタズラしただけだ
邪魔したな」すたすたっ



女中C「あれ良い子。
構ってほしかったのかな?」

女中B「・・茶菓子くらいあげても良かったかなあ」うーん。






晴明(まあな。仕事しておるのだから大変だな
確かに此処で暇を潰すのは傍迷惑かもしれ ん?)




侍女「千代様ー 何処で御座いますかー!」おろおろっ


晴明(チビッ子)(千代? この城にそんなのおったか?)


がしっ!

晴明(チビッ子)「Σへ うおおおお!?」

床下に引っ張り込まれっ





千代「しーっ。」

晴明(チビッ子)「うっわ 見るからに何処ぞのお嬢が」

千代「Σえ。解る!?」ええっ

晴明(チビッ子)「庶民はんなキンキラした着物着とらんわ」きっぱり。



千代「えーそれなら君もでしょ? 此処の子?
よし、行った」床下から這い出しっ

晴明(チビッ子)「いや此処の子と言うか 此処の奴の知り合いと言うか
お前偉い泥々になっとるぞ」うわ。

千代「あ、いいの
汚れた方がいいし」

晴明(チビッ子)「は?」



千代「なんかね ここの殿と結婚しろって言われてね 綺麗にしろって凄い着物着せられてね。

殿様おじさんだって言うから 嫌だし逃げてたんだよ」むー。

晴明(チビッ子)「待てこら。色々無茶があるぞ」


千代「だよねー
けど父上が言うには 男は嫁が若けりゃ若い方が良いって」

晴明(チビッ子)「いやいやいや限度があるわ
お主の父特殊過ぎじゃろ」

千代「私もそう思う」うんうん。


晴明(チビッ子)(待て待て理解が追い付かん。
殿と言うことは家康であろ?
しかし奴は世間一般には影武者の方が認知されており、表舞台には出ておらぬ

と、なると影武者の嫁にと言う話となるが
影武者そもそもコッソリ妻子持ちであろ) 困惑っ



千代「いきなり知らないおじさんと結婚しろって言われて どうにかして落とせって無茶言うわ」ふかーいため息っ

晴明(チビッ子)「親父殿ノープラン過ぎんか。
そもそも御主歳はいくつ「今年で10歳。」

晴明(チビッ子)「・・戦国でも相当のマニアでなきゃ無理が有ろう」引。


千代「だよね。
無理だし嫌だし どうせ怒られるんなら好き放題してやれって思って」うんうん。

晴明「だの。気持ちは解る
私も手酷く怒られたんで好き放題しておる所だ」うんうん。


千代「Σえ!お仲間
うわ嬉しい 大人って勝手だよねー!」ねー?

晴明(チビッ子)「Σう、うむ (大人どころか実年齢3桁だがっ)」ぎくっ

千代「よし!池有るし泥団子作ろう!
もっと汚しちゃえ」ひゃほうっ

晴明(チビッ子)「ほう、泥団子か。久しいな
知っておるか?アレは磨きまくると玉の如くツルツルになるのだぞ」

千代「Σえ。知らない知らない 作って作って!」

晴明(チビッ子)「久しぶりなので上手く行くか解らんがの」袖まくりっ

千代「やたっ 作り方教えて教えて
えーと?」

晴明(チビッ子)「晴明じゃ。御主は千代であったな。
千と続く世か 善き名ではないか」泥こねこねっ

千代「晴明君 大人みたいな事言うね?」

晴明(チビッ子)「Σよ よく言われるわっ」罪悪感ちくっ





女中B「あれ?さっきの子。」

女中C「なんか増えてるね」あれ?





