小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

1月23日

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大江山


鬼A「そっち行ったぞおおおお!」

鬼B「前に回るな!囲め囲めえええ!!」



茨木童子「ん?戦?」あれ?

酒呑童子「戦国終わったっての 猪だ猪。」


茨木童子「あー 今年はやたら狂暴だよなあ」ふむ。

酒呑童子「おうよ。さっきワケ解ってねえ新入りがいきなり突進食らってよ
寝込んでっから逆に猪仕留めて鍋にでもしてやるかって」どやっ

茨木童子「医者連れてけ大馬鹿野郎。」



酒呑童子「・・肉食えば治らなくね?」えー。

茨木童子「Σ場合によるわ馬鹿たれ!
えーと その猪に襲われた奴は?」


鬼C「あ、此方です
歯形はついてるんすが なんとか食いちぎられて無いんで大丈夫かなーって」

茨木童子「Σガッツリ襲われてる!?」

酒呑童子「うん。だから
歩いてるだけで跳ねられて その上トドメ刺しに来るとかそりゃ弔い合戦もしてやろうって「Σいやケガ人の処置が先!! 」



鬼A「茨木さん、鬼なのに冷静で助かるよなー」しみじみ

鬼B「お頭脳ミソ筋肉だからなあ 鬼らしいっちゃらしいんだけど」うんうん。

鬼C「つーかあの人何で2番手に甘んじてんだろ」

鬼B「ん?そりゃお頭の方が強いからだろ?」

鬼C「いやそれが隻腕なのに いざケンカってなるとお頭ヤバいらしいぞ
そもそもあの人この山の中じゃ敵無しだし」

鬼B「あー 植物操作な」はいはい。

鬼A「本人ベジタリアンだから 山に居る限り食い物に困らねえとかって呑気に行ってたけどな。」

鬼トリオ(・・性格の問題か。)成る程。




茨木童子「知り合いの所行って薬貰ってくる」げんなりっ


鬼A「Σえ! んなヤバいかったんすか!?」

鬼B「Σ新入りーーーっ!!」ひいいっ


茨木童子「お前らは酒呑童子言うこと聞いて狂暴猪仕留めといてくれ
あ、 ケガ人には食わすなよ。今はトドメになるから」

酒呑童子「Σ肉ダメなのかよ!!」えええっ


鬼C「うっわ 頭良い人が居て良かった」しみじみ。


茨木童子(コイツら 安静って言葉を知らねえんだろなあ) ため息。





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茨木童子「さてと。あのカラスなんかオマケも着けてくれたし
けどこの試供品 体強い奴に飲ませろって嫌な予感しか ん?」


地元のチビッ子「お兄さんの腕はどうして片方無いの?」じーっ

茨木童子「子供は凄い事サクッと聞くなあ」うわー。


地元のチビッ子「ねえねえ どうして?
どうしておっきなザル被ってるの?」じーっ

茨木童子「いやどこの赤ずきん
これはザルって言うか 虚無僧って知ってるかな あいつらのかぶってる

あーもう良いや。」御札ぺたっ


地元のチビッ子「?」

茨木童子(よし、爪が丸くなった
ツノも引っ込んだな さすがは希代の陰陽師特製符。 人間にしか見えないだろ)満を持しての虚無僧傘かぽっ


地元のチビッ子「なんでそんなに肌が黒いの?」えー。

茨木童子「・・・うん、地黒。」






間。






茨木童子「ん?じゃあ迷子とかじゃなくて?」へ?

地元のチビッ子「うん。 うちそこだよ
大人が難しい話してるから抜けて来たの」へらっ

茨木童子(Σいらん所で高級品使ったーっ!!)ずーん。

地元のチビッ子「お腹でも痛いの?」あれ?

