小咄

小咄

くろねこ太郎の落書き部屋 小咄ページです

4月19日

 

 

 

粋「最近さ

日暮れ時、町外れに 赤ん坊を抱いた女が出るらしい」真顔っ

 

 

テオドール「まーたビビリの癖に そんな話ばかり何処から聞いてくるので御座いますか」怪訝っ

 

粋「八百屋のおっちゃんが言ってたんだよ!

あんだけ別嬪なら目立つだろうに 誰も何処の誰か知らない
いっぺん見たけど 確かに人間離れしてたって!!」うがあっ

 


蒼月「え?マジ
じゃ俺が調査してきてあげ

彬羽「待て。何の調査をする気だ手前は。」がしっ。


蒼月「だってー。江戸の暮らし的に
そんな時間なら 普通の奥さんは家に帰って夕飯作る時間じゃん?
それが無いって事は 旦那不在、もしくはワケ有り

つまり家に男が居ないと見た
何も問題ない」きらーん。

彬羽「手前の頭に問題有だろ」おい。

 


テオドール「子連れだろうと 関係なしなので御座いますね」引。

蒼月「ガキには解んないよー」べーっ


粋「どっちがガキ?」

 

 

彬羽「アホは放っておいてだ
気になるのは赤ん坊か。」

 

白「赤ん坊もオバケとか骸骨なら良いんだけどな

女が妖怪なら 何処かから浚ってきてる事も有るのか」うーん。

 


テオドール「日本の妖怪って 赤ん坊がお好きなので?」おや。

彬羽「いろんな意味でな」

粋「うん。追及したらヤベエ奴だ」察し。

 


テオドール「成る程 そちらの」ふむ

 

蒼月「ま、それ意外にも 
純粋に気に入ると『うちの子』にしたがる妖怪も居るよ

ウブメとか

ここの家主とか。」

魄哉「僕は誘拐はした覚えはありませんが?」

 

 


家康「彬羽とか 封印の御札ベタベタ貼られて納屋に放り込まれてたけどね。」お茶ずずー。

 

彬羽「あれは ある意味テロリストだった直後なんで仕方ないと言えば仕方な 
おい、この話 どれだけ蒸し返されるんだ。」

白 「やらかしたからには この先ずっとだろ。」きっぱり。

 

テオドール「若気の至りは危険。
メモしておきます」ふむ

 

 


千様(あら?そういえば蒼月君は
呼ばれてないのに住み着いたような?) あらー。

蒼月「ん?何?」


千様「えーと。人それぞれねって事」にこっ

 

 


白「じゃ。ダラダラやってても話が脱線するし
暇な時に様子見に行ってみるか」

粋「うん、ユルい」

白「悪さしてるって決まってないしな」

 

 

 

間。

 

 


シロ「うむ。鬼切も鳴っとるし 完全に妖怪だな。」

鬼切しゃんしゃんしゃんっ!

 

妖怪女「すみませんすみません!悪い事はしてないんですーっ!!」

赤ん坊「おぎゃあああ!」びえええっ

 


粋「えっと。なんかすんません」困惑っ


テオドール「悪い事はって
なら何故に謝るので御座いますか?」

妖怪女「この子を連れていかれてしまうのでは?」びくびくっ

 

白「連れてくも連れてかないも
何でお前が人間の子供連れてるんだ?」

妖怪女「捨て子なんです。
道端に 名前とどなたかよろしくとだけ 書いてる手紙と共に置いてありまして。
ほっといたら 野良犬とかにかじられるかなって」ううっ

 

彬羽「問題無さそうだな」ふむ。

白「拾って世話してたら 情が移ったのか
うん。問題なかった 帰るぞ」

粋「Σ判断が早え!!」

 


妖怪女「待って下さい
貴方が魔王様と言うのなら 話を聞いてください!」がしっ

白「魔王は町内会長とかじゃないぞ。」おい。

 


妖怪女「いえ、そもそも私が人の子育てて良いんですか?

私が言うのも何ですけど」真顔っ

白「問題あるのか?

無闇に喧嘩売る奴等よりよっぽど良い事してるだろ?」

 

妖怪女「だって、人間ですよ?
私なんぞが育てて 幸せになれますかね?」ずいっ

 

白「うん。子育ての問題は
バカラス頼んだ」

彬羽「Σえ゛」

 

 

白「コイツも妖怪だけど 拾った子供育ててるからな
相談相手になるだろ」


妖怪女「え、やだ。そうなですか?
不安ですよねー。
ただでさえ子育てって不安なのに 自分の子でないって不安材料が更にドンで」ぺらぺらっ

彬羽「Σい、いや俺はそこまでは
1人で面倒みてるわけでもないしだなっ」びくっ

妖怪女「ええー。 羨ましい

1人だとホンット怖いんですよ
夜中の熱とか(略)」

 


テオドール「あ、ママ友に飢えてる感じの方に御座いますね。」わお。

粋「ストレス貯まってたんだろうなあ」うん。

 

妖怪女「それに!

