小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

3月20日

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襖すぱーん!

蒼月「ちょっとちょっとバカラス!聞いてよっ!」くわっ

彬羽「なぜに俺指名だ」




蒼月「細かい事気にすんなよ

今日さー天気良いから町まで散歩がてらね 馴染みの店のお姉さんらに久しぶりーって
おいこら聞けよ逃げんな」

彬羽「聞きたくもねえ。何の店だ
いややっぱり答えなくていい」うんざり。


蒼月「いいから聞けよ!

そこの俺の馴染みの女の子が通り魔にやられちゃってたの!」

彬羽「Σは!?」



シロ「一気に血生臭い話になったな」

小太郎「え?まさか犯人見つけて女の仇取りたいとかか?」わおんっ

蒼月「アンタら さっき即目反らしてたのに解りやすいな」

シロ「またいつもの女絡みのしょーもない話かと思ったのだ
しかし、通り魔とはな。 この辺りは確かに治安は良くないが
挿音の舎弟共がおるし、そういう事件は起こらなかった物だがな」ふむ。



彬羽「ふむ。で?」

蒼月「うん。まずはその被害者ね
その辺じゃそこそこ名の売れた そこの店じゃ常に売上5本の指に入る可愛い系美人。
でさ、酷い事にさ


斬られた上 犯人に小指持ってかれてんの。」

小太郎・シロ「Σ!?」ひいっ


彬羽「ほう、吉原辺り発祥の小技か」ふむ

小太郎「Σなんで冷静なんだよ!」ぎゃいいんっ


白「アレか?
女が客繋ぎ止める為に 本命には自分の小指を誓いに贈るとか言って作り物の指送りつける怖いやつ。」にょきっ

彬羽「いきなり生えるな」


白「えーと。じゃあ犯人は女の小指が欲しかったのか?」

蒼月「ヤバ目のストーカーだったんならそうも考えられるよね」うん。




シロ「凄まじい会話だな」引。

粋「兄貴も客に作り物の指送りつけられてたからなあ」苦笑い


蒼月「んで、実はコレ 俺が冬眠しちゃうからって家に籠り始めたくらい
つまり秋の終わりぐらいから数件起きてたらしいんだよ」

小太郎「Σえ。役人は何してんだよ」ぎゃいんっ

蒼月「それがさあ 結構夜仕事する子達じゃん?
そうすると役人もあんまり本腰入れてくんないってかさ
職業に貴賤無しなんじゃないの 全くさあ」むすっ


白「よし。魄哉にチクってくる。」すたすた。

小太郎「あ、コレ地域の役人総取っ替えの流れだな」わおんっ

粋「幕府のトップに直通だもんな」うん。



彬羽「ああ、瓦版に載ってたな そういや」ふむ。

蒼月「うん。流し読みはしてたけどさ
お前のネタに詰まって無理矢理絞り出したっぽい晩御飯の献立コラムが目立ち過ぎてて 近所の事件だとは思わなかったんだよ
つか 夕飯の献立なら家に有る物で作れるのにしろよバカ」

彬羽「Σぐ」

シロ「コレばかりはド正論だな」うむ。

粋「料理人の 次は家に有るこちらを使います程 家に常備してねえよってもんねえよな。」うんうんうん。


彬羽「Σ今は料理の話じゃねえだろ!
で!他に情報は?」

蒼月「んー。日付とかは詳しく解らないけど 瓦版のバックナンバー調べりゃ出てくるでしょ
被害者は その馴染みの菊乃ちゃん合わせて4人目

で、つい最近もう1人襲われたらしいんだけどさ」

シロ「む。5人目の犠牲者か。」

蒼月「犠牲つか被害者?

