小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

9月7日

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【町中】



石燕「はい。ここがあの人等のお気に入りの和菓子屋っす
主に練り切り買ってるみたいっすね」

テオドール「助かりました
お菓子の買い出し頼まれたのですが 何処のお店が良いのか解らなくて」苦笑。

石燕「家なら良いんすけど 芝居小屋のは気使うっすよねー
いつもよりちょっと良いのって考えたら大体当たりみたいっすよ?」

テオドール「成る程成る程」メモメモっ

石燕「じゃ、あっしは納品終わったんでお先に
ん?」ぴた。

テオドール「?

おや。元気そうなお子様達で」おや



子供A「ちーちゃんのおまじないよく当たるんだよー」きゃっきゃ

子供B「おまじないなら当たるじゃなく効くでしょ?」えー。

子供C「ねえねえなんでそんな効くの?」

幼女「えー。秘密」にまにま。




テオドール「おまじないですか
女の子はお好きですねえ」にこにこ。

石燕「あの子危ないっすねえ」うーん。

テオドール「Σえ?」





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江戸城某所 晴明の結界内】




晴明「で、何故にいきなり拉致ってくるんじゃい」怪訝っ


幼女「」がくぶるっ

白「テオがほっといたらど偉い事になるとか大騒ぎしてたから 早い方がいいかなーって」

晴明「別の方向でド偉い事しとるの解っとるのかお前は」困惑っ



石燕「まじないってのは 漢字で書くと『呪い』っす

術者で無くても出来る初歩の物 大層な術式の要らない簡単に出来る物が世間で言うおまじないなんすよ」

シロ「そうなのか」ふむふむ

石燕「この手のはホント些細な呪いなんで基本 『戻り』も少ないっす
しかし、その初歩的なのでも乱用すれば術者になんらかの障りが出るんで 頼らないに越したことは無いんすよねえ」


晴明「何故にそんな詳しいのだ そこの一般人。」

小太郎「そっち方面のオタクだからなあ」わんっ



蒼月「とりあえず周りうろちょろしてた低級のは食ったけたど、外に居たらどんどん変なの寄って来るんだよね
キリがないから ここの防御結界内なら安全かなー?って」

晴明「成る程 お前達は毎度いらん事に首突っ込むな」はーやれやれ



魄哉「トラブル大好物な癖に何言ってんですか

さて、今のお話聞いてましたね?
おまじないってのは危険なんですよ

って頭ついてきませんねー 飴食べます?」にこにこ。


粋「うわー さすが子供の扱い慣れてる」

シロ「おお。落ち着いた様だな さすが年の功」うむ。




テオドール「しかし、日本のおまじないって怖いのですね
子供でもそんな強力な物が使えるのですか」ふむ。

晴明「確かに がきんちょでも手順を守れば使用可能な物は多い

しかしまじないと言うのは 本来大きく分けて『使役』と『契約』この二つなのだ
モノノケは自分より強力な者には従う物なのでな。使役はこの性質を利用する
そして契約は何かの代償を払い 己と同等それ以上の者をだ