茨木童子「いやちょっと早とちりで心が痛い」ふっ

地元のチビッ子「ふーん。具合悪いならうちで休むと良いよ」袖ぐいぐいっ

茨木童子「へ?あ いやいや 親御さん達なんか忙しいみたいだしっ」焦っ



地元のチビッ子「大丈夫。なんか仏様のところに行く時間とか決めてるだけらしいから」にこっ

茨木童子「ちょっと待て。」

地元のチビッ子「仏様って何処に居るのかな?村の皆で行くのかな
今年お米が全然とれなくて村の皆しょんぼりしてたから お出かけ嬉しいなあ」にこにこっ

茨木童子「えーと それはつまりその」冷たい汗だらだらっ



地元のチビッ子「あれ?お手々繋ごうとしたら手無い方だ。
なんでこっちの手が無いの?」むすーっ

茨木童子「はいはいはいはい!昔イタズラばっかしてて怒ったお侍に斬られたの!
悪い事しちゃいけないよ!てか手引っ張るならこっちの手でお願いしますっ」

地元のチビッ子「うわ痛そう。悪い事したら仏様じゃなく閻魔様の所に行かされるんだよ
もうイタズラしちゃダメだよー?」

茨木童子「本当にね!!」冷や汗どばーっ




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村の年寄り「おやスエ、お客さんかい?」おや

地元のチビッ子もといスエ「うん。具合悪いって寒いのに汗びっしゃびしゃなんだよー」


茨木童子(表の小屋に立て掛けてる薪の山っ でもってこの凄い量の油っ!!)ひいいいっ

村の女「あー ホント凄い汗
持病でもお有りかい?」



村の年寄り「おやおや 物は食えるかい?
大したことは無いが粥なら有るぞ」よそいっ

茨木童子「へ?あ、いや
米とれなくて困ってるんじゃ 」

村の年寄り「・・スエが話したのかい」おや。


村の男「どうせなら最後に良い事して気持ちよく逝きたいじゃねえか」ボソッ

村の女「Σしっ!こら聞こえるよっ」

茨木童子(Σ聞こえてるよ!!)



村の年寄り「もうお察しの様じゃし 隠さんでええじゃろ
この村はこういう末路を選んだんですわ
体が大丈夫ならば最後の宴に加わり せめてワシ等の事を覚えといてくれませんかのう」

茨木童子「あの、そういうので困ってるんなら上に相談するとか
ほら幕府とか」えーと。

村の年寄り「いや偉い人は何もしてくれん
戦国の世で思い知ったわ」遠い目。

茨木童子(あー ダメだ
人に頼るって選択肢が無くなってる)うわ。



スエ「皆 今日はご飯お腹いっぱい食べて良いってー」

子供達「やたっ」わーい!!

茨木童子「Σ子供こんなに!?」ええええっ


村の年寄り「だからこう判断したんですわ
どうにもならん上 子供等だけ残しても生きてけねえ」


茨木童子(町に出るなり何なり考えろって言いたくなるけど
そもそも情報の入って来ない山奥じゃその発想すら無いか。

で、唯一の生命線経たれて精神の疲弊がピーク。 既に諦めきってるとなると具体例出しても無駄 か)ふむ。

村の年寄り「まあそんなワケです。ワシ等の為にももてなし受けて下され」


茨木童子(今すぐ幕府の生臭坊主に知らせるか?朧車呼べば早いだろけど

すぐに自体が好転するかとなるとキツいが少なくとも村人の保護はしてくれるとは
いや待て この感じだと幕府の奴等がドヤドヤ来たらその場で火を放ちかねないか)頭ぐるぐるっ




スエ「おじいちゃん達何話してるの?」

村の女「なんでも無いのよ」そっと目頭おさえっ

スエ「お母さんどうしたの?」あれ?

村の女「ううん。ご飯おいしいねえ」



茨木童子(Σあ。ダメだこれ
お客のもてなし終わったら即行くパターン!
平安時代にめちゃ見た奴!!)ひいっ


村の年寄り「やはりこんな空気では楽しめませんよな
いや無理を言って申し訳な
茨木童子「有り難く頂きます。」


スエ「また汗凄いけど大丈夫?」きょとん。





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【夜中】




茨木童子(ふむ。確かに稲の成長が止まってる。
そりゃ冬だもんな 当たり前っちゃ当たり前なんだが)

田んぼ見渡しっ



茨木童子(こんな真冬になるまでダメ元で育ててたのか
そりゃ心も折れるよな)納得。


猪すたすたっ

茨木童子(成る程。 この辺の猪も全く人を恐れていない。 荒らし慣れてるって事か
今年は天候不順で山も餌不足。 結果山里に降りてきて村の奴等のトドメになったと)ふむふむ



稲ぐいっ

茨木童子「お。根は意外と生きてる?

いっちょダメ元でやってみるか!」よしゃっ



通りすがりの猪「?」



茨木童子(大江山の外の上、晴明の封印付き。
8割無理とは思うが
稲穂が実る ほんの少しだけ出来ればっ)息すうっ


通りすがりの猪「Σ!?」びくっ!





ざわわわわわわっ!!

猪「Σぶきーっ!!」すたたたっとんずらっ



茨木童子「よっしゃ!しぶとい稲で良か
ばつんっ!
茨木童子「Σあだああ爪剥がれたっ!!」血ぶしゃー!



