小咄

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くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

3月2日

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千様「ちょっとちょっと聞いてよー」ぷんすか!

シロ「うお!帰るなり何事だ!?」


千様「買い物してたらー この生臭坊主がちょうど帰って来る所だったんだけどー」

魄哉「僕何も悪くないのに生臭呼ばわりなんですね」うわあ。


千様「なんかね。お腹の大きい女の人が話しかけて来てね


蒼月「え、えっと。おめでとう」困惑。

魄哉「Σ生臭でも隠し子こさえたりしませんて!!」



シロ「で?その妊婦がどうした」無視っ

千様「それがね もう少しで生まれそうでー
初めての子だから色々不安で 神頼みとかしたいけど妊婦は鳥居もくぐれないしって

お坊さんなら話聞いて 加護的なの貰えるかもってダメ元で話しかけて来たらしいのよ」むかむかっ


粋「え?妊婦って鳥居潜っちゃダメなのかよ?」

魄哉「おやお帰りなさい

変な話ですよね
人の心を支えるの為に人間は神仏を崇めるようになったと言うのに、1番必要とする人がそれに近寄れないと言うのはねえ」苦笑。

家康「確か、出産て血が出るから
血=生臭い、物騒、で穢れって事で
血なまぐさいのは高貴な神様が嫌がるとか何とかで」えーと。


蒼月「どうなの神様。」

白「それ言ったら 何かあった時『神様』に生け贄とか出すのはどうなるんだ?
あれ頼んでないのに出されたら凄い困るらしいぞ」むう。

粋「思いっきりガセじゃんかよ」うわあ。



魄哉「そもそも神様って言うのは この国では全てに宿る物ですからねえ
八百万、つまり全てに宿るもの。
そう考えたら 神社なんてその中で力の強いのを崇め奉ったに過ぎないんですよねえ

それでも心の支えになる人は居るので必要だとは思いますけど」お茶ずずー。


家康「うん。お前のお陰で信仰心とかむしろマイナスだよ」ふっ

魄哉「ホムンクルスは存在自体が神への冒涜なんですみませんねえ」



千様「生臭でも信仰心ゼロでもあのお母さんが安心できたなら良いけどねー

なーんか腑に落ちないわ」むう。


魄哉「大丈夫ですよ。
人の言う『神様』にもちゃあんと妊婦さんの味方は居ますので その辺教えておきました」

蒼月「へ?そんなピンポイントな神様居るの?」




魄哉「いわゆる厠の神様です。」にっこり

家康「いろんな意味でそれどうなの?」うわあ。




魄哉「いきなり俗世間の信仰とかガセですって言ったら只でさえナーバスな妊婦さん混乱させちゃうでしょう?

だから一般的にも 『不浄』を司ると言われる神様を大事にすれば 出産時に護って貰えますよって言う正攻法を教えておきました」にこにこ。

蒼月「厠の神様ってどうやって大事にするの?」

魄哉「いわゆるトイレ掃除です」きっぱり。

家康「程よい運動と足腰の鍛練で そりゃ安産になりそうだけどさあ」うーん。






一二三「厠の神様ってホントにいるだか?」

彬羽「居ると言えば居るな そういう種族が。」

粋「えっと。人間に好意的な妖怪って事だよな?」

彬羽「基本は神もモノノケも同じだ。
どっちに分類するかは人間が手前らの価値観で勝手に決めているって認識で良いぞ」

千様「あら、彬羽君もお帰りなさい」

彬羽「帰るなりまたマニアックな話してやがるな。」一二三抱っこ。



家康「ふーん。厠の神様ねえ
うちの厠にも居るの?」

魄哉「さすがにこのメンツ揃ってる所に住み着く厠神様は居ません。」きっぱり

蒼月「てか住まれてたらやだよ 俺ら妖怪には普通に見えるんだしさ」



シロ「しかし何だな
厠の神が 人の子が生まれるのを見守ると言う事か
人は不浄から生まれるとかそういう事であろうか。何とも深いと言うか何と言うか」うーん。



白「そんな難しい事じゃないと思うぞ」

シロ「ん?」




白「普段汚いとか臭いとか言われてる奴が 大事にされて棲み家綺麗にされたら嬉しいだろ?」

粋「あー。便所掃除ありがとうの気持ちで 助けてやろうってなるよな。人情として」納得っ

シロ「Σそんな単純な事なのか!?」


白「だってそいつも基本は俺らと一緒だぞ?」

粋「ほれ。兄貴も一般的には神様だし」

シロ「そこが1番理解できんのだがな。」むう。



彬羽「と、言う事でだ
厠の神もとい、産神からお前に伝言だ
『件の妊婦 今夜予定なので気合い入れて頑張ります 任しとけ』ってよ」

魄哉「おや。
やっぱり今夜ですか

実は僕もコソッと お腹の子に細胞活性化する術かけといたんで安心安産間違いないでしょうがね」さらり。


蒼月「Σさりげに凄い事してない!?」

魄哉「神ではありませんがこのくらいは出来ますから」にこにこ。

家康「あの、私神様の定義解らなくなってきたんだけど」

彬羽「だから そんなもんねえんだよ。」







石燕「人間って ホントに大事なもんは見えてないっすよね つくづく。」ふっ

白「深いのかお前が人間嫌いなだけかどっちどそれ」

石燕「両方っす」きっぱり。


蒼月「いやアンタも人間だからね?」

彬羽「最近思考が妖怪より妖怪寄りだなお前。」困惑っ





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