小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

5月14日

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白「ん?」ぴく


家康「お、さすが反応早い」おおっ

魄哉「これ糖度高そうですからねえ」


千様「あら アタシでも解るわよー?桃よね?」

魄哉「当たりです。早めの御中元に頂きました」箱ぱかっ

シロ「早すぎんか?」

魄哉「本来は夏が旬なんですが 虫にやられるリスクが高いので独自の育成方法でとか何とか
ちなみに1つで小判1枚くらいですかね?」

家康「Σうお!勿体ないっ!」ひいいっ


千様「そこで高級品ってはしゃがない辺り殿よね」ああうん。

蒼月「将軍の癖に常に財布すかんぴんだもんね」うん。



シロ「しかし受け取って大丈夫なのか?このような高級品 つまりは賄賂では」むう。

魄哉「大丈夫です。御返しにうちの畑で採れた初の国内産水晶柿を
千様「アンタ何作ってんの。」

挿音「いや親父が賄賂を賄賂とさせねえような返礼品作れって言うからよ」 キセルすぱー。

シロ「ちなみにその水晶柿と言うのは?」

挿音「しつこくない甘さなんだけどよ
1度断面見たら夢に出そうなもんだな。」ぱかっ

小太郎「Σぎゃああグロいっ!」ぎゃいいんっ


魄哉「お分かり頂けたでしょうか?」にっこり。

シロ「そうだな。意味もないのに2度と賄賂など送りたく無くなるわな。」ドン引きっ

挿音「味は悪くねーんだけどな。」しゃくしゃくっ

千様「なんで果肉がそんな赤いのよ」引。





魄哉「うっかり高級品貰っちゃったらこちらも高級品で返せば何も問題は

あれ?白君どうしました?
甘いんですよ?これ」水晶柿っ

蒼月「グロ過ぎてさすがに食欲沸かないんじゃない?」

挿音「お前作ってる奴に失礼なんだよ。慣れりゃさほどグロかねーよ」けっ





白「そっか。桃か。」むう。

挿音「待てやこら こっちガン無視か」

家康「うん。何か悩んでるだけみたいだから どうどうどうどう」



シロ「桃で何を悩むと言うのだ?」


白「あれだえーと。 あれ名前何だっけ?」はて。

小太郎「いや知らない せめてヒントくれよ。」わんっ



彬羽「お前ら古事記ってのを知ってるか?」

蒼月「あれ?お前居たの?」


千様「果物の甘い匂いで気持ち悪くなってたのね」

彬羽「お前らよく平気だな」うぷ。

魄哉「そんななのに毎度解説お疲れ様です」苦笑。



家康「じゃ遠慮無く聞いちゃおう
古事記って日本神話だよね?
で、その中で桃って言えば」えーと。

蒼月「あ。イザナギイザナミだっけ?
男が約束破ってゾンビになった奥さんの姿見て逃走する奴」

千様「あー。 確かオヤツに持って来てた桃投げて 奥さんがそれ食べてる間に逃げ延びたって言う
なかなか外道よね。」けっ

小太郎「嫁さん食いしん坊だな」うわあ。


魄哉「言い伝えですからね。
桃には魔避けの効力が有るので 投げつけたらイザナミさんが怯んだとかってパターンも有りますね

で、この流れでその話と言う事は」



彬羽「その話はそこそこ事実な上に いまだに盆の前くらい つまりこの時期イザナミが荒ぶってな。
裏切った当人のイザナギがとっくにあの世だってのに 年に1度この世を滅ぼしたくなる衝動に駆られるらしい」

家康「Σ何その規則正しい怒り!」ひいいっ

彬羽「バイオリズムって奴じゃ無いのか?」

魄哉「バイオって とっくに黄泉の国の方ですよね?」



彬羽「細かい事はイザナミに聞け

そういう事で 閻魔を始め十王がだ
年に1度イザナミがあの世から這い出して来るのを阻止するってのが決まりなんだが」

蒼月「ん?じゃこの人関係無いじゃん」




彬羽「いやそれが あの世の裁判官の仕事ながら、万一逃げたらこの世の裁判官の仕事だろとか言いくるめられて
今年のVSイザナミ権をくじ引きで引き当てちまったらしい。」

