小咄

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くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

3月13日

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蒼月「ふーん。人間のする事はよく解らないねー」ごーろごろ。

千様「なあに?瓦版?」

蒼月「失せ物をぴたりと当てる『生き神様』だってさー

なーんか売り出してるみたいだよ?アホらしっ」瓦版ぽいっ


千様「失せ物ねえ」


白「あれ? 台本どこやったっけ?」はて。

粋「兄貴また!?
えーと あ、納豆小僧ありがとっ あったあった」おおっ




蒼月「そんなもん小妖怪に聞けば一発なのにね?」

千様「普通の人は付喪神と会話できないからじゃない?」うーん



石燕「ふーん。生き神様っすかあ」瓦版拾いっ

千様「あら?石燕さん
石燕さんこそ失せ物とか無縁よねえ?」

蒼月「千ちゃん違う違う コイツに見えるのはモノノケだけだよ」



粋「あれ どしたよ?
おーい 石燕?」






間。







彬羽「で、その生き神とやらに会いに行ったのか?」


蒼月「みたいだよ。野次馬根性っすとか抜かしてたけどさ」

千様「とは言っても その生き神様?
失せ物探せるだえなら 多分石燕さんのが霊能者としてレベル上なのよねえ
あの人そこらの妖怪より上だもの。

なんでわざわざ見に行ったのかしら?」

彬羽「成る程な

人間ってのは本来集団で生きる生物だからな。
あいつは異端だからそこから弾かれたが、同じ境遇の同類が居るならそれを求めても仕方無い

生物としての本能だな」

千様「そういう物?」あらまあ。


彬羽「その証拠に あいつは此処に異常なくらい馴染んでるだろが
集団で生きる生物が『異端』という群れの仲間を求めて居ると考えたら何の不思議もねえだろ?」

蒼月「あ、あの人の妖怪のが良いってそういう事なのか」納得。


粋「お前 すっげえ周り見てるなあ」へー

彬羽「カラスの観察眼なめるなよ。」



千様「じゃあ 石燕さんに人間のお友達出来るかもねー」のほほんっ

白「難しいと思うぞ」お茶ずずー。

粋「へ? なんで?」


彬羽「だろうな。」ため息。

蒼月「あー まあね
異端だからと言って 境遇が同じとは限らないし」うんうん。

粋「?」




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【生き神様のお社】




石燕(ヤバイ。軽く宗教みたいになってるっす!!)冷や汗どばっ


生き神の付き人「ーーと生き神様は言われております」

商人「はー!ありがたやありがたやっ」ひれ伏しっ


石燕(商売にしてるのもアレっすけど
これはちょいやり過ぎじゃないっすかね

あの御簾の後ろに居るって生き神様がその辺の小妖怪とお話しして情報得てるみたいっすが)うーん。


商人「こちら 生き神様へのお礼となっております。
何卒今後も宜しくお願い致したくっ」箱ずいっ

付き人「これはこれは その心信心。生き神様を通じ神様も見ておりましょう」ほほほっ


石燕(いや別に神の子じゃないっしょが。
そもそも化け物と話すのが精一杯て感じじゃないっすか
あまり大袈裟に宣伝すると生き神さんがキッツくなるっすよコレ)


付き人「で、次の方 あら?

神様へのお願いはお賽銭が必要ですが。
あなたその辺はご存知?」怪訝っ

石燕「うわー。解りやすいの来たっ」

付き人「Σちょ 何なのその態度!」むかっ


石燕「そもそも賽銭は 見守ってくれてありがとうの意味合いで有り、 要求して願いを叶えるってシステムじゃ無かったと思うんすが?」ちょっとムカッ

付き人「Σ何!?何なのアンタ! 寺かなんかの居やがらせ!?」きいっ

石燕「そりゃ煙たがられるっしょが多分相手にされないっす
つーか、神様って人選ぶんすか?」むすっ




生き神「母ちゃん。おトイレ。」

付き人「Σ今話中だよ!てか此処で母さんって呼ぶなっつってんだろ!!」


石燕「Σお子様ーっ!? え!アンタ自分の子供をちょ えええ!?」



とたとたとた。(生き神の足音。)