粋「先生。兄貴がオーバーヒートしました!」挙手っ

晴明「Σんな難しくなかろうが!
モノノケ共そんな大将で大丈夫か!?」




彬羽「解りやすく言うとだ。
金も払わず店頭の菓子盗んだら怒られる
1度2度なら許されるかもしれねえが 調子こくとその内リンチになるだろ

それが今のこのガキの状況だ。」

白「成る程解りやすい」頭から煙ぷすぷすっ


幼女「Σリンチ!?」ひいいっ

魄哉「知らないとは言え代償払ってませんからねえ
ここに居たら怖く有りませんからね 大丈夫ですよー」よーしよしよし




粋「先生質問っ 代償って?」挙手

晴明「先生やめい
大概の場合は餌じゃな。高密度のエネルギー あ、お前のあの蟲みたいなものだな。」

シロ「成る程 カイコもお前の生体エネルギー食らって生きとるからな
モノノケにとって優れた術者のエネルギーは充分過ぎる報酬と言うことか」ふむ。

魄哉「だから高度な術式使うと疲れるんですよねえ」苦笑。

小太郎「そういう事なのか あれ。」うわあ




晴明「と言うことでだ
お前 そのまじないは何処で覚えた?
良識ある陰陽師、術者の類いならここまで影響ある物は絶対に流出させぬはずだがの?」ずいっ

幼女「Σひいっ」びくっ

魄哉「アンタ目付き悪いんでビビるんですよ
子供相手に凄んでどうするんですか」あーもう。

晴明「Σしゃーなかろうが!狐が人相良かったらキャラ崩壊じゃろ!」むかっ



魄哉「はいはい。そういう事で 驚いたでしょうが僕等はお嬢さん助けたいんですよね
なんかそっちのプロって事は解って頂けたと思うんですよね
話して頂けませんか?」にっっこり



蒼月「ガキとは言え 女タラしこむのならあの生臭ジジイに任せといた方が良いと思うよ」

晴明「ガン無視しおってからにっ」むかああっ

白「魄哉 見た目だけは無害そうだもんな」うん。

粋「・・・うわ フォロー思い付かなかった」





間。






小太郎「で、これが諸悪の根元の本か」へー。

晴明「うわ なんじゃこりゃ
比較的準備の要らん タチの悪いまじないだらけでは無いか」本めくりっ

石燕「何処かの版元で刷られたもんでもないっすね
全部手書きっす」ふむふむ。


粋「あの、お前よくそんな禍々しいの近寄れるよな」びくびくっ

石燕「お。ニブい粋さんでも解るっすか」おおっ


晴明「この本自体が呪いみたいな物じゃな
西洋で言うグリモアと言ったところか」

テオドール「Σえ。グリモアって
という事は」はっ


白「ぐりもあ って何だっけ?」

彬羽「悪魔の取扱説明書兼契約書みたいな物だな
大概は開いた時点、使用 つまり呼び出した時点で契約完了となる」


小太郎「Σえ!契約って この子これ使っちゃったんだろ!?」ぎゃいん


晴明「じゃな。しかしグリモアと考えるなら 対処法は有る」

小太郎「へ?」




魄哉「出てこないと本ごと吹っ飛ばしますよ」爆破札すちゃっ

使い魔「Σはいいっ!すんません出ます出ます!!」ぼんっ

小太郎「Σなんか出たああ!!」ぎゃいいんっ



晴明「あれだけの呪いぎっしり書き込んどる魔具が有るのに こやつが探知出来なんだ

つまり 存在を隠す特技を持つ能力が本自身に有ると言うことよ」

石燕「成る程。ただの紙ペラじゃ無理が有るっすねえ」ほうほう

シロ「お前よく歴戦の陰陽師の話に着いていけるな」引。

晴明「後20年若けりゃ弟子にしたかもしれんな
勿体無い事この上無いわ」うーん。




魄哉「という事で 契約破棄でお願いします。
この国では契約前に契約内容について説明しなきゃいけない決まりが有るんですよ」にっこり。

使い魔「Σえ! ちょ そんなの初耳
いったい誰が決め「僕こと天海大僧正ですが何か?」


粋「うっわ。幕府実質最高職えげつねー」


使い魔「Σ天海てええええ!? いやでででもっ
こっちは化け物だし人間のルールとかそんなの知らな
彬羽「この国のバケモノの総大将も居るが?」

白「嫌ならケンカしてお前が大将になってみるか?」ギロッ

使い魔「Σすんませんでしたあああっ!!」ひいいっ



魄哉「はいではちゃっちゃと契約破棄お願いします」

使い魔「えーでもこっちにも都合と言うか
今この場ではその」

魄哉「蒼月君 じわじわ丸飲みコースでお願いします」 
蒼月「あのさ。このジジイ拷問慣れしてるから逆らわない方がいいよ
つーか俺も普通に弱い奴食うからね?」

使い魔「Σはい!破棄します!!無効無効無効っ
お嬢ちゃん無罪!!
はいこれでいいですかちくしょおおおっ!!」ひいいっ





魄哉「だそうです。良かったですねー」にっこり。

幼女「Σ!!」びくうううっ

魄哉「Σなんで怖がるんですか!?」がーん。

晴明「当たり前じゃ阿呆」きっぱり




蒼月「じゃこの本もう要らないよね 貰っといて良 Σあ ちょっと返せよ!!」

石燕「ヤバいもんだっつってんしょが
白さんお願いしやす」ぽいっ

白「ん。」ぼぼっ!

