小咄

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くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

6月4日

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トンカントンカンッ




白「まだ家直らないなあ」むう。

シロ「そりゃあな。仕方あるまい
なんだ待ち遠しくて見に来たのか?」ふふんっ

白「お前もな。」きっぱり



シロ「いや実は今日 急遽バイトが休みになったのだ。
で、暇なのでついな。」

白「江戸城居れば良いのに」


シロ「正直あのような煌びやかと言うか 位の高い屋敷とかそういうのは性に合わん」きっぱり。

白「お前ボンボン育ちだよな?」


シロ「それはそうなのだが。何かこう、庶民的な方が合っとる様なのだ。あの手の所は息が詰まる」

白「解らなくは無いけどな」うん。



シロ「しかし今日は蒸すな
工事をしとる奴等もバテ気味の様だ」ふむ。

白「徳川忍でも暑いのダメなんだな」

シロ「言ってもここの作業しとるのは新入りらしいからな
筋トレ代わりに放り込まれとるのだ。熱中症にならなければ良いが」うーん。




新人忍A「いえ。普通に空腹っす」ぐーきゅるるるっ

シロ「Σ昼食べておらんのか!?」

新人忍B「お頭に報告してからと思ったんですけど
今日なかなか来られないんで」ぐー。

白「よく肉体労働出来るな」うわあ。


シロ「本気で倒れるぞ!
おい。挿音の奴は!?」

白「緊急の用事で東海道?行ってるらしい」



新人忍A「Σ俺ら忘れられてる!?」がーん。

白「犬みたいにずっと待てしてるワケ無いと思われてるだけだと思うぞ」きっぱり


新人忍B「うわーマジか
やっべ 今から食いに行く気力ねえ」へたっ。


シロ「此処は山の上だしな
慣れねば降りるのも大変であろう」うーん。




白「なあ。前に突撃して来た猪。
冷凍して無かったっけ?」

シロ「おい待て。なぜこの流れでそれだ。」

新人忍C「あのーひょっとしてこの不思議と溶けない氷の塊でしょうか?」冷凍猪っ


白「鮮度が落ちると臭くなるらしいぞ。」

新人忍A「いやそりゃジビエっすから。しかし、どうやって?」困惑っ


シロ「おい、言っとくが今日は店が忙しいので彬羽は呼べんぞ! 」

白「ん?忙しいのにお前はバイト休みになったのか?」


シロ「足手まといという言葉を知っておるか?」真顔。

白「ごめん。悪かった」




シロ「全く店長とひなが揃って風邪ひきおって
どうせイチャついててお互いうつし合ったのだろう。あのバカ夫婦がっ」

白(妖怪って風邪ひいたっけ?)


シロ「という事で肉は有れど調理出来る奴がおらん

下の町で弁当でも買ってくるか」


白「ん?肉があるなら焼けば食べられるぞ?」

シロ「Σどうせ肉塊そのまま焼く気だろ!」

白「ダメなのか?」はて。


忍一同「猪でそれは歯折れます。」きっぱり。

白「そうなのか。」びっくり。

シロ(こやつには絶対料理をさせてはいかんな。)うむ。




白「じゃ お前薄く切れ。
薄かったら多少固くても食べられるよな?」

シロ「Σ待てい!何が何でも猪食わせる気か!?」



白「豚の肉は疲労回復に良いって聞いたし。」真顔。

シロ「Σ気遣いだけはまともか!!」

新人忍A(弁当でも何でも良いから とにかく腹を満たしたい)ぐーきゅるるる。

新人忍B(ちゃんと食えるもの貰えるのかな)うーん。

新人忍C(やっぱ自分等でどうにかします。とは言いづらいよなあ。
お頭のダチみたいだし)






白「確か台所はぶっ飛んで無かったな」すたすた。

シロ「Σ待てい!何故に今日はそんなやる気なのだ!!」

白「皆居たら絶体させて貰えないし」

シロ「Σそれだけ恐れられてると言うことが解らんのかああ!!」ひいいっ





間。






白「調味料アレコレと鍋と油
どうにかなりそうだな。」うん。


新人忍C「あのー。」

シロ「すまん。俺では止めきれそうにない。
せめて歯の折れぬ様に薄切りにしておく。」猪薄切りっ




白「えっと。まずは鍋を火に」ぼぼっ

新人忍A「Σ火何処から出てんすか!?」

シロ「Σきききき気にするな!! ほれ!お前らも火遁の術とか使うだろっ」

新人忍B「Σうお!まさかの同業さんすか!?」

新人忍C「そっか お頭のダチだもんな!」うんうんっ


シロ(素直な奴等でよかった)ほっ。




白「えーと それて油を入れる」



じゅぼはっ!!

シロ「Σ火力ー!!」ひいいっ




白「あれ?強すぎたか」

シロ「Σあれ?では無いわ!!」氷ぱきぱきーん。



新人忍B(こっちも忍だったのか。)

新人忍C(氷。水遁?)うーん。



白「えーと。で、薄切りにした肉を放り込む
・・ ちょっと大きいな」

ぶちぶちっ

シロ「Σ引きちぎるな!!」

白「切るより早いし」ぶちっ


じゅわあああっ



新人忍A「お。でも良い匂い」おおっ

新人忍B「あーでもやっぱ多少は獣臭 いやしゃーないっすよね」くんくんっ




白「そう言えば 臭み消すのは酒だっけ?

どぽどぽっ

シロ「どちらかと言えば肉を柔らかく Σおい!入れすぎ入れすぎ!!」ひいいっ



白「あれ?じゃ 臭み消し何だっけ?」

シロ「肉が酒の中で泳いどるぞ。

あーもう良いわ 臭みなら主に生姜やその辺だな」



白「生姜か。ちょうど裏の畑から抜いてきたのが」

ぼきばきどぽどぽっ

シロ「Σ逐一荒い!!」ひいいっ





白「えっと 味付けっているのかな?
醤油有るしとりあえずコレ入れて、あれ?こっちの何だろ?」どぷどぷっ




シロ「本気ですまん。」

新人忍A「いえもう気持ちだけでお腹いっぱいっすから。」顔面蒼白っ

新人忍B「匂いはうまそうなんですけどねえ」うーん。







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彬羽「生姜と酒で煮込まれて臭みが消えて肉が柔らかくなり
仕上げのみりん大目で甘辛く味が染み込んでやがる

認めたく無いが 旨い。」驚愕っ。



白「どうだ。」えへんっ


彬羽「おい、この下に敷いてる野菜は」

白「畑になってたの 家が留守で誰も使わなくて腐りそうだったから適当にちぎって入れた」

彬羽「成る程。 千切る事で上の猪ダシの味が染み込み かつ、大きめで野菜本来の旨味が生かされている か。」感嘆っ






シロ(ビギナーズラックとは恐ろしい。)


彬羽「夏の向けて 精の付く猪の生姜炒め夏野菜添え 良いかもな」ふむ。

白「どうだ。メニュー採用されたぞバイト。」どやっ


シロ「Σまさかのこいつに負けた!!」がーん。




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