晴明「んな無茶すりゃ当たり前じゃ
もう片方の腕まで失くすぞ馬鹿者」あーあ。

茨木童子「Σあれ なんで!?」止血中。

晴明「我が術が吹っ飛ばされたのだぞ?
そりゃ異変に気付くわ 陰陽師なめるでないわ」


白「夜中に叩き起こされて 乗っけてけって何かと思った」あくびっ

晴明「しゃーないであろ
私には移動手段が無いのでの」しれっ


茨木童子「ん? ちょっと待て
術吹っ飛ばした?」あれ?

白「うん。鏡見てみろ」鏡さっ

茨木童子「Σあ ツノ出てら」





スエ「うわ!稲育ってる!!」おおおっ

茨木童子「Σ!!?」ぎっくうううっ



晴明「ま、稲穂もあれだけ一気に育てば音も凄まじいわな」うむ。

白「お前必死で気がついて無かったろ」

茨木童子「Σ言ってる場合か!なんか被る物!!」わたわたっ


白「この場合いらないと思うぞ?」

茨木童子「Σへ?」



村の年寄り「おおお! 米がっ
そうか貴方様は何処かの山よりおいでになられました神様に御座いましたかっ」へへーっ

茨木童子「Σえ あの えええっ?」


晴明「人とは弱きものだからのう
平時なら化け物と忌み嫌う物あっても 窮地を救われればそれはその者にとって神となるのだよ
面白かろ?」ぷーくすくすっ

茨木童子「Σまた極端から極端だな!」



村の男「おおお!
米だああ!これで冬が越せる」うおおおっ

村の女「あの こちら様も神様 なので?」おそるおそるっ


晴明「お前は普通にツノ出しっぱぞ?」

白「あ。忘れてた

まあいっか えーっと
こいつの知り合いの山の動物だ 気にするな」

村の女「Σどうりでツノが動物ぽいと!!」 おおおっ

茨木童子「こんなんで良いの?」えええ。


白「でな。 御告げ的なのと考えてくれたら良いけど
今の幕府やる気満々だから 困ったなら相談すると良いぞ。ちゃんと面倒見てくれるし

でな。今回こんなで困ったーとか言っとけば 米が不作でも冬越せる様に知恵貸してくれるぞ」

村の年寄り「Σなんと!!」カルチャーショック!

晴明「偉い具体的な御告げじゃな」




白「じゃ 片付いたみたいだし帰るか。
寝不足になるし」くるり

茨木童子「Σあ、俺も薬買って帰る所だった!」はっ

晴明「なんじゃまた赤鬼が腹でも下したか」




白「さーてと 九尾?」きょろっ

九尾「はあいだーりん。 お帰りかえ?」どすーん。

村人「Σ!?」


茨木童子「おおおお!九尾さんっ」きらーん!

九尾「Σうおおしまった!しっしっ
わちはだーりんの物ぞえっ 寄るなケモノマニアっ」ひいいいっ







村の女「なんだろう。 稲の引き換えにスエを寄越せ的な話かと思ったら」

村の男「神様にも色々いるみたいだなあ」うーん。

村の年寄り「おそらくワシ等ごときに理解出来る御方では無いのだよ」拝みっ




スエ「ありがとう イタズラしてお侍にお仕置きされた神様!!」わーい

茨木童子「Σあんまでかい声で言わないでくれるかな!?」ひいっ



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大江山



茨木童子「と言う事で 神様になっちゃった。」真顔。

酒呑童子「なっちゃった じゃねーわ」


茨木童子「いやホントに なっちゃった。がしっくりくるんだよなあ
なんか社立てられてるらしいし」遠い目。

酒呑童子「Σどんだけ!?
つーか お前どんだけお人好し!?」えええっ

茨木童子「うっさい お前も年末人間の子供に振り回され「え?記憶にねえわ」目そらしっ




茨木童子「ま、良いけど

俺の場合はお人好しとかじゃなくアレだ。
えーと 人間の言う 一宿一飯の恩?そういうのだな」

酒呑童子「話聞く限りその前から「袖すり合うも多生の縁。」


酒呑童子「お前はホントに鬼かよ」ええー。




茨木童子「さて、 ケガした新入りも回復した様だし

神様って何すりゃ良いの?」

白「気が向いたらなんなと助けてやれば良いんじゃないのか?」

酒呑童子「案外ノリノリじゃねーかよ。


白「あんま関わると頼ろう頼ろうとしてくるだろから 基本放置が良いと思う」

茨木童子「ほー。成る程。」メモメモっ

酒呑童子「言っとくけど そいつ神様っつっても破壊神だかんな?


白「あとお前 あんま関わるとホントに腕無くなっちゃうしな」

酒呑童子「Σどういう事!?
知らねえぞお人良し 俺知らねえからなっ!」一抹の不安っ






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