テオドール「おおっ 浄化完了に御座いますね」ぱちぱちっ






魄哉「確かにちょっとイラつきましたけど
そんな恐かったですかねえ」とほほ。

石燕「結果オーライじゃないんすか?

つーか気になったんすが。あれ誰が書いたんすかねえ?中身アレ表に出ちゃいけないものっしょ?」

晴明「なぜ裏側の事まで知っとるのだこやつは

まあそこは 思い当たる物が無くは無い。」扇子ぱたぱたっ

魄哉「あー 成る程」手ぽん。




晴明「おい 下っぱ使い魔
戻ったら主に伝えておけ

つまらぬ小遣い稼ぎはやめるか、それとも先祖に代わり信濃の狐とやり合うか。
己の腕と相談して決めよとな」にんまり。

使い魔「Σはいいっ承知しましたっ!!」どろん ぱっ



小太郎「お。消えた」

晴明「帰り道開けてやったでの」にまにま。

彬羽「おい良いのか?
お前表向きはとっくにくたばった事になってんだろが。」

晴明「構わぬよ
面倒になった時の為の天海坊じゃろ?」ふふんっ

魄哉「アンタいっぺんシバキ回しますよ」

晴明「馬鹿め。この国の守護しとる私が倒れれば国ごと魔界に沈むぞ」どやあっ

蒼月「勝てる気はしてないんだね」ああうん。





テオドール「あのー いったい何者が何してたので御座いますか?」えーと。

彬羽「話から察するに芦屋道満だな。」

テオドール「いえ誰ですかその方」えええ。

晴明「私の現役時代の言わばライバルよ
自分で障りを起こしておいて祓ってやると言うのは奴の小遣い稼ぎの常套句じゃからな」ふふんっ

シロ「濃いのはやはり濃いのとやりあっておったのだな」納得。


石燕「あれ?芦屋道満て人間すよね?
生きてんすか?」

晴明「子孫じゃろ?
あ奴本人ならこげなバレバレの真似はせんわ」しれっ

魄哉「代かわって恨みも無いでしょうになんでわざわざケンカ売りますかねえこの人は」うーん。

晴明「暇じゃからな。」どやっ

シロ「待てこら、面倒なのは御免では無かったのか?」





白「なあ。それはどうでも良いんだけど 子供失神してるぞ」困惑っ

一同「Σ忘れてた!!」はっ



粋「Σあああしまった!兄貴ツノ出しっぱで火いいいっ!!」

小太郎「Σあ。俺普通に喋ってた」

蒼月「Σ何してんだよ犬!」だあもうっ!

テオドール「Σ拐われて来て更に怪奇現象で精神に限界がああっ!」ああああっ




魄哉「蒼月君!早く催眠を
全部夢でしたオチにしたげて下さいっ」わたわたっ

蒼月「えー、どっちにしてもトラウマ残ると思うけどな

ま、いっか。お嬢ちゃん 10年後にまた会おうね「すみません。やっぱ寄るな変態小僧」





蒼月「Σなんだよ!今すぐは手出さないよ失礼だな!!」ぷんすかっ

魄哉「君の手出さないは信用なんないんです!」しっしっ
蒼月「Σ子供にそんな気起きるかああ!!」


晴明「なんじゃろな。
あいつ等のが余程高位のバケモノなのにの」うーん。

石燕「お馬鹿ではなく親しみ易いと言ってやって欲しいっす「そこまで言っとらんわ」





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