小咄

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くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

7月27日

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【割烹 春一】





シロ「・・・・」困惑っ

彬羽「ん?どうした?」



シロ「いや、月末ではないか
それでな。」

彬羽「ああ 初任給か
めでたい事じゃねえのか」


シロ「いや、こんなに貰って良いのか!?」

彬羽「おい。何日か前の飛天と同じ事言ってるぞ」


シロ「いや あやつは性格に難有りだが腕は確かだろう!
俺は店内と食材冷やすのしかしておらんぞ!!」


彬羽「だから お前の仕事内容『冷却』だろうが
何を遠慮する事がある」

シロ「い、いやしかしっ今年は差程暑くは無かったし それほど働いておった気がせんのだ」




庵「お。後輩指導やってるやってる

今日から一気にあっつくなるらしいし
原動力に頑張りゃいいでしょ」

彬羽「Σ!!」


シロ「おい。アドバイスは有り難いが この店のエースのメンタルへし折るな」


彬羽「実際 最初にしちゃよくやってる方だと思うが
お前とか凄まじかったしな」横目。

庵「あーうん。私はね

・・よく店潰れなかったな」ぼそっ

シロ「Σいったい何があった!?」


彬羽「どこぞの役者兄弟が 多少ヤバイ物でも普通に食らうからどうにか持ち堪えたようなもんだ。」

シロ「Σお前らプロの意地はどうした!?」





白「見習いってのは 迷惑かけてナンボだぞ」

シロ「珍しくまともな事を言っている様だが どこから生えた」



白「ちゃんと入り口から入ったぞ
お前らが話し込んでて気がつかなかっただけだろ」むう

庵「いやーその節はホントにあっはっは。」頭かきかき


粋「あー お前ホントに最初凄かったよなあ

つーか。虫刺されの薬ねえ? 蚊にやられてかっゆい痒い」ぽりぽり

庵「わさび塗る?」

粋「Σなんで俺だけ!?」ひいいっ




白「ホントにな。
見習いってのは迷惑かけてナンボって上のは解ってるはずだぞ
解ってないのは 上がバカなんだ」うんうん。

シロ「おい。さっきからまともな事言っとるが頭でも打ったか?」




白「でもな。迷惑かけてナンボなのは見習いの内だけだから さっさと見習い卒業するよう頑張るべきなんだぞ」

粋「兄上。もはやシロに話してないっすよね?」薬ぬりぬり


白「ガン見されてる時点で気付け。」



粋「今日も稽古中 そのまま静止って言われたから蚊に食われても追い払わず耐えてたのにっ!」

白「甘い。プロは気合いで蚊なんて燃やすぞ」


彬羽「それはお前しか出来ねえだろ。」きっぱり



庵「兄弟漫才は置いといて

とにかく貰っとけばいいって
居候だと買いたい物も買えないでしょ」

シロ「いや。元々 物欲等無いしな」


彬羽「ん?ちょっと待て。

あの家主だ さすがに小遣いとか与えられてるだろ?」




シロ「事ある毎に与えようとしてくるが全て全力で遠慮しておる。

食うに困らないなら それで充分なのでな。」

粋「Σ武士は食わねど高楊枝!?」ひいいっ

シロ「だから食うに困っとらんと言っておろうが」



庵「え?んじゃ基本ノーマネー?」えええっ

シロ「何が要ると言うのだ?

食べ物と寝る場所があり、家の中には本もある
体調が悪ければ常備薬もあるしな」

粋「うっええ マジか。」うわあ


彬羽「なる程 そういやコイツは元々」



シロ「なんせ 養子に行った直後に跡取りが生まれ用済みの身だからな

贅沢と言うという選択肢がまず無いわ」ふんっ

庵「苦労人だったね。そういや」うわあ


彬羽「成る程
そりゃ お前の分だと給金出されても まず現金に馴れていないわけか。」ふむ

庵「あ。んじゃアンタも小遣い貰ってる系?」

粋「Σ見習いでもエキストラ料くらいでるっての!!」




彬羽「仕方無い
シロちょっとそこに座れ」ため息。


庵「お?」

シロ「ん? なんだ。」着席っ


彬羽「いいか。対価ってのは 働きに対する正当な報酬だ。

お前は自覚が無いかも知れんが、お前の時間を使いお前なりに懸命にやった物の対価だ
さっき庵も言ってたが、今満足の行く働きが出来て居ないなら次に繋げればいい
つまりそれは 先のお前への期待を込めた物とも言え

白「話が長い。」




彬羽「・・・・。」

庵「うん。ちょっと長かった かな。」うん




シロ「ふむ。 つまりは今後の俺への投資という事か。

成る程 それならば」うむ

粋(こいつ給料すら突っ返しかんねえもんなあ)ほっ



シロ「とりあえず 金の使い道等よくよく解らんので貯めておくか」

粋「あ、 特にねえなら 初任給は親に何かってよく言うよなー」

シロ「む? 親はおらんが この場合は家主と言う事か。」ふむ。





庵「おお。なんかはしゃいでる?」にまにま

彬羽「あの家には心底難儀な奴ばかり集まってやがるな

しっかし ガキがここまで物欲が無いのも不健全なよような」困惑。


庵「あ。そこは大丈夫」





白「よし。話終わったしおやつにするか
四谷屋の饅頭 早い者勝ちな」包みひろげっ

粋「Σあ!俺蒸し抹茶の!!」

シロ「いつものつぶあんはあるか?」いそいそ




庵「どこぞのお兄ちゃんが 弟一人増えた感覚で養ってるからねー」

彬羽「そういう事か。」納得。





庵「ちなみに 意外と値の張る竹刀も定期的に取り替えてやってるみたいだね」

彬羽「あのちゃらんぽらん
時々以上に面倒見がいいのは何故だ。」うーん。

庵「生まれつきのお兄ちゃん属性?」





白「お前らも食べるか?」

彬羽「Σ誰が手前の弟分だ!!」

白「へ?」きょとん。



庵(Σあ。そいやこっちが年下か!!)









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魄哉「ほらほらこれ見てください
シロ君が初任給で足ツボ用青竹買ってくれたんですよ」じーん。

蒼月「うん。何がいいのか解んなくて迷走したのが見て取れるね」

家康「オーソドックスなお茶とかじゃない辺りシロだよねー」うんうん。




魄哉「勿体無くて踏めませんねえ
あ、ちょっと神棚に「いや。踏めよ。」






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