小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

2月4日

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【大通り 割烹春一前】



粋「ごっそさーん。」

白「今日は昼からも出か 眠いな」あくびくはー。



粋「しゃーねえって
売れてんだから喜ぶべき Σうお兄貴前っ」

どんっ!




町人「気を付けろバカ野郎」だっ

粋「Σんだコラ! 飛び出して来たのお前だろ待てやこらああ!!」むかっ


白「そっか。今日庵居たもんな
今日の不運はコレか。」ホコリはたきっ

粋「へ? ぶつかったくらいで不運?確かにイラッとしたけどよ」



白「金のにおいがした。」

粋「Σ何!? 捕まえてカツアゲでもすんの!?」ひいいっ


白「お前俺を何だと思ってるんだ
今の奴見てたか?」

粋「へ? 一応。
金のにおいってか むしろ 「見るからに貧相で 貧乏臭かっただろ?」

粋「いやあの、そこまで言わなくても」たじっ


白「なのに金のにおいがした。
見るからに持ってそうじゃないのにな」

粋「あ。金のにおいってマジでにおい?

Σん!?ちょい待て んじゃ今ぶつかって来たのは!?」はっ




白「とっさに財布じゃなくて鉄扇の紐掴ませてやったけどな。」



粋「Σうお。引ったくり曲がり角の影でコケてる!!」

白「金属の塊だからそりゃ重いだろ」しれっ





間。






【芝居小屋 楽屋】





つつじ「で、何で引ったくり連れてきてはんの?」

粋「いやそれが 思ってたより鉄扇重かったみたいで」

引ったくり「足がー」うーんうーん。

皐月「引ったくった反動でフトモモにゴンッ!か そりゃー痛いわ」あーあ。



白「番所に放り込もうとしたんだけどな
聞き取り?とか面倒だし時間かかりそうだし
午後の部遅れたらまずいだろ?
こいつ足怪我してるから歩くの遅いし」むう。

皐月「役者としてはエエけど、それで犯人連れて来るってどないやねん」


つつじ「まあなあ 番所の役人も日によって当たりハズレあるからなあ
午後の部終わったら 事情聴取されるやろけど放り込みに行こか」ふむ。


引ったくり「Σば 番所だけはご勘弁を!」ひいいっ

皐月「はいええよ 言うわけ無いやろ」


つつじ「あのなあ 失礼ながら あんさん身なりからしてあんま裕福とは思えんけどな
人の物盗ったらあきまへんえ?
悪い事したら偉い目遭わされるのが人の世の道理なんえ?」