間。






千代「すごーい! ホントにつるっつるっ!」ツルツル泥団子っ

晴明(チビッ子)「本来なら数日かけて磨くのだがの」ぜーぜー


千代「へー頑張ったんだねえ」泥団子まじまじっ

晴明(チビッ子)「そらお前 今日の内仕上げとらんと 永遠に完成せぬじゃろが」ふーやれやれっ

千代「へ?あ ・・そうだね
いいお土産出来たよ うん」しんみり。







女中C「あ!居た あそこですー」

侍女「Σああっ姫様ー!!」


千代「Σげ」


晴明(チビッ子)「仕事とは言えあやつ等も大変よの」あーあ。

千代「Σなんで呑気!?
ほら早く逃げなきゃ!」

晴明(チビッ子)「いやそろそろ戻った方が良かろ
父御の怒りが頂点に達する前にの。

何心配するな 徳川の方からロリは無理じゃと断ったらショックで逃げたとか 何ぞ適当な理由つけて貰う様仕向けるわ」

千代「Σえ、やだ!帰りたくないい!」

晴明(チビッ子)「お主の為ぞ
力無き子供ではどうにもならん事もある。
ならばどうにか出来る歳になるまで 己を磨き我を通せる力を身に付けるが良い」

千代「Σ何言ってるか解らないよ!?」

晴明(チビッ子)「十歳児にはちと難しかったか」うーん。



侍女「ほら捕まえました!!姫様父君がお怒りですよっ
ああもうこんなに汚してっ」

千代「Σあっ」

ぽろっ。

泥団子ぐしゃっ


侍女「Σあ」


千代「お江予のばかー!!!」

頭突きがいんっ


女中C「Σ!?」びくっ


侍女「ひ、姫様っ」くらくらっ

千代「皆くたばれー!」うわーん!


晴明(チビッ子)「Σ口悪っ! どこ行くのじゃこら!!」






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【徳川宝物庫 奥の間】




晴明(チビッ子)「これはまずい」うーん。



封印の御札まみれの大きな扉どーん。

晴明(チビッ子)「また少し空いとるし
確実にこの中で拗ねとるな」ため息。

瘴気ゴゴゴゴゴゴ。


晴明(チビッ子)(さて困った。
ただでさえこの城には怪異が集まり易いと言うのに 寄りによって宝物庫とは。
毎度あやつ等でも手を焼くヤバイ物が多数発掘されると言うのにっ

しかも この姿ではろくに術なんぞ使えんぞ)うーん。



がたんっ!


晴明(チビッ子)「ん?餓鬼の類か。この程度なら良いが。

いっそ此処等で正体バラして 大人しく家に帰らせる手もあるがのー」ふう。




数分経過。





晴明(チビッ子)(さすがに あの家で居場所の無さそうな子供にそれはいかん気がする)頭かかえっ

餓鬼「??」





晴明(チビッ子)「私もぬるくなったものよ
これだから太平の世はいかん Σん!?」ぴくっ



千代「Σうぎゃあああ!!! 刀のお化けえええ!」ひいいっ



晴明(チビッ子)「Σだっから何故にこげな危ないのをポイポイ放り込むかのあの阿呆鳥が!
押し入れ感覚か!!」

千代「Σぎゃああ晴明君来たら危な ぎゃー!!」ひいいっ



晴明(チビッ子)「Σって何で私もいつものノリで正面から行った!?」ひいいっ


妖刀の付喪神ゴゴゴゴゴゴッ

千代「Σぎゃーいやー
痛いのいやー!」びええええっ


晴明(チビッ子)「刀と言えば白羽取り? Σいやいやいやいや私は格闘向かんし!やった事無い綺麗にまっぷたつ間違い無し!
え?刀相手ってどうやれば!?」おろおろおろおろっ


千代「喋って無いで逃げて うりゃああ!」

その辺の槍でドスッ!

晴明(チビッ子)「Σお前凄いな!」おおっ


がきんっ


千代「Σ槍折れたっ」ひいっ

妖刀付喪神「Σ!?」むかっ



晴明(チビッ子)「いかん!怒らせた!
千代逃げよ!!」

千代「Σえ?どどこにっ!?