白「まさか引くとか思わないし」むすーっ

家康「Σこの世の運命くじ引きで決めてんの!?」




彬羽「イザナミ自体は古代の神だからな
今じゃさほど力は残ってない その上女だ。
恐ろしいのは執念くらいだから 毎年押し付け合いが起こってるそうだ」

魄哉「成る程 それは僕でも嫌です」凄く納得。




蒼月「え。何?
じゃあ男に裏切られて悪鬼になった昔の女神様に桃ぶつけて地獄に逆落と

白「だから嫌なんだ」むう。

シロ「そりゃ誰もやりたがらんわな。」うむ。

千様「とんでもない貧乏くじ引いちゃったわねえ。」あちゃー

家康「しっかし普段はこれでもかってくらい幸運持ちなのにねえ
私らのついでに買った冨クジも当ててたし
大通りの福引きも醤油当ててたよね?」

白「醤油は有る意味大ハズレだったけどな。」うん。

小太郎「あれ抱えてこの家までの石段はなあ。」うわあ



彬羽「ともかくだ
クジは公平だ 引き当てたからにゃやらなきゃいけねえだろ

気は進まねえだろうが手は抜くなよ 」

白「もうお前代わ「一般の妖怪が腐っても神を殴れるか」きっぱり。

家康「あ、うまい事言ったね」

魄哉「ゾンビだけに腐ってもですか
ここでそれ考えるの 殿くらいです」きっぱり。


挿音(Σマジか!)ぎくっ

千様「アンタも徐々にオッサン化してってるわねー」


魄哉「えっと、イザナミさん可哀想なのでこの桃使って下さい
せめて美味しくあの世に帰って頂きましょう」例の桃っ

小太郎「Σいやそれ小判何枚!?」ひいいっ

白「奥に転がしてったら追って帰ってくかな?」うーん。

蒼月「あ。それならちょっと可愛いかも」おおっ


家康「お前達 そろそろバチ当たるよ?」




白「仕方ない クジでハズレ引いた俺の責任か。

気は進まないけど せめてアケビとか熟れた瓜とか持ってくか」ふう。

魄哉「あの。それこそ山の夏の贈り物みたいなんですけど」

白「・・スイカ?」はて。

千様「普通に鈍器よね?」



粋「あのー さっきから聞いてたんだけど。」


シロ「む?なんだお前も甘ったるい匂いで気分悪いのか?」

粋「いやむしろ腹減る。

そうじゃなくって!
えーと ほらコレ 1個だけ印ついてるだろ?」

彬羽「なんだ。クジか?」

粋「そうそう。
んで、コレを印着いてない奴等の中に混ぜて

ほい、兄貴引いてみ?」ずいっ

白「ん?

じゃ えーとコレ」ひょいっ

千様「Σあ!印付き!」

小太郎「Σえ?え? 何だコレ」ぎゃいんっ



粋「兄貴さ この手のクジだとちょっと上に飛びててるの引いちゃう癖有るんだよ」

白「Σ!!」

彬羽「Σ初歩中の初歩だろ!!」


家康「普通なら幼児期に引っ掛かりまくって覚える奴だよね?それ」わおー。



魄哉「閻魔さん達 相っ当やりたくなかったんですねえ」うわあ。

蒼月「つか地獄の裁判官が詐欺して良いのかよ」



粋「って事で そんな嫌なら閻魔のおっちゃんらに文句言えば良くね?」

彬羽「いや、向こうその手使ったって証拠もねえだろ
閻魔や十王とケンカにでもなったらどうする気だ」

粋「Σう。確かに」



白「もういい さっさと片付けるし。」すたすた。

千様「Σあ 怒っちゃった!?」


魄哉「単純にそこまで小細工するなら自分がやって終わろうだと思います あの子の場合。」

家康「んー。まあイザナミさんもそんな嫌々蹴落とされるよりは かなあ?」






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【閻魔殿】




閻魔(Σめちゃめちゃ怒ってるーーっ!!)

お土産のずず黒水晶柿山盛りっ。



地獄の鬼「報告です
今年のイザナミ様ですが 何やら赤い果物を大量に貰い上機嫌で帰って行かれたそうです」

閻魔「Σイザナミ様コレ食べたの!?」

地獄の鬼「あと今年の桃は最上級品だったとかで。」

閻魔「Σイザナミ様投げられたの食べたのっ!?」えええっ



地獄の鬼「思うに これからは普通の盆の様にお供え物で機嫌を直して頂いてはいかがでしょうか?」

閻魔「あー。それで行ける感じか そっか。
てっきり話聞いてくれないタイプかと


あの、ごめんね?今後は穏便に済ませそうだしその
ワシらも毎年心が痛むものでつい

白「はーげ。」けっ






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