【芝居小屋楽屋】
粋「物件探し?
なんでまた」茶菓子もぐもぐ。
つつじ「それがなあ。
ほら、わてらここの寮のお世話になっとるやん?
あそこここの関係者なら 住まい困っとったら誰でも使ってええんやけんどな」
粋「ふむふむ。」もぐもぐ
つつじ「この前皐月はんが台所大破させてな。
建物一部吹っ飛んだんでなあ
帰る家無い人等が途方に暮れとんねん」はーやれやれ。
皐月「だって絶対使うな言われとったら見返したくなるやん」むー。
粋「うん。食材爆発させる時点で使っちゃダメだからな?」
つつじ「ちゅー事でや
わて此処の経営関係も結構任されてるやん?
今回ええ物件あったら 寮の修理済むまでか、なんならお値段控えといてくれたらそっちに正式移動とか考えるんで頼むわーてオーナーはんに言われとんねん。」
粋「あー そっか。
実際住んでここまで出勤する奴じゃなきゃ 使い勝手とか解らねえもんなー」ふむふむ。
つつじ「ちゅー事で物件探しよろしゅーに」にぱっ
粋「Σなんで俺!?」
つつじ「わて仕事あるんやもん
今から出番やし、ほれれその点アンタは見習いや。暇やろ?」にっこり
粋「Σうおグサッと来た! 言い返せねえし!!」
皐月「ちなみに今アンタが食ったのは 六辻屋の数量限定最上級小豆使用のきんつばな。」にやり。
粋「Σ道理でめちゃ旨いと!」
つつじ「出来へん言うんなら 菓子代払って貰おかー?
いやー 金持ち向けの超高級品 しかもレアもんやからなあ
見習いの給料からさっぴいたら あー心痛むわあ
粋「やりゃあいいんだろうが!!やりゃあ!!」
白(そもそも 俺に貰った差し入れなんだけどな
面白いから黙ってよう)きんつばもぐもぐ
ーーーーーーーーーーーー
【物件A】
粋「うわ。思ったよりボロッ
けど、予算がこれくらいならこんなもんかなー」うーん。
挿音「おう。管理のオッサンが中入って見て良いってよ」すたすた。
粋「お。助かる
いやー持つべき物は地元の大親分だなー」
挿音「お前 人の事勘違いしてねえ?」
粋「どの辺が勘違いなんだよ」
刺青A「なんぞありやしたら 遠慮無く申しつけせ下せえ」びしっ
刺青B「事前に掃除しておきやしたんで裸足で上がって頂いて問題ねえっす。」しゃきっ
刺青C「この物件でしたら カチコミの際も窓から隣の屋根づたいにササッとな
ほうほう、こいつぁー便利だ」
挿音「あのな。俺が家探してんじゃねえんだけどよ?」
刺青B「Σうおう!ワシらとした事が早とちりっ」
刺青A「こいつは失礼つかまつりやした」深々っ
粋(物件の持ち主じゃなくて やっぱ地元の舎弟かよ。)
刺青C「とするとお探しのはこちらの兄さんで?
ならコツをお教えしやしょ
ほれ、まずはこう2階の雨戸を開けて ん?固えな。 失礼 ふんっ!!」
がらっ
びっしり墓地っ!!
一同「・・・・・。」
ぱたん。
粋「うん。すっげえ参考になった」
ーーーーーーーーーーーー
【物件B】
粋「あー墓地かよ
なんで町中に普通に墓地あんだよ こっえー」
挿音「引きずんなよ
退けようとしたら何かあるとかそんなだろ
事前に解って良かったじゃねえか」すたすた。
粋「そうだけど。確かにそうだけどよー
うわ怖 あそこで刺青のおっちゃんに窓開けて貰ってマジで助かった
ん?そいや 刺青トリオは帰った?」きょろっ
挿音「ん?あー
いやあそこな 雨戸やたら固かったとかで良く見たらよ
釘さして有ったんだよなー そら開かねえわ
バレなきゃ良いと思ったんだろがよ この町でんな商売はさせねえよ?って話だ」キセルすぱー
粋(Σ管理のオッサンマジで逃げて!!)ひいいっ
挿音「とか言ってる間に次は此処か
まーた すっげえボロいな大丈夫か?」
粋「立地がめちゃ良いんだってさ
確かに近くに市があって 日当たり良し
大通りに面してて雰囲気明るく防犯の面でも良さげかな」資料がさごそっ
挿音「お前意外と細かく見てんな
とりあえず これも入ってみ
挿音「いや怒るとかその前によ
あ、ちょっと番屋行ってくるわ」すたすた。
粋「Σマジで何があったんだよおおおお!!」ひいいっ
ーーーーーーーーーーーー
【物件C】
粋「Σお!今度は綺麗だ!!」おおっ
挿音「だなー。今度のは管理行き届いてそうではあるな」ふむ。
粋「おおっ!中も凄え
改築したとか書いてるけどマジで新築みてえっ」おおおおっ
挿音「ほー。
大したもんだな」きょろっ
粋「良し!窓の外に墓地は見えないっ
うわマジで良いの見っけたかもっ」わくっ
挿音(自分が住むんでもねえのに よくまあこんだけはしゃげるなあ)
粋「あ。キセル出すなよ
この家禁煙だってよ」
挿音「Σげ。 面倒くせえなっ」
粋「ふむふむ。壁も綺麗だし柱もしっかりしてる
大人数行けるし寮として充分だろ もう此処でいいんじゃねーかなあ」うんうん。
挿音「いや。そいつは解らねえぞ?」
粋「へ?」
挿音「考えてもみろや
立地は確かにさっきのよりは悪い。
土地面積は最初の奴よりはかなり狭い。
が、それをさっ引いても これだけの建物がよ
さっきの2つとほぼ同じ金額ってのはおかしかーねえか?」
粋「へ?