しーん。







石燕「神の子じゃなくアンタの子じゃないっすか。」

付き人「うっさい!神がアタシの腹を使って産んだんだよ!!」けっ

石燕「ほー それで生まれた金の卵っすか」

付き人「Σ喧しい!それで世の役に立つなら少しくらい貰ったっていいじゃないかっ!」くわっ



石燕「ほうほう
あっしの知ってる神様は好みに煩いんすがね
こんな銭ゲバオババ
Σごふぅ!」

付き人「Σぎゃっ!いきなり棚に頭突き!?」ひいっ




石燕(与一)「落ち着け馬鹿者が!!知らんガキに感情移入してどうするかっ!」くわっ

付き人「Σ!?」びくっ



石燕(与一)「おいお前!
産まれたガキが異形と話せる見える
それで邪険にせず商売にしたのは有る意味英断だがな
それがどれだけ危険な事か解っておるのか!?」

付き人「いやアンタ 何かさっきまでと違わない?」びくびくっ

石燕(与一)「細かい事はどうでも良い!
お前の子は 見えてはおる触れる事は出来る
しかし、それまでだ。

もし 万が一『人に敵意を持つ物』に話しかけてみろ
人に害なす力の無い三下は『己が見える』程の能力を持つ者になら容易に取り憑き中身を食い荒らすのだぞ!!」

付き人「Σへ!?」





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【同時刻 居間。】





粋「なあ、石燕ほっといて良いの?
なんか胸騒ぎがよー」

彬羽「あいつも大人だろ
途中で行き倒れねえか 心配するとしたらそれしかねえな。」

千様「それこそ放置してて良いの?」






白「大丈夫だ 石燕強いから。」きっぱり。

蒼月「いや、すっごいモヤシなんだけど?」




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【再び生き神様のお社】




石燕(与一)「Σだああ言ってる傍からっ
小僧!そいつと目を合わせるな!!」

生き神「Σへ!?」

石燕(与一)「こんのクソババがっ!要らん事をするからタチの悪いのまでめちゃめちゃ寄って来ておるではないかっ!!」

付き人「Σあたしにゃ何も見えないんだけど!?」ひいいっ



生き神「何!?なんで目隠しするの!?」じたばたっ

石燕(与一)「殆どの化物は暗示をかける時目を媒体にするからだ!
Σあ、そういやどこぞの淫猥蛇も

いやとにかく! 化物は良い物ばかりではない!!目を合わせたらお前はくたばるぞ!」目隠しぎりぎりっ

生き神「Σえ」

付き人「Σぎゃー 机がっ火鉢が浮くっ!」ひいいっ

石燕(与一)「ちっ逃がさん気か

石燕!頼んだぞっ」

どろんっ


石燕「Σいきなり乗っといて置いていきなり返すなってんでしょうがあ!!」よたっ



付き人「あの、ひょっとしてアンタも憑かれて「体間借りさせてるだけっす!」

付き人「Σどんな状態!?」


生き神「あああのっ
んで どうしたらっ?」目隠しおろおろっ



石燕「大丈夫っすよ。
あっしが先に目を合わせりゃ 怖いのこっちに来るんで」

付き人「Σえ。それアンタがヤバイんじゃ」


石燕「あのねえ。おっかさん
こういうヒトら相手にするなら見えるだけじゃダメなんす

最低限自分の身を守れるくらいの知識と腕は必要なんすよ」






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魄哉「ま、石燕さんくらいなら
取り憑こう、中身を喰らおうという輩は 内側に入ろうとした時点で灼かれますよねえ

体がバイ菌排除しようと作用するのと同じ原理です。」

蒼月「マジで人間やめてんな あのモヤシ」うわあ。




粋「へ?与一はなんで平気なわけ?」

魄哉「そこはほら 与一さんは害や悪意は一切ありませんし、今意思を持っているのも霊力バリバリの石燕さんが生前愛用していた弓に触れたからです

つまり、石燕さんベースに再生されましたので 体の一部と認識され拒絶反応が起きないという」

シロ「ホントにとんでもない体質だな」うむ。




魄哉「と、言う事で
石燕さんにしてみたら そこらに漂ってるレベルの性悪霊程度 風邪のが驚異なレベルですね」にっこり。

家康「じゃ やたら妖怪に詳しいのはつまり」

魄哉「元は自衛の為だったんでしょうねえ
不要なレベルですがね。」お茶ずずー。





粋「で、何でこうなんの?」



付き人「うちの子をどうか 悪霊共からお守りください」拝み土下座っ

生き神「師匠!おいらも立派な霊能者になりたいんです!!」きらきらっ


石燕「Σだから そっちの世界と関わるのやめろっつってんすよ!!
人間にアレコレ教えたげる義理はないっす!」しっしっ



白「人間に絡まれるのはそんな嫌なのか?」

石燕「なんか肌に合わないっす」けっ




魄哉「あのー。
能力封印するのなら出来ますが いかが致します?」

付き人「Σお願いしますぅ!!」おおっ

生き神「Σええ!母ちゃん! 俺はカッコいい対魔師になりたいよっ」





彬羽「成る程な。
石燕は人間側に引き留める奴が居なかったからな」ふむ。

蒼月「何?いいトシして拗ねてんの?」ぷぷー

石燕「別に。
人間が嫌いなだけっす」けっ



家康「ん? ひょっとして霊感ゼロで此処に馴染んでる私が一番変なの?」はっ

挿音「今ごろ気がついたのかよ。」キセルすぱー。

白「お前もだぞ それ。」


魄哉「ま、良いじゃないですか
はみ出し者集団で」にこにこ。

千様「ある意味一番はみ出してるわよね。天海サマ」ああうん。





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