小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

5月21日

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【町 大通り】





彬羽「ん?石燕 いや与一か こんな所で何してやがる」

石燕(与一)「ん?毎度毎度よく解るな。
石燕の絵の納品に来たのだがな

正直この軟弱な体であの石段登って家に戻るの苦行でかなわんっ!
根性ならお侍さんっしょー とか抜かして体押し付けよったのでな。
気合い入るまでブラブラしておるのだ」けっ

彬羽「よし頑張れ 行き倒れてたら帰りに拾ってやる」


石燕(与一)「体力バカは羨ましいな
で、お前はバイト中か?」

彬羽「昼休憩だ
賄いで昼も済ませたし 少し腹ごなしをな。」

石燕(与一)「ほうほう毎度の事ながら真面目な勤務

あ、文鳥!」おおっ

彬羽「Σ何歳児だお前は!!」

石燕(与一)「何を言う 私の時代ではとんでもない高級な鳥だぞ!
なんせ飼い方よく解らんからな
貴族が買い求めては すぐ落ちてしまい生きてるのを見るのは希であったぞ!」鳥屋ガン見っ

彬羽「鳥にとっちゃ地獄みたいな時代だな」引。


石燕「まあまだ文鳥はマシだったがな。
餌がスズメや何やと変わらん事だし

お。そうそう。こいつもあの頃からよく変われておったな」

彬羽「ん?何だ」


石燕(与一)「九官鳥だ。」

九官鳥「アホー。」

彬羽「Σいきなりいらん言葉教えられてるぞ!」

石燕(与一)「コレは慣れれば文鳥よりも飼いやすいらしいな
味覚がおかしいのかゲテモノやれば大概食らうし。
虫でも採ってくればそれで生きるので飼い主に寄っては飼いやすい鳥だな」

