小咄

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くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

8月27日

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【割烹 春一】



戸がららっ


晴明「蒸し暑いのー
ほれ、頼まれてた護り符出来たぞ」扇パタパタっ

ひな「うわ助かりますー
海女の皆さん喜びます」のほほーん


シロ「海女?」

彬羽「何でも何処ぞの店長が 馴染みの魚屋に知り合いに陰陽師が居るとかポロッと漏らしたらしくてな
で、海に潜る海女達から 仕事中の安全祈願の札を頼まれたという話だ

大根の皮がまだ厚い。」

シロ「Σぐ! まだ分厚いかっ!!」


庵「大根てホントに透けて見える厚さに剥けんの?」


ひな「こちらが彬羽さん作の大根のかつら剥きです」ぺらんっ

庵「Σうわ透けてる!! 」おおおっ


シロ「おのれまだまだ修行が足りんかっ」くうっ

朱禅(こんなん俺も出来ないとか言えない)目そらしっ

晴明「バイトの特訓も良いが 報酬よろしく頼むぞ?」

朱禅「へいへい。お客様何に致しましょ?」

晴明「思いっきり手の込んだ珍しいのが良いのう」お品書きじーっ


庵「報酬って 普通に飲み食いで良いの?」

晴明「現役時代に大概稼いだのでの 金はもう要らぬ」きっぱり。

ひな「羽振りの良い常連客ゲット」よっしゃあ。

シロ(店長が商才無い分 こやつの商魂で持っとるなこの店)大根剥き剥きっ




晴明「で、今日は店員全員出勤か
さほど忙しい時間帯にも見えんが?」店内がらーん。

朱禅「ほっとけ。」


彬羽「いや今日はな
少し有ってな どうせならついでに出勤しとくかとな」

晴明「は? ついでに出勤ってこの店なんぞ有ったのか?」




ひな「例のお魚屋さんから買ったタコが どうやら普通のタコではなかったらしく」

タコ入り桶どすんっ

晴明「あー こりゃモノノケじゃな」納得。


ひな「先程お昼食べに来た白さんによると京のコロモダコさんのお子さんでそうです」

晴明「なんであの童子普通に会話しとんのじゃ」


彬羽「うっかり調理して出したりしたら 漁村が幾つか壊滅しただろうな」はーやれやれ。

朱禅「Σうわ怖っ!
なんでそんなのそこらに居るんだよ」

彬羽「基本タコだからな。
蛸壺ありゃ入るんだ。親も入れる大きさのが有れば入るはずだぞ」


ひな「ちなみにこの子の親御さんてどれくらいなんです?」

晴明「確か 平安時代奈良の大仏くらいはあったのう」ふむ。

シロ「もはや蛸壺ではないたそれは」うむ。




彬羽「尚、タコの幼体は親とほぼ同じ形をしており エビやカニの様に成長によって形態、名称が変わる事はない
つまりは西洋で言うメガロパ等の名前はついておらず単純に『幼生』と呼ばれ 頻繁にちりめんじゃこなどに混入しているがこちらは食べて問題は無
シロ「そこまで誰も聞いとらん 落ち着け」どうどう。

ひな「彬羽さん得意分野だとめちゃめちゃ喋りますよねー」へー。

晴明「ちりめんじゃこに混入したタコは特別感あって好きじゃな」うむ。





朱禅「何でも良いけど 早く親の所帰さねえとうっかり捌いちゃいそうで怖いんだよなあ」衣蛸の子つっつき。

晴明「なんじゃ 衣蛸見つからんのか?」

庵「いや逆ぎゃく。 子供連れてかれたーって激怒してるみたいで
無事なの教えるにも暴れて手つけられなくって 今腕づくで話つけに言ってる」

晴明「既にキレとるのか」ふむ。



ひな「虐めない様にね、
親御さんが街中まで突撃してきたらどうするの」めっ

朱禅「虐めてねーよ。
見た目は普通のタコだなーっ Σあだっ!?え ちょっと うっわ!吸盤つよ!! だああ剥がれないたたたただ!!」あたふたっ

シロ「Σおい何をしとんのだ!蛸の足もげるぞ!!」

朱禅「んな事言ったっていででででっ!!」ひいいっ


彬羽「尚、衣蛸は 特に吸盤の力が強く
強靭な足と吸い付きで対象を海に引きずり込むのが特徴とされている」

朱禅「Σ解説いいから助けろおおお!!」

彬羽「下手に俺が力押しすると頭部から何からぐしゃぐしゃに潰れるが「Σやっぱいい!絶対手出すな!!」ひいいっ



晴明「ほれ、寝ろ。」御札ぺたり。

タコの子「ぐう。」すやー。



シロ「Σおおお!さすが陰陽師!!」おおっ

晴明「本来陰陽師はタコ眠らさんがの」


庵「てかタコって寝るんだ」へー。

彬羽「寝ない生物なんぞ居ないだろ」きっぱり

庵「Σえ。そうなの!?」





戸がららっ




白「タコと話ついたぞ」ふーやれやれ。

ひな「あの おんぶしてる弟さん生きてます?」

粋「」全身鬱血失神っ

テオドール「もうちょっとで締め殺される所でした御座いました。」苦笑


白「重たい」ぶん投げっ

べしゃっ!

彬羽「失神してまで扱い荒いな」むう。



テオドール「なかなかお話聞いてくれなくて大変に御座いましたねえ」ふう。

シロ「お前よく無事だったな」

テオドール「締められそうになったのでパニックになりまして 番傘でどつき倒したら引っ込みました」どやっ

庵「タコのタタキ?」うわあ





晴明「あ。よし
タコの刺身を一丁頼む」

朱禅「Σこの流れでか!!」


晴明「これだけタコタコ言っておったらそりゃ食べたくもなるじゃろ

目の前におるし」桶じーっ

シロ「Σそれは食ったらいかんと言うとろうが!!」

シロ「狐ってタコ食べて良いのか?」

晴明「犬科は本来いかんがな。私くらいになると問題ないわ」ふふんっ

彬羽「基準が全く解らん」うーん。




テオドール「まあお話つきましたし
食べられてしまう前にお子さんタコはお返しし

ん?」




戸がらすぱーん!!



家康「おおお!良かった皆ここにいたっ」ぜーぜー

シロ「む?どうした」

家康「いやその 実はね
今日海が荒れてたらしくてそのっ」

白「ん? 衣蛸なら落ち着いたぞ?」




家康「いやあの。

網にアマビエかかっちゃったそうで」変な汗どぱっ




彬羽「すまん店長
午後から早退する」前掛け外しっ

朱禅「おう。マジで丁寧に詫びて来てくれ」


白「食べちゃダメな奴か?」はて。

晴明「私が言うのも何だが絶っ対に食うでないぞ 良いな?」





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