それにっ
この子が私に懐いてくれるのが嬉しい反面、
本当の親御さんは どんな気持ちなんだろうって 複雑で。」


白「ん?」はて。

 


シロ「ふむ。育てる側からしたら そう言う物なのかもしれんな」

粋「いやお前
1番ガキな癖に何で親目線?」えー。


シロ「いや、ある意味ガキ目線でそれであったからな

俺とて 産みの親の顔も覚えとらんよな時に 本家に養子に出されたのだ。
本物の親は。 と考えなんだと言えば嘘になる」


妖怪女「Σやっぱり!?」

シロ「うむ。

本家には逆らえんとか それなりの事情が有ったのかも知れんし
その後貧乏クジは引いたが 恨む気にはならなんだな」

 

妖怪女「やっぱり 子供ってそうですよねえ

私も この子の成長を親御さんが見れないのが気の毒で」ううっ。

 


白「そんな気にする事無いと思うけどな
単に 要らなくなって捨てただけの事も有るし。」

粋「Σ兄貴こら デリカシー!!」


白「そう言うのも結構要るぞ

魄哉から愚痴聞くから知ってるし。」しれっ

 


シロ「し、しかしだな
そう言うデリケートな話をそのっ 
軽々しく否定のみと言うのは」えっと


白「だいたいな。

お前等、やたらともう自分に関係ない奴を美化したり
敬ったりするのが良い事みたいに言うけど

それが 本人にとって良くないなら 考える必要無いと思う。」


妖怪女「あの無関係と言うかですね」そのっ

白「関係ないだろ。
そのチビの親はお前なんだし」

 

妖怪女「Σ私が お母さん!?」ぱああっ

 

テオドール「今まで何のつもりだったので御座いますか?」

妖怪女「う?乳母?」きゃーっ

 

粋「種族差有るし 引いて考えちゃうよな そりゃ」

 

 

彬羽「言い方は何だが 
確かに捨てた親に拘り続ける方が 子供には良くないかも知れんな 」

妖怪女「せめて私が人間なら
胸を張って お母さんですよって言えたかも知れないんですがねえ」苦笑。

 


白「妖怪じゃ無くなれば良いのか?」ちらっ

シロ「うむ。可能では有るが」

 

妖怪女「Σ有るんですか!?」えええっ

シロ「しかし、1度そうなれば お前は2度と妖怪に戻れなくなるぞ。
一生その化けた姿。つまり非力な人間のままとなるが「お願いします!!」

 

テオドール「食い気味、 
即答に御座います」おおっ

粋「母性凄え」うわ

 

 

シロ「ふむ。
では


今よりお前の 『妖怪』の部分を切り離し滅する。

良いか 動くな。 混ざりっ気の無い妖怪であるお前が下手に動けば その存在ごと滅する事になるぞ」鬼切ちゃきっ。

妖怪女「Σえ゛」

 


粋「Σ待て待て待て待て!!
切り離すって斬るの!? マジで斬るの!!」えええっ


シロ「鬼切ならば可能だ
案ずるな」

粋「Σ案じるわ!
つか下手すりゃこの母ちゃん消滅するだろ!!」


妖怪女「か、構いません!!
テンション高い内にお願いします!!」よっしゃあ!

粋「Σ凄い根性!!」

 

 

シロ「では 参るぞ
良いか 動くなよ。」鬼切ちゃきっ

 

テオドール「ほとんど切腹介錯の絵面に御座います」うわ。

彬羽「大したものだな。」赤ん坊かかえっ

白「お前の母ちゃん ド根性だなー。」赤ん坊ちょいちょいっ

 

 

 

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シロ「ふむ。 良い仕事をした」ご満悦っ

 

粋「俺なら手が震えて無理だわ」ふかーいため息っ

テオドール「見てる方が疲弊しまして御座いますねえ」 ぐったり。


シロ「で、結局
あの女は 赤子が大きくなったら『育ての親』であると打ち明けて育てるそうだな。
律儀な物だ」

 

白「アレが親で良いだろ。

もっと自分の事だけ考えて生きれば良いのに」ふんっ

シロ「お前はなんで不服そうなんだ」おい。

 


彬羽「お前が 本家に嫡子が生まれたせいでお払い箱にされたからじゃないのか?」

シロ「Σは!?」

 

テオドール「あー。
振り回されておりますねえ」おやまあ

粋「兄貴にとっちゃ 親の都合で捨てられたり他所にやられたりって 地雷なわけだ。」成る程っ

 

 

彬羽(ウブメや何や程では無いが
コイツも大概、気に入ったのは拾うタイプだしな。)

白「なんだ。」じろっ


彬羽「八つ当たりするな」

 

 

 

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