彬羽「そりゃカラスだからな。」

石燕(与一)「Σえ」

彬羽「九官鳥は模様のある小型のカラスだ。
て事で訂正しろ 誰がゲテモノ食いだ手前」

九官鳥「悪食。」けけけっ

彬羽「Σいや主に手前が言われてんだぞ!」

石燕(与一)「また変な言葉を覚えとるな」うわあ。


九官鳥「じゅげーむじゅげーむごこうのすりきれかいじゃりすいぎょのすいぎょーまつー」

石燕(与一)「Σおお。いきなり落語を!」感心っ

彬羽「こいつに言葉教えてる奴はどんな感性してやがんだ?」



九官鳥「ばーか。」けっ

彬羽「手前 俺に恨みでも有るのか?」イラッ

石燕(与一)「鳥相手に大人気ないぞ。」



九官鳥「やーいやーい怒った
飼いなされた鳥 ざまーみろ」けけけけっ

石燕(与一)「いやカゴに入ってんのお前だろ」

彬羽「Σお前ひょっとして凄い罵声浴びせられまくって無いか!?」


九官鳥「飛べない鳥はただの肉。」ドヤッ

石燕(与一)「あーこりゃめちゃめちゃ罵声浴びせられとるな。」うむ

彬羽「これだけハッキリ覚える程の繰り返し罵倒か、どんだけ嫌われてんだ」うーん。




石燕(与一)「思うのだが
これだけ汚い言葉を覚えてしまって売り物になるのか?
世話が楽な鳥では無い事だし 飼うのはそこそこの金持ちと思うが?」

彬羽「そのせいで売れ残ってんじゃねえのか?
そもそもこんな店頭に置いときゃそりゃ言葉も覚えるだろ」


九官鳥「同情するなら餌をくれ。」

彬羽「黙れ カラスなめんな肥満傾向だろ手前。」

石燕(与一)「普通に会話するなそこ。」



彬羽「ホントにどこのバカが言葉教えてやがんだ
そもそも何処で使うんだこんな言葉。」

石燕(与一)「お前と会話する時ではないのか?」

彬羽「Σ何故にそれ様に仕込む必要がある!!」




石燕(与一)「で、どうするのだ?
買い手がなさそうの時点でチラッと値札見ておったが?」

彬羽「目ざといな。
人間で言えば国籍こそ違えど同じ人間 みたいな物だ
出来る事なら自由にしてやりたいが。」うーん。



石燕(与一)「足りんならお前の所の大将に金借りてはどうだ?」

彬羽「Σあの脳ミソ軽石みたいなアホに頭下げろってのか!」


石燕(与一)(一二三の雛人形の時とか借りておったのにか?)むう。


彬羽「第一この手の見る度買い取ってたんじゃいくら有っても足りな


粋「ぽっぽっぽーはとぽっぽー。

ほれ言ってみ?」わくわく。
彬羽「手前かあああ!!」


粋「Σぎゃっお前居たの!?ちょ何々なに!?」ひいいっ

彬羽「喧しい! 更に売れ残るだろ変な事教えるなバカたれがっ!!」

石燕(与一)「Σ落ち着け店先でネックハンキングツリーはやめろ!
鳩ポッポはむしろプラスだ!!」おろおろっ

彬羽「お前のセンスならな!!」くわっ

粋(Σ何ならセーフ!?)じたばたっ



小鳥屋店長「あの、すみません
鳥が怯えるので喧嘩は他所でやって頂きたいのですが」びくびくっ

彬羽「Σあ。すまん」



ぼとっ。

粋「Σあいたっ!」

石燕(与一)「見事に軽々持ち上げられておったな」

粋「んっとに。馬鹿力こえー」けほっ




店長「あーよしよし。皆落ち着きなさい」

鳥達ギャーギャー



彬羽「いやすまん。
実はそこの九官鳥に こいつが言葉を教えてたんでな。
売り物に変な言葉を教えるのはどうかと思ったんだが 申し訳無い事をしたな」

店長「へ?九官鳥?

うちでは扱っておりませんが?」

一同「Σへ!?」


店長「おや? このカゴはさっき売れて空だったはず。

お前さん誰だい?」九官鳥に話しかけっ




白「お。いたいた九太郎。」 ひょこっ

彬羽・与一「Σお前のか!!」



白「おっちゃんごめんな。
コイツ空いてるカゴ見ると入り込んで売り物のフリして人からかうんだ」

店長「おやまあ。そりゃ愉快な子だね
気を付けないと何処かに売られちゃうから気を付けなさいねー」のほほんっ

粋「店長いい人で良かった」ほっ。


白「さて。帰るぞ九太郎」

九官鳥「あいよー。」ばささっ

石燕(与一)「ほう。よく懐いておるな」

彬羽「手前 いつの間に九官鳥なんか」





白「俺のじゃないぞ
コイツ妖怪だ。」

九官鳥「やーいやーい 騙されてやんのー」ケッケッケー。

一同「Σ!!!」



粋「Σ九官鳥の妖怪!?」

白「カラスの妖怪が居るんだし 別におかしくないだろ?」

彬羽「Σこんなのと一緒にするな!!」



石燕(与一)「えっと。つまり普通の売られている九官鳥のフリをして 人間に罵詈雑言並べ立てて反応楽しむ系の妖怪か?」

白「少なくともコイツはそうだな」うん。


九官鳥「いやー。妖怪まで引っ掛かるとは思わんかったわ
ドンクサイなー?」けけけっ

粋「うわ。可愛げねえ」


白「で、九太郎
お前 挨拶したい奴が居るから わざわざ町何個も越えて来たんだよな?」

九官鳥「道々可愛らしー九官鳥のフリしとったら人間なんぞチョロいからなー」けけっ

石燕(与一)「本気で可愛げの無い鳥だな」うむ。




白「で、目の前に居るのが
『此処等の野生のカラスのボス』こと彬羽だ

しっかり挨拶しとけよ」

九官鳥「」


粋「Σこっちも大概性格悪っ!いや知ってたけど!!」ひいいっ




彬羽「ほう。俺に用事だったのか。」ジト目。

九官鳥「え。ちょ あのその
此方がホントにあのカラス天狗の里で反乱起こしたあの?」冷や汗ダラダラっ

白「ちゃんと会わせたぞ 挨拶しとけよ」すたすた。

九官鳥「Σ殺生なー!!」ひいいっ




石燕(与一)「なんだ あいつカラスの中では有名なのか?」

粋「どうだろ?

カラス天狗って妖怪の中でも有名みたいだし、そこでテロ起こしたってなると ワルがカッコいいみたいな奴等にゃウケるとかその辺じゃね?」うーん。






粋・与一(アホな事したなあ。)うわあ。

彬羽「何だ?言いたい事が有るならさっさと言え
さっきまでの饒舌はどうした?」イライラっ

九官鳥「えっとその さっきまでは知らない事とは言えその何た言うかそのー 」冷や汗どばーっ




白「あいつちょっと性悪過ぎるからな。真面目なバカラスに性根叩き直して貰った方が良いだろ」しれっ


粋「あの、兄上 ひょっとして 全部見てて出て来るの遅かった?」

石燕(与一)「弟締め上げられても出て来てはくれんのだな」うむ。





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