普通にお買い得なんじゃ?」
挿音「更に
改築済みって話だよな
俺も大工仕事なら結構やるから解るけどよ
1から作るならともかく、改築するのにこんだけの物にするとなると 手間と金がすっげーかかんだよ
ぶっちゃけ 割に合わねえんだわ」
粋「え? つまり?」
挿音「出来たら石燕、無理なら白か蒼月、鏡の嬢ちゃん
居たら親父でも良いか ちょい見て貰え」
粋「Σあああ兄貴いいいいーーっ!!」全力疾走っ!!
間。
魄哉「あー、こりゃ居ますねえ」おやまあ。
石燕「めちゃめちゃ居るっすねえ
改築前に何があったんすかねえ」うわあ。
蒼月「寒い中呼び出しって何かと思ったよ
あ、鏡子ちゃん寒くない?」へらっ
鏡子「鏡ですので特に。」きっぱり。
挿音「おい何で全員連れて来た。」
白「お化け屋敷だって察して怖かったぽいな」うん。
蒼月「成る程ね ここの壁とかやたら良い木使ってるのは剥がされない為か」ふーん。
石燕「こっちの畳の下からもただならぬ気配するっすよ?」
魄哉「おや。良く見るとそれだけ他の畳と色が違
粋「この町にまともな物件はねえのかああーー!!」ああもうっ
挿音「ったく何処もかしこも適当な商売してやがるなあ
あー でも確か 事故物件は一回誰かが住んで出りゃあ特に申告しなくて良いんだったか?」
蒼月「え。何それ 俺らなら事故物件に住むバイトとか儲かりそうじゃん」
鏡子「蒼月さん
そのバイトするとして生活能力無いのにご飯どうするんですかそれ」
蒼月「えーそこは鏡子ちゃんが作ってく「鏡なんで無理です」きっぱり。
石燕「今日も華麗にフラれてるっすね。」
粋「うわ、マジでどうしよ
他条件に合うのねえんだよなあ」うーん。
白「此処は住める状態では有るぞ?」
粋「いや ゴリッゴリの事故物件だろ?」
白「じゃ そういう風につつじに伝えときゃ良い
きんつばの分の働きはしただろ」
粋「へ?
んー そりゃそうなんだけど。なあ
一応報告するか 他ねえし」しぶしぶ。
ーーーーーーーーーーーー
つつじ「へ?ええやんそこ。」
粋「Σオバケうようよの事故物件なんだけど!?」
皐月「あーかまへんかまへん
私らそんなん慣れとるわ」あっはっは。
粋「ええええええ」引き。
つつじ「ほな ちゃっちゃとそこ契約してこよかー」うきうきっ
皐月「わーい。お引っ越しやー」やほうっ
粋「Σえ。ちょ! マジで!?」
白「オーナーに任されてる奴がそれで良いって言うなら良いだろ」うん
粋「えええ。
あの、強制的にそこ住まなきゃなんない下っぱの役者とかスタッフが気の毒なんすけど。」
白「演目でオバケ扱ったの多いし 役作りになると思えば良いだろ?」しれっ
粋「Σいや普通そこまで割り切れねえから!!」
白「あんまり脅かす様なら俺が怒るし
気にしない気にしない」すたすた。
粋「Σ気になるって!うわああ皆ごめーん!!」
挿音「気になって来てみたら
やっぱこうなるか」あーあ。
石燕「マトモな人のが少ない町で マトモな物件探すのなんて至難の技っすよ」苦笑。