引ったくり「解った口で上から言うな 悪い事してる自覚はある!
けど、こうでもしないと生きてけない奴等も居んだよ!」けっ

つつじ「うお。開き直りかいな」うわあ。



白「金がないなら 山行けば食べれる物沢山あるぞ?」

粋「そうそう、人里でも田んぼのドジョウとかドブのカニとか
結構行けるぞー」わははっ


引ったくり「Σドブのカニ!?」

つつじ「普通は人里住んでたらそれ食おうて発想にならへんからな?」

皐月「うん。サバイバル系兄弟はちょい黙っとこか」



引ったくり「だいたいこの寒いのに
そんなの獲りに行ってちゃ体持たねえんだよ
つーかもう そんなの食おうって気力も起きねえんだよ」ふんっ


白「そうか。茶菓子要るか?」

引ったくり「Σ!!!」


皐月「葛藤しとる葛藤しとる。」

つつじ「んな生活やったら饅頭とか憧れやろなあ」うんうん。



引ったくり「おおおお前がくれるって言ったんだからな!」がつがつっ

粋「くれるって言わなくても盗ろうとした奴が何言ってんだよ」



白「ふーん。
で、 この風呂敷は覆面代わりか?
どこに盗みに入るつもりだった?」風呂敷べろんっ

引ったくり「Σうお いつの間に!?」ひいいっ



白「知ってるか? しんえんをえーと なんだ見てるとしんえんが・・」

皐月「覚えとらんのに言うな。
深淵を覗き込んでる時は深淵もこっち見とるでって奴やな。」

つつじ「つまり 引ったくられそうなった時に引ったくったんやな
変な所器用な御人やなあ」



引ったくり「Σダミーを掴ませながら 逆にこっちの懐から盗っただと!?
プロ相手にお前何者 Σうごほっ」

粋「饅頭食いすぎ
水も飲まねえと死ぬぞほれ」お茶注ぎっ

引ったくり「早く寄越 Σあぢいいいっ!!」

皐月「喧しいやっちゃな。」



つつじ「しっかし引ったくりだけや無く 風呂敷かぶって泥棒さんもしとんのかいな

なんや今流行りのネズミ小僧の真似か何かかいな?」


粋「おい。茶こぼれてる こぼれてるって。」


白「ネズミ?」

つつじ「なんや知らんのかいな?
巷じゃ人気の義賊でなあ
金持ちから奪い 貧しいもんにばらまく。いわゆる義賊

なんやけどな?」チラッ


引ったくり「あ、うん。
今 有名デスよね それ」ぎくしゃく。





皐月「なんや 噂のネズミ小僧こんなんかいな。
イメージ崩れたわー」ちえー

引ったくり「Σこんなんとは何だこんなんとは!!」

白「つまり お前がそのネズミ小僧なんだな」

引ったくり「Σしまったあ!!」

粋「うっわ よく今まで捕まらなかったよな」

引ったくり「だああ!羽振り良さそうなのがボケッと歩いてると思ったのに!
何だよ鉄扇って 足怪我したら逃げられねえし!! 」ああもうっ

白「運が良いんだぞ。逃げたら黒焦げだったぞお前」

引ったくり「Σどういう事!?」ひいいっ


粋「つーか羽振り良いのは事実だけどよ
兄貴のアレ 着替えるのダリいだけの舞台衣装だからな?
歩いてるだけの一般人から奪うって義賊としてどうよ?」

引ったくり「Σそ、それは 噂が勝手に一人歩きしてそのっ!」

皐月「盗ったもん気まぐれで配ったら英雄にされたとかそんなんか」納得。




つつじ「しっかしネズミ小僧かあ

まーた 始末に困るもん連れて来はったなあ」うーん。

粋「え?何で?
義賊か何か知らねえけど結局は泥棒だし 兄貴のアレで現行犯だろ?
普通に番所連れてきゃいんじゃねえの?」

つつじ「いや 泥棒はアカンしちょいアホっぽいけどな
こん人の言っとるのも一理有るんよなあ」うーん。


白「?」

皐月「簡単に言うと、コイツが金ばら蒔いとるからギリ生活できてる層もおんねん
なんやかんやで戦国の爪痕はまだまだ深いって奴やな」

つつじ「上の方も頑張ってはるみたいやけど
どこにどんだけそういう人等がおんのかって把握事態ムズいし、皆助けるとか更にムズいからなあ」うーん。



白「ふーん。」

粋「あの 兄貴? 何考えてる?」

白「多分似たような事だ」ふむふむ。



引ったくり「まあ 俺ぁもう良いけどよ
泥棒始めた時点で捕まったら終わりって腹くくってたしよ」けっ

白「そうだな。
何とも言えないから とりあえず役人に突き出すまで大人しくしてろ」ぎりぎりっ


引ったくり「Σこの流れで縛り上げるな鬼かああ!!」ひいいっ

白「だって逃げるだろ。」きっぱり。





皐月「で、どうするん?」

粋「兄貴が何か思い付いたみたいだし 任せときゃ良くね?」


白「あ。縛り過ぎた?」あれ?

つつじ「Σストーップ!人間は脆いんやで!!こらネズミ生きとうか!?」ひいいっ


粋・皐月(やっぱ任せちゃダメかもしんない)





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挿音「んで?

お前はその貧民街の配置やら分布やら頭に入ってるわけだ?」キセルぷはー

引ったくり「ははははいっ!!」背筋しゃきっ



皐月「役人?」

白「徳川忍軍って公務員って奴らしいし
同じだろ?」

つつじ「微妙に部所ちゃうけど まあええか」うーん。



魄哉「ほうほう。そして家屋に侵入できる身体能力も有りと

今までの不問にしますので徳川で働きません?」

引ったくり「Σえ」



粋「コレさ。
断れなくねえ?」

白「断らせる気無いんだろな」うん。



魄哉「いやー 幕府側だとそういうの見えづらいんですよねえ
そういうの知ってる人材欲しいですし
何より それで盗みまでさせちゃったのはこちらに否が有るってもんです」

挿音「つーか 商家の倉やら何やら忍び込めるなら こっちの人材としても申し分無さそうだしよ」


引ったくり「へ?え?」



魄哉「ざっくり説明しますと
貧民街への幕府の支援のお手伝いと ついでに忍軍入りませんか?ってお話です

表向きネズミ小僧は しょっぴかれて最後直訴して果てたという事になりますがね」あっさり。

引ったくり「Σいやそもそもアンタら何者!?」



皐月「聞いたら戻れなくなるでー」

つつじ「いんや。 とうに戻れんやろなあコレは」うーん。




引ったくり「いやそもそもっ
元は自分の為だけに泥棒してたんだけど!良いのこれ!?」ひそひそっ

白「多分その辺解ってるぞ
こういう場合は話を合わせるんだ」しーっ

粋「いや何教えてんだよ」




魄哉「有能な人材はガンガンヘッドハンティングしなきゃ損ですからねえ」にこにこ。

皐月「はっちゃん仕事絡むとちょいちょい怖いな」


魄哉「残念 仕事中は天海です。」

引ったくり「Σえ」



粋「あ、 断わるって選択肢完全に消えた」

白「知っちゃったら逃がして貰えないな。」うん。

つつじ「つか、あんさんこれ狙っとったやろ」

白「生きてりゃどうにかなる事もあるし」


皐月「えー。 あのコンビやで?生きてた事後悔しいひん?」


魄哉・挿音「徳川はホワイトだから大丈夫。」

引ったくり「Σは はいいっ よろしくお願いしますっ!!」ひいいっ



粋「確かにホワイトだけどくっそ怖いぞ
頑張れよー」






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