その子は襲われたけど命は取り留めたんだよ」

小太郎「お。良かった」ほっ



蒼月「ただ 指は持ってかれたけどね」

小太郎「Σあああ良くなかったああ!」ぎゃいいんっ

シロ「いや命が有っただけ良かったと思うべきであろう」冷や汗っ




彬羽「ん?
その被害者5人は全員そういう仕事の女か?」

蒼月「だね。いずれ劣らぬ美人さん揃い
その界隈じゃ全員結構な有名人だね

で、5人目の緋花ちゃんは犯人の男をチラッと見てるけど 指やられたしでパニックで顔とかしっかり見て無かったらしいよ」

彬羽「ほう、その女他に怪我は?」

蒼月「お見舞い行って来たけど 指以外は可愛いお顔もかすり傷1つ無し

不幸中の幸いかな」はーやれやれ。





彬羽「いやお前犯人解ってるだろ」

蒼月「あー やっぱソレしか無いか」あーあ。


小太郎「??」

シロ「指コレクターの変態か?」うーん。

粋「うえ。怖すぎんだろそんなの」うへえ。






白「犯人ヒバナか。」ふむ

シロ・粋・小太郎「Σ!!」


蒼月「だよね。ソレしか無いよねえ やっぱ」ため息。



粋「え?え?なんで!?
その緋花ってのも大怪我してんだろ!?」

彬羽「小指くらい根性入れりゃ手前で出来るだろ」

シロ「た、確かにそうだがっ」


彬羽「理解出来ねえなら こう言い変えたらどうだ?

地元で同じ生業の女達が被害に遭い、同じ様に小指を持って行かれる
瓦版に載ってるレベルの事件であるなら 同じ職業の女達は当然警戒するだろう

そして運悪く不審な奴に出くわしたとしたらだ。
まずは散々取られると言われている指を庇ってしまうのが人情じゃねえのか?」

粋「Σあ。確かに」


彬羽「命を取られた女達も 始めの1人2人は情報が無かった
つまり小指をいきなりサクッとやられても抵抗出来なかった、そして騒ぐから息の根を止められたと考えても良いとは思うが

5人目のみ明らかに『指のみ』狙われている
そして、他に怪我が無いとなればだ」

蒼月「命が目的なら いきなり指は取られない
指が目的なら 犯人を見るくらい抵抗して無傷ってのも妙 もしくはなぜ抵抗しなかった。だね」

彬羽「犯人と被害者が同じ『ターゲットの条件』である女なら警戒もされねえだろしな」うん。




白「商売敵をサックリやって やり手の象徴の小指を持ってったって奴かな?」うーん。

粋「兄上 なんでこういう時は冴えてんすか」ドン引きっ



彬羽「だろうな。
やってる内に 指はその女達に勝った証となっていったのかもしれん」

蒼月「あー確かに最近人気落ち気味って聞いたなあ」


シロ「となると その犯人の女は自分が疑われぬ用に自分で自分を」背筋ぞわっ

彬羽「もしくは 指を狙われる事で自分もそのトップ層に居るとアピールしたかったとか そんな感じか?
女はワケ解らねえ」困惑っ

飛天「その割に即座に犯人特定したよな?」うわー。




蒼月「って事だよ。 やっぱ間違い無さそうだからジジイに説明しといて。」

家康「うん。私ご飯中だったんだけどね」 げんなり。

白「うどんデロッデロだな。」

家康「Σ食欲無くすに決まってるでしょこんなの!!」







千様「ま、1人目はおそらく恋敵だったんでしょうねー」

小太郎「へ?なんで解るんだ?」

千様「恋敵の小指取っちゃったら 目当ての彼に送れないでしょ?」

シロ「Σそういう事か!」はっ

粋「姉ちゃん サラッと言うなよ」



蒼月「なんだろ お前の長文解説よりストレートにしっくり来るね」

彬羽「Σ人に確認させといてそれかお前!!」

蒼月「だってー
イマイチ確信持てなかったんだもん
万一ホントに被害者で、その上犯人扱いされちゃったら可愛そうだろっ」




粋「つーか コイツらはともかく兄貴はなんで解んの?」

白「登場人物の気持ちになって考えるのは役者業の基本だぞ?」

粋「Σ未熟ですんませんしたっ!」




彬羽「で、役人が何かしてねえってんなら」

家康「あーうん。坊主の手配ね
言わなくてもうちの大僧正もう向かってると思うよ」




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コマ『彬羽さん宛に こちらの怪事件も解決して欲しいと御手紙が山程届いたのですが?
差出人は人妖ごった混ぜです』筆談っ

彬羽「Σ何故に!?」


シロ「おい庭に妖怪ポストなるものが」

彬羽「Σ誰がゲゲゲだ!!」



白「そう言えば 解説してる時チラッと飛天が居たような」あれ?

粋「Σえ。居たっけ!?」






【幕府公営診療所】



飛天「いやー 体の健康は健康な精神からってなあ
アイツの頭なら 大概の事件解けちゃうだろし
昔から難問解くの好きだしなー 一石二鳥っ!」わははっ

魄哉「勝手に受付ちゃって 怒られても知りませんよー」苦笑。





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