小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

8月30日

f:id:t00c:20190830114838p:plain




粋「そういや石燕って なんで家なき子してたんだ?
あ、茹で栗食う?」

石燕「またいきなりっすね
いただきまーす」


粋「いやーだって 人気絵師だろ?
家賃納めらんねえって事は無いだろし、なんで行き場無くなってたのかってこれ薄皮取れねー」カリカ


石燕「家賃っすか。まあそこは大丈夫だったんすがね
栗ってめんどいっすよね」


粋「まあ、俺が溜めまくってた上長屋壊したの思い出したからなんだけどな」栗の皮引っ張り


石燕(Σ白さんがこっそり代わりに払ったのって総額いくらなんすか!!)


粋「Σあ。やべっ!」つるっ






ビシッ!

白「あいた。」





石燕「Σ粋さん!早く土下座ををを!!」ひいいっ







間。








白「栗って焼くと爆ぜるよな?」ぱきっ

石燕「剥くの上手いっすね」

白「蒸したより焼いた方が綺麗に皮剥けるんだぞ」もぐもぐ

石燕「へー。

あの それより粋さん大丈夫なんすか?」おそるおそる




白「栗だって焼いたら剥きやすくなるんだ
あいつも少しは賢くなるだろ」しれっ

粋「Σどんな理論!?」焦げっ

石燕「あ。大丈夫そうっすね」



白「どうしても茹で栗がいいならバカラスにやって貰え 皮なんて一発ではじけ飛ぶから
半分くらい中身も潰れるけどな」

粋「兄貴それ まっさか体験談じゃ」

石燕「彬羽さん 変なところ面倒見いいっすよね」





家康「栗談義盛り上がってる所悪いんだけど
石燕ちゃんの宿無し理由私も気になるんだけど。」挙手っ

粋「Σあ。綺麗さっぱり忘れてた!」

石燕(血筋って怖いっすねえ。)しみじみ

白「ん?」




家康「あん時私がべろんべろんに酔ってなかったら石燕ちゃんお持ち帰りとかまず無かったしー

そうだったら今頃身元不明の仏様が一個転がってた可能性もあるよね。
本気でどうしたの?」

石燕「あのー。その前にお持ち帰りの表現はやめて欲しいっす」



家康「途中の石段で力尽きて 酔払いが小脇に抱えて持ち帰ったんだから間違ってないよ?」

粋「お前人間だよな?」



家康「はっはっは。三日後に軽い筋肉痛が来たよ。」えへんっ

粋「Σ言ってることが完全にオッサンだけど良いのかそれ!」



石燕「あー確かにあっしの体力じゃホームレスは無理があるっすよねえ

下手すりゃ今年の暑さじゃ 道端で干からびてる蛙のように・・

よし!こっ恥ずかしいんで黙ってましたがお話ししやしょうっ」

粋「おおっ!」わくわく




石燕「実は あっしの実家はそこそこでかい商人の家なんすけどねえ」

家康「ふむふむ偉い遡るね。」

石燕「で、三男坊ってぶっちゃけ出番ないっしょ?
武家みたいに御家騒動がーとか無いけど 特に居る必要も無いと言うか」

家康「まあ武家でも三男とか 冷や飯食いだからねえ」うんうん。





粋「あれ?家康も?」ひそひそ
白「他の家に人質に出されてたとか言ってたし 色々大変だな」ひそひそもぐもぐ



石燕「で、居なくてもいいなら好きな事しちゃえーと家出て絵の世界に飛び込んだんすが

昔っから 人以外のもん見えるこの目っすからねえ」

白「夜中に厠一人で行けなかったのか?」

家康「それ粋でしょ」きっぱり

粋「Σ行けるわ!むしろ怪談した後のお前だろそれ!!」





白「おねしょコンビは放っておいて それで?」

粋・家康「Σやってない!!」



石燕「はあ、まあどっちでもいいんすがね。

そんで、その
お化けと気付かず普通に話しかけちゃったりするんで 絵描き仲間からもドン引きされちゃって」

家康「あの、ご実家で浮いてたのってそれもあるんじゃない?」


石燕「・・・Σはっ!!」



粋「確かにこりゃ行き倒れるな」うんうん。

白「家康が酔っぱらいで良かった」



石燕「今度実家に居場所ボカシて手紙書いときやす」ふっ

粋「あ、結構こじれた感じな「こらっ!しー!しー!!」




石燕「とと、話がずれたっすね

んで、長屋で寂しく どうせなら見えるもん書くかと妖怪絵はじめた所
前にも増して本物がわっさわっさ寄ってくるようになったんすよ」

白「噂されると行っちゃう奴等多いからな」うん。


家康「え。怪談すると寄ってくるのってまさかそれ?」

白「サービス精神の塊なんだそいつら」

石燕「あーそういう事だったんすか

半ばヤケだったんでそのまんま妖怪まみれで仕事してたら

ある日、長屋全部の障子が見事に目玉だらけに

粋・家康「Σいきなりホラー!!」 ひいいっ



白「なんだっけ えーと もくもくれん。かな?」

石燕「それっすそれっす!
で、日によっては 目玉じゃなく耳びっしりとか」にこにこ

粋「Σいやいやなんで笑ってんだよ 怖ええよ!!」





白「み、みみみみれん?」うーん。

家康「いや名前はいいから。 想像したくないやだやだやだっ」顔面蒼白。




石燕「で、気持ち悪い絵を描いてばっかいるあっしのせいだ。
いつもお化けがどうとか言ってるしと放り出されたって話っすよ

あ、皮綺麗に剥けた」ぱきっ。


粋「お前も苦労したんだなあ

怖えし。」ぶるっ



石燕「まあそれで夜露しのぎに飲み屋に居たら 家康さんに拾って貰えたんで結果オーライっすけどねえ

あ、栗美味しい」もぐもぐ


家康「よし!あの日深酒してた私偉いっ」ぐっ

白「酷い二日酔いして魄哉に怒られてたけどな。」きっぱり




石燕「そしてこちらが 目玉だらけの我が家を書いたその時の絵になるっす。」べろんっ
粋・家康「Σぎやあああああ!!!!!」

白「おー。さすがプロ」ぱちぱち









千様「石燕さんも大変だったのねえ」ひょこっ

石燕「あ、聞こえてました?」

千様「おほほっ この家で内緒話なんて出来なくてよっ」ふんぞりっ

石燕「別に内緒話してないんでいいんすけどね
常に誰かいるからこの家気が抜けないっすねえ」


千様「あら、なんだつまんない


何?そんなかきこんで 焼き栗好きなの?」





石燕「いやー。ほんと美味しいっすねえ 熱々のほっくほくすよ?

食べ出したら止まらない」もきゅもきゅ


千様「あー・・
よしよし」なでなで。







>サイトトップに戻る