Σぎゃーまっぷたついやー!!」ひいいっ




晴明「だあもういいわい!!
跪け 三下妖怪めがっ!!」くわっ






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魄哉「騒ぎを聞き付けて来てみれば」きょとんっ

彬羽「何があったんだ。」




千代「晴明君の嘘つきー!」びえええボカスカ殴りっ

晴明「あーすまんかったと言うに」げんなり。


挿音「何だ修羅場かよ 隅に置けねーな」にやにやっ

晴明「金縛り食らわすぞ」イラッ



魄哉「あれ?貴女ひょっとして 殿にお目通り予定だったお千代様では?」

千代「Σ!」ぎくっ

晴明「あーそのせいじゃ
こやつの親父がこやつを『家康』の嫁にしたかったらしくてな」

魄哉「へ、 Σはああああ!?」


晴明「これで良し
少なくともお前が知らぬオッサンの嫁になる事は無い」

千代「へ? あの あれ誰?「天海坊だ。」




彬羽「そう言う事か。
それで此処に隠れてたとかそんな所か?」

宝物庫大破っ。

晴明「うむ。運悪く迷い込んで化け物に襲われておったので仕方無くな」しれっ

千代(Σ私自分で隠れたんだけど その辺いいの!?)えええっ



晴明「細かい事は気にするな

ま、お前も解ったであろ?子供ではどうにもならん事もあるとな」

千代「あれって そう言う事なの?」えー
晴明「そうじゃな。大人が言うのだ間違いない」しれっ


千代「・・そっか

だね。子供じゃ逃げても簡単に連れて帰られちゃうもんね」しょぼん。

晴明「左様。だから大人になった時、今度こそ連れて帰られぬ様 己の為に精進する事じゃな」

千代「だねえ」うんうん。





晴明「よし。ようやく素直になったな
では、一つ良い事を教えてやろう」ひそひそっ

千代「え?なになにっ?」わくわくっ






魄哉「気のせいですか? 何かいちゃついてる様に見えるんですけど」困惑っ

彬羽「奇遇だな。俺にもそう見える」うーん。




千代「Σえええ!ここの殿様っておばあちゃん好みなの!?」ええええっ

晴明「うむ。よって若ければ良いと言うお主の父の目論みは しょっぱなから破綻しとるわ」わははっ


魄哉「Σちょ うちの殿の性癖何暴露 てか子供になんて事を!!」ひいいっ

晴明「煩いのー。 だいたいお前がその辺暴露しておれば こやつもこげな目に逢わんですんだのにのう」ちっ

魄哉「Σいちゃもんにもほどがある!!」





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白「晴明 なんだそれ?」ひょこっ

晴明「人の手紙を覗き込むな と言ってもどうせ読めんか」

魄哉「可愛い彼女からの御手紙ですよ」

家康「Σえええええ!?」ずざっ

晴明「どんだけ引いとんのだマニアめが」

家康「Σ私なんかした!? いやそうじゃなくっ」



ぱしっ!


蒼月「隙あり!よしゃ取ったー」

晴明「Σあ!この蛇小僧っ」



蒼月「ん? 何これ 泥団子の作り方?」ん?

晴明「どうしても途中で割れるらしくての
もっと砂を混ぜろと 返事を書いてやるかとな」


白「ん?子供に泥団子の作り方教えてるのか?」

晴明「平たく言えばそうじゃな。」

蒼月「ちぇー なんだつまんない。
ジジイ 変な言い方すんなよ」


家康「天海? あのホントどしたの「殿が熟女マニアで良かったと思ってしまったのが何かこう釈然としませんで」
家康「Σいったい何があったの!?」





晴明「しかし 最近の子供は何するか解らんのー」くっくっく

白「何か面白い事があったのか?」



晴明「どうせなら城の若様だったら全部上手く行ったのに。とか言われたわ」思い出し笑いくくくっ

白「Σえ」





魄哉「知ってますか?泥団子って磨けば磨く程ツルッツルで綺麗になって しまいにゃ何かの宝玉ですかってくらいになるそうです。」

彬羽「そこまで続けばの話だろ」

魄哉「ですね。色んな意味でですね」遠い目。




晴明「ま、向こうが飽きるまで付き合ってやるかの
暇だしのう」ふははっ


白「よく解らないけど 泥沼にはまるなよ」むう。






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