小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

12月10日

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[芝居小屋]





つつじ「あー。 つっかれたわ」肩とんとん



粋「はいよ。お疲れー
茶と菓子な」


つつじ「ほんま雑用が板について「見習いな。今に見てろ見返してやる」けっ


つつじ「ほうほう 楽しみにしとるわ」にまにま。

皐月「自分が売れとるからって嫌なやっちゃなー」

つつじ「ダチだろうが何だろうが芸の道となったら別もんどす。
はよう一人前になって見返してやー」


粋「おうよ。 首洗って待ってろ!
てか茶菓子食う前に手洗いうがい! 風邪ひいたら年末やべえだろ!」

つつじ「オカン化しとるで?」

粋「まずは雑用から完っ璧にこなせるようにして行く事にした
こういうのは積み重ねが大事だろ」

つつじ「お宅のお兄はん 積み重ねどころか感性のみでトップやけどな。」手じゃばじゃばっ

粋「Σ心折りにかかんな!」

つつじ「メンタル鍛えてやっとるんどす。
ありがたい思いやー」ふきふき



皐月「あんたらの価値観よう解らんわ」




つつじ「あ、そういけば
そのお兄はんどこ行ったん?

いつもならこの時間 空腹やてうっさいのに」きょろっ





粋「午前の部でバテて そこの大道具に突っ伏し寝してる」

つつじ「Σこの山の中かい! うおうっ 知らんで上から物ガンガン置いとった!!」ひいいっ



皐月「よっこらしょ。」

ずぼっ


白「寒い。」むすっ


粋「埋められてるのに呑気に暖取るなよ」

白「舞台風通し良すぎて無茶苦茶寒いんだぞ」


つつじ「あー。確かになあ
お客はんが真っ直ぐ入って好きなとこ座れるように 開けっぱの入り口から一直線やからなあ」


皐月「けど、白の場合厚着多いからまだマシやん?」

白「そうだけどな。冷えるもんは冷える
蒼月なら確実に冬眠してるぞ」むう。


粋「そういや兄貴とお前じゃ 偉く衣装の雰囲気違うよな?

何?やっぱキャラとかあんの?」





つつじ「ヒント。高下駄や。」

粋「兄上。 本当に心よりすみませんでした。」土下座。



皐月「白ちっさいからなあ。
後ろのお客さんが見えにくいやん?
だから高下駄履かせたら 今度は上げ底バレッバレで気になるやん

で、衣装着込ませまくって誤魔化してるって話やで」

つつじ「ほんまあんだけ着込んでよう動けるわ」

白「動き回るのがウリなのにな。」


粋(兄貴が家じゃゴロゴロしてるのに まったくなまらねえのコレだよなあ。)




皐月「てか、高下駄履いてぴょんぴょん跳ねて足ぐきってならんの?」

白「始めはまず立てなかったぞ」お茶ずずー。


粋「Σあ。そういえばっ
いつの間にか普通に飛び回ってる!」





白「そこはプロだからな。」どやあっ

皐月「つまり
呑気にすいーと泳いどる水鳥が 水中で必死こいて足バたつかせてるアレやな。 」




白「・・今はバタついてないし。」


皐月「ごめん。
面倒くさいのこの上無いけど 兄ちゃんの威厳とかその辺もあるんやな。」

つつじ「皐月はん。正直なんはええけど 忙しい時期にメンタルごりごり削るのやめたってやー」




粋「俺も頑張ろう」ボソッ




つつじ「Σあ。 まさかのここでやる気スイッチ!」

粋「天才とか言われてるのが 実は必死こいてバタつかせてんならそりゃあなあ」うんうん

白「バタつかせてない。」







庵「あのー 寛いでる所悪いけど 昼休み終わるから早く食べた方が」

粋「あ、出前頼んでたの忘れてた」


つつじ「Σちょお待ち!! もうそんな時間 Σぎゃーあかんっ! 流しこまなっ」




粋「やっべ!兄貴 そこらで寝てたから衣装よれよれっ
着付けからやらねえと!」わたわたっ

白「昼抜きにしたら昼からバックレるぞ」真顔。

粋「Σプロなのに!!」ひいいっ




つつじ「あかん!用意しながら食べるわ!
庵はんすまんどす ちょおその辺に拡げといておくれやすっ」前髪あげっ

庵「Σおお!本物よ舞台メイク!?」おおおっ

つつじ「パッキパキになるから定期的に塗りなおさなあかんのどす! ちゃちゃっと書かんとっ」



庵「へー。 これ自分て書いてるんだ」感心っ


皐月「意外やろ?メイク係りとかおらんねんで。
自分の身支度は自分で出来て当たり前なんやて」

庵「へー。」ふむふむ






粋「Σえ。マジで?」

つつじ「あんさん。それも練習いりそうやな。」塗り塗り



粋「ええええ!だって 兄貴はそんなんしてねえし!!」

皐月「あれは特別や。
そもそも元から見た目派手やし ぶっちゃけすっぴんや。」

つつじ「あん人元から色素うっすいからなあ
やっても目元に赤いの塗るくらいやろ

まあ、そんだけちゃうけど」


庵「そんだけとは?」




白「なあ。これどの帯が上だったっけ?」こんがらがりっ


つつじ「衣装複雑すぎて そっちで時間食いよんのや。」ため息。

庵「てか 帯、変な結び目出来てるんだけど」




粋「だああもう! こっちが上で 下のは指三本分くらい見えるくらいに!!

後これは逆!!」なおしっ


皐月「ほんまよう出来た雑用やな。」

庵(これ。ずっと雑用で居てもらった方がありがたいんじゃ)うーん。




つつじ「あんさんもいい加減覚ええやー

もし万が一 ひょっとして粋はんが大器晩成型で一人立ちしたら そんな世話して貰えんで」書き書き。

粋「いい加減どつくぞ お前。」



白「いや、無いと思うけどそうなったとしても
こいつには物凄い時短技があるだろ?」

皐月「時短?」






白「勾陣化。」

つつじ「確かに隈取に見えるけどな。」

皐月「うちそもそも歌舞伎ちゃうで。」



粋「え?何?
ひょっとして もし一人前になっても雑用は卒業出来ない感じ?」


白「お前。便利だからな」しれっ


粋「Σうおう!雑用頑張り過ぎたっ!!」ガーン。






庵「断るという選択肢無いの?」

皐月「下僕根性染み付いとるからなあ。」うーん。




つつじ「よしゃ出来た!!
ほな 昼の部気張りますえー」

粋「おい。昼食い忘れてるぞ」

つつじ「Σう。ほな卵焼き貰いますどすっ」もぐもぐバタバタっ




庵・皐月(やっぱ雑用裏方が適役なんじゃ。)うーん。


白「まあ。やるだけやって 向いてるかは本人が決めればいいだろ。」弁当もぐもぐ


庵「Σぎゃ! 心読まれたっ!」

皐月「ええからアンタもはよ行